【北海道】最北限の花の浮島 礼文島でキャンプ&トレッキング してきた話【澄海岬、スコトン岬】

神楽坂つむり

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利尻島での登山を終えて大満足。

だったけれど折角ここまで来たんだから、セットで巡っておきたい「礼文島」にも行ってきました。

色々と大変なこともあったけれど、全部ひっくるめて間違いなく「行って良かった」と振り返る。

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最北限の美しい島の様子をダイジェストでお送りします。


前回の記事はこちら


「計算外だーーー。」

真っ暗だった。フェリーターミナルのある香深港から緑が丘公園のキャンプ場まで1時間以上歩かないといけなかった。距離にして6km程度。普段ならなんてことない距離だけれど、朝の3時から10時間かけて利尻山登山をしてテントを撤収してキャンプ装備を担いでフェリーでここ礼文島までやって来て・・・。幸いにも温泉に入ることができた。なんとかご飯も食べることができた。だけど頼みのタクシーが確保できなかった。離島ゆえの夜の早さ。サービス終了はフェリー最終便が到着したあのタイミングだったんだ。

真っ暗な、潮を大量に含んだ風を浴びながら、キャンプ装備がモリモリのザックを担いで海沿いの道を二人で歩いた。一体こんな北限の島で、こんな時間に、満身創痍になりながら何をしているんだろうか。思わず自問自答せずにはいられなかった。

「早くテントを張って寝たい。」

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その一心で海沿いの道を歩き続けた。

キャンプ場に着いた時には21時を回っていた。テントを張ってすぐに寝ても22時とかそんな時間。
もうクタクタだったけれど、幸いにキャンプ場ではちょっとしたウエルカム感のあるおもてなしというか、受付をしていただくことができた。てっきりもうとっくに管理人さんもいらっしゃらないと思ったら、なんと受付横で管理人さん含めて地元の人と思わしき人たちが宴会をしていた。とても楽しそうだ。

「あの、すみません、こんな時間からですけれど、テント張れますか?」
「え!いいけど、歩いてきたの!?港から!?」
「呼んでくれたら車で迎えに行ったのに〜〜〜〜」
「あんたお酒飲んでるでしょ」
「まぁまぁ・・・とにかく受付ね。こっちでするよ」

疲労困憊だったけれどなんだか元気が出た。
考えたら疲れてるものの、別に絶望的な時間でもない。
いただいた元気を使って素早くテントを設営して歯を磨いて着替えて寝袋に入った。
22時半くらいだったと思う。朝の3時から振り返るととんでもなく濃厚な1日を過ごしたと思う。
これ以上望めないってくらいに。とても良い1日だった。

そんな振り返りをする間も無く眠りについた。


霧の島、花の浮島、礼文島

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目が覚めた。テント泊も続けば流石に知らない天井とは言えなくなる。
この日は礼文島を堪能すると決めていた。今日またこのテントに戻ってきて同じように寝る。
だからテントはそのままに最低限の装備だけ持って、トレッキングコースに向かうことにした。

礼文島では有名なトレッキングコースだ。
知床から桃岩を目指す。天候と体力次第では8時間コースもあり得る。
一応、どういうふうにも対応できる装備を整えてバスに乗り込んで知床から歩き出すことに。
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諸説あるけれど、知床とはアイヌ語で「シレトク」Sir-etokで大地の先や突端を意味するらしい。
だからいわゆる知床半島ではなくここ礼文島にもそういう地名の場所があるんだろうか。
最果てや北限という意味ではこの島は十分に名乗る権利がある場所だと思う。

さて、礼文島は別名「花の浮島」と呼ばれるくらいに多種多様な植物が楽しめる島。
利尻登山よりも礼文島のトレッキングコースの方がメジャーで人気があるんじゃないだろうか。
体力的にもハードルは低いし、装備もハイキング程度のものがあれば十分。
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よく整備されていることに驚いた。

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あいにくトレッキングコースを歩いているときはずっと深い霧に覆われていたけれど、これはこれでとても良い雰囲気だった。良い天気とは晴れだけを指すものではないと改めて思う。


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今回の灯台ハントとなるのはこちらの元地灯台。

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旧文字表記。良い。

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塔高は9.3メートル、灯高はかなり高めの211メートル。初点灯は昭和29年6月。礼文島沖を行き交う船の安全を見守ってきた。

この辺りからはずっと海沿いのトレッキングコースで、(晴れていれば)青い海と青い空、緑と花の絶景を見ることができる。

実際に花の多さはものすごかった。物語の世界に迷い込んだような世界観だった。
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桃台まで来たものの天候が回復する気配はなかった。
ここで少し考えたけれど、これ以上このまま歩いても景色に変化がなさそうだったから、ささっと下山することにした。ここから香深港フェリーターミナルまでは降って行けば1時間弱で帰ることができる。

昨日は思うように晩御飯が食べられなかった香深の街。
この日の昼も団体客の影響もあってなかなかありつけなかってちょっと焦ったけれど、何軒か巡って結局フェリーターミナル2階にある「武ちゃん寿司」でランチをいただくことに。ここにしたって団体客がいて少し待ったけれど、結果としては良いタイミングで入店、食事をすることができた。

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どーーーーん!
礼文島に来たんだから!うにいくらは食べなきゃ!

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さらにキングオブウニのバフンウニの握り。
食べ比べするとよく分かる違い。風味、食感、味のコクが全然違う。どっちが美味しいっていう比較は難しくってどっちも違う美味しさがあると思う。ウニの本場である礼文島でウニを食べたという事実だけでも美味しさ何十倍にも膨れ上がるというもの。



さらに動き出す旅

礼文島は南北で天気が違うらしい。
南はダメでも北は晴れているかもしれない。
あくまで可能性の話だし、今実際に晴れているかどうか、調べる手段もなかなかない。

ここから現地情報収集の鬼と化す。
あらゆる手段を使って情報を集めて次の行動に繋げる。
現状を打開するには最終的には足と頭を使うしかない。

礼文島の北へ行く、そして夜にはちゃんと帰ってこられるあらゆる可能性を洗い出して、総当たり的に確認や質問を繰り返す。

フェリーターミナル近くのレンタルバイクの人に声をかける。
北部の電話がつながりそうな施設に電話をして今の天気を聞いてみる。
路線バスのダイヤを調べて往復で現実的な時間が確保できるか調べてみる。
タクシー料金をチェックする。
レンタル自転車でも行けないかどうか、行けるとして今の体力で大丈夫かどうかをシミュレーションする。
レンタカーをしている施設に飛び込んでみる。

この最後のレンタカーの施設でようやく糸口が見えた。

「ちょっと時間が余っていて・・・せっかくなんで島の北の方に行きたいんですけれど、レンタカーって空いてないですか?」
「えーっと、今全部埋まっちゃってるねぇ。」
「そうですか・・・スコトン岬とかあっちの方に行ってみたいんですけど難しいですかね」
「そうだねぇ、観光バスだったら1時間後くらいに行って巡って帰って来られると思うけれど」
「!?なんですかそれ!?」

どうやら詳しく話を聞くと路線バス以外に観光バスと言うものが走っているらしい。
これは盲点だった。礼文島、バスで調べても出て来ない情報だった。
礼文島北部の二代巨頭であるスコトン岬と澄海岬を観光バスで巡ってくれるのだとか。

まじか、そんなのがあったのか。

時間を調べてみると都合の良い時間にスタートをして、帰りにしても香深港に帰ってきてから、さらに路線バスでキャンプ場まで戻ることができる。キャンプ場にさえ戻ればキャンプ場にある自転車をレンタルしてお風呂や買い出しに行くこともできる・・・。

けど、行ったところで曇ってるかもしれない。
午前中みたいに霧の中で岬を眺めることになるかもしれない。
だからと言ってこのままここに居ても前に進まないんだったら

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行くしかない!

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観光バスで!

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礼文島の北に!


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晴れてきたやん。


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午前中と景色違いすぎるでしょ。


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大勝利!!


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やってきました澄海岬。

これでなんと「スカイ岬」と呼ぶらしい。

澄んだ海の岬でスカイ岬。なかなかのキラキラネームだけれど、実際に見える景色がキラキラしてるから許す。

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ここにきて礼文島の景色のダイナミックさに感動した。

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澄海岬は北海道、もとい日本全国でもトップクラスの透明度と美しさを誇る岬なのだとか。アクセスが文字通り大変でなかなか辿り着けないけれど、なるほどこの景色が見られるならわざわざやって来る価値があるんだと思った。断崖絶壁の仰々しい崖と侵食と隆起の様子が目に見えてわかる柱状節理や断崖の様子を見ていると悠久の時を感じることができる。そんな場所で、さらにこの青空も相まって、もう一気にテンションが上がってしまった。

それにしても島の南と北で本当にここまで天気が変わるだなんて。
辿り着いた唯一の手段で、思い切って移動してきた良かった。


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スケール感が凄すぎてサイズ感が写真では伝えにくい。

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北海道礼文島の真髄を見た気がする。


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こんな景色がひたすら続いていて、絶景酔いをしそうなくらいだった。
天気もこれ以上ないくらいの空の青さ。

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望遠域のトリミングでも破綻しない描写力のLレンズに感謝。

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曇り空も忘れ去る礼文ブルーに大満足。



スコトン岬へ

さらにここから向かうはスコトン岬。
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道中の景色のダイナミックさにも終始感動していた。
こういうなんてことない道にもいちいち感動するんだから安上がりだなぁと思う'`,、('∀`) '`,、

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北海道、最北限の地、スコトン岬。
この先には樺太半島。そしてロシアが。
えらいところまで来てしまった。



沖合のトド島を眺める。
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トドは見えなかった。



長い旅の終わりへ

無事に礼文島で素晴らしい景色を見ることが出来、大満足な状態で再びバス、徒歩、バス、徒歩でキャンプ場へ帰還。
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レンタサイクルを借りて再びフェリーターミナル近くの温泉で汗を流して、島唯一のコンビニであるセイコーマートで買い出しをして、最後の夜を過ごした。

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いろんなことを話した。どう考えてもプライスレスな時間だった。
旅をして経験しないと得られないことがたくさんあることを改めて実感した。
右も左も分からないまま、辛いことがたくさんありながらも前に進んでいたあの頃の旅を思い出した。
完璧なんてないし、理想もない。ただただ旅をすることに憧れを抱いて、格好悪いながらも前に進んでいた。そんなもんだ。そんなもんで良い。十分に上出来だ。


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朝起きた時にはとてもすっきりとしていた。テント生活も今日で終了。

日常へ戻る。

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戻るにしたって一筋縄では行かないのが礼文島。

徒歩、バス、フェリー、タクシー、飛行機、そして最後は電車と家に帰るまであらゆる手段を使って身体を移動させた。
旅をしているとたまに陥る。自意識と身体は完全に分離していて、この身体と言う便利で不便な容器を動かすためにあれこれ工面しているに過ぎないのだと。

実際に訪れてみると、だけど利尻島も礼文島も、決して遠すぎることはないと思った。
ANAであれば新千歳空港から直行便が出ている訳だし。最低限の乗り継ぎでアクセスできる。
もちろん現地のフェリーやバス、宿泊、移動諸々については調べておく必要はあるけれど。

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こうして私たちの冒険は終わった。

ずっと憧れていた場所へこうして旅が出来たのは本当に良かった。

大満足。
次、訪れるとしたらいつになるだろうか。
人生でそう何度も訪れる場所じゃない。
そのいつかをまた楽しみに、懲りずにまたいろんな旅をしてみようと思う。

終わり。

   
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