【登山第22回】日本一標高が低い山「日和山」に登ってきた【3,000mm級-宮城県】
登山, 東北, アウトドア,
どんな分野でも「一番」は価値がある。


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二番とは知名度が雲泥の差だ。例え僅差でも一番の価値はその差以上であることは間違いない。日本一の長さの川、広い湖、高い建物、人口の多い都道府県、大きな都道府県、売れているスマホ、販売台数一位の車メーカー……この辺りはパッと答えられても「では二位は?」と聞かれると途端に分からなくなる。
そんな一番の価値を説明するときによく用いられるのが山の標高。
もはや使われすぎて、一位の富士山(3,776m)はもちろんだけど、なんだかんだ二位が北岳(3,193m)であることも結構知られてきている気がする。ちなみに三位は間ノ岳(3,190m)と奥穂高岳(3,190m)の二つの山ということを知っている人は意外と少ない。(2022年現在)←わざわざこう書いたのは山は毎年隆起と沈下をしていて、数年毎に山の標高ランキングは入れ替わるため。
そして一番とは最も上、と言う意味だけに使われる言葉ではない。
最も下にも一番は存在します。
「日本で最も低い山はどこか?」
その答えが今回登ってきた日和山。
日和山の場所
日和山は宮城県の仙台市の海沿いにあります。
「え、山なのに海沿い?」と思われるかもしれない。私もびっくりした。向かっている道が完全に海水浴に向かうノリだった。
最寄の駅は仙石線の陸前高砂駅でおおよそ5kmと歩くと1時間程度。
アプローチの道は特に景色が良いという訳ではないけれど、臨海沿いの工場地帯のなんてことない景色が好きな人なら歩いてみてもいいかも。かなり大きめの駐車場がすぐ横にあったから車やバイクで来る分には問題なしです。
東北地方の海の玄関口である仙台港からも近いので、旅の道中、ちょっとしたネタ的に立ち寄ってみてもいいかも。
ちなみに日和山がある地域一帯は蒲生干潟いう干潟地区であり、鳥獣保護区特別保護区に指定されている自然豊かな場所。渡鳥や干潟の海洋生物がたくさんいた……のはかつての話であり、かつてというのはつまり震災以前の話。東日本大震災の津波によって壊滅的な被害を被り、市民の憩いの場は消失。その後も徐々に自然は回復していったものの、堤防を強化するための大規模復旧工事や臨海地域の開発によってかつての姿とは程遠くなったのだとか。
それでも少しずつ生態系は回復しているようで、私が訪れた時もたくさんの野鳥が飛び交い、釣りをしている人や貝や蟹を観察している子供たちがいました。
標高3,000mm級の山
日和山の標高はなんと3m。3000mでも300mでも30mでもなく「3m」
mm換算してようやく3000mmなのだからその低さたるやまさに日本一。
それでは早速登ってみましょう。
登山口に張り付きました。
もうこの時点で色々とツッコミどころ満載ですが、とりあえず自転車を降りて登山の準備(カメラを構える)をします。
立派な石碑と看板が建てられています。登山者に優しい設計です。
右下に「日和山9合目」の文字が見えます。まだ登ってないんだが????
登山口です。
後ろに山頂が見えている気がしますが、とにかくここが登山口です。
目線の高さから写真を撮るとこんな感じです。
おおよそ階段5段分であることが分かります。距離は5mほどで標高差は80cm程度でしょうか。
薄目で見ると3000m級に見えないこともない。
さて、写真撮影も終えたので登ります。
登頂完了!!
……なんだろう、このなんとも言えない達成感。
わざわざ宮城県のこんなところまで来て私は何をやっているんだろう……
いやまぁ周りの景色は美しいし、海は綺麗し、風はめちゃくちゃ強いけれど(本気でアルプスに負けないレベルで強風だった)登山……とは……??
兎にも角にも登ったことは事実です。
これで私の登山リストに日和山が追記されました。
圧倒的違和感。
さて、登ったら当然下ります。
登山中の事故のほとんどは下山中に起こると聞きます。
慎重に行きましょう。
ちゃんと反対側に下山口がありました。
「通り抜け」ができる登山ルートって結構貴重です。
ちなみにその先には先述した干潟と堤防の先には太平洋が。
東日本大震災で津波の被害をモロに受けた場所です。
実はこの被害があったからこそ、ここ日和山は日本一になりました。
登山口の看板には日和山の経緯が書かれていました。

多くの人がここまで読んで「あれ、日本一低い山って大阪の天保山じゃなかったっけ?」と思われているかも。例に漏れず私もそうでしたが、どうやらここ日和山に津波が直撃したことで山体が崩れて標高が低くなったことにより、天保山(4.53m)より標高が低くなり日本一標高が低い山として認定されたのだとか。
文章中には
「震災の爪痕を後世に伝える」という大切な役割を果たす山でもあります。
と記されていました。実際私もこうして訪れることで改めて10年前の出来事を思い出し、色々と考えるところがありました。

ただネタ的に登山するだけではなく、この山、この地域の過去の出来事と経緯に目を向けて思いを馳せる良いきっかけとなりました。
近くに寄られた際にはぜひ。
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