【愛媛県】ちょっと自転車で伊予灘沿いを旅してきた話【東予港〜夕焼けこやけライン〜宇和島】
四国, ロングライド, 機材紹介, 写真, 自転車,ふと瀬戸内海を旅したくなってきたので四国は愛媛県を訪れました。

伊予灘沿いを往く旅に様子をつらつらと。
さて、四国へ輪行でアクセスするとなると主に方法は二つ。
鉄道かフェリーか。
と、書いておいてなんですが、フェリーで行くに決まっています。
大阪に住んでいる私にとってフェリーはとても身近な存在。
「あ、瀬戸内海行きたい」
と思った数時間後には海の上にいることができるメリットを最大限活かしましょう。
まずは大阪南港へ自走で。
自宅からは1時間もかかりません。楽チン!
南港フェリーターミナルに到着。
さて、ここからオレンジフェリーに乗って東予港へ向かいます。
私のブログではもう5回くらい登場している定番フェリーです。
マイバイクステイサービスという自転車をそのまま客室まで持ち込むことができるサービスを利用します。
さて、今回もオレンジフェリーのマイバイクステイサービス利用します。
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) January 7, 2022
自転車を「そのまま」船室まで持ち込めるこのサービス。デラックスシングル利用のみで1万円ちょっとだけど、個室、アメニティ一式、ベッド、そして持ち込みと移動、宿泊と思えばめちゃくちゃリーズナブル。 pic.twitter.com/SDGkAIfT7g
毎回結構な反響をいただくので、詳しくはまとめた記事があるので興味がある人がどうぞご覧ください。
というわけで四国へ出発。
と、いっても自宅から10kmちょっと走っただけだけれど、もうこの時点で結構な旅気分です。
テンション上がっています。
はやる気持ちを抑えて、ベッドに潜って就寝。
南港を22時に出航して6時に東予港に到着、っていう時刻設定が絶妙。
おやすみなさい。
おはようございます。
よおおおおおおおおおおおおおしスタート!!!
と、一気にテンションが上がるこの瞬間。
目が覚めてフェリーの中というのも特別感があって好き。
季節が季節で6時でも真っ暗だったので、しばらく船内に滞在しました。
7時までは滞在可能だったので、ギリギリまで粘ってスタート。
船内で走り始める準備を全て済ませられるのも大きな魅力。
鉄道輪行や車載ではこうはいかない。
オレンジフェリーに別れを告げて、いざ、愛媛県は伊予灘方面へ。
この船を降りて走り始める時の高揚感!
たまりません。
嬉しい。
楽しい。
何度旅しても飽きるなんてない。
単純な脳みそなので何度でも楽しめちゃいます。
まずは山を越えます。
海沿いを走って今治〜松山と走っても良かったですが、そっちは何度か走ったことがあるしつまんないと思ったので、初めて走る山越えルートを選びました。
これが結構な後悔を生むことになるのですが、この時の私にそんなことを考える余地はありません。
何せ天気が最高に良く、この日は約束された勝利みたいな雰囲気がぷんぷんしていたから。
まだ太陽は見えないけれど、群青色から柑橘色に変わる空を眺めているだけでも嬉しくなってきます。
そういえば昨年はあの山の上まで登ったなぁ・・・なんて思い出しつつ。
7時を過ぎても、まだ陽は登らず。
それもそうだ。
四国なんだから大阪よりは日の出時間は遅いはず。
その分、日の入り時間も遅いのだけれど。
早く・・・太陽が出て欲しい・・・
とこの辺りから願い始めます。
なんと言っても、とにかく寒い!!!
体感では余裕で氷点下です。
これがしばらく走った後の気温だったらまだ良いですが、走り始めが1日で最も寒い時間帯というのは失敗したなぁ・・・と少し後悔。
ふと地面を見ればガッツリ霜が'`,、('∀`) '`,、
そしてそして・・・このくそ寒の中、あの山を越えます(上まで登るって意味じゃなくて、抜ける)
うん、とっくに日の出時間は過ぎているけれど、東側にも山脈があるせいで、ご覧の通り1,000m程度の山頂付近しか日が当たっていません。
まぁ・・・結局このあとはヒルクライムが終わってダウンヒルを始めるまで一度も太陽の光が差すことなく1時間程度凍える羽目になりました:;(((∩´。ω゜`∩)));
・1日で最も寒い時間帯に走り始める←これはまぁ仕方ない
・日の出後もずっと日陰を走り続ける←四国の地形をすっかり忘れていた
・ヒルクライムで標高を上げてさらに冷え込む←ここまで来たらもう海沿いを走れば良かった以外の感情が湧かない
とはいえ進むしかありません。
走っていればそのうちあったまるでしょ!(結局寒さが優ってそれどころではなかった)
いや、まぁ、ちゃんと装備を整えていれば平気な気温でしたが、日中の気温は14度程度と、冬にしては暖かい旅路が予想できたので、極寒装備は持ってきていませんでした。
もしこの寒さが事前にわかっていたとしても、日中からすると間違いなくオーバースペックのウエアをこの一時の寒さのためにわざわざ持ち運ぶ手間や負担を考えると、やっぱり多少は寒さは我慢して気合で凌いでいたと思います。
愛媛県は県全域に渡ってこのようにサイクリングのモデルコースが設定されています。
と言っても専用のサイクリングコースというわけではなく、既存の国道や県道を繋いだものです。ルート設定の参考には良いかも。
兎にも角にも・・・
今いる場所は・・・キンキンに冷えてやがる・・・っっ!!
ヒルクライム途中に見かけた看板。
指先の感覚がなくなる、まではいってないけれど、かなり堪えたぜ・・・。
山頂付近での一枚。
うん、雪国だね?
この1時間後には海沿いを走っているのだから、四国ってばダイナミックだなぁって改めて思う。
極寒の中ダウンヒル。
しばらくしてようやく日光を浴びることができて、助かった〜〜〜!
と思わず声に出してしまうほど。
結局スタートから25kmも氷点下で走っていたせいで、身体が全然起きていません。
というわけでようやくエンジン始動。
ここからが旅の始まりだ!と気持ちを切り替えて一気に伊予灘まで降ります。
気温も上がってきて、気分も上々。
海に出る前に神社に立ち寄りました。
伊豫稲荷神社です。
この辺りでは最も規模の大きい稲荷神社です。
稲荷神社好きとしては立ち寄らずにはいられない。
道路に面した立派な鳥居が目印。
1月ということもあって初詣の門松が飾られていました。

稲荷神社好きとしては訪れないわけにはいかなかった伊豫稲荷神社。
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) January 8, 2022
立派な社殿に注連縄、鳥居郡の雰囲気がたまらない。小高い場所で海が綺麗に見渡せるのもポイント高い🙆♂️ pic.twitter.com/kN9xltqDSo
普段よく走りに行く京都の伏見稲荷大社と比べると規模はずっと小さいですが(というか伏見稲荷大社が大きすぎる)それでも雰囲気は抜群に良かったです。鳥居の一つ一つにも歴史を感じることができ、時間の流れを感じることができる神社です。
境内からの景色も素晴らしく
海ーーーー!
うーん、気持ち良い。
冷えた身体もすっかり元通り。
ここまで来たら早く海沿いを走りたい一心で一気に走り抜けます。
ローカルな国道と県道とちょっとした峠越えをしたら、ご褒美と言わんばかりに、一気に海景色が迎えてくれました。
たまらん〜〜〜!!
今日はこの後、ゴールである宇和島まではずっとこんな景色が続くことになります。最高か。
(あの極寒地獄はなんだったんだ・・・・)
ちなみにこの愛媛県の伊予市から八幡浜市まで通じる道路は「夕やけこやけライン」と呼ばれていて、いわゆる快走路です。日本国内ではこの西側に海や湖を擁する道にはとりあえず「サンセット」とか「夕焼け」とか「オレンジ」って名前がつけられがちですが、ここも例に漏れません。
伊予灘の美しい海をずっと眺めながら走ることができるということで、ツーリングの人気スポット。
自転車乗りもバイク乗りもたくさん見かけます。(この日はチーム練習っぽいガチサイクリスト勢がたくさんいました)
個人的に好きなのがここの青ガードレール。
青い空に青い海、そして青いガードレールに青いTADA車。
ここまで青が揃う場所もそうそうありません。
キレー!
というか見ればみるほど私のTADA車と同じ色しててビックリした。
似てるとかじゃなくて同じ。
近くで見たり角度変えてみても光の反射の仕方とかも同じ。
どこでどんな塗料で塗ってるのか知りたい。
ちょうどお腹も空いてきたので、良さげなお店を見つけて凸。
ここが大当たりでした。
魚吉さん。
鯛がプリプリ。弾力がすごい。ひゅうが飯と太刀魚天麩羅いただきます🙏 pic.twitter.com/Ag0ijJaC5c
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) January 8, 2022
天ぷらもサクサクで身がふわふわで美味〜〜〜〜!
ふらりと入ったお店でこんなに美味しいものが食べられるなんて・・・。
ごちそうさまでした。
さて、後半戦。
ひたすら、ただひたすら海沿いを南下するだけの簡単なお仕事です。
季節は冬。けれどどこか春を感じさせる伊予灘の海。
なんてことを考えてたら実際に春を思わせる奈の花畑なんかも現れてびっくり。
さすが愛媛県。
調べてみると「閏住の菜の花畑」というこの辺りでは有名な奈の花畑なのだそう。
バイク乗りの人も写真撮ってたり定番立ち寄りスポットなのかも。
定番といえば、ここから程近い下灘駅がこの辺りでは一番有名よね〜ということでここも立ち寄り。
この晴天時に写真を撮らないわけにはいかない!ので。
「日本で最も海に近い駅」とも言われる下灘駅です。
実際は島原鉄道とか山陽本線とかの方が海に近い駅あるよなぁ・・・なんて思いつつ、景観は抜群に良いので満喫しちゃいます。
良きです。
国鉄時代からフォトスポットだったそうです。映え、なんて言葉もない時代から愛される景色だったんだ。
一般通過サイクリストさんをパチリ。
さて、下灘駅を後にして再び南下。
先述したようにひたすら海沿いを南下です。
気持ちー!!
アップダウンも海沿い道にしては少ない方で、四国の中でも優しいと思います。
八幡浜より南は一気に難易度が上がるけれど。
少なくとも八幡浜〜松山間はほぼ平坦路なので、まったり走るのにもいい感じ。
さて、途中休憩も兼ねて大洲にある長浜大橋でも見に行くか〜
と思って国道を外れて街中へ。
こっちだったかな?と頭の中の地図を頼りに商店街をゆるゆる走っているときに、突如それは現れました。
その存在は知っていた。
インターネットのどこかで見かけたことがあって、妙に印象に残っていたから。
けれどそれが日本のどこにあるかなんていちいち調べてもいなかった。
だから実際に目の前に急に現れた時は、思わず変な声が出てしまった。

ンョ゛ハー゛だ!!!
あの伝説のンョ゛ハー゛だ!!
「日本一発音できない店名」と一時期話題になったこちらの看板。もともとは「ショッパーズ」だったのが経年劣化で徐々にその文字が崩れていってこの「ンョ゛ハー゛」になったのだとか。調べてみると、2019年10月には撤去され新しい看板に付け替えられたけれど、「あの「ンョ゛ハー゛」が見られなくなるのは悲しい」という声を受けてわざわざ上の写真の場所に劣化したverの看板を設置したのだとか。なんだそれ'`,、('∀`) '`,、気まぐれに商店街入ったら伝説の「ンョ゛ハー゛」が偶然現れて変な声出た。実在したんだンョ゛ハー゛!! pic.twitter.com/Y1FDoOAgCC
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) January 8, 2022
ちなみにこちらが新しい看板。
いやそこだけ替えたんかーい!
てか左の看板とのギャップ凄くない??
新しい看板、イラストと文字をわざわざ別パーツで作る必要あった!?
あとイラストの下のちっちゃい「ありがとう」何!?
とまぁ突っ込みどころ満載の「ンョ゛ハー゛」改め「ショッパーズ長浜店」さん、予想外に楽しめました。ありがとうございました。皆さんも機会があれば「ンョ゛ハー゛」看板をぜひ見にいって、できたらその場で発音してみてくださいンョ゛ハー゛。
そもそもの目的はこちらの長浜大橋。
国内では非常に珍しいバスキュール式の可動大橋で、国指定重要文化財に指定されています。
長さは232mあり幅員が5.5m。五つのトラス桁と、可動部桁、さらに対重径間桁の合計7径間の鋼橋で構成されていて、建造物好きにはたまらない橋です。可動桁は長さ18mありその重量は54トン。それをスムーズに動かすために橋の上には82トンのカウンターウエイトが載せられていて、分銅、つまりオモリの役目を果たして開閉の作用の手伝いをするっていうんだから、もう大興奮です。是非この目で可動しているところを見たいですが、残念ながら今は船の往来がなく必要性がないということで基本的に動かず。ただ日曜日には観光向けに定期点検を兼ねて開閉を行っているということも聞いたので、いつか日曜日の可動日に訪れてみたいものです。
ちなみに現在は補修工事中でした。
車は通れないようになっていましたが、歩行者と二輪車はOK。
国道378号線の新しい橋にそのほとんどの役割をバトンタッチしましたが、今でも地元の人たちの大事な渡川手段として活躍しています。
戦時中にはグラマン機の機銃掃射を受けて、今でもトラス部材にその傷痕を見ることができます。橋に歴史あり、です。
大洲市を後にして、はい、やっぱり南下です。
この辺りからアップダウンが少しずつ増えてきます。
景色的にもリズム的にも変化を生んでくれるから、ある程度は結構好きです。
ある程度は、です。
西伊豆や紀伊半島みたいなひたすらアップダウン地獄はご勘弁'`,、('∀`) '`,、
海を見下ろす坂道、好きすぎる。
そしてこの海の青さ。
半端ない綺麗さ。
さすが四国。
こんな青い海を抱える港町が次から次へと現れます。
これも日本の原風景の一つなのかなぁ。
田園風景、里山の景色も好きだけれど、港町もやっぱりどこか懐かしさを感じさせてくれる。
一度も住んだことなんてないのに。
心象風景というか、きっと小さい頃から、色んな作品や映像で見てきたからなんだろうか。
実際に見ると暮らすのでは大違いなんだろうな、とも思う。
海が近い場所に住んだこともあるから分かるけれど、平和な海も天候次第では一気に牙を剥いてくるしね。
この辺りからはアップダウンを考慮してペースをやや落として平坦では28km/h程度に。
無理せずゆっくり行こう。
今回の旅も時間的な制約はないというか、実のところゴール地点を決めていない、ので。
とりあえず明日か明後日には帰ろう、とだけ決めていました。
そうこうしているうちに八幡浜へ到着。
訪れるのはこれで3回目だっただろうか。
初めてきた時は確か九州の国東半島を巡った後に、ふとした流れで四国へ渡った時に訪れた。
2回目は石鎚山〜瓶ヶ森UFOラインを走った後だった。
どちらの旅も結構ダイナミックで面白く色んな景色が見られた様子をまとめているので、よければどうぞご覧ください。
さて、そんな八幡浜で最後の休憩です。
ここで泊まってもよかったけれど、それにしてはまだ早い。
八幡浜に来たからには外すことができない、パンメゾンさんの絶品クロワッサンを頬ぼってコーヒーを飲んで血糖値と糖分をしっかりとケアします。(ぱくぱく食べてしまって写真撮り忘れてしまった)
愛媛県西予の夕暮れ道が最高に綺麗だから見て欲しい pic.twitter.com/rbNLQo3OZL
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) January 8, 2022
夕焼けこやけラインではないけれど、この区間も夕暮れが素晴らしかった。
真っ赤に燃える、という季節ではない、冬らしい淡いグラデーションに移り変わる空と海を眺めながら、今日の最終ゴール地点、宇和島市へ。
西予の夕暮れ景色。
とても、とても綺麗でした。
見ようによっては全然特別じゃない日常風景とも言えるけれど、それでもこうして自分の足で旅して五感で感じる景色は特別なんだと、改めて思った。
宇和島の町に着く頃にはもう陽が沈む5分前。
なんだろう。このどことなく溢れる岐阜感は。
改めて思うとこうして訪れたのは何年ぶりか覚えてないくらい。前回は素通りしたはず。
駅前や商店街など、街の様子を一通り観察した後は、知り合いに教えてもらったおすすめのお店へ。
ほづみさん。
聞くところによると宇和島ローカルご飯を食べるならここ!らしい。
ということで、それっぽい御膳をいただくことにしました。
なんだか知らない宇和島名物がたくさん!
どれもこれも美味〜〜〜〜〜!!!でした。
あとやっぱり宇和島に来たからには宇和島の鯛めしを食べないわけにはいきません。
絶品・・・・!
鯛の甘みが口いっぱいに広がるやつ〜〜〜!
弾力もすごかったです。スーパーで売ってるちょっと高い鯛、とは比べ物になりませんでした。
さすが愛媛県。ポテンシャル高い。1日走った後のご飯ってだけで美味しいのに、こんなにしっかり食べられるなんて有難い限りです。
お店の人も親切で色々と料理の解説をしてくれたり、宇和島のローカル情報をたくさん教えてくれました。
コンビニに立ち寄って明日の朝食を買い込んで直前に予約したお宿へ。
四国らしく自転車を宿の中に入れさせてもらうことができました。四国は本当にこういうサイクリストに優しい宿が多くて助かります。
大浴場で汗を流して筋肉をほぐして、アイスを食べて、たっぷり水を飲んでこの日は終了。
洋上から始まり、極寒ヒルクライムをして、海沿いを走り、たくさんの景色が見られた1日でした。
明日はどんな景色が待ってるんだろう。
続く。
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