【岐阜〜富山旅】ちょっと自転車で雨晴海岸から見る立山連峰を堪能してきた【高山〜八尾〜富山】
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知らない天井だ。

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古風な和風建築を思わせる、木目調の天井。
窓際に目をやると昔ながらの雨樋。網戸。窓の隙間から明るい日差しが差し込んでた。
だから、もう太陽が登っていることがわかった。
時刻は7時くらい。
飛騨高山で迎える、朝。
昨日の疲れはほとんど残っていなかった。
と、いうかそもそも疲れていなかったんだと思う。
走行距離にしてもそうだし、過ごし方にしてもそう。体力をあまり使っていなかったと思う。
ただの旅行だと移動疲れってあるんだけれど、旅をしているとそれがないのは、移動中の楽しみ方の違い故だろうか。移動含めて全部が楽しい自転車旅は、無駄なことをしているけれど、無駄なことがひとつもないと思う。
この日は高山をスタートしてからはひたすら北上をして日本海まで走る予定。
実際の走行ログがこちら。
標高的には今いる高山が一番高くて、ひたすら下り基調で日本海へと向かうことに。
だから今日は楽ができる予定だったけれど、あいにくの風向きで、なんと100km以上、向かい風の中を走ることになってしまって流石に堪えてしまった。
ロングライドをするために楽をする工夫っていくつかあるけれど、結局どんな高級機材も、どんな優れた脚質でも、風向きひとつで左右されるんだからままならない。ただそういう不確定要素があるから面白いのが自転車でもある、といつも思う。その度に考えたり工夫したり場合によっては諦めたり。電車や車移動では遭遇することのない刺激が溢れているから病みつきになる、と。
(ただ本音を言えば全部楽な方向に転がってくれた方が絶対に良い)
この日は黄砂がひどくて、せっかくの快晴なのに、アルプスの山々もこの有様。

やれやれ・・・。
と、気を落とす部分もありつつも、旅の朝はやっぱり格別。
体調バッチリ、気力バッチリ。
お宿の美味しい朝ごはんもいただいて(当然のようにお櫃ご飯が出てきたので朝から思いっきり食べてしまった)日本海までのライドスタート。
地図を見る必要もなく、国道沿いをひたすらに北上。そして下り。そしてスタートから向かい風。3m/s〜以上は吹いていたから、結局下りだったのに30km/h弱しか速度が出なかったからこの時点で頭の中では残り距離とペースを考えて体力のセーブ具合と使い所を決めた。
もちろん!せっかく飛騨地方に来たのだから、見るものは見ておきたい。
まず向かったのは飛騨古川。
飛騨高山が注目されるからどうしても見劣りがちというかほとんど注目を浴びていなかったけれど、「君の名は。」の舞台となってからは多少は知名度が上がったらしい。けれどやっぱりそこまで定着はしていないようで、この時も閑散とした雰囲気。
飛騨古川は高山駅からは北に向かって二駅の場所にある、古い街並み。「高山の奥座敷」とも言われているそうで、古くから陶磁器、建築、織物、糸細工などの伝統工芸が発達した地域で、今でも古風な古民家や神社が立ち並ぶ昔ながらの日本の景色が楽しめる場所。街中に引かれた水路もその情景を引き立ててくれていた。
特に何をするというわけじゃないけれど、ゆっくりと街中を自転車でぐるぐる回る。
知らない土地を巡るのはそれだけで面白い。
その土地土地の生活の在り方を垣間見たり、見慣れない建築物や商店を眺めたり、地元の人と少し話をしたり。観光、というと少しニュアンスが違う気もする。民俗学というと少し大袈裟かもしれないけれど、その土地の文化や毛色、特色に触れることはやっぱり純粋に好奇心を満たすという意味で面白い。ただただ観光地を巡るだけならVRでも事足りてしまう。パンフレットの確認作業をしに来たわけではない・・・なんて誰にも指摘されていないよもやまごとを無駄に考えたりしてしまうけれど、そういう時間が人生たまにはあってもいいと思う。
飛騨古川駅では「君の名は。」に登場したシーンを実際に見ることができる。
駅横に設置された高山本線を跨ぐための連絡通路から。
残念ながら電車は来てなかった・・・って考えたら当たり前で高山本線の電車なんて1時間に1本程度、しかも2番線に電車がタイミングよく来るなてそうそう・・・
と思ってふと目をやるとこんな張り紙が。
「まさかの5分後」
べっ、別に電車こみのカットを撮りに来たわけじゃないんだからね・・・!
と思いつつ千載一遇のチャンスなのでワクワクしながら5分間待ってるとやってきましたその電車。
ちなみに劇中のカットはこちら。
なるほど確かに2番線に列車が来てますね。
これに東京からはるばる新幹線と在来線特急を乗り継いできた瀧くんが乗っていたわけですね。
実際のカットはこちら。
いやまさか反対側からも列車が来るとは思わなかったよね。
これはこれでレアな瞬間に立ち会えてラッキー。
こうして見比べてみるとよく描かれているなぁと思うわけです。レール一本描写するにしてもちゃんと金属の質感が光の方向を意識して描かれているのがすごい。
ちなみに「君の名は。」の聖地巡礼は過去にしたことがあるのでよかったらその様子もご覧ください。
【君の名は。】聖地巡礼してきた。 〜名古屋駅、飛騨古川、気多若宮神社 舞台探訪〜閑話休題。
富山まで残り66km。
意外と近い。下り基調だから2時間くらいで着く・・・と言いたいけれど、向かい風が遠慮しないので3時間はかかるだろうと見積もる。+ちょっといつものことだから寄り道したり・・・ご飯食べたり・・・・色々してると4時間強はかかるかな、と判断して、念のために帰りの電車を調べておく。
うん、大丈夫、仮に4時間強かかっても、最終的には30分の余裕ができるはず。
というわけで、愚直走りのスタート。
左右を山に囲まれながら、隙間を縫うように通された道をひたすらにトレースする。
ずっと高山本線と神通川と併走したり離れたり越えたりしながら走り続ける。
くねくね道と多少のアップダウン。
コンビニがない地域での個人商店は旅人のライフライン。
そして情報収集の場所でもある。
そして淡々と走っていると気づいたら富山県入り!
この辺りで既に体力がイエローゾーンに入りかけてる感じがしていた。
向かい風、恐るべし。
とはいえ下り基調だからギリギリ持ってる。
景色は結構変化に富んでいて面白い。
ただただ山間部を走るだけかと思いきや、深い山もあればちょっとした集落群があったり、大きな橋があったりダムがあったりと、自然と生活の鬩ぎ合いみたいなものをたくさん見ることができた。
トンネルを越えたり
建設中の橋を見学したり
道の駅「細入」というところがあったのでお昼ご飯をいただくことに。
せっかくの飛騨地方・・・富山県・・・当然食べたいのは山菜や魚・・・
五平餅やみたらし団子も捨てがたい・・・
なんてことを考えながら物色していて思わず目についたのがこちら
押し寿司!
なんだけど、見てくださいごの分厚さ。
こんなのもう押し寿司じゃないわ!分厚いお刺身の乗ったお米よ!
というわけで美味しくいただきました。いや、実際、めちゃくちゃおいしかったです。
急に日本海側にやってきた実感が湧いてきた。
まだまだ海は遠いけれど。
この山景色。
さて、そもそも今回私がこうして旅に出た理由の一つが「ある景色」が見たいというものだった。
その景色と言うのが、冠雪した富山連邦、そしてそれを見ることができる遠景。
具体的には日本海側に面する富山鉄道、その駅の一つである「雨晴駅」近くの雨晴海岸から眺める富山立山連峰がとても美しいと聞いたことがあって、是非それを肉眼で見てみたいと思ったのがきっかけの旅。
条件に「冠雪」があると言うことから、見られる期間には限りがある。
もちろん冬場に行けばいつも見られる・・・のだけれど、日本海側の冬、それはすなわち鉛色の空が約束されているようなもので、私が見たいそれとは大きく異なるものだった。
というわけで、この季節にこの場所にわざわざやってきたのだけれど、午前中の写真にもあったような黄砂の影響でその理想とする景色ももしかしたら見られないのかも・・・・。
と少しばかりガッカリしていたのだけれど、北上するごとに空の色がどんどんと青くなっていった。
黄砂が風で吹き飛ばされたのか、すっかりと快晴模様の空が戻ってきて、私のテンションもどんどんと上昇していっていた。
そして山岳地帯を抜けて富山市内へと至る平坦区間に入った瞬間に景色が一変した。
「連峰は晴れているか」
富山立山連峰が目の前に現れた。
この景色を見た時、思わず声が漏れた。
このスケール感・・・望遠レンズの圧縮効果を使ってこそこんな写真になっているけれど、実際に肉眼で目の当たりにしたときの爽快感、美しさは、筆舌に難いものがあった。
圧倒的な山の高さ。そして距離。この景色を見るために・・・や、正確には海まで出ないと目的としていた景色は見られないのだけれど、それでもこの時点で、ああ、この旅は間違いなく満足にいくものになったと断言することができた。
春の陽気に包まれながら。
ロケーションがずるい。
絶景しかない。
目の前の景色が美しすぎて全然前に進まない()
のだけれど、前には進まないといけない。
にも関わらずさらに予定外の出来事が。
もう予定に入っておられるかもしれませんが、そのあたりから富山市内の方向に走られるのであれば八尾のまちなかは風景が綺麗ですよ。
— パティー (@PattyBikes) April 1, 2021
フォロワーさんから教えてもらった「八尾」という場所がいい感じらしい。
私は全然知らなかったのだけれど。
大阪に住んでいる身からすると「やお」としか読めないのだけれど、富山県のここは「やつお」と読むらしい。
距離的にも行けない距離じゃない。20kmほど延長すれば行けると分かったので、ちょっと立ち寄ってみることに。
八尾へ向かう途中の桜景色。
高山と比べると随分と暖かいのは気のせいじゃなかったみたい。
桜があちこちに咲いていた。
さて、八尾のまち。
富山市内からは16kmほど。
雨晴海岸までは35kmほど。
「おわら風の盆」が有名らしく、毎年9月1日〜3日にかけて行われるお祭りがあるのだとか。
時期になると街中をぼんぼりの灯が照らして、風情のある古い建物群と相まって、風光明美そのものなのだとか。江戸時代には宿場町、人や物資の移動拠点として栄えたらしく、蚕の育成や和紙作りで発達していったとのこと。
江戸時代から続く町並み。その片鱗を垣間見ることができる。
確かに歴史を感じるものがたくさんあったから、気になる人はぜひ立ち寄ってみて欲しい。
桜の季節ということで、この情景。
暖かい。癒される。時間がゆっくり流れている。
特に美しいのがこの辺り。
石畳の舗装と、古い建物が立ち並ぶエリア。
「日本の道100選」にも選ばれているのだとか。
加えて私が美しいと思ったのがこちらの石積みの垣。
住宅地を底上げするように積まれた石垣の端正っぷりに心惹かれてしまった。
自転車でグルグル回りながら、お店や神社を巡りながら、八尾を満喫。
教えていただいたフォロワーさんに感謝。
Twitterのこうした使い方、やっぱり自転車旅との相性は良いな、とたまにこうして再確認する。
さて、そんなこんなしているうちに、時間が差し迫ってきた。
雨晴海岸がゴールだけれど、当然ゴールと言ってもそこで終わるわけではなくって、大阪まで輪行で帰る予定だった。
ので、終電の時間がある。
写真撮ったり観光してたせいで思ったより時間がないことがわかった。
愚直ダッシュの始まりである(いつものやつ)
気合いを入れる。
50T×19Tのケイデンス 90オーバーだ!
と行きたいところだけれど、強烈な向かい風で思うように進まない。
思うように進まなくても進まないといけないのだから、そこはもう根性で踏むしかない。
強烈な向かい風の中、35km踏み続けた。
そしてようやく日本海側見えた時には思わずガッツポーズをした。
心なしか道路沿いの桜も祝福してくれているように見える(気のせい)(来週には散る)
というわけで日本海!!
朝には岐阜県高山にいたことが信じられない水平線が目の前に。
ぜっけーかな!だけれど、今回の目的はこちら。
どん!!!
富山湾越しの富山立山連峰。
これが・・・これが見たかったんだ・・・・
って、うん、肉眼で見て、これは肉眼で見る価値ある〜〜〜〜!と思った。
迫力がものすごい。
そして何より美しい。
シンプルに美しい。
600mm望遠レンズが欲しくなるくらいには美しい。
いや、これ、見られて本当に良かった。
実はこうして綺麗にこの場所から見られるタイミングとはそう多くないらしい。
時間帯やかすみ具合や天候、雪の残り具合などなど含めて。
この日も朝は全然見えなかったと、雨晴駅で話をした観光協会の人が言っていた。
ラッキーだったんだ。
大阪から岐阜県経由で遥々をやってきた甲斐があった。
雨晴駅とのコラボレーションも格別。
できたら電車も込みで撮影したかったけれど、その電車に乗らないといけない予定だったから断念。
とにかく無事にこうして目的の景色を実際にこの目で見ることができて感無量だった。
ミッションコンプリート。
そしてここからはローカル鉄道の旅。
JR雨晴駅から輪行。
自転車旅のもう一つの楽しみ、輪行旅。
ローカルな列車に揺られながら帰路につくことに。
駅舎の中に観光協会があって色々とお話を聞くこともできた。
ポストカードのお土産なんかもあったり。
海沿いを走るJR氷見線。
この車窓から見る景色も、ずっと心に残り続けると確信できる美しさだった。
金沢駅からはサンダーバードで大阪まで。
(北陸新幹線が延長したらサンダーバードも敦賀で止まってしまうんだろうか。
そうなったら新快速と変わらないんじゃないか・・・。)
サンダーバード 。
在来線特急の中でも一番好きな車両かも。
いつもこうして旅の始まりと終わりを飾ってくれるという意味で、思い入れのある車両。
今回の旅も掛け値無しの体験だった。
次は、またどこかへ。
終わり。
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