【東北自転車旅day03】旅の醍醐味は北上にあり【龍飛崎〜青森市内〜新函館北斗〜長万部】
東北, 北海道, 輪行, ロングライド, 写真, 自転車,
知らない天井だ。


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北海道,
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昨日は追い風とは言え200km走って最後にはガツンと登りもあって…
身体は平気だろうかと少し心配だったけれど、杞憂だった。全くもって軽快。
起きてすぐに「朝ごはん!」と思えるくらいにはお腹も空いていて、これは体調が良い証拠だった。
昨日に続いて美味しい美味しいご飯をいただいて、手早く準備を済ませていざ出陣。
ここは青森県龍飛崎から10kmほどの龍飛旅館。
今日は東へ、そして北へ。
前回はこちら
まったり鉄道旅
この日も天気が良く朝から青空が広がっていた。
連日旅で一度も雨に降られないだけでもありがたいのだから、こんなに綺麗に晴れてくれたら言うことない。幸いにも疲れはそれほどなく、むしろ3日目にしてはピンピンしてると言っても良いくらい。まだ明日も明後日もあるから、調子に乗らずに続けてマイペースでまったり行こうと思う。

と、言うわけで……
突然の輪行
好きなんです。鉄道旅も。電車も新幹線もモノレールもロープウエイも。ただその中でも特に好きなのが地方ローカル線。旅をしているとふと出会うことがよくある。それこそ一生に一度しか乗らないような路線に出会うこともある。例えばこの龍飛の地に再訪するとして、それが鉄道である可能性は限りなくゼロに近い。例えば旅行で来るにしてもそれは例えば妻と来る可能性が一番高いのだけれど、ほぼ間違いなく車で巡ることになると思う。あるいはまた自転車か…。いずれにせよ、自転車で日本の隅々まで旅しているとこういう一期一会とも言える鉄道に出会うことがよくあって「(条件が合うなら)乗ってみたい!」と思う。
あと少しネガティブな面で言うと、こういった地方のローカル線はいつ無くなってもおかしくない。
「いつまでも あると思うな ローカル線」だ。
条件とは時刻表と行き先。例えばそれに乗ることで全く見当違いの場所に行かれても困る。いやそれはそれで面白いんだろうけれど、少なくともある程度行き先が決まっていることが多いから、突発的な発想とは言え、ある程度は本行程に合っている必要がある。そして何より大事なのが時刻表。これは要注意で、例えば乗りたいと思っても数時間に一本路線とかだと運が悪いと思いっきり待つことになる。下手したら自転車で走った方が早い場合もある。ので、この行程と時刻表が上手いこと合っていれば、という条件付きで鉄道旅にシフトすることが珍しくない私だったりする。
そして今回はタイミングも行き先もバッチリ!
JR東日本の最果て、津軽線の終着点、津軽半島最北端の駅、三厩駅から輪行で青森方面へ向かうことに。三厩駅。みんまやえき。読めない。調べたら蟹田駅で乗り換えたら青森駅まで一気に行けるとのことだったけれど、さすがに青森駅まで乗ってしまうとこの半島の東側を走ってないことになりかねなかったので、蟹田駅までの区間だけを鉄道で楽しむことに。
ちなみに青森県の反対側、下北半島を走る大湊線の終着駅である大湊駅からも実は輪行したことがあって、あの時はそこから大阪の自宅まで鉄道で帰った。昼下がりに乗車したのに家に着く頃には日付が変わりそうだったのを覚えている。あの経験は今でも忘れられない。
当時の旅はこちら
駅の雰囲気、素晴らしかった。そしてやってきた車両が予想していたもの(もっと年季の入ったレトロ車)と全然違うのも、またギャップがあって良かった。そしてこんな見た目の車両が来るのにICタッチは利用できず、整理券を取るバス方式だった。ワンマンカーに乗り込みしばしの車窓旅を楽しむ。小さな頃「世界の車窓から」が大好きだった。自分が見たこともない知らない土地、別世界への憧れみたいなのは思えば幼少期の頃から積み上がっていたと思う。
蟹田駅で降りて再び輪行解除をして再スタート。
この輪行作業も慣れてしまえばパッキングするのも組み立てるのも5分程度で終わる。今乗っている乗り物をたった5分で袋詰めして他の交通機関に乗ることができるこの機動力の高さ!相変わらず輪行は自転車旅の最大の武器だと思う。

真っ青な陸奥湾を眺めながら青森市内へ。
気持ち良いー!
青森市内観光
さて、青森市内。久しぶりだ。それこそ5年ぶりくらい。
ちょうど私が旅しているタイミングで日本縦断するようなブルベが開催されていて、多くのランドヌール達が北上していた。途中、それっぽい人を見かけることもあった。と言うことでなんとなくフェリー乗り場に向かってみる。私は乗らないけれど、誰か知り合いが乗っているかもしれないフェリーのお見送りでもしようと言う気持ちになった。
ちょうどブルールミナスが出港する2分前に港に到着。
そう言えば北海道へはフェリーで上陸したことはあるけれど、あれは日本海フェリーだった。舞鶴港から小樽港へ到着するフェリー。青森からフェリーで渡ったことはないから、またいつか機会があれば乗船してみたい。津軽海峡を船で越えてみたい。
ノシノシ
青森の海側のモニュメント的存在?青森ベイブリッジを渡ってみる。遠くから見えていて気になっていた。実際に近くで見るとケーブル部分が金色で派手派手でちょっと笑ってしまった'`,、('∀`) '`,、
そして気になったのが橋の上から見えたこの船。
なんだか気になった。こんなフェリーが運行しているなんて知らない。それに運航しているにしては喫水線あたりを見ているとどうもメンテナンスが…?と思って調べてみると、どうやれこれは「青森青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸」と言うものらしく、つまりかつて青森と函館を結んでいたフェリーをそのまま展示物として残しているのだとか。うわなにそれめっちゃ見てみたい!ってなったけれど、残念ながらこの後の予定があったから今回は断念。良い場所をまた見つけることができた。また訪れる理由ができた。いつかまたここを目的地の一つとして旅してみようと思う。
さて、お腹が空いてきたのでお昼ご飯。
場所は予め決めていた。インスタグラムのフォロワーさんから教えて頂いたこちらの……
株式会社青森魚菜センター。
思いっきり街中にあって、秋田市内ぶりに大都会を目の当たりにしてちょっと立ちくらみがしそうになった。東北、自然と街のギャップが激しすぎる。
たくさんの小売店、と言うよりは卸寄りな雰囲気のお店がたくさん入った集合施設でここでいただけるのが…
のっけ丼!
と言うと有名なのは北海道釧路ののっけ丼だろうか。どちらが発祥なのかは知らないけれど、要するに受付所で10枚綴の食券を買えば、その券一枚一枚を引換券にして、施設内の色んなお店の軒先に並んでいる「ネタ」を好きにチョイスして丼を完成させると言うもの。お店によってネタのラインナップはさまざまでどのお店にもあるようなネタもあれば、そのお店にしかないネタがあったりする。ちょっと高級なネタは1つに対して食券が2枚必要だったりする。
食券を獲得した数に応じて売上金額が按分されるんだろうか。それとも静岡県の桜海老漁のように誰がどれだけ獲得しても全体の売上金額が均等に按分されるんだろうか。そんな裏側のことを考えながら、お店の人と話をしたりしながらネタを決めてどんどん食券を消費して行って無事に完成!
いただきまーす!!!
美味。
極めて美味。
ネタの一つ一つがぷりっぷり。肉厚。
これが1,500円ってめちゃくちゃ安いな〜〜〜と思いつつお店を後に。
青森市内を軽くぐるっと回って、次のお目当ての品をゲット。
これは今日のおやつとして。
イギリストースト!
青森県では定番のパンらしい。どこでも売っているそうで、実際にこれはスーパーで買ったけれど途中に立ち寄ったコンビニでも売っていた。
開けてみる。
うん?
うん、これ
「トーストされてへんやん!!?」
とツッコミを入れてしまいそうになった。いやいやこれトーストちゃうて。焼いてないもん。焼いてないただの食パン。素パン。
「これが人気かぁ…失礼だけど思っていたより質素な…」
と思って食べてみると、とても好きな味だった。手のひら返しまで一口だった。ただの食パン……?と思って口にすると間にはジャリっとした甘いマーガリン、グラニュー糖を感じる。その食感がとても癖になる。そして甘さも優しい。食パン自体の甘さと相まって、コーヒーが進む味。それがまたデザートまでは到達しない程度に抑えられていて、しつこくない。
なるほどこれは確かに長く愛される系の味。
納得。
毎日食べても良いと思える。
良いなぁ…うちの近所でも売って欲しい。
けどトーストされていないことは最後まで気になる。どうしてトーストなんだ。
そもそもどうしてイギリスなんだ……
青森に謎を残したまま。
東北自転車旅の終わり
それでは。
東北自転車旅はフィナーレです。
ノリと勢いのまま
新青森駅から
輪行して……
北海道到着!!
と言うわけでワープしました北海道。
いやね、まぁ色々あったんですよ。馬のお誘いとか(詳しくは翌日の記事)
一番の理由は北海道新幹線に乗ってみたかったことと、昨日見た津軽海峡を青函トンネル、つまり海底トンネルで渡ってみたかったから。そして北海道の地へ、飛行機でもなくフェリーでもなく鉄道で上陸してみたかったから。そして単純に北海道に行きたくなったから。特に新幹線の終点である新函館北斗より北のエリアはまだ十分に堪能していないエリアだったから穴埋めの意味も含めて。
こんな行程が組めるんだから、やっぱり輪行って素晴らしいと思う。旅の自由度、無限大。
試される大地
と言うわけで上陸北海道。東北自転車旅改め北海道自転車旅へ。便宜上、このまま東北自転車旅のタグでお送り。旅はシームレスに。全ての行程が繋がっている。
走り始めてすぐに気が付く青森県との違い。というか東北との違い。もっと言うなら本州との違い。北海道ならではの空気感ってあると思う。それって具体的には道路のコンディションとか、白線境界を示すポールとか、看板諸々とかはもちろんだけど、やっぱり一番は景色のスケール感とか抜けの良さ。眺めていてでっかいどう!って叫びたくなるような景色の連続。これこそ北海道。
内浦湾へ抜けて森町へ抜ける前に大沼公園を見ていくことに。
このアングル!!今思えば少しまって鉄道通過するの待っても良かった。確かここは特急北斗が走るはず。そしてこの函館本線も…全国的なローカル線の廃止同様に、2030年までの廃線可能性が極めて大なのだとか。
先ほど利用した北海道新幹線、新函館北斗が終点だったけれど、あれが2030年には延伸されて札幌駅まで伸びるのだとか。それは聞いただけでワクワクするプロジェクトで、北海道南エリアの観光に大きなインパクトを与えることは間違い無いと思う。つまり本州民にとってもたとえば新千歳空港に降り立って札幌駅まで出れば、そこから新幹線で長万部〜森町、函館方面へ旅することができる。さらにそこから北海道新幹線〜東北新幹線と乗り継いだら東京へ帰ることもできる。輪行と相性が良い自転車にとっても、これは良いニュースだと思う。
ただそれに伴って在来線は不要になる。黒字で潤っている路線ならまだしも、存続させることで年間20億円近い赤字を出し続ける路線を、新幹線がある中で存続させるほどの説得力のある理由はないと言うことだろう。鉄道には旅客輸送だけではなく貨物輸送という役割もあるから、物流網を支えるという意味合いでは何でもかんでも廃止にすれば良い、と言うことでもないとは思うけれど、それにしたって先立つものがなければどうしようもない。
「いつまでも あると思うな ローカル線」と書いたけれど、ここについてはもう運命が決まっている路線。乗りたいとも思ったけれど、流石にここも輪行するとこの日の自転車要素がほぼ無くなってしまうから走ることに。私はきっと函館本線には一生乗ることなく、そのまま廃線を迎えることになるだろう。ゴールデンカムイの聖地巡礼という意味でこの鉄道に乗っておきたかった思いもあるけれど…。
大沼公園から眺める北海道駒ヶ岳の美しさたるや!
しばらくここでぼーっとしてしまった。
なんで今北海道にいるんだろう…と少し自問してみた。縁があったから、だろうか。旅は何もかも選択の連続。積み重なってシームレスに繋がっていく。それを形作っていく営み全体が面白く魅力的だなぁと改めて思う。
ここから本日のゴール地点である長万部までひたすら北上。内浦湾を横目に、遠くには室蘭市を眺めながら、ググーっと右回りに走っていく。初日から続く追い風はこの日も続き、南〜東風が背中を押してくれた。本当に運が良い。ありがたし。
ペースが良くてこのまま一気にゴールまで!と思ったけれど、忘れてはいけないセイコーマート。僕らのセイコーマート。ここに立ち寄らずして北海道に上陸したとは言えない。
これを食べずには帰ることができない!北海道グルメ三種の神食セット。
ちなみにこの道は国道ナンバーでは5号線。立派な一桁国道で、このまま道沿いに走れば長万部を経由して倶知安、小樽と経由して札幌まで走ることができる。
写真で見ると真っ直ぐで道路幅があって走りやすいように見えるけれど、実際はかなり路面状況が悪い。路肩のガタガタっぷりは北国の特有のあれっぷり。間違っても軽量タイヤとかで走ってはダメで、本州と同じ感覚で走るともれなく痛い目に遭うことになる。
追い風も相まって、そして旅も3日目と言うこともあって、足がとても回る回る。順調に30~35km/h巡航でひたすら長万部までラスト踏み込み!
そして到着長万部!
この桃鉄感。たまらない。けれど、この駅ももう無くなると思うとちょっと寂しい気も。けどこうして全国を自転車旅していると、かつてあったものが無くなっている、なんてこともたくさんみてきた。これからももっと見ることになると思う。経験値が増えれば増えるほどそういったことも増えてくる。改めて思うのは見たものや聞いたこと、食べたものや体験したことって財産だなぁと思う。
さて、ホテル四国屋さんにチェックイン。
先に書いておこう。長万部で泊まる場所に困ったら間違いなくおすすめ。自転車旅はもちろん普通に観光旅行でも。きっと後悔しない。
階段に貼ってあったポスターが格好良すぎて興奮した。
温泉温泉!北海道といったら温泉。
高張性弱アルカリ性高温泉=深いぬくもり、PH7.95、49.5℃。
生き返る〜〜〜〜!沁みる〜〜〜!
この世は不確かなことばかりだけれど自転車旅で1日走った後の温泉の気持ち良さは間違いない。
温泉で完全にリフレッシュした後は、コーラ片手に長万部の街を歩いて散策。
知らない土地でお風呂上がりに湯冷しに散策する時間、大好き。
そして部屋に帰ると…
ああ〜〜〜申し訳ない〜〜〜!
いや、うん、期待していたよりずっとずっと豪華な晩御飯で泣いて喜んでしまった。(゚´^ω^`゚)。゚
お刺身に焼き野菜に焼き魚、ホタテ、しゃぶしゃぶ、お蕎麦、ホタテ、etc
そして長万部名物、毛蟹!
一泊二日で確か9900円くらいのプランだったのにまさか毛蟹が出てくるなんて。
しかも部屋食。もう嬉しすぎて、一人で食べるのが勿体無いくらいだった。
誰かとこの良さを共有しながら食べたい!と久しぶりに思うひとりごはんだった。
洗濯を済ませて、ストレッチをして、お腹が落ち着いた頃にもう一度だけ温泉に入って布団へ。
今日も、昨日と一昨日に負けず、濃厚な1日だった。
今日の朝は青森県にいて、昨日の朝は秋田県にいたのに、今こうして北海道にいる。
実感が湧くような現実感の無いような、不思議な感覚に包まれたまま眠りについた。
続く。
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