【自転車旅】現時点でのバイクパッキングについて総括してみる【旅の道具は何が最適か】
自転車, 写真, 機材紹介, ロングライド, ノウハウ, 輪行, バイクパッキング, キャンプツーリング, グラベルライド,現在のバイクパッキングスタイルに辿り着くまでには紆余曲折がありました。
今でもツーリングをする度に細かくアップデートを繰り返しています。
思えば学生時代に自転車を旅の道具として選択して以来、日本全国47都道府県、時には海外を走り回りながら試行錯誤を続けて来ました。
自転車の楽しみ方は千差万別ですが私にとっての楽しみ方は「旅」そのものです。
全ての原動力は「旅をしたい」「これまでに見たことがない景色を見たい」と言う好奇心です。そのためには色々と必要なものがあります。お金、時間、体力、知識、経験、そして「旅の道具」です。
適切な旅の道具を選ぶためには、旅の内容を考える必要があります。
例えば同じ場所であっても季節や時間帯が変われば必要な道具はガラッと変わります。日本には四季があり、さらに縦に長い列島なので、いつ・どこに・何をしに行くかで荷物の量が倍にも半分にもなり得ます。輪行を組み合わせるのか、はたまた全て自走でこなすのか。これだけでも持参する道具が大きく異なります。
四季折々で景色が変わるので、47×4=188都道府県あると思うと旅するのもめちゃくちゃ楽しいですね!
地図や天気予報と睨めっこしながら、旅の内容を大まかに組み立てて、「快適な旅をするためには何が必要だろう?」と考えて初めて旅の道具が決まります。ここが昔ながらのパニアバッグスタイルにしろ現代のバイクパッキングスタイルにしろ、自転車に荷物を積んで走ることのスタート地点だと思っています。
自転車を複数台持っていることが前提の話で大変恐縮ですが(本誌読者には複数台持ちがたくさんいそう)旅の内容と必要な道具に合わせて使用する自転車も使い分けています。それぞれのスタイルについては後述しますが、自転車も広義では旅のイチ道具と捉えることができると思います。
ここでお伝えしたいことがどんなスタイルであれ「初めに荷物ありき」と言うことです。
自転車は人力で進むアナログな乗り物である上に基本的に荷物をたくさん積載するようには作られていません。何でもかんでも持っていく訳にはいきません。何を持っていくかが重要でバッグはそれを運ぶためのケースに過ぎません。必ずしも大型サドルバッグや大容量のパニアバッグが良いとは限らないのです。もしバッグありきのパッキングをしている場合には、色々と見直す点があるかもしれません。(あえてそう言う無駄を楽しむ場合もあります!)
そんな私も自転車旅を始めた当初はゴリゴリのキャンプツーリング仕様で旅をしていました。
と言うのもそれが当時最も安価かつ簡単に仕上がる旅のスタイルだったからです。アルバイトをして貯めた10万円でルイガノのシクロクロス車を中古で購入し(当時は車種も分かっていない)お釣り+足りない分は翌月のバイト代を注ぎ込んでテントと寝袋、荷台やバッグを買い揃えました。いわゆるパニアバッグスタイルです。40リットルを超える大容量バッグでつい何でもかんでも放り込んでしまっていました。
今思うと無駄なモノだらけだったと思います。その割に本当に必要なグラウンドシートやマットレスは貧相でしたし、テント場で必要なランタン類が無くフロントライトを流用してバッテリーを無駄に消費していたりと、極めてちぐはぐでした。今同じことをするなら、バッグ容量は30%以上サイズダウンをして、総重量は5kg以上軽くできると思います。
次の旅ではもう少しマシになりました。まだまだ見直す点はあったと思いますが、その時の自分は「めっちゃ進化した!」と自画自賛でした。
こういったことを10年くらい続けて今のスタイルに落ち着いています。冒頭に記載した紆余曲折とはまさにこのことです。
バイクパッキングスタイルの負の部分にも目を向けておきたいと思います。
製品の中には大容量のバッグもありますが、かつてのパニアバッグスタイルや荷台に荷物を載せるスタイルと比べて基本的に軽量&コンパクトなバッグが大半です。これはバイクパッキングスタイルの考え方の一つに「必要最小限の荷物を積む」と言う発想があるからですが、自転車の楽しみ方によってはこれが枷となる場合があります。
例えば学生時代の楽しい遠足や修学旅行を想像してみてください。知らない土地かつずっと行きたかった場所に行くことになりました。テンション上がりまくりです。ただし持参できるバッグは手提げバッグ一つだけですーーー。これは極端な例ですが、バイクパッキングスタイルではこのようなことが起こり得ます。
十分な旅の経験値があったり、ストイックな人だったりすれば問題ないかもしれませんが、シチュエーションによっては適さないことも多々あると言うことです。
バッグに入らないからと家に置いてきた雨具や着替え、補給食が本当は必要で辛い思いをしたことがある人もいるのではないでしょうか(私は何度もあります)。一気に流行して市民権を獲得したバイクパッキングスタイルですが、個人的にはあくまで旅慣れたりアイテムを絞ることができる人が選ぶスタイルだと思います。そしてアイテムを絞る=スリム化をするために一度無駄な荷物をたくさん持っていくような経験をしてみるのも良いかもしれません。そうしてふるいにかけられて厳選された道具を効率良く軽量&コンパクトに運ぶためのスタイルがバイクパッキングスタイルであると思います。
この点においてはバイクパッキングはこの上なく快適です。
現在は驚く程にたくさんのアイテムが様々なメーカーから発売されています。荷物を載せる場所から載せる方法、自転車にバッグを装着するシステムから容量、カスタマイズや組み合わせ方、見た目のコーディネートの楽しみ方等、もはや本来の「自転車に荷物を積む」以外の楽しみ方ができるくらいになっています。またノウハウも様々なメディアを通じてゲットできます。ゆるキャンのような漫画やアニメ作品からヒントを得る機会もあります。
これはこれで有りというか、いっそ荷物なんて気にせずに好きなバッグを付けて遊んだらいいじゃん!と思うこともあるくらいです。が、やはりロングライド、自転車旅においては今でも荷物選びに悩むことがあります。
最近では予め「余白」を意識してバッグを選ぶようになりました。効率より楽しさ重視でサイクリングをしたいからです。あと、お土産用です(大切)。何と言っても趣味ですから、この荷物やバッグを選ぶ時間、あーでもないこーでもないと試行錯誤をするのもまたバイクパッキングの楽しい側面なのかもしれません。
バイクパッキングのおかげで旅のスタイルが大きく変わりました。従来のパニアバッグスタイルに比べて圧倒的に
1.軽く
2.コンパクトで
3.機動力が高い
と言う点です。
例えばこのフルパッキング仕様でも鉄道〜飛行機輪行が可能です。4バッグスタイルで輪行した時は冗談抜きで腕が千切れるかと思いましたが、今では頑張れば何とかこなせます。これによって自走範囲外の色んな場所にアクセスができるようになりました。より遠くへ到達できるキャンプツーリング車こそ輪行が重要だと思いますので、輪行前提のギア選びを意識しています。
加えて無駄を楽しむ余白も確保できるようになりました。自転車以外にも登山やロングトレイルハイクも趣味なのですが、そこで使用しているウルトラライト系のギアの恩恵もあります。余白ができることで自然の中でゆったりと時間を過ごすためのコーヒーセットを隙間に忍ばせたり、ヘリノックスに代表されるようなチェアやテーブル類を持参したりと、突き詰めた際には切り捨てるような道具を携行できるようになり、結果として豊かな時間を過ごしやすくなったと思います。
「どんなアイテムがあれば楽しいだろう?」とアンテナを張るようにもなりました。自転車以外にも登山、釣り、キャンプ、パックラフト等、他のアウトドアアクティビティに目を向けてそこで得た発想やアイデアを取り込むこともあります。これだけでも楽しいですよね。自分だけのスタイルを突き詰めるプロセスにこそバイクパッキングの楽しさの真髄があると思います。
ロードバイクをベースとしたファストライド仕様です。キャンプツーリング車と比べると全体的に軽量かつコンパクトであり、走行性能を維持したまま走ることができます。「自転車=旅の道具」と捉えた際には、実は日本国内におけるほとんどの旅はこのスタイルでOKです。
旅先の困り事はスマホとコンビニさえあれば大体何とかなる時代です。ウエアも進化していて、洗濯すれば一夜で乾いてくれます。余分な着替えや補給食を持つことがないので、使用するバッグも最低限。それでいて旅の快適性を損なわないように、道具は常にブラッシュアップしています。特に電子デバイス系は進化が早いので定期的に使用アイテムを見直しています。キャンプツーリングほど余白がないからこそ、ギアにはとことん拘りたいですね。ちなみに写真撮影がこの上なく好きなので、一眼レフカメラだけは必須アイテムです。
RIBBLE(リバル)のアルミフレームを購入し自分で組み上げました。今時規格のグラベルバイクです。コンポーネントは信頼のシマノGRXを採用。拘りポイントとしては、あえてDi2では無く紐変速を選択しました。エスケープルートもない、輪行もできない、ショップがない、そんな環境下でも確実に走破できることを重要視。服装は「そのまま輪行や観光」しても違和感のないゆるっとしたウエアが好きです。サイクルジャージのような締め付けがなく通気性も良いので、25km/h前後の速度域にマッチします。他にも歩きやすいSPDシューズや、何かと便利な手拭い、GARMINウオッチ等、快適な旅を助けてくれる小物も厳選しています。
収納スペース一等地。頻繁に出し入れするアイテムを収納。ステムバッグにはドリンクを。実はこの位置が最も安全&楽に飲み物補給が可。反対側のステムバッグはあえて何も入れずにゴミ箱兼余白スペースに。トップチューブバッグはボルトオン方式で固定力抜群。
「嵩張る」アイテムの収まり処。ブラックバーン アウトポストカーゴケージを両サイドに設置し、積載量アップに大きく貢献。スタッフバッグに荷物を入れてまとめて固定。
ライド中に出し入れのしないキャンプ用品を中心にパッキング。テント、シュラフ、マット、ピロー、グラウンドシートと言った衣食住の「住」に関連するアイテム+場合によっては「衣」をまとめる場所でもあります。両サイドにスペースがあり思っている以上に収納力が高く、上手くまとめれば他のサドルバッグ等が不要になることも。走行性能への影響やフォークダボ穴の強度不足が懸念されるため、重量物は不向きなエリアです。また万が一走行中にラックや荷物が脱落すると前輪に巻き込んで大事故に繋がりかねないので、固定力が最重要です。
収納スペース二等地。出し入れするアイテムの中でもやや嵩張るものを収納。フルフレームバッグの収納力は凄まじく、おにぎりやエナジージェルを10個以上収納しても余裕あり。500mlのペットボトルやカメラを突っ込んでもOK。
PDWビンドルラックを愛用。取り付けるバイクを選ばず、大型サドルバッグに比べて、様々な形や長さに対応できる汎用性の高さがお気に入り。工具一つで容易に脱着が可能で輪行することも可能。
手元にあるバッグであり、荷物の出し入れがしやすく何かと重宝するエリアです。財布、スマホの他に目薬、日焼け止め、鍵、三脚、予備マスク、携帯アルコール、予備バッテリー、サングラスやメガネ等を収納しています。あまりギチギチに入れると出し入れするときにストレスになったり、ちょっとしたお土産や観光マップ、切符、補給食を追加するときに苦労するので余白を多めに確保するようにしています。最近ではハンドルバッグは走り出すときには空っぽな状態であることも珍しくありません。
バイクは兵庫県三田市の「自転車工房エコー」のTADAオーダークロモリフレームを乗り続けています。自転車も旅の道具なんだからいっそ乗りやすいようにオーダーしよう!と言う発想です。クロモリなのでガンガン輪行したり旅しても問題なし。錆チェック兼ねて再塗装をすれば生まれ変わる今流行りの「持続可能」なバイクです。
旅を重ねるごとにブラッシュアップしてきただけあって、我ながら随分とスマートになったと思っているものの、後から見返すとやっぱり改善点があったりするもの。
この試行錯誤がたまらなく楽しくって、こうして備忘録的にまとめて数年後に振り返るとまた違った発見があるのかもしれない。
終わり。
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