【北海道】ちょっと自転車で#馬サイクリングを満喫してきた話〜日高〜十勝地方編〜【ウマ娘聖地巡礼】
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“そのままの自然”をどう楽しむかを考えた「地球に泊まる」非日常的な時間の中で大人は子供心を思い出し、子供はそのままの子供心をくすぐるプリミティブな体験をー
MEMU EARTH HOTELは、「地域の資源を探求、翻訳、伝達する活動を通して、自然と地域と人の立体的な交流拠点となる」をミッションに掲げ、2018年11月8日に開業いたしました。コンセプトを「地球に泊まり風土から学ぶホテル」とし、「ヒト・風景・食・体験・工芸・生物・建築・アート」の8つのキーワードに沿った滞在時間を通して“子供は大人への成長、大人は子供の心を思い出せてくれる”ホテルを目指しております。
(MEMU EARTH HOTELホームページより引用 リンクはこちら)
何が魅力的かというとそのコンセプトがまさに全てを表現しています。
実際にホテルの場所は「牧場の中」に位置しています。これだけでも普通はありえない話で、牧場は関係者以外は立ち入り禁止な場合がほとんどです。
また成り立ち的にも馬好きにはたまらないエピソードではありますが、ここはもともと「大樹ファーム」です。1990年に開設された競走馬サラブレッド生産牧場であり、日本中央競馬会に馬主登録をしているクラブ法人ですが、2002年に静内に大樹ファーム分場を開設し、それに伴いこの場所は残されました。この広大な場所と牧場機能を利用して2011年に寒冷地適応住宅実験施設「メムメドウズ」プロジェクトがスタートし、先述したコンセプトのもとにホテルも開業されました。
もうお気づきの方もいらっしゃると思いますが「大樹ファーム」とはあのタイキシャトルを送り出した牧場です。タイキシャーロックが1997年にマイルチャンピオンシップ南部杯を制覇したことも記録にしっかりと残っていますが、同年のタイキシャトルの活躍はウマ娘ファンなら全員履修済みのことでしょう。ユニコーンステークス、スワンステークス、マイルチャンピオンシップ、スプリンターズステークス、1998年京王杯スプリングカップ、安田記念、そしてフランスのジャック・ル・マロワ賞の制覇……。国内外でG1を5回勝利し、1998年の短距離路線活躍場として年度代表馬にも選出された伝説的な名馬です。
厳密には生まれはアメリカのタイキファームで、北海道の大樹ファームにやってきたのは1996年のことです。調教自体はアイルランドで行われました。日本に来て見事にその才能を開花したというわけです。ユニコーンステークスはダート戦ですが、当時の調教師であった藤沢氏は「この馬のポテンシャルを活かすためには芝でもダートでもいいからとにかくマイル戦に出したかった」と語っており、レース記録を紐解いてみると最終的には二着(ワシントンカラー)に対して二馬身半差の快勝劇を見せてくれました。ちなみにワシントンカラーも中央競馬では根岸ステークスなど重賞を4勝している短距離における名馬です。
というわけでこの場所、MEMU EARTH HOTELにはかつての名馬たちが実際に日々を暮らしていたということ。そこに宿泊できるんだからこれ以上の贅沢はありません。
敷地内の建物は新しい建物もあるけれど、もともとの大樹ファームとして使用していた建物も活用されています。
実際には下記のようにかつての牧場が活かされています(MEMU EARTH HOTELホームページより)
- ・牧草保管用倉庫をコミュニティスペースにリノベーションした「Studio MEMU」
- ・厩舎を活用し現在飼育している5頭の馬が暮らす家と牧草地「HORSE STABLE」
- ・厩舎を宿泊室付のコンファレンス・スペースを生してコンバージョンした「STAY&ABLE」
- ・トレーニング施設をビオトープ&果樹園として生かした「GARDEN&ORCHARD」
- ・実際のレースコースと同様の距離を走れる練習コース跡地「ONE MILE TRACK」は今後の活用に向け準備中
実際に宿泊すると分かりますが、本当に当時の牧場のままなんだ、と思うところも節々に感じられました。
もちろん純粋に宿泊施設としての機能はしっかりと現代風に快適にアレンジされていて、めちゃくちゃお洒落でリッチな雰囲気です。正直最初けーすけさんに「厩舎を改装したホテルで泊まります」と言われた時には「馬がいたあの場所で藁を敷いて寝るのかな……?」くらい思っていましたが、全くの杞憂でした(それはそれで体験してみたい気もするけれど
というわけでお部屋は快適そのものでした。
極寒冷地対応の宿泊施設ということで、暖房も驚くほど強力なものが使われていました。本州ではまずお目にかかれない代物です。お陰で外が氷点下でもTシャツ一枚で過ごせるほどでした。
ちなみにお風呂はせっかく大樹町まで来たということで、ここにしかないこれまたスペシャルな温泉である「晩成温泉」まで足を伸ばしました。ここ「晩成(ばんせい)温泉」は、世界でも珍しいヨード泉(温泉成分にヨウ素が多い温泉)です。つまり某有名メーカーのうがい薬や抗菌剤などにも活用されているあの成分が大量に入った温泉です。はい、赤チンですね。ズバリ。うまぴょいですね。はい。
私は当然初体験だったのですが、独特な香りにびっくりしました。真横が海ということもあり、海水を煮沸したような、濾過したような、そこにヨウ素を加えたような、なんとも不思議な香り。だけど決して嫌な香りじゃなく、むしろ身体の奥からじわじわと温まる、旅の疲れを癒すには最高の泉質でした。タオルも無料でついてきて500円程度とはコスパも最強です。また、私たちが行ったときは夜だったので残念ながらオーシャンビューは望めませんでしたが、本当に海が目の前なので、明るい時間や特に夕暮れ時は最高に綺麗な景色が見られると思います。場所が場所なので旅をしていても簡単にはアクセスできないけれど、わざわざ入りに行く価値もある温泉だと思いました。
お風呂をいただいた後はホテルに戻ってこの日は就寝をし、翌朝は早起きをして日の出を見ることにしました。
「牧場で迎える朝」というのを人生で一度は体験しておきたかったのです。
「牧場の朝」というやつです。
ちなみにけーすけさん、鶏キャベツさん、マラソンサニーさんは別行動で旭浜のトーチカ群を見に行っていたようです。こちらは前の戦争遺跡。海辺で崩壊寸前というか一部はもう崩落が始まっているようなので、いつまで見ることができるかも分からない代物。マラソンサニーさんのブログでも見ることができるので是非ご覧ください。
マラソンサニーの雑記帳 馬×サイクリング=モニターツアー(後編)
さて、綺麗な景色を見るために、なんて理由がなかったらお布団の中でぬくぬくしておきたい寒さなのは間違いありません。
眠い目を擦りながら、着ることができるウエアを全て着込んで、キンキンに冷えた牧場内を散策しながら、朝靄を切り裂く朝日を狙いました。
空気感というか、雰囲気というか。
間違いなく特別な時間でした。
写真どうこう抜きにして、牧場で迎える朝というのはこんなにも美しいのかと、本気で感動してしまいました。何も音がしない、厳密には風と鳥と虫の声と大気の音だけ。シン……とした静寂の中でシャッター音だけが人工音として鳴り響いていました。
こんな生活もいいな、なんてふと思います。北海道を訪れるたびに一次産業のことが頭によぎります。もちろん大変なことがめちゃくちゃ多いことも分かってるけれど、自然の美しさを感じるのにはこれ以上の環境はないな、とも思います。
太陽が昇るにつれてあたりの風景、色も見る見るうちに変わっていきました。
「変化」を五感で感じることができる時間帯であり、場所でもあります。
厩舎の中にいたお馬さんたちも出てきて朝ごはんタイムです。
また、ここではお馬さんの世話体験もすることができるようで、まるで厩務員さんの疑似体験のようなこともできてしまいます。私たちが訪れた時はちょうど体調が悪いお馬さんがいたので、世話体験はしませんでした。
海辺のトーチカ群を見に行っていた組も戻ってきました。
#馬サイクリングにおいてはファットバイクを始めとしたオフロード系の自転車が似合います。
牧場周辺ってロケーション的にグラベルやオフロードが多いので。
ただ場所によっては立ち入り禁止の場所や、走行不可の場所もあるので注意が必要です。我々は楽しむだけですが、その場にいる人たちにとっては、大切な仕事だったり産業だったりするものです。自転車は自由な乗り物ですが、それゆえに謙虚さや弁えることがとても大事だとも感じます。前提条件を常に頭の片隅に入れながら「正しく楽しむ」ことを心掛けたい。
鶏キャベツさんと牧場横を走っていると、ちょうどお馬さんがギャロップで併走してきました。
随分と好奇心旺盛な美しい栗毛のお馬さんです'`,、('∀`) '`,、
駆ける姿が美しすぎる・・・!
自転車をハミハミされました。なんだか嬉しいですね。
自然と共に暮らす馬は本当に美しいです。
生きる姿を眺めているだけで得られるものがある、なんていうと大袈裟かもしれませんが、こうしてファインダー越しに見ていると、本当にそう思えるくらいに。
流星も綺麗。毛並みからも大切にお手入れされていることが分かります。
ちっさなポニー君もいました。足が短くてとてとてしながら草を食べる姿が愛らしい。
馬との邂逅。
これは牧場を眺めるメジロマックイーンです(唐突)
そしてこれは馬と触れ合うメジロマックイーンです。朝からお疲れ様ですわ!
モサモサです。モップみたいです。可愛い。
さて、敷地内にある朝食会場という名の室内練習場へ向かいます。
私はこんなの初めて見ました。
全天候型のウッドチップトレーニング施設です。一周でマイルくらいの距離がありそうです。上空から眺めるとどんな形なんだろう?と気になったのでGoogleマップの航空写真で確かめてみました。
思った以上に綺麗なオーバルコースです。
ちなみに右横のもっと広いオーバルコースは、かつての練習場で、こちらがマイル距離だそうです。
比べるとずっと小さいことが分かりますが、それでも立派な広さでした。改めてこうしてみると本当に広い場所にポツンと牧場があることが分かります。気になる人は是非Googleマップでメムアースホテルを調べてみてください。
そんな室内トレーニング施設内にはお洒落なカフェ空間があります。
ここで美味しい朝食をいただきました。ご飯もしっかりとおいしくボリュームがあり満足いくものでした。周辺には文字通り「何もない」のでご飯事情が心配になりますが、これなら安心です。
朝ご飯をいただいて、自転車の準備を済ませれば、いよいよ出発です。
夢のような時間、空間とお別れするのも名残惜しかったですが、まだまだ北海道での#馬サイクリングは続きます。
「MEMU EARTH HOTEL」は何も無い場所にあります。あるのは豊かな自然、大地、草原、牧場、動物、後は風の音とか虫の声とか。豪華絢爛なホテルを求める人、ゲストハウスのような人との交流を求める人には不向きですが、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さること間違いなしの素晴らしい宿泊体験でした。馬好きの人には間違いなくお勧めできますし、そうじゃなくても宿泊する価値があるとも思いました。他所では体験することができない時間を、少なくとも私は人生で初めての感覚を、味わうことができました。
北海道のさらなる美しい自然を求めて次の場所へ向かいます。
大樹町のすぐ隣にある忠類村へ向かいます。
忠類、とは私は初めて知りましたが、読み方は「ちゅうるい」でアイヌ語の「チュウルイベツ=急流の意」が由来だそうです。1969年にナウマン象の化石骨がほぼ完全体の一頭丸々の状態で発見されたことから、ナウマン象ゆかりの場所として有名になったそうです。恥ずかしながらそれも知りませんでしたが、村の中には「忠類ナウマン象記念館」が作られて、大迫力の全身骨格のナウマン象をみることができるそうです。
酪農と農業が盛んな地域で、特に「ゆり根」の生産に力を入れており、本州でもここ忠類産のゆり根を実は結構口にすることも多いのだとか。恥ずかしながらこれも知りませんでした。
旅をしているとこういう風に色んな知識を頭だけではなく足を運んで得ることができるのが魅力の一つだと感じています。実体験に基づく知識は何よりの財産だと思う。
忠類は正式には幕別町の一部に含まれています。2006年に編入合併されたからです。北海道ではこうした動きがあらゆる場所で見ることができるのも、その裏側を知ると人口減少や産業の衰退といった決してプラスじゃない側面があることも分かってきます。一次産業の重要度が叫ばれる現代ですが、それでも需要と供給が必ずしも一致して上手くことが運ぶとは限らないことを痛感します。
道の駅忠類で小休憩。
ここでソフトクリームが売られていたので、みんなを差し置いて一人でもぐもぐしました。北海道に来たら季節問わずソフトクリームだけは絶対に食べちゃう私です。美味しいんだもの。パクパクですわ!
ちゅうるいサイクルステーションが設置されていました。道の駅ではスタッフの人にも周辺のサイクリング情報を色々と教えていただきました。なんでもマウンテンバイクのトレイルもあるそうで、道の駅には温泉も併設されていたので、車でアクセスしてトレイル遊びをして温泉をいただいて帰宅、なんて理想的なオフロード体験ができると聞いて、大阪民の私はただただ羨ましいと思うばかり。
道の駅忠類からすぐの場所にある(といってもヒルクライムするけれど)標高200m弱の小高い丘へと向かいました。シーズン中はお洒落なカフェがオープンするような場所だそうです(訪れた時期は休業期間)トレインを組んで進みますが・・・
メジロマックイーンが目立ちすぎて困る()
見晴らし最高!(だけれど意外と登る
各々がマイペースで登ることにしました。
ロードバイクから折り畳み自転車、ファットバイクまで様々。
北海道ってその面積の割には峠らしい峠はそこまで多くないけれど、こうした丘は無数にあるから、なんだかんだで登り能力が要求されると思う。
(ちなみのその真逆が四国であそこはヒルクライムするしか移動手段がない)
晩秋の北海道。1ヶ月もすればここもすべて銀世界になるのだそう。
四季それぞれで訪れたことがある北海道だけれど、やっぱり冬も久しぶりに見て観たいな、と思う。
石狩地方に比べたらこちらは積雪量は少ないらしい。(ただしめちゃくちゃ寒い
展望台から景色を眺めた後は、短いながらもグラベルセクション。
思えば今回の北海道遠征もしばしばオフロード走行体験ができました。毎回思うけれど、北海道のオフロードポテンシャルってば本当にすごい。まだまだ(地元民以外には)知られていないグラベルルートが無数に存在していて、それらを結ぶだけでも、数年は楽しむことができる気がする。
というわけでグラベルオンリー旅なんかも計画してみたいなぁ、と思ったり。
忠類を満喫した後は帯広空港へ。
北海道ってば広いから、理想的な旅路を描こうとすると、往路と復路で空港を変えざるを得ないことが結構ある。
新千歳空港を入り口として、帰りは旭川空港だったり釧路、女満別あたりにすると、関西民としては旅がしやすいと思う。
というわけでここからマラソンサニーさんがお別れ(するフリ(実際は引き続き一緒に旅します
これはスーツケースを引っ張るメジロマックイーン
これはファンに手を振るメジロマックイーン。
長く楽しんでいる#馬サイクリングだけれどそろそろ終わり?
かと思いきやまだもう少し続きます。
というか最後にはまた内容の濃い「帯広地方」の馬文化を学ぶことに。
もちろんサイクリング要素もまだまだということで・・・
続きます。
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