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【新潟自転車旅】佐渡島のポテンシャルを感じる一日【小佐渡一周】

神楽坂つむり

自転車, ロングライド, 島旅, 東北, 写真,
佐渡島の海景色の中を進む旅。

津神神社を後にしてからもペースは変わらずマイペース。

具体的には25km/h〜32km/h程度で。

まだ始まったばかり!

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続いて向かうのは姫埼灯台。

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灯台自体が素晴らしかったけれど、そこに至る道も素晴らしかった。
灯台ハントをしているとよくある話だけれど、立地的に最果ての地にあることが多くて、普通に道沿いを走っているだけでは見ることができない景色に出会うことがよくある。それを含めて灯台の魅力だなぁ・・・と今回の旅で改めて認識することができた。

思い返してみれば、どの灯台もそうだった。
印象の残る灯台って、そこに至る道や周りの景色含めて、印象深い。もちろん灯台自体の魅力は大前提としてあるのだけれど、歴史的背景や地理的な事情も知識としてインストールしてそれを五感を使って感じるところに、灯台めぐりの魅力が詰まっていると思う。趣味全開の世界。

姫埼灯台はそういう意味では、総合点の高い灯台だった。

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まず佐渡島まで来ないと見ることができないというのもあるけれど、この灯台、なんと「世界の灯台100選」にも選ばれている。「日本の灯台100選」はまぁ高確率で出会うことができるけれど、世界となるとそのハードルは一気に高くなる。理由はいくつかあるけれど、姫埼灯台は佐渡島で最も古い灯台で1895年に稼働を始めた。そして当時からその姿は設置当時のままであり、現存する中で日本最古の鉄造りの灯台ということで歴史的・文化的価値が認められて選定に至ったのだとか。

実際に近くで見てみると、鉄造であることがわかる重厚感で、他の牧歌的な灯台とは一線を画す。

灯台入り口には昔の詰所が残されていて、これもまた味わい深い。
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現在は無人・無料のキャンプ場として、敷地が整備されているけれど、この立地で宿泊するキャンパーはなかなかいなさそう。だけれどロケーションの良さは抜群だし、灯台を近くに感じながらテント宿泊ができると思うと、そのために再訪しても良いかな、と思える程度には私には魅力的に思えてしまった。

さて、この時点でなんとまだ25kmしか走ってない。
やれやれ。真面目に走るつもりがそもそもないから仕方ない。
旅するつむりはサボりがち。

写真を撮って・・・というよりは、少し走っては景色の良い場所を見つけて、ゆっくり過ごす、みたいなことを休憩がてらやっていたせいもある。
何せ、旅なんだ。距離や時間に価値を見いだすロングライドじゃない。
急ぐ理由もない。

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それに、こんな気持ちの良い景色が次から次へと現れる。

北海道のような、広大な景色。
佐渡島のポテンシャルを見せつけられている。

風島神社という、名前がもう物語に出て来そうな神社が海沿いに見えてきた。
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というか、断崖絶壁の下に鳥居があって、見上げるとその岩の上まで参道が続いて居るのが見えた。
なるほど・・・こんなの見せられたら登るしかない。
こんなことも見越して、今回はペダルをSPDにしてきたし、シューズも歩きやすいようにSHIMANOのMT3を履いてきた。
正直、走行性能ならスピードプレイが一番良い。出力も速度も疲労度もスピードプレイが圧倒的に優れてる。けれど、飛行機輪行からライドからフェリーから観光から何から何まで考えると、今回ばかりは歩く性能が重要視された、ので。
というわけで、なかなかに急激な階段を3分ほどで駆け上がると、一気に上まで行くことができた。

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少し視点を変えて見る新潟県道45号線もなかなかどうして美しかった。

帰りは帰りで大変だった。

さて、とはいえ、だ。
走らないと先には進まない。
走らないとご飯にありつけない!

佐渡島一周、はっきり言ってご飯を食べられる場所が少ない。
ほぼ選ぶことができないと言って良い。
多分、多くの旅人が同じように調べて同じようなお店を選んでいると思う。
自販機は結構たくさんあったから、これは本当に助かった。2日間で10本近くペットボトル飲料を買ったと思う。

赤泊、という場所まで一気に走ることにした。
距離でいうと30km程度。
真面目に走ったら1時間20分もあれば到着するはずが、2時間もかかってしまった。

理由は情けない限りで、「多分行けるだろう」と思った道がとんでもない酷道で、抜け切ることができると思ったら最終的にはにっちもさっちも行かなくなって、薮や倒木をかき分けて無理して進んだ道を結局引き返す羽目に。
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このタイムロスが凄まじかった。というか半分遭難しかけた、と言っても過言じゃなかった・・・。いやほんと引き返すタイミングを完全に見誤っていたせい。倒木がいくつも重なり一本一本撤去しながら進む、がもうできないレベルの光景を目にした時は思わず「くそおおおお」と叫んでしまった。やれやれ。

そんな馬鹿なことをして体力と時間をロスしたけれど、幸いにも時間的余裕はたっぷりあったから、大きな問題はなかったのだけれど。

気を取り直して、海沿いの道を進む。
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うん、さっきまでの苦労は何だったんだ、というくらい、平和なままだった。



無事に赤泊の町に辿り着いて、向かったのは「憩いの場 三益」さん。

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知り合いに教えてもらったお店で、定食がとても美味しいとのことだったから楽しみにしていた。
件の定食を頼んで出て来たのがこちら。

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パーフェクト・・・。
お魚・・・味噌汁・・・・お刺身・・・・最高だ・・・・。
味は、もう、文句なし。完璧に、美味しかった。
お店の方も親切で、いろんなお話をすることもできた。
佐渡島の話は、佐渡島に行かないと聞くことができない。当たり前だけれど、けど旅ならではの時間に、心が満たされてしまった。


お腹も満たしたところで、同じ町にある「北雪酒造」さんにお邪魔することに。
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新潟と言えば日本酒。
そしてその新潟の中でも、佐渡島でしか手に入らないお酒がここ北雪酒造さんのお酒。
友人用と家庭用に1.5万円ほどまとめ買いして郵送した。良い買い物をした!


もうすでに佐渡1日目としてはだいぶ満喫してしまった気もするけれど、まだ半分くらい。
再びサドルにまたがって、小佐渡の南西端へ。

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宿根木、佐渡の中でも「町人文化」が根付く場所。

佐渡は大きく分類すると3つの文化に分けられる。
一つ目が「相川の武家文化」
二つ目は「国仲の公家文化」
三つ目が「小木の町人文化」
流刑の地であり、金山と廻船業者の地であるが故の多様性を秘めているのがこの佐渡島。

宿根木は北前船が立ち寄る港として栄えた場所。迷路のような路地には今でも100棟ほどの民家が立ち並んでいて、その建物は船大工達の高い技術力が活かされた故の特殊な作り。国の重要伝統的建造物保存地区にも指定されている。
海に面していて狭い路地にあり、職人たちの手によって工夫された木造二階建て建築というと、ずばり三重県伊勢の河崎地区のそれととても似ていることに気が付いた。成り立ちは少し違っていて、宿根木の建物はもともと平屋だったものを改築して2階建てにしているものが多い。狭い土地であり、日本海からの風から建物を守るためであり、縦板で組まれた民家郡は見た目は質素だけれど、室内は豪華な造りになっているのはかつての繁栄っぷりを思わせるには十分すぎるくらいだった。
狭い土地の中で時代の移り変わりに合わせて変化してきた民家。中には明らかに柱を継ぎ足して一階から二階へと増築している建物もあった。気になる人は、ぜひその目で確かめてみて欲しいと思う。

そんな歴史を町全体が物語っていた。
佐渡島で思いがけず長居をしてしまったスポットの一つ。
最近ではインスタ映え的なお洒落カフェがあったり、名物のたらい舟があったりと、そこそこ観光客も来ている様子だった。

こんな風にしてたくさんの見所が次から次へとやってくる。
佐渡島は、間違いなく一泊しないとダメな島だと確信した。
ロングライドイベントで行こう、と思っていた時期もあったけれど、やっぱり私はこうしてマイペースでゆっくりと旅をするのが好きだ。自分の旅がしたい。

それに、道中平気でこんな個性的な地形が見られるのだから、足を止めずにはいられない。
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過去に訪れたことがある隠岐島を思い出したけれど、けれどやっぱり違う。柱状節理のような荒々しい岩肌と緑のコントラストがユニークだった。

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沢崎鼻灯台も無事に訪れることができた!
やった。
ここもずっと見たかったんだ。立地が素晴らしく、景色が良いに違いないと思っていたから。

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案の定、素晴らしかった。
溶岩台地の上にそびえてるだけある。
1928年に初点灯した背の高い灯台。高さは24m。佐渡島で一番高い灯台。
海底火山の噴火で隆起した荒々しい枕状溶岩との対比も素晴らしかった。自然と人工の調和。灯台の魅力ここにあり!と言ったロケーションに大興奮だった。


そしてここから今日のお宿までの道が最高だった。

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朝からずっと良い景色なのは間違い無かったけれど、ここ佐渡南西部分の海岸沿いの道はハイライトと言っても良い爽快感だった。(実際には翌日もハイライトと言っても良い景色が続いてたまらなかったけれど)

さて、この日のお宿は民宿「長浜荘」さん。
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電話で予約していた。
とても民宿らしい民宿で、対応からサービス(サービスと言う言葉がちょっとそぐわないゲストハウス的なノリもまた良かった)まで私にはぴったりだった。
宿に着くや否や、こちらから名乗らずとも「あ、〇〇さーん?」と自転車を停めているところを声かけられた。確かに自転車で行くと伝えていたけれど、つまり他に自転車乗りはいないということ。

事前に「洗濯ってできますか?」と電話で聞いていたことを覚えててくれたのか、これも先に紹介をしてもらった。ずいぶんと丁寧で(接し方は気さく)素晴らしいな、と素直に感心してしまった。

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建物横の納屋を案内されると、あらゆるよくわからないものがたくさん両脇に積み上げられた空間の一番奥に、洗濯機があった。全部で3台あって、うち1台は「故障中」と書かれた紙が貼られていて、うち1台は稼働中だった。気づいたらお宿の人はいなくなっていて、納屋裏から聞こえる波の音と、洗濯機の音だけが響き渡っていた。ああ、島にいるんだな、と急に実感した。残り1台の洗濯機に今日のライドで着ていたものを全て突っ込んで、隣のバケツに入っていた業務用の洗剤を流し込んでスイッチをオン。お風呂と晩ご飯をいただいている間に終わるだろう。

部屋に入ると、あまりの情景に絶句した。

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パーフェクト。
こういう世界観。たまらない。
「海辺のカフカ」を思い出す。シンプルで無駄がない。この上なく素朴で情緒的だった。

窓から差し込む夕日とその先に見える真野湾だけで心が満たされそうだった。
布団とテレビしかない。クローゼットも机も椅子もない。それなのに、何の不満もなかった。

そして晩ご飯。

これがある意味今日のハイライトだったかもしれない。

少なくとも私は一人だったし、決して高いお金を払うことはなかったはずだ。

一泊二日、2食付きで税別7,800円の民宿にいるはずだった。

なのに

どうして

晩ご飯が


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こうなのか!?

量。質。おかしい。
7,800円で出場してはいけない選手のオンパレード。
スマブラも驚きのオールスター合戦がテーブルの上に広がっていた。

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刺身の量、おかしくない!??

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とにかく、凄かった。すごく、凄かった。
食レポなんて意味ない。
凄い。それだけで、十分。

自転車乗りには最高だけれど、普通の観光で訪れたら絶対残してしまう量だった。
出されたご飯は全部食べる信条だから、後半戦はかなり頑張った。
食事スペースに設置されたテレビからはちょうど東京オリンピックの開会式の様子が流れていた。
日本海の離島の民宿で食事をしている私には、なんだか別の国のことのように思えてしまった。

ごちそうさまでした。もう最高の晩餐でした。

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こうして、佐渡島の1日目が終わった。

歯を磨いて顔を洗って、各種充電を済ませてから、布団に入った。
畳の網目を感じるような、硬い布団だった。
けれど、それが心地良い。
窓の外から、波の音が聞こえていた。
あまりにも、濃い1日だった。
と思い返す暇もなく、眠りについた。

続く。


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この乱雑さ。旅先って感じがしてとてもいい。

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赤いバケツの中にはなぜかウニと魚が入っていた。



    
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