【RIDEAIDinSAKAMOTO】八代海-日奈久温泉-ヒルクライム【熊本-球磨川】

神楽坂つむり

RIDEAID, 九州, イベント, 自転車, 写真,
九州は熊本県、八代市に至る急流-球磨川。

かつての豪雨災害の記録を辿る旅路。

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今なお大きな傷跡を残しつつも、変わらずにそこにあり続ける美しい自然と、変わりゆく人々の生活を垣間見る旅路でした。

前日のお宿が予想以上に快適でぐっすりと眠ることができた。
良かった。
想定以上に走り回ることになった熊本旅初日。
疲れを持ち越すわけにはいかなかったから、とても助かった!

前日旅の様子はこちら

お宿の様子はこちら

実はこの前日旅から強く感じていたのが、熊本県の川の多さと美しさ。
本当に色んなところに川が流れていて、そのどれもが清流。
思えば私が大好きなエリアである阿蘇にしたって湧水がたくさんあって、美味しい水をたくさん飲むことができたし、それが生活に根付いているのも見てきた。

その裏返しが治水の大変さなんだろう。
実際に前日の旅の中でもその治水のために先人たちがどのような苦労をしてきたのかを垣間見た。
生きていく上で水は必要だけれど、その水が時には災害となる。
これはもう人類史において世界中至る所で起こっている問題で、思えば工業にしたって農業にしたって辿っていけばつまるところ自然との戦いなのだーーーと思い至る。

そう言うことを題材にした文学や映画も結構多くって、たとえばジブリ作品なんかを見ていると分かりやすい。自然と人との調和や対立。この日の朝、前日の旅のことを振り返しながら、そんなことをぐるぐると考えていた。

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この日も快晴!

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新八代駅に向かうと他の参加者の方々がいらっしゃった。

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#papicross

ライドエイドは「サイクリストによる新しい復興支援のカタチ」

RIDE AID project 「サイクリストによる自然災害に対する復興支援プラジェクト」 と言う説明にある通り、サイクリストだからこそできる復興支援の一つの形のイベント。 復興支援と言うとなんだか大仰なように聞こえるかもだけれど、その手法は至ってシンプル。  実際にその土地を走り、その土地のことを知り、その土地に興味を持つこと。  ただそれだけで良い。つまり誤解を恐れずに言うと「サイクリングしに行く」だとか「旅先に選ぶ」くらいのテンションで良い。そうすることでその土地に対する理解度が高まり興味が湧いて人が動く、情報が伝達する、経済が動く。経済支援や復興とはつまりこのような営みに先にあると、私は過去のRIDE AIDのイベントやライフワークと言っても良い自転車旅を通じて感じた。正解かどうかは分からないけれど、私自身はそう考えるし、あながち間違っていないと思ってる。



他の参加者の方と交流しながらまず向かうは八代の海と日奈久温泉街。
どちらもゆっくりと巡ったことはないから楽しみだった。

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普段会うことがない人たちと交流する時間。
一人旅も良いけれど、たまにはこうして誰かと走ると、すごく良い刺激になる。

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日差しが刺さる。
この日も暑くなりそうだった。

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国道を走り大きな橋を渡る。

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日本三急流-球磨川。

日本三急流とは熊本県の球磨川、静岡県の富士川、山形県の最上川を示す。
急流になる条件は色々あるけれど、例えば地層だったり地形によるところが多い。
ある一定の層までは柔らかい土壌だけれど、底部には固い地盤があって水が急に流れやすくなっているだとか、支流がとにかく多くて大雨が一気に降ると流水量がとたんに増えて流れが早くなるだとか。今回の球磨川はどちらかというと後者で、令和二年の豪雨災害では、信じられないほどの水量が坂本町を中心に流れ込んで甚大な被害を出した。

(余談だけれど日本三急流の覚え方は「ふじみのくまさんもがいてる」)

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イベントの主宰であるPAPICROSS代表の牧瀬さんから球磨川についての話を伺う。


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熊本県は面白い橋がたくさんあって橋好きにはたまらないエリアだったりする。
前日の御船川沿いは石造りアーチ橋がとにかくたくさんあって一日中テンション上がりっぱなしだった。
構造学的にもとても奥深いのが橋梁建築物。
どうしてここに橋が必要だったのかを考えたり、
斜張橋やトラス橋や架け橋の違い、それぞれを採用した理由、工法、材料のバリエーションや特徴、歴史的背景や関わった団体や人を調べていると色んなことが見えてくる。
全国を旅していると日本は橋大国だとつくづく実感する。そしていちいち橋に気を止めている人なんてほとんどいないことにも。
橋の世界に興味がある人は是非この本を読んでみてほしい。



球磨川沿いを走っていくとやがて海に出る。
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八代の海!

八代海(やつしろかい)は、九州本土と天草諸島に囲まれた内海。北は有明海、南は東シナ海につながっており、熊本県と鹿児島県にまたがる。旧暦の8月1日の深夜に海上に現れる不知火から不知火海(しらぬいかい)とも呼ばれる。古くは伊勢の海とも呼ばれていた。遠浅の海であることから古くから干拓が行われており、元来島であったものが地続きになった地形も珍しくない。 総面積1,200平方キロメートル、閉鎖度指数32.5であり、日本の1,000平方キロメートル以上の内湾では最も閉鎖性の高い海域である。 この閉鎖性に目をつけた海運会社は台風などの海上荒天時の避難先としてこの海域を使用することもある。(wikipedia参考)


島々に囲まれているだけあってとても穏やかで風光明媚な場所'`,、('∀`) '`,、
球磨川からこんなに近く加工口も広いのに川が氾濫するなんて・・・と最初は不思議だったけれど、上流に行くとその疑問も解決することとなる。

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球磨川と八代海周辺はとても走りやすくてサイクリングにはなかなか良い環境だと思った。
海の穏やかさはどこか瀬戸内海を感じさせるものがあるし、とても綺麗で長閑だ。
もう少し南へ行くと芦北町がありそこは「放課後ていぼう日誌」の聖地でもある。

絵柄が好きで読み始めてからストーリーも描写も良くってずっと読んでいたらいつの間にかアニメ化していてビックリしたしOPでいきなり知っている風景が出てきてもっとビックリした。釣り好きにもそうじゃない人にもおすすめ!




そしてそのまま至るは日奈久温泉。

熊本県で600年の歴史を誇る温泉街で、泉源が16残っているのだとか。ただしその深さは100mよりも浅く、湯量が豊富で温泉宿のほとんどが「かけ流し」と言う贅沢な温泉街。良い言い方をすればとてもレトロであり、悪い言い方をすれば寂れゆく温泉街、と最初は思ったけれど、実は前日にここを訪れて温泉を堪能した。その時に改めて「ああ、良いところだなあ」と思った。ただ古いだけじゃなくって、良いものが残った故の古さと言うか、迫力や荘厳さがあるレトロ感が残る街並みと建物。ただただ温泉好きじゃなくどこか歴史を感じるものが好きな人には是非おすすめしたい温泉街だと思う。

そんな温泉街の名物は「日奈久ちくわ」
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熊本県名産品の一つであるちくわ。明治〜昭和にかけて発展した歴史ある温泉街で生まれたこのちくわは今でも贈答品やお土産に大人気なのだとか。
出来立てのちくわを軒先でいただく。

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サイクリングの補給食になかなか良い!'`,、('∀`) '`,、
食べやすくて低脂質でカロリーも摂取できる。
何よりあっさりしていて美味しい。食べやすい。

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すごい量のちくわがどんどん作られていっていた。

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日奈久温泉はとてもコンパクトで歩いて散策しても1時間あれば隅々まで回ることができる。
お昼頃に到着して早めに宿にチェックインをしてお湯巡りをして丸々1日半を温泉街でゆっくり過ごす、なんて過ごし方にぴったりの街。

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そんな日奈久温泉を後にして向かうはヒルクライム。
坂本町へ抜ける山道が一本通っていて、最短ルートかつ山越えルート。

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結構パンチが効いていて、だけど幻想的で、そして涼しかった。
距離は2.5km程度で標高差は230m程度だったと思う。
日奈久温泉側は少し荒れていたから、登るならこっちからの方が良さそう。
車の交通量はほぼゼロで、自転車でゆっくり登る分にはとても良いと思う。
攻めたらかなり堪えそうだ。

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道中には湧水が出ていて水分補給をすることができる。
とても冷たく、とても美味しい。
熊本県は本当に水の宝庫だ。

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それぞれのペースで楽しみながらのヒルクライム。


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そしてヒルクライムを終えた後は坂本町へ一気にダウンヒル。

この日の朝に見た、球磨川の上流に移動してきたことになる。

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少し雲が多くなってきたおかげで涼しかった。

それ以上になんだか空気が違う。
八代市内からそう遠く離れていないはずなのに、とても山深く、静謐な空気が流れていた。
なるほど、これが清流球磨川。
この雰囲気は静岡県や和歌山県、高知県の清流にとても似ている。

けれど川沿いを走っていると、色んなところに違和感を感じた

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堤防がない。
護岸設備がない。
いや、ないというか「無くなっている」
建物の一階部分が文字通り「無い」
柱だけが残っていて、内部が一方向に向かって根こそぎ持っていかれたような痕だけが残っていた。
建物の2階と思われる部分の壁には横方向に何か「水のシミ」のようなものが滲んでいる。

そんな違和感がたくさんあった。

そして目に見えて分かりやすかったのが、かつての肥薩線が走っていた線路痕。

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完全に崩れていた。

これが延々と続く。

昔話じゃなくって令和になってからの話。令和2年7月の豪雨災害の被害。
橋梁は流されて、川沿いの道路も至る所が抉り取られ、かろうじて線路が残っているのはまだマシだったのかもしれない。今私たちがいる道路も全て水に浸かっていた。濁流の中だった。ちょっと信じられないけれど、さっきの写真を見返してみると

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当時の豪雨災害では、この川が氾濫。
この写真の左手に写っている道路は完全に水没。
線路も水の中で、最も高い場所では電信柱の地面から3m程度の高さまで水が溢れたとのこと。

この写真で見えている川の高さが、左手に写っている電信柱の半分くらいの場所まで上がって来たのだとか。ちょっと想像できない。

想像できないけれど、それを実感することができる一つがこの肥薩線の痕。
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どうなるんだろうか。ここにはかつてSL人吉が走っていた。ほんの2年前の話。
今は鉄道の一部は線路が撤去されて復興災害用の仮設道路になっている場所もあった。
復興するにしても相当な時間を要するはず。
未だに家がない人もいる。
これを機にこの土地を去った人達もいる。

けれど戻ってきている人もいて、ここで踏ん張って生活して経済を回している人たちも確かにいた。
ありがたいことに今回は特別に、当時の豪雨災害を体験し、乗り越えて、今でも逞しく生活している方々の話を聞くことができた。

訪れたのは球磨川のすぐ横に位置する老舗旅館。
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球磨川温泉 鶴之湯旅館。




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この建物がまた凄まじい。

昭和二十九年に創業した地上三階地下一階の総木造三階建ての旅館です。 現在、国有形文化財登録の準備を進めています。 令和二年熊本豪雨災害で被災しましたが、 全国の支援者の方々のご協力を受けて令和三年十一月に一部再開。 災害の教訓を活かすべく「電気で備える新しい木造旅館」をコンセプトに、 太陽光発電・電気自動車などを取り入れ、 災害に強い地域の拠点として生まれ変わろうとしています。
(公式ホームページより引用)

「地上三階地下一階の総木造三階建ての旅館!??」

驚いた。
今もうこんな建物作ることができない。
早速、建物の中を見学させていただけることに。

後半へ続く。

  
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