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【東北自転車旅day05】追憶の仙台旅【仙台港〜松島〜塩竈〜荒浜〜仙台空港】

神楽坂つむり

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知らない天井だ。

明らかにけれど……いつもと違う。

ベッド越しに伝わってくる重低音。
何度も体験しているとなんだかクセになってくる大型フェリー特有の唸り。

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グッドモーニング太平洋!
長い長い東北自転車旅もいよいよ最終日。
iPhoneの画面にはJALのチケットリマインダーが表示されていた。仙台空港から伊丹空港行きのチケットを確保していた。今日中には大阪の自宅まで帰ることになる。画面を見ていると急に実感が湧いてきた。ついに旅が終わる。良い旅だった……

と、なんだか感慨深いものがあったけれど、まだまだ時間はある。苫小牧を出港した太平洋フェリーが仙台港に到着するのは10時頃。せっかくだ。最後まで楽しもう。行き先は目が覚めてフェリーが着岸するまでの間に考えた。候補は5つくらいあったけれど、天気予報や混雑状況を調べて最終的に2つに絞り込んで頭の中でルートを組み立てた。

まずは松島に向かうことにした。
松島と言えば天橋立、宮島に並んで日本三景に挙げられる風光明媚な場所。
この3つが日本三景として親しまれていることからもやっぱり日本人は海が好きなんだなぁと実感する。島国だものね。

仙台港から松島までは1時間かからないくらいの距離。
結構狭い海沿いの国道を走る。帰りもここ通るのは嫌だし別ルート、内陸側から走って仙台市内を抜けて行こうかな、と考えながら走っていたけれど、結局これは予想外のフェリールートがあることが分かって杞憂に終わるのだけれど。

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海沿い道でありながら山を縫うようにして走るから時折こうしてトンネルが出てくる。歩行者自転車専用のトンネルがあると嬉しくなる!

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仙石線、陸前浜田駅にて。駅横のこういう街を俯瞰できる大きな地図を眺めるのが好き。たいてい、こういうところに書いてあるのと同じくらいの密度や粒度の情報ってインターネット上にも存在していなくって、ローカルならではの未知のことが書いてあったりして面白い。

程なくすると松島の風景が見えてきた。
実は過去にも通過したことがあったけれどその時は生憎の曇り空で、しかも無駄に急いでいたからあっさり通過してしまっていた。だからわざわざこうして再訪したまであるのだけれど、ようやくゆっくりと松島を堪能することができる機会が来て嬉しい限り。
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この日は気温も天気もちょうど良く、快適そのものだった。と言いたいところだけれど、最後の最後の20kmで風に翻弄されることになるとはこの時は思ってもいなかった。

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松島と言えば松尾芭蕉や伊達政宗公だろうか。

松島や、ああ松島や、松島やーーー

確かにそう謳いたくなるような長閑さと雄大さがあった。
多島海と言えば瀬戸内海だけれど、比べてみると全然違う。
瀬戸内海はどこまでも穏やかだけれど、ここ松島は少し……荒々しさのようなものがほんの少し垣間見られる。それは岩の形だったり、島の形だったり、潮流だったり。岩肌が露出した小島が無数に存在している風景は日本国内でもそうそうない。

東北自転車旅最終日にして仙台までやって来た私。
せっかくだから最後はたらふくグルメを堪能しよう!
と言うことでTwitterの皆さんに聞いてみると出るわ出るわおすすめのお店'`,、('∀`) '`,、
普段の私なら胃が一つじゃ足りない!ってなるけれど旅も5日目ともなればもはや毎日がチートデイ。
食べなきゃ動けない。と言うことでこの日はひたすら食べていた気がする。

それこそ
・牡蠣カレーパン
・牡蠣フライ
・ずんだ餅
・みたらし団子
・穴子寿司
・牛タン弁当
・ずんだ餅パフェ
などなど。

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どれもこれも大変美味でした。

そういえばコロナ禍になって3年経つけれど、ここに来てようやくかつての姿が戻りつつあるな、と言うのが今回の旅の印象だった。もちろん全く元通りとは言えずまだまだ油断は出来ないけど、明らかに1年前とは違う。人の活気が感じられる。観光地はちゃんと観光地の雰囲気になりつつあった。隅々まで行き渡るのはまだ時間がかかってまずは有名どころから復活していくんだと思う。旅人的には空いている方が当然嬉しいのだけれど、観光地ならではの活気と言うのも空いている事の有り難さを実感させてくれるための必要条件だったりするもので、年がら年中閑散としているとそれはそれで寂しさを感じたりする。

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久しぶりに活気を感じた旅。

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この一枚だけでも瀬戸内海との違いを感じる。比べるまでもなく、どちらも美しい。


さて、松島を一通り堪能した後は先述した通り海沿いとは違うルートで戻るか〜と思っていたのだけれど、
「まだ時間あるしせっかくだし遊覧船でも乗って行こう!」
と思ってフェリー乗り場に向かうとなんと塩竈市まで遊覧しながら移動できるフェリーがあると言うことで迷わず乗船。

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他の遊覧船が「同じ場所に戻ってくる」遊覧船に対して
この遊覧船は「松島⇄塩釜」を片道で移動しながら遊覧してくれる。
自転車旅人的には嬉しいのだけれど、ここ松島に来る大半の観光客は車だからだろうか、利用客はなんと私一人だった。(゚´^ω^`゚)。゚確かに普通の旅行だったら違うところへ連れていかれると困ると言えば困る話。旅行と旅。移動を主とする旅との大きな違いがこの辺りにあるなぁと感じる。

と言うわけで、他の遊覧船は結構な人数が乗っていたのに、この船だけ貸切状態で嬉しい半分申し訳ない半分。(゚´^ω^`゚)。゚

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あと結構びっくりしたのが自転車料金がかからないという点。
港のチケット売り場でスタッフさんと話をしていてびっくりした。たいてい少なからず(数百円とか)料金がかかるものだけれど。旅客料金だけで船旅を楽しむことができた。

これがまた素晴らしい船旅体験。先述したように遊覧船と言うことで、航路に合わせて自動で音声アナウンスがされるのだけれど、何も知らない観光客にピッタリ。特にこの松島は船の上からしか見られない島がものっっっすごいたくさんあるのだけれど、特徴ある島の一つ一つをうんちくこみで紹介してくれる。島自体の特徴だけじゃなく、それぞれの名前と謂れや、歴史の変遷なんかも。特に東日本大震災の影響であそこのあの部分が欠けて〜〜〜みたいな解説なんかは実物が目の前にあるものだから説得力がすごかった。これだけで十分に乗船する価値があると思った。そしてこれはこの航路、つまり片道ルートだからこそ見られる景色ということで、この時の私にとっては移動をしつつ、休憩をして、松島の解説を聞いて、さらに自転車料金は無料…ということでまさに願ったり叶ったりだった。


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船の上からの景色はやっぱり格別。
当初の予定になかった海からの宮城郡〜塩竈市の景色も見られて大満足だった。

塩竈市からは仙台空港方面に向かって道中寄り道をしながらゆったりと走ることに。

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何気ない街中の歩道橋に、津波浸水区間の表示がされていた。
さっきの遊覧船もそうだったけれど、ここは被災地なのだ、と言うことを色んなところから感じる。

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フォロワーさんからおすすめしてもらったつつみ屋さんでお団子を買ったり

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牛タン弁当を食べたり

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日本一標高の低い山で登山したり




そして今回の旅の最後の立ち寄りどころ。
ここは必ず行こうと決めていた場所に到着。

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震災遺構 仙台市立荒浜小学校。



東日本大震災の被災地の一つ。
当時の被害、津波の威力とその爪痕をこれでもかと言うくらいにリアルに残し、伝えてくれる場所。
多く解説することなかれ、写真から少しでも何かが伝われば幸い。

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最初は立ち寄ろうか実は迷っていた。楽しい自転車旅のまま終わってもいいじゃないか、と。過去にこういう場所を訪れると結構それなりに精神的ダメージみたいなのがあったりしたから。けど結果としては訪れて良かったと思う。何故なら私にとって旅はこう言うことも含めてその土地の文化とか歴史とか出来事に興味を持って触れたり感じたり考えたりすることに他ならないからだった。だからこうして東北の、宮城県を走るならば!ちゃんと向き合わなきゃという気持ちになった。

実際にいざ訪れてみると自然と涙が溢れるような資料もたくさんあったけれど、一方で当時のことをここまで鮮明に残して後世に伝えようとするその姿勢には真摯に向き合わねば、と言う気持ちにもなった。いつ、どんなタイミングで、天災に遭うか分からない。小学校を後にしたときにも「もし今、30分後に津波が来ることが分かったらどうしたら良いか?」と考えながら走ったりもした。もちろん旅の最中とかいう特殊な状況じゃなくて日常生活において被災する確率の方がずっと高い。日頃の備えは十分か?経験はなくとも知識でカバーできる部分があるが、自分はしっかりとその知識を身に付けているか?色々と考えることがある。その機会を与えてくれた。だから、と言うわけじゃないけれど、そう言う気づきを得られたと言うことも含めて訪れて良かったと思う。

色々と頭の中でぐるぐるしつつも、区切りをつけてこの5日間の旅路の終わり、仙台空港までの最後の道のりを走ることに。

この辺りは海辺の貞山運河沿いにサイクリングロードが復興整備されていて、とても走りやすい。
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かつて壊滅的被害を受けた場所に通されたサイクリングルート。
辺り一面の何も無さが何が起こったかを物語っていた。
ここから仙台空港まではひたすら平坦路で快走快走!の予定だったのだけれど、ここで今回の旅最大の逆風に見舞われて本当に参った((´゜ω。`))ブルブルッ
それこそちょっとした台風なんじゃないかってくらいの、斜め前方向からの暴風。
せめて真正面からの逆風なら踏めばいいだけなんだけれど、横方向に突然殴られたような風が吹くものだから精神がすり減って仕方ない。車道を走るなんてもってのほか。歩道を走っていても風に煽られて田んぼに突っ込むかあるいは車道側にダイブしそうな勢いでもうやめてくれ〜〜〜!と思いながら最後の15kmを振り絞って無事に仙台空港にゴール!

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最後の最後に変ないちゃもんを付けられた気分だったけれど、輪行をして自転車を預けて空港内のレストランでご当地パフェを食べている頃にはすっかり充実感と達成感に満ち満ちていて、これ以上ないってくらいの幸せな気持ちだった。

今回の東北自転車旅はここ最近の私の旅の中でも、相当中身が、密度が濃いものになったと思う。
それは単純な日数の長さ以上に、土地土地によって異なる目の前に広がる景色が触れる文化、口にするもの耳にするもの、自然の表情や移り変わり、その全てが印象的だったから。

きっと長い先まで忘れることがない旅路になったと思う。

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そんなことを思いながら、飛行機の窓越しに離れていく東北の地と空を眺めていた。

いつかまた訪れてみようと思う。




旅のまとめ




ネタ的に。備忘録として。









    

 
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