【岡山〜香川】ちょっと自転車で港町と美術と島巡りして来た【児島〜豊島】
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春麗な日々だ。
こうなったら旅に出たくなるのは抑えようがない。
ちょうど期間限定で新幹線も安いことだし、ちょっと岡山あたりにでも行ってこよう、と思ったからふらっと行って来た話。
こういう衝動的な旅をする時に新幹線はとても便利だし、さらに今は直前割50で大阪から岡山まで3千円で移動できるのだから、もはやハードルなんてないに等しかった。
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「岡山あたりにしようかなぁ」と考えた10分後には岡山行きのチケットを予約していたし、翌日の朝7時には新大阪駅のホームで新幹線を待っていた。
休日の朝ともなればそれなりに人が多いと思われるかもしれないけれど、意外と空いている。どうやら朝型人間というのは思っているよりも少ないみたいで、こういう時に朝型の自分はちょっと得した気分になる。研究では朝型、夜型は遺伝で決まる先天的なものというデータもあるみたいだけれど、もし本当にそうなら学校も会社もそれに準じる時間をもっとフレキシブルにしないとバランスが取れないのでは、なんて心配をしてしまうけれど、全然本気で心配していない。
今回は自分にしては珍しく日帰りにしようと決めていた。
最近宿泊旅が続いていたし、旅はし過ぎるとちょっと刺激が薄まってしまう気もするから。
結局この日はいろいろなトラブルがありながらも、なんとか日帰りで収めることができた。厳密には0時を回っていたから日帰りではない。0泊2日、というのが正しいのかどうかも分からない。
今回の旅の軌跡はこちら
こうしてみると我ながらなかなか大胆なルートを取ったと思う。
さて、新幹線。
こだまに揺られながら、「え、ここって新幹線止まるの?」と毎回驚く。
新神戸はなんとなくわかるけれど、西明石や姫路、相生にも止まる。しかも停車時間がそこそこ長い。車内販売がないこだまだけれど、これを利用して停車中に駅のホームの売店で朝ごはんを買って車内で食べた。サンドイッチとコーヒー。取り立てて美味しい!というものではないはずなんだけれど、旅の朝に食べるご飯というのは無条件に美味しい。ブーストかかってる。
岡山駅からは在来線に乗り換えて児島という駅まで乗り継いだ。
乗り換えるときになんちゃらライナー的な名前がついていて、特急券がいるのかどうか本気で分からなかった。どうやらこの列車、最終的には香川県の高松まで行くらしい。
関東に行った時も伊豆に行くときにそんな体験をした気がする。何せカッコいい名前が付いている列車は特急券が必要なイメージだから。
結局ドキドキしながら乗っていたけれど、特に何も要らないみたいだった。
車内アナウンスを聞いていると、どうやらそういう車両もあるみたい。つまりグリーン車的なところに乗るためには別途チケットが必要だと。なるほど近鉄方式。
児島駅に到着。
思ったより寒くて、気温は3度くらいだった。
天気予報をチェックすると、8時の時点で3度だけれど9時の時点では10度予想だった。なるほどこれから1時間で7度も上がるのかぁ・・・
なんて信じられるわけもなく、輪行用のジャケットも羽織ったまま走り出すことにした。
児島駅は綺麗で大きい。そしてジーンズのPRがすごい。そういえば岡山といえばジーンズが有名だし、その最たる場所がここ児島だったっけ、と思い出す。
ビンテージ物というのはなんとなく分かる。
オタクだからどうみてもキルラキルのあれにしか見えなかった。
特に今回はそこを深掘りするつもりもなかったから、それらしい展示物の写真だけ撮ってささっとスタート!
児島駅からは鷲羽山方面をぐるっと回って下津井を見てから玉野市へ向かおうと思っていた。
つまり海沿いを走るだけ。
この辺りを走るのに地図は必要なく、たいていの場所から見える瀬戸大橋と瀬戸内海を目印にしていればそれで良い。中国地方のこの構図が個人的にとても大好きで、多島海と山に挟まれたこのエリアは景色の変化がとても穏やかでダイナミックで見応えたっぷり。好き。
思っていたよりもアップダウンが多い。
海沿いの道って平坦路ばかりかアップダウンの連続かのどちらかだけれど、鷲羽山界隈は程よくアップダウンの連続。
右手にはチラチラと瀬戸内海の青が、木々の間から見え隠れ。
交通量は少なく、借り切りみたいな道路を走る。
それだけでなんだか気持ち良い。
タイヤの空気圧も、変速の調整も、TADA車とのシンクロ率も、いつも通り全部が整っている。
天気も晴れ、雲一つない。
風向きは追い風。とても調子が良かった。
今回は真面目に走るつもりなんて全然なかったから、ヘルメットとシューズ以外はカジュアルウエアそのものだった。
多分このまま登山しても違和感ないような感じの。
だけど気持ち良くてついつい踏み込んでしまう。
どこを走っていても瀬戸大橋がよく見えた。それほどまでに巨大。とにかく橋の長さと高さがとんでもない。気になる人は調べてもらったら分かるけれど、世界一と呼べる数字と技術が詰め込まれている。何せここから四国まで橋でつなげてそこを車だけではなく列車も通るのだから凄まじい。大型のタンカーも通過できるように高さも半端ない。
思い出した。マリンライナーだ。本州から四国まで列車に乗って移動することができる唯一の手段。瀬戸内海を列車で渡るなんて、人類半端ない。確か一度だけ列車に乗って渡ったことがあるけれど、その時車窓から見た景色、生憎の曇り空だったはず。晴れの日に乗ったら絶対気持ち良いんだろうなぁと思う。
下津井という街にやってきた。
実は調べていたわけではなくって、たまたま出くわした。
ぱっと見では全国各地にある港町だったけれど、よくよく見ると歴史的に長そうな雰囲気を纏っている建物や看板が多く、直感的に「あ、懐かしいな」と思える場所だった。
別に幼少期を港町で過ごしたわけではないのに、潮の香りとか、桟橋の軋む音、海鳥の鳴き声、狭い路地に軒先で眠る猫、そういったいろんなものがそこにはあって、ノスタルジックな雰囲気があった。
観光要素もあったから気になる人は立ち寄ってみて欲しい。北前船文化にここでも触れることができる。海沿いを旅していると結構な割合で出てくる北前船。廻船業者。昔から「移動」や「運搬」はロマンがあったんだなぁと実感する。
ちなみにここが瀬戸大橋のほぼ真下に位置しているから、迫力がものすごい。
大きすぎて普通のカメラじゃ画角に収まらないレベル。
このどこか懐かしい港町と、最新技術が惜しみなく投入された瀬戸大橋の織りなす情景。
これを見ることができただけでも来た甲斐があると思った。
けど旅はまだ続く。というか始まったばかり。
ここからは玉野市方面へ国道430号線をひたすら東に向かって走る。
つまり海沿いを突き進むだけのシンプルプラン。
「玉野シーサイドロード」と名付けられているらしいこの道は、確かに文字通り海沿いの道だったし、車やバイク、自転車のドライブ〜ツーリングスポットとして人気なのが良く分かる場所だった。
海沿いギリギリまで道路が引かれているおかげで、眺望がとても良い。
それにちょっと嵩上げされているから視界も広い。
街を抜けると
こんな景色なのだから岡山の海沿いってばロケーションが良すぎる。町からそんなに遠くないし、住環境と自然のバランスがちょうどいいなぁって思う。
例に漏れず瀬戸大橋を眺めることができるけれど、ここから見る瀬戸大橋はさっきまでの大迫力とは違って全体を俯瞰して眺める感じ。
改めてその長さに驚くばかり。
東に向かう目的は宇野港へ行くため。
もっと言うならそこからフェリーに乗って「豊島(てしま)」へ向かうためだった。
海沿いを走るだけでも良かったのだけれど、離島に行ってみたいと言うのが今回の趣旨。
そしてこの辺りで訪れたことがない離島が豊島だったから。
宇野港に到着するとフェリー出港時間まで10分しかなかった。
思ったより途中でゆっくりしすぎていたことに気づいた私は窓口で急いでチケットを買って乗船。
初めて乗るフェリー。
初めて向かう島。
それだけでワクワクしてしまう!
乗船時間は40分くらい。特にすることもないけれど、この日はとても天気がよく、そしていい感じに暖かくなってきたから、豊島の家長港に到着するまではずっと甲板で過ごした。
椅子に腰掛けてただただ流れていく島を眺める。
それだけといえばそれだけなんだけれど、とても贅沢な時間のように感じた。
考えるのはお昼ご飯のことくらい。
豊島に到着するのがちょうど12時くらいだったから、島内でどこか食べられる場所を探して食べようと思った。
いつのも生活はどうしても考えることが多いから、たまにこうして頭を空っぽにする時間がやっぱりありがたい。空っぽと言いつついろいろ考えてるんだけれど、なんと言うか自由な感じ。考えてるんだけど考えてない。浮かんでは消えて流れていく。瀬戸内海を船で移動しているといつもこんな感じになる。
豊島ではすぐに下船するよう伝えられた。
アナウンスに従って船から降りて振り返って写真を撮ろうとしたときにはもう出航するところだった。
本当に早い。
バスの停留時間と大して変わらないレベルですぐに船が過ぎ去ってしまうと、あたりは一瞬で静かになった。
あとで気づいたんだけれど、豊島、実は香川県に分類されるらしい。
住所は小豆郡。ってことは小豆島と同じってこと。意外。
一緒に降りた乗客は10人以下だったはず。
1分も経たないうちに私だけになってしまった。
錆びて放置された自転車、誰かを待っているまま朽ち果てたベンチ、漁師が使うのだろうか桟橋の近くに置かれたままのバケツ、プロパンガスが並んだ小屋、余計なものは不要と言わんばかりのシンプルな電灯。そんなものが佇んでいた。
豊島は、小さな島だった。
地図を見る限り、一周しても20kmくらいだったはず。
次のフェリーはもう少し東に位置する唐櫃(からと)港から。
4〜5時間後。
この島を探索する時間があるから今回はカジュアルウエアだったし、足元もいつものスピードプレイではなく、SPDシューズだった。
せっかくだから隅々まで走ってみようと言うことで、隅々まで走ってみた。
個人的に一番気に入ったのが「家浦八幡神社」
森の入り口とも呼べるような佇まいの鳥居に惹かれて入ってみると、まぁとにかく古い。
看板を読んでみると詳しいその始まりは不明。
ただ鎌倉時代の史料にはすでにその名前が記されていたのだとか。
そして鎌倉時代以降、江戸時代と思われる石造りの灯篭や鳥居が今でも残っていた。
離島の静かな田園風景からこの神社に入って思ったけれど、何もかも雰囲気が違う。
音も光のせいだろうか。
大抵、心霊スポットとかパワースポットと呼ばれる場所も、よくよく観察してみると、そこだけ気温の変化があったり、遮蔽物や反射の関係で明るさやトーン、彩度が変わっていたり、音の響き方が違っていたり。要するに五感の感じ方に何かしらの変化を与える要素がそこにあると言うこと。
それらを情緒的な言葉にしたのが心霊スポットやパワースポットの類だろう。
名前はともかく、実際にそこに訪れて感じることには価値があると思う。
何せこればっかりは体験しないことには分からないことだから。
お腹が空いたから移動することに。
道中の景色のどれもが穏やかだった。人生これくらいの情報量でちょうどいい。
豊島を走るのに、道の選択肢はほぼない。
右回りか左回りか、くらいで、メインと呼べる道路は一本だけ。
この島で最も栄えているらしい豊島美術館のある方向へ走ることにした。
道中、ついつい立ち止まって写真を撮ってしまう景色ばかりだった。
走っていると、海沿いに長倉庫のような建物が現れた。
白塗りの外壁で、ガラス張りの向こうには海が見えて、そこに椅子とテーブルが並んでいた。
うーん、お洒落。
「海のレストラン」と書いてある。
ちょっとお洒落すぎる気もしたけれど、メニューに書かれているピザの豊富さに心惹かれて入ってみた。
雰囲気味わう系のレストランかな?と思ったけれど、実際にピザマルゲリータを食べてみると、まあこれが美味しいのなんの!
テラス席で瀬戸内海を目の前にしながら食事ができるってだけでもずるいのに。
食材にも拘っているらしく、野菜もチーズも良い味してる。
石窯で焼き上げられる本格ピザを食べたい人にはおすすめ。
ちょっと高いけれど、2人以上で行くならちょうどいいはず。
ディナーコースも予約して食べられると知って、これは絶対また来ないとダメだな、と思うお店がまた一つ増えてしまった。
お腹もいっぱいになったところで、「さあ隅々まで走るぞ!」
と決めていた私はとりあえずは海沿いをへばりつくようにサイクリング。もう速度も時間も関係ない。
ただただ景色を堪能するだけ。
ツーリングはこれくらいがちょうどいい。
さて、続いては海沿いの道から一旦離れて島の中心にそびえる檀山を登ることに。
「グーグルマップ上は」道があるし、東西方向に通り抜けもできるみたいだから、島の外周部とセットで走ったら豊島コンプリートできるな!と思って軽い気持ちで登ってみたら
えらいこっちゃ
どうみてもグラベルロードで楽しい道です。
本当にありがとうございました。
続く。
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