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【愛媛県】ちょっと自転車で伊予灘沿いを旅してきた話【宇和島〜愛南〜宿毛】

神楽坂つむり

四国, ロングライド, 自転車, 写真, 輪行,
知らない天井。

昨日は寒い中を走ったせいか、いつもより少し身体が硬くなっていた。

ベッドの上で5分ほどストレッチをしてみる。

徐々に目も覚めてきた。

ここは愛媛県。宇和島の朝。
宇和島〜宿毛旅-4
宇和島〜宿毛旅-1
部屋のカーテンを開けると遠くに宇和島城が見えた。
こうしてみると本当にユニークな場所に建設されている。絵に描いたような山城。
周りのビルが全部ギリギリお城よりも低いのは、そういう景観条例的なものがあるのか、それとも単純にそれ以上高くする必要がないからなんだろうか。気になったのでメモをしておいて、後日調べられるようにしておいた。

旅をしていると、ふとこういう風に、何かが気になる、知りたい、学びたくなることがある。そういうことはスルーせずに必ず後から調べるようにしている。そうすると、その土地に対する印象とか知識とか、あるいは思いもせず他の土地との関係性が分かったりして面白い。かつての民俗学者のような気分になりつつ、自分の知識体系が補完されていることに喜びを感じたりする今日この頃。

さて、着替えを済ませて、8時ごろに出発。
宇和島〜宿毛旅-2
四国では珍しくもないけれど、こうして宿の中に自転車を保管させてもらえるのはありがたい限り!
荷物の整理が落ち着いてできるだけでも十分。もちろん盗難の心配もなければ、雨風にさらされることもない、ので。

さて、宇和島の朝。
少し余計に散策をすることに。
知らない街の、朝の時間が好き。

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港町らしい雰囲気がいろんなところから感じ取ることができた。
街の作りは結構複雑で、メインストリートがあるものの、それ以外の道は湾曲していたり道路が並行じゃなかったりして、湾の形も相まってちょっとした迷路みたいな街だと感じた。
小川も流れていて、愛南方面へ向かうための国道に合流するまではちょっと裏道を使うことに。

宇和島〜宿毛旅-6
市内とは思えない幻想的な風景も見ることができた。

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普通に学校の前でこんな景色が見られるなんて。

国道56号線に乗って、ひたすら南下。
自転車で四国を一周する人なら大体通る道だろうか。
実際にバイクでツーリングをしている人なら昨日から何十人と見かけた。自転車乗りはここまでくると流石に少ない。

朝ご飯を食べてなかったから、次のコンビニが見えたら補給しよう、くらいで考えてたら、突然目の前にうどん屋さんが現れた。
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セルフの店 かめいちうどん。


迷わず入店!
思い出した、ここは四国なんだから、うどん圏だ。
で、これはTwitterで教えてもらったのだけれど、どうやら宇和島には「宇和島うどん」なる文化があるらしい。

これを先に聞いておけばうどんカウンターの前で戸惑わずに済んだはず。

何せこのお店、入店していきなりうどんカウンターがあってセルフ形式。
いや、まぁそれ自体は四国では珍しくもないし、香川県ではたくさん経験したから良いのだけれど、どこを見渡しても料金表がない。

「む・・・?」と思ってたらちょうど常連さんっぽい人がうどんを自分で入れ始めた後に会計をしている様子を観察していてようやく理解できた。

どうやら宇和島うどんは、定額制うどんらしい。
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つまり器に入る量であれば何玉入れても料金は一緒!っていうこと。

なるほど〜〜〜!
うどんホーダイ!

と言うわけで私もお腹が空いていたので例に習って4玉ほどいただくことに。
もちろんセルフなので、ザルに入った麺を自分でゆがいて・・・
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初見のお店だから適正時間が分からない。とりあえずフィーリングで頑張るしかない。

その後は好きなトッピングを選んでお会計すれば完了。

いただきまーす!
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く〜〜〜!
寒い朝に食べる温かいうどん。とても沁みる・・・・。
ここ、セルフでありながらも、出汁がとても美味しい。四国らしい澄んだ綺麗な出汁。香りが高くてフワッと香ばしい。麺はコシは控えめでちゅるちゅるっと口触りの良いやや太い麺。美味・・・美味・・・・。

ちなみにお店に入る時に、一眼レフカメラは外に置いたままにしておいた。冬場のツーリングで一度同じように寒い外から暖かい店内に入った時にカメラが思いっきり結露してしまってレンズの中が曇ってしまったことがあったので。場合によってはそれがずっと続くこともあったりしてその後の撮影や機材へ悪影響が出る、なんてことがあるから、特にうどん屋のような湿度も室温もバリバリ高いところは要注意。


すっかり満足してしまった。ご馳走様でした!
お腹いっぱいになったところで、再び南下開始。
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宇和島から愛南に至る道、に限らずこの伊予灘沿いの道、こんな景色が無限に広がっていて、とにかく気持ちが良い。瀬戸内海ともまた違った海との距離感と、穏やかさがある。高低差もそこそこあって、時折水平線も見えたりして、バリエーション豊かで飽きることがない。

「次はどんな景色が見えるだろう」

と期待を胸に抱きながら次のカーブを曲がる感覚。

たまらない。

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みんな大好き船屋。
最近ではすっかり見ることも少なくなってしまった。

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牡蠣漁だろうか。養殖をしているっぽい雰囲気。
この辺りは本当に海産物が美味しい。何食べても美味しいんだからずるい。

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2日目と言うこともあり、時間も余裕があるしで、ゆったりと流す感覚で走る。
25~30km/hくらいで、汗もかかず、心肺もあがらない程度。
ケイデンスは80前後。
マイペースで行く旅。

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愛南町に近づくにつれて、このような抜けの良い景色が連続。
冬だけれど、暖かい。体感気温では、もうすぐ春ですね、と言いたくなるような。
風も穏やかで随分と走りやすかった。
きっとここも風が強いとこういうことにはならなかったと思う。自転車旅は兎にも角にも風次第だなぁと最近思い知らされることが多かった、のでこの日はラッキーデイ。


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愛南町に到着。

この町にどうしても訪れたかったから、今回の旅立った、くらいには行きたい場所が・・・
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宇和海展望タワー

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ではなくて、そのすぐ近くにあるこちらの紫電改展示館。


市内から程近いけれど、100mちょっと登らないといけないヒルクライムスポットもであるこちら。
わざわざやってきたのは他でもない、日本国内でも極めて珍しい、本物の当時の戦闘機が見られるから。
ここに展示されているのは、もちろん紫電改。

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入館無料。
紫電改のために建てられたのかどうかも分からないけれど、紫電改を見るために作られたとしか思えない構造で、小さな体育館サイズの建物の中央部に紫電改が鎮座していた。

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大迫力!

こちらの期待、レプリカではなく本物。
ほんの70年ほど前には日本の上空を飛び回っていたと思うと感慨深い。
昭和53年、宇和島近海の海底からサルベージされて、補修された上でここにやってきたのだとか。
博物館ということだけあって、その辺りの歴史や記録、解説なんかも充実していてとても見応えのある場所で、これが無料でいいのかとちょっと驚いてしまった。

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それにしても綺麗に残っている。パイロットはどういうふうに着水したんだろう。
プロペラが90度手前に折り曲がっているということは、海面に対して滑走路に降りるが如く綺麗に降り立ったんじゃないだろうか。
水の抵抗でプロペラだけは曲がったけれど、機体はこの通り、美しい原型を留めて、こうして令和の世でもその姿を見ることができる。

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搭乗者は見つかっていない。誰が乗っていたのかも、もう分からないらしい。

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写真や映像で見たことはあったけれど、こうして実際にいろんなアングルで眺めると、ディティールの理解度が全然違うことに気づく。
大興奮。
口がポカーンと開いてしまわないように気をつけないといけないほどだった。

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写真に写ってるように1Fだけじゃなくて2Fからも眺められるような作りになっていて、文字通り360度から観察できる。
たまらない〜〜〜!

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紫電改だけではなく、さまざまな遺留品や周辺機材、当時の遺物も物凄い量が展示されていて、それだけでもじっくり見てると平気で1時間経過してしまう。

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というわけで期待は確かにして行ったのだけれど、期待を上回る展示物を見ることができてお腹いっぱいになりました。
わざわざここまで来る人もあまりいないと思うけれど、だからこそわざわざ愛南町あたりまで来ることがあったらぜひ訪れて見てほしい。


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なんだか少しセンチな気分になりつつも、外の景色は相変わらず美しくて、これもきっと当時と変わらないんだと思うと、ジーンと来るものがあった。何せ高い場所にあるから、見晴らしがとても良い。

満たされたものの、本物のお腹の方はすっかり減ってしまったので、ご飯を求めて移動することに。
なんだかんだで朝からアップダウン込みで50kmくらいは走っていた、ので。

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愛南の街並みを横目に向かったのは深浦漁港にあるとある市場。


市場食堂、というなんとも普遍的な名前をしたお店だけれど、その名の通り漁港市場直結で新鮮さでは間違いないお魚を使ったご飯が食べられるということで、訪れないわけにはいかなかった。

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外観だけだとただの公民館にしか見えない。

けど出てくる料理は間違いがなかった・・・
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こんなの美味しいに決まってるやん・・・・!

鯛めしに鰹のお刺身、カキフライのセット。

ああ〜〜〜〜申し訳ない〜〜〜!


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一人で

「!?」

となるくらい、食感と甘みが際立っていて、噛めば噛むほど旨味が口一杯に広がるやつ。


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鰹のお刺身。こんなの食べちゃったら大阪で食べられないぜ・・・。

なんともまぁ贅沢な食事をいただいてしまって、心身ともに完全に満たされ状態。

せっかくなので深浦漁港を少し探索。
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美味しい魚を届けてくれる皆さんに感謝。

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雰囲気抜群。

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火野正平さんがこころ旅で訪れた「蘇家神社」にも立ち寄り。
階段が急すぎてびっくりした。

ゴールの宿毛駅までは残り15km程度。
本数が少ないから電車の時間だけ気にしながら、時間調整をして移動。

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途中突然の雰囲気抜群の旧道で遊んだりしながら

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ゴール!宿毛駅!
土佐くろしお鉄道宿毛線の終着駅。つまり、四国の左下の駅。めちゃくちゃ遠いけれどここから輪行で大阪まで帰ります。
気分はすっかり鉄道旅への切り替え。

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pekoさんの輪行袋は毎回大活躍。サクッと輪行。
思ったより駅が小さくて、時間を潰すにも何もなかった。
けど、何もないくらいがちょうどいいこともある。


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めちゃくちゃ派手な電車!
可愛いらしいディーゼル車両。
最近JRが水素電池搭載の新世代のハイブリッド車両を開発してディーセル路線から試験運用していくって記事を読んだけれど、近い将来にはディーゼル車も無くなるのかもしれない。

それにしても宿毛、遠い!(知ってた
宇和島〜宿毛旅-50

宇和島〜宿毛旅-52

これはこれで好き。
自転車の良いところは、他の交通機関と組み合わせて輪行することで移動範囲が一気に広がることと
電車旅とか船旅とか、また違った側面での旅の楽しみ方も同時にできるところにあると思う。
乗り鉄と名乗るほどでもないけれど、全国各地のローカル線で輪行をしているうちに、こういうスタイルにもすっかり慣れてしまった。

青森県むつ市の大湊駅から大阪まで輪行で帰った時が一番辛かった()


というわけで今回の旅も無事に終わり。
大阪からフェリーで愛媛県入りして、最後は鉄道で脱出。
海景色から極寒地獄からグルメからいろんな発見と楽しみがある旅でした。

四国は端っこに行けば行くほど面白いとも改めて実感した。
また折を見て、違う端っこを訪れてみようと思う。

   
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