【岡山県〜鳥取県】「はわい」から鳥取市内へ日本海を堪能する旅路【東郷池〜長尾鼻〜鳥取駅】
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知らない天井だ。
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ここは……鳥取県。
鳥取県は東伯郡の湯梨浜町。そこにあるはわい温泉のお宿「鹿鳴館」
起きたらいきなり温泉むすめのおもてなし。
よく眠ることができた。
ぐっすりだ。
自転車旅をしていると嫌でも熟睡することが出来る。
単純な理由としては大抵朝が早いから、だ。その日を充実させるためには早起きするのが一番手っ取り早い。時間的な余裕は他のあらゆる余裕を生み出す。これはつまり大抵のことは時間を費やすことによって生み出されるからであって、能力や工程もその純真たる資源は時間だ。旅を充実させるにあたって時間はとても大事で、時間に追われないためにも時間は確保しておくに越したことはない。
と言うわけで自転車旅の朝は大抵早くなるのだけれど、身体もまた睡眠と言う時間を欲するわけで、これはこれで無視するわけにはいかない。睡眠不足で旅をしていてはあまりに勿体無い。宿に着いたらご飯を食べてお風呂に入って洗濯をしてもまだ21時だったりする上に、自宅と違って特にやることもなくなるから、いつも旅の夜は22時くらいに就寝する。そして朝は6時に起きる(夏は5時に起きる)。そう言うサイクルだから旅をしていると生活リズムが整って身体的にも精神的にもリセットされる効果があると個人的に思う。調子の悪くなったPCを再起動するように、旅をすることで色んなことをリセット兼アップデートしようとしているのかもしれない。
そんなことを考えながら窓越しに東郷池を眺めていたらようやく血圧が上がって来た。最初は湖と思っていたけれど、どうやら池らしい。北側には日本海と繋がる水路があって、ここはいわゆる汽水域になっているからいろんな魚が釣れる、と昨日の夜にふっくんさんに話を聞いた。宿のすぐ横には大きな駐車場(と言ってもただの砂地の広場のようなもの)があって、端っこはガードレールも何もなしに東郷池に繋がっていた。その池のキワの部分に釣り人の姿が見えた。この辺り一帯の静けさの賜物だろうか、目測30mくらい離れているのにキャスティングする音がはっきりと聞こえて来る。これだけ静かだとこちらが窓を開ける音すらはっきり聞こえただろう。それくらいの静かで、風もなく、そして空はとんでもなく青かった。絶好の自転車旅日和であることは間違いがなかった。
「この日は海鮮グルメを食べよう」
と思ったのはそんな景色を朝から眺めていたかもしれない。無性に魚が食べたい。貝も良い。魚介類だ。小さい頃は魚介類は魚貝類と書くと勘違いしていたことがあったけれど、調べてみるとどうやら魚貝類と言う表記もあるらしい。ややこしい。
この日は東に進むことだけを決めていた。そして良い感じの場所から輪行で帰ることまでは決まっていた。後は未定で、つまりタイムスケジュールと言うものが存在しない。時間をこのように自由に扱うことが出来る状況が大好きだ。癖になる、と言っても良い。頭の中であれこれと妄想する。あるいは全く思考せずにただただ変わりゆく目の前の景色を楽しむ。これが楽しくって旅をしているまである。
この自由奔放さのようなものを支えてくれるのが体力だったり機材だったり知識や経験だったりする。こう言うふうにすれば上手くいくだろうな、と言う経験則のようなものが無計画を形あるものに作り替えて行ってくれる。自宅がある大阪に繋がる公共交通機関は全国どこからでも大体頭に入っているし、地図を見たら何キロ先に何時に着くかもそれなりに正確な数字で予測が出来る。最近流行りのAIはこれを機械的に処理するんだから便利だと思う。そのうち旅の行程なんかも自信の体力や機材なんかに合わせてばっちり提案してくれるサービスが出たりするんじゃないだろうか。私の旅のモチベーション的には、そうなったら自分はデータを提供する側であって享受する側にはあまりなりたくないけれど。
東郷池周辺は自転車でとても走りやすい。車道を走っても良いし、広めの自転車通行可の歩道をゆっくり走っても良い。レースジャージでロードバイク、と言うよりはカジュアル私服でシティサイクルや小径車で走る方が合っている、そんな雰囲気の場所。景色の良い場所がたくさんあるし、道中には無料の足湯施設なんかもあったりして、休憩しながら走るのにこの上ない。
そんな東郷池も程無くして離れていった。向かうは鳥取市内で、海沿いに出るとそこは国道9号線。京都府京都市下京区から山陰経由で山口県下関市へ至る道。距離おおよそ650kmとキャノンボールするにはちょっと長い。中盤の海沿い以外はひたすら山岳、谷間を進む。そういえばまだ単純走破をしたことがない。いつか挑戦してみても良いかもしれない。追い風で。
天気が良いものだから、例の如く、前に進まなかった。景色を眺めていたい。写真を撮りたい。気になる道があったら入ってみたい。そんな調子でゆっくりと進んでいると、海沿いに断崖が見えてきた。いかにも日本海らしい粗々として迫力のある断崖で、道路脇に設置されたサビサビの看板には「夏泊海岸はこちら」と手書きで書かれていた。
どうやら釣りのメッカらしく、車の数も相当だった。その割には釣り人の姿が見える範囲には少なかった。目をやるとこの一帯は岩場がずいぶん遠くまで続いているようで、かなり奥の方にまで釣り人が進出している様子だった。なるほどこれは気持ちが良いだろうな、と思った。と同時に自分にはこの釣りっていうのは性分になかなか合わないな、と言うのも良くわかった。同じ時間を使うなら、あちこちの景色を見にいく旅をしたいのが性分だ。たまに、なら良いかもしれない。やりたいことに対して時間があまりに有限過ぎる
さらに先に進むと長尾鼻灯台と言う灯台がある。実はここを目指していた。灯台がとにかく好きな私は旅の途中で灯台があることが分かるとよほど無理がない限りは必ず訪れるようにしている。灯台の良さについてはここでは語り切ることができないから、別途記事で書いている内容をご覧いただきたい。
ここは残念ながら灯台の足元は行けないようで、門扉越しに眺めることに。
もちろんそれだけでも訪れる価値が灯台にはある。灯台自体もそうだし、そこに至る道の途中やその先で見られる景色が予想もしていない絶景であることが本当に多い。これは経験則的にほぼ間違いないと思っている。
この長尾鼻灯台も例に漏れず、駐車場横の階段を降りて行った先にある景色はまさに絶景。
ゴツゴツした岩場とそこにぶつかる水飛沫、そして遥か遠くまで180度見渡せるパノラマ水平線が広がっていた。こんなところまでわざわざ観光で来る人はほとんどいないんだろう。1時間ほど居ても誰一人として訪れてこなかった。ただ、ここも釣りスポットらしく、ずいぶん下の方には人の影が見えた。
最近の旅の恒例となっているインスタライブをしてから再スタート。降りてきた階段を登る過程が今回の旅で一番体力を使った気がする。
ここから先はひたすら海沿いを走る気持ちの良い道。
アップダウンが多い山陰地方において比較的平坦な区間で、無理さえしなければほぼ体力を使わずに走ることが出来る。そういえば今年は日本海側を堪能することが多い気がする。石川県、新潟県、秋田県、青森県、そして北海道旅で日本海に出た。太平洋側より訪れる回数が多い珍しい年だったと思う。
お昼ご飯は鳥取市内の北部、海辺にある賀露町という場所にある港でいただくことにした。冒頭に記していたように海鮮グルメをいただくのが目的で、ばっちり達成することができた。
やっぱり自転車旅の海鮮グルメと言えば海鮮丼!ネタがとても分厚くって脂が乗っていて食べ応えたっぷりの良き海鮮丼だった。ついでに珍しく猛者海老の天ぷらが食べられると言うことで迷わずに注文。猛者海老なんて食べるの5年ぶりくらいかもしれない。
お昼ご飯を食べた後は鳥取駅までゆったり走る。そう、駅まで。ここでゴールとすることにした。岡山駅から始まる今回の自転車旅のゴール地点として相応しいだろう、と思った。知っている土地でありながら知らない景色がたくさんあった。収穫しかない。今回もこれ以上は望まない旅だった。望郷の念の如く懐かしい思い出に浸ることも出来た。
次はどこへ行こうか。
終わり。
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