【登山第19回】近江湖南アルプス「金勝山」からJRA栗東トレセンを見学してきた
近畿, 登山, アウトドア, 写真, 1day,
久しぶりの登山記事。
場所は滋賀県、南東部。
近畿,
登山,
アウトドア,
写真,
1day,
登山自体はちょくちょくしてたのだけれど、こうして記事に残すのは久しぶり。
今回はビジュアル的にも面白かったし、
程良い行程と難易度だったからピックアップ的な意味も含めてつらつらと。
とにかく面白い山だった。
今回は
「関西圏で公共機関でアクセスできる日帰り登山」
です。
しかも、通り抜けができるタイプ。
同じ道は2度と出てこないよ!!
関西の人からすると「草津駅が最寄り駅」と言えば分かりやすいかもしれない。草津駅から南東方面に目をやると肉眼でも確認することができる山。
近江湘南アルプス、と呼ばれていることはさっき調べて初めて知った。今回登ったのはその近江湘南アルプスの一角、金勝山。ちなみにこれで「こんぜやま」と呼ぶらしい。最初は「きんしょうざん」「かねかつやま」と勝手に思い込んでいた。けれど金勝山の近くにある金勝寺は「こんしょうじ」と読むらしいし、ややこしい。日本語ってややこしい。
金勝山コースには龍王山、鶏冠山と言った山が連なっていて、縦走も可能。
標高だとおおよそ600m〜650m程度ということで、低山というには高いけれど、本格的な登山というほどの登りでもない、程よい難易度だと思った。
赤線がバスルート。
青線が登山ルート。
今回は車は使わずにJRでアクセス(新大阪駅→草津駅→手原駅)したから、駅から登山口まではバスを利用。
往復は電車の中でゆっくりできるし、何より青線を見てもらったらわかるように通り抜けができるのが何より嬉しい。
自転車もそうだけれど同じ道を引き返すのは新鮮味がないしちょっとつまらない感じがするから、なるべく避けたいところ。とはいえ登山の場合は多くの場合が往復、よくて周回、だけれど今回は通り抜けができるということで、このルートを知った時にはテンションが上がってしまった。むしろこの通り抜けができるからこの山を選んだまである!
利用したのは「こんぜめぐりちゃんバス」というローカルバス。
4月から6月までと9月から11月までの期間中、土日祝に限ってJR草津線手原駅から1日に3本バスが出ていた。これをインターネットで見つけた時に思わずラッキー!と口にしてしまった。これを上手に活用すれば日帰りで通り抜け登山ができる!と。
さらにこのバスの終点が登山口近くの「金勝寺」なのだけれど、ここの標高がすでに500m近い。つまりバスで標高を稼いでしまってスタート地点からゴール地点まで「下り基調の登山」ができるということ。自転車ほどメリットではないけれど(登山においては下りの方が身体への負担が大きい側面もあるので)それでもコースタイム的には間違いなく短くて済むから活用しない手はないと思った次第。もちろん逆ルートにすれば文字通りの「登り登山」だけをして、下りをバスで省略することも可能。(ただしこの場合はバスのダイヤが少ないので要注意。)
参考までに登山前に作成して携帯していた行程表メモ
【金勝山行程表】
10:00 こんぜめぐりちゃんバスJR手原駅発
10:40 金勝寺バス停到着
11:30 横が峰展望台
12:00 K16白石峰
12:30 K10天狗岩到着 お昼ご飯
13:20 K10天狗岩出発
14:20 K6分岐点
15:10 O1落が滝
15:40 上桐生バス停到着
16:00 上桐生バス出発
16:30 JR草津駅到着
アルファベット+数字は、この登山道に整備されているコースポイント。
公式の登山マップでもこのコースポイントを活用した参考コースタイム、ルートが掲載されていて登山計画を組み立てやすいようになっている。とてもありがたい。地図とコンパスを出すことなく現在地と次のポイントチェックができるようによく整備されている山だった。安心。
というわけで今回の山行は手原駅からスタート。
さて、駅舎からしてこの垂れ幕。
「ようこそ馬のまち栗東へ」
そう、何を隠そうここは中央競馬、JRAの栗東トレーニングセンターがあるまち。トレーニングセンターは競走馬をトレーニングするための施設で芝コース、ダートコース、ウッドチップコース、坂路コースといった施設から騎手や調教師の住居施設、厩舎などさまざまな機能を持つ施設が凝縮されたまさに競走馬育成のための場所。中央競馬に所属する競走馬は関西はここ滋賀県の栗東トレーニングセンター、関東は茨城県の美浦トレーニングセンターのいずれかに所属している。
なーんて知識がウマ娘きっかけでモリモリ増えている今日この頃。
栗東トレセンを眺めることができる、というのも今回の登山のきっかけの一つであることをここで強調しておきたい。(ウマ娘怪文書はここでは記さないこととする)(それいる?)(あげません)
ちなみに写真は撮っていないけれど、観光センターも併設されていて、そこではここでしか買うことができない競馬グッズがたくさん並んでいたよ!
せっかくなので実際に栗東トレセンで使われていた「蹄鉄」を買いました。
もちろん他の使い方もあるのですが、それについてはウマ娘の宣伝担当(自称)ゴールドシップが解説してくれているから視聴するように。
バスの発車時刻を待つ。
ローカル線駅前のバスターミナルでバスを待つ時間というのはなんともモラトリアム感があって好きだなと気づいた。バス旅ってあまり経験がないのだけれど・・・うん、ハードル高そうだからやめておこう。
ミレーのパルスシリーズがお気に入り。
拡張性の高さ、良く考えられた機能配置のおかげで低山トレッキングから本格登山まで活躍してくれている。容量違いで複数揃えたいくらいには好き。
さて、こんぜめぐりちゃんバスが来たので乗り込む。
想像していたよりも30%くらい小さいバスだったけれど、この日の乗客は私を含めて6名だった。
途中、いくつかのバス停を巡る中で何度か乗車と降車があったからそれなりに地域の足として需要はあるみたい。観光客やトレッキング客も何名かいた。確かにこの界隈のスポットは少なくとも車がないとアクセスが難しい場所ばかりだから助かる存在。滋賀県ってこういうローカルなコミュニティバスがちらほら設けられていて、予約制のものもあるけれど、上手く使えば日帰り登山にはとても便利な存在。
ちなみに道中、JRA栗東トレーニングセンターの目の前を通過してテンションが上がってしまった。
周辺には競走馬関連の施設や車両がちらほらあったりして、ここが馬のまちなんだなぁということが随所から伝わってきた。
30分ばかりバスに揺られて金勝寺に到着。ここから今回の登山スタート。
最初はよく整備された半舗装路の山道を20分ほど登る。
登りらしい登りってここだけだったかも・・・というくらいには今日は下り基調の日。
横ヶ峰展望台からの景色。
めちゃくちゃ道が細いけれどここまでは車でもアクセスが可能。
ちらほら自転車乗りもいたから、滋賀県のヒルクライムスポットとしては結構人気だったりするのかも。
確かに景色が抜群に良い!!
遠くには琵琶湖、そして対岸の湖西に広がる比良山脈を一望することができる。
さらに言えばJRA栗東トレーニングセンターをきれいに見下ろすことができる。
この日は休日でちょうど日曜競馬の日だったからか、トレーニングしているような様子は一切なくただただ広大な敷地が広がっているだけだった。芝コースからダートコース、坂路、ウッドチップコースのほかに厩舎や宿泊施設、食堂などなど、まるで一つの街のような大きさであることがよく分かるアングルで見られたのが嬉しい。500世帯2,000人が暮らせる広さ。半端ない。
展望台横からスタート。展望台は駐車場にもなっていて20台ほどの車が止まっていた。
みんなここから天狗岩まで行って帰ってくる往復コース、あるいは尾根線を使って周回する人が多いみたいだった。今回は通り抜けプランだったから、見られる景色は全部一度きり。
とても、歩きやすい。そして、景色が良い。
鬱蒼とした森の中というよりは、尾根沿いのやや開けた道をずっと歩く感じ。
それもそうで、今いる場所は既に標高500m近いのだから。
もはや登山というよりも、ハイキング感覚で進むことができた。
よく整備されていることが分かる。こういった大型看板からコースポイントを示す看板まで、たくさんの印があったおかげで迷うことなく進むことができた。ペース配分もしやすい。参考コースタイムの精度もかなり高かったから、休憩含めてほぼこの時間通りを見越していて間違いないと思う。
さて・・・程なくしてこの山の特徴である岩ゾーンへ突入。
一気に景色が様変わりした。
自然に出来たとは俄かに信じられないような形の岩が、どんどんと現れてきた。
縦走ルートのおかげで次の山が見えるくらいには眺望が良い。
琵琶湖を含んだ平野を何度も見下ろすことができた。
思わず足が止まる。
自然の造形美、ここにありといった感じ。
木々の生命力と、岩の重厚感が、見事に調和していた。
思えばこうして山に来るのは久しぶりだったか・・・・と思い出した。
最近はずっと海沿いを旅することが多かったから。
無い物ねだりというわけじゃないけれど、山にいると海が恋しくなったり、島にいると街が恋しくなったり、都会にいると自然が恋しくなる。
足りないものを補ってバランスを取ろうとする人間の本能みたいなものがあるのかも・・・と思いつつ、でも平穏に暮らす人はそんなに旅をしないと聞くし、求める刺激の違いか。でも刺激を求めてるわけでもないなぁ、とも思う。色々みたい。どうせなら色々体験したい。これが近いと思う。一言でいうなら好奇心。そのベクトルの違いと考えて、いったん納得。
と、まぁ他愛もないことを、つらつらと考える時間を山は与えてくれる。
それにしてもなんだろうこの違和感。
合成?かと思うくらいの。
自然に出来た理屈は確かに分かるけれど、いざ目の前にするとやっぱり不自然としか思えない。
昔の人がこんなの見たら確かに信仰心と繋げてしまうのも分かる気がする。
人智を超えたものは神的な何かのせいにすることで、安心できる。
それにしてもビジュアルがとにかく面白い!
いろんなサイズの岩を空から玩具箱をひっくり返すように落として適当に積み上がったのがコレ、ってくらい、大きさも形もさまざまな岩が絶妙なバランスで配置されてる。
せっかくだからあの岩のどれかの上でお昼ご飯を食べることに。
ガッツリと鎖場、ロープ場があって、久しぶりのクライミング。
アスレチック感覚で楽しいけれど、断念している人もいたくらいの難易度ではあった。
岩をよじ登る。
人一人分くらいの隙間を縫うように登り切った先に突然景色が拓けて思わず声が出た。
ここを本日の休憩地点とするっ・・・・・っ!!
というわけで、お昼ごはん。
今日のメニューはチーズフォンデュミートボール、クリームパスタ、鯖缶アヒージョなどなど。
1時間ばかりの余裕があったから、ゆっくりと過ごすことができた。
眼下に広がる琵琶湖と町を眺める。滋賀県のほんの一部なんだろうけれど、それでも景色があまりに広大で大部分を見ているような錯覚に陥った。
ぜっけーかな!!
天狗岩のあたりは間違いなくこの山行のハイライト。
岩の一つ一つを眺めるのが面白いのはもちろんだけど、こうして実際にクライミング感覚で触れて体感することができるのが良い。自然と触れるってこういうことだよなぁ・・・って久しぶりに思い出した感覚。自転車や鉄道旅とはまた違った刺激があって、定期的に摂取したくなる。
劇場版で間違いなく上から降ってきた何かが刺さるやつ。
さて、ここからは下山ルート。
尾根線を一気に上桐生バス停まで行くのだけれど、このルート、気に入った。
ここにきて逆ルートでも良かったかも・・・と思い始めたけれど、それはまた機会があればでいい。
川沿いを下るのだけれど、前日に降った雨の影響か、それとも普段からそうなのか、ルート自体に水が溢れていて川の上を歩いているようだった。
琵琶湖の大きさは、今までビワイチ・・・琵琶湖一周を何度もしたことがあるからよくわかる。
とんでもなく大きい。
一周するだけでも200km近くある。これが海じゃなくて海抜100m程度の湖なのだから驚き。
琵琶湖の出口は一箇所、淀川に至る水路だけで、それ以外の滋賀県の川は全て琵琶湖に流れ込んでいる。そしてその川の始まりは、こういった登山の中で見ることができる。
最初は登山道の壁沿いにうっすらと湧き水が出ている程度。苔を濡らすくらいのもの。
けれど標高が下がるほどに、徐々にその水量が増していく様を見ることができる。
このルートはまさにその水を辿るルートになっていて、目に見えてこの山中からこのルートに水が集まっていっているのがよくわかった。その上を、歩いてく。
琵琶湖に流れ着き、淀川を経由して、やがて大阪湾に至る水。
当たり前だけれどなかなか実感することの少ない自然の循環に触れることができた、良い1日になったと思う。
上桐生のバス停にほぼ予定通りに到着。
バスに乗り込んでJR草津駅まで行き、そこから新快速で大阪まで一気にワープ。
近江湖南アルプス「金勝山」。
景色良し、ルート良し、アクセス良し。
大阪をはじめとした関西圏の日帰り登山スポットとして、とてもバランスの取れた良い山でした。
- 関連記事
-
-
【登山第12回】日帰り、お気軽、稜線歩き【播磨アルプス】 2016/03/24
-
【登山番外編】晩夏の赤目四十八滝ハイキング 2017/09/12
-
【登山第17回】白山国立公園 大日ヶ岳で紅葉稜線歩き 2019/12/01
-
【登山第6回】ちょっと伊吹山登ってきた【滋賀県】 2014/10/16
-
【登山第13回】雲の上を歩こう その2【赤岳〜横岳〜硫黄岳】 2016/09/11
-
【登山第14回】日本三大霊山 白山でテント泊登山してきた 〜その2〜 2016/09/25
-
【登山第4回】ちょっと奈良県の曽爾高原までハイキングしに行って来た 2014/07/02
-
【登山第11回】秋の御在所岳登ってきた【紅葉&奇岩】 2015/10/24
-
【登山第20回】ちょっとススキを見に岩湧山を滝畑ルートで登ってきた【大阪日帰り車登山】 2021/10/25
-
【登山第14回】日本三大霊山 白山でテント泊登山してきた 〜南竜ヶ馬場野営場〜 2016/09/20
-