【奈良〜三重〜和歌山】ちょっと自転車で大台ヶ原ヒルクライムしてそのまま太平洋にダウンヒルしてきた
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と、言うわけでこの辺り(近畿)では一番高いところ。
大台ケ原までヒルクライムしてきました。
なんでゴールが太平洋なの??馬鹿なの???
とりあえず先に今回のルートを。ストラバよりログ。
距離152km
獲得標高 3,484m
走行時間 5時間49分
平均速度 26.3km/h
気温 18℃〜5℃
結論:玄関出るときには想像していなかった辛さ
いや、そもそもね、本当は大台ヶ原ヒルクライムした後はそのまま大人しく大阪方面に下る予定だったんですよ。でもね、大台ヶ原の山頂で地図開いたらね、近く見えたんですよ、太平洋が。
・・・。
・・・・・近くなかった。
だけど、それ以上に楽しかった。本当に楽しかった。行ってよかった。そんな旅でした。
今回の撮影機材。
CANON EOS6D Mark2 フルサイズデジタル一眼レフ
TAMRON 28-300mm F3.5-6.3 Di VC PZD A010E
大台ヶ原は別名「関西の屋根」とも称される奈良県と三重県にまたがるとても高い山です。具体的には標高で言うと1,696m。関西でここまで高い山は滅多にないし、それに自転車で実際に山頂(厳密には山頂じゃないけれど、ほぼ同義)まで行ける山っていうのも珍しい。実際には自転車で行けるのは山頂駐車場で標高1,580mくらいのところ。それでも十分高い。それに・・・高さ以上のね。高度感もあって……。
さて、自走で向かっても良かったけれど、高い山はなるべく早い時間に到着しておきたい。理由としては時間が経つにつれてガスが発生するから。視界が悪くなる可能性を嫌って、なるべく早く到着できるように近鉄電車の大和上市駅まで輪行することに。
大阪からだとね、便利なんです。近鉄って。特に和歌山とか三重方面に向かうには最高の選択肢。今回の路線は近鉄電車の吉野線で、大阪の始発駅は「大阪阿部野橋駅」というとピンとこない人が多いかもしれないけれど、要するにそこはもう実質天王寺駅と同義。天王寺駅と道路を挟んですぐ南側にある駅で、ここから吉野方面へ電車が伸びています。
乗車時間と到着時間の兼ね合いを見て特急列車を選択。大阪阿部野橋駅から大和上市駅まで1時間20分くらい。これで大台ヶ原ヒルクライムをするための最寄り駅まで輪行ワープすることが可能。最寄り駅と言っても山頂までは55km、標高差も1,500mはあるのだけれど自走するよりは随分と体力と時間を節約することができる。
まだフロントライトが必要な時間帯の大阪市内を南へ。この時間は交通量も少ないし、いつもなら路上駐車が当たり前な道路もすっきりとしていて逆に違和感を感じるくらい。けど、朝早く、眠い目を擦りながらも、旅をするためにまだ眠りについている街を駆け抜ける時間というのは、何物にも替え難いと個人的に思う。
近鉄は「チケットレス特急券」というのをWEB上で予約・購入することができる。言うなればJRの「e5489」だとか「EX予約」みたいなもので、会員登録して希望の列車の特急券を購入すれば、当日は乗車券のみで乗車できるというもの。そして今や乗車券というのは、私にとってはあってないようなもので、つまりiPhoneにモバイルSuicaを入れているから、改札ではiPhoneをかざすだけでOK。つまりここ最近券売機に触れることがなくなった。そして路線図の料金表を見ることもなくなった。
旅をするなら、輪行をするなら、この辺りのデバイスの整理とインストール、環境構築は必須だと思う。旅のスマートさがすごい。輪行中は手が塞がることも多いし、券売機で切符を買うために毎回自転車を降ろしてまた背負って……というのも大変だから。一方であの路線図から目的地の運賃を探すときのなんとも言えないワクワク感というか旅の始まりの儀式がまた一つなくなるのは寂しい気がしなくもないけれど。
車窓の景色は曇り模様。時折晴れ。思ったよりも天気が良くないのかもしれない。
大和上市駅に到着しても天気はあまり良くなかった。
けれど、今だけだと信じる。
天気図を見る限りではあと2時間以内には高気圧が打ち勝って雲を退けてくれるはず。
大和上市駅では多くの登山客がバスを待っていた。どうやらここからバスで大台ケ原まで行くこともできるらしい。距離55kmと考えると結構な長旅のように思えるけれど、こっちは自転車なんだからお互い様どころの話ではない、かも。とりあえず、粛々と大台ケ原へむけてスタート。
ロードバイクだったら…そしてそれなりに平地巡航と上りがこなせる人なら、3時間もあれば到着するはず。距離55km、標高差1,500m。獲得標高2,000mくらい。道中のコンビニはゼロ。休憩所が1箇所前半にあるのみ。後は自販機すらない。けれど大台ケ原の山頂駐車場まで登りきって仕舞えばレストハウスがある。
想定時間3時間弱。ひたすら登り基調。距離55km。けど山頂にはレストハウス。
「(……ノンストップかな)」
と、このときになんとなく決めた。
この感じだったら休憩を入れることなく登り切ったほうが楽だと思った。
結論から言うと実際に休憩なしで大台ケ原の山頂駐車場まで補給なしで登り切ることができた。
かかった時間は2時間47分。
スタートしたのが8時30分くらいで、到着したのが11時20分くらい。
走り始め。思ったよりも寒くないな、と言うのが第一印象だった。
言っても、もう、11月も終わり頃。
昨年だったらもっと寒いはずだったけれど、今年の秋はとても長い。
冬がやってきそうで、なかなかやってこない。嬉しい限り!
ちなみにもう最初から奈良県。そう。ここは奈良県。その奥の奥。だけれどこれから向かうのはそのもっと奥。
最初の5分も過ぎれば、後はもうひたすら山間部、吉野川沿いの渓谷を貫くように作られた国道169号線をひたすら南下。そしてじわじわとヒルクライム。
明らかに生駒山脈だとか箕面の山とはスケールが違うことに気がつく。
木々はより大きく、そして深い。
川の水は透明で、触れなくても冷たいことがよくわかった。
人工物は少なく、お店は皆無。
早くも紀伊山地に踏み入れたときの少し畏怖が混じったような緊張感が心地良かった。
ただただ走るだけのサイクリングコースとは根本的に違う。
優しくない。けど、だからこその期待値の高さ。
いくつものダムを越える。ダム好きにはたまらないルートだと思う。
最初は本当にどんより雲で、遠くに見える山の上は深い霧に覆われていた。
「下手したら雨が降るんじゃないか?」
とさえ思ったけれど、自分に限ってそんなことはないと信じる。
それに天気図はしっかり見てきたから大丈夫なはず。
けど不安が拭えなかったのは、大台ケ原という土地が日本では屋久島の次に年間降雨量が多い土地だから。それくらい雨が降る。大台ケ原という土地はかつてのプレート同士がぶつかって隆起した山岳地帯で、紀伊半島の天辺。つまり大きな目線で見ると海に囲まれてた半島の天辺にあたると言うことで、二つの海域に挟まれる、山岳地帯、上昇気流、ともなれば雨が降るのは自然の摂理。
だけれどやっぱりそれは杞憂に過ぎなかった。やったぜ!!
一気に晴れ間が広がった。もうこれは絶対大丈夫と言う気になることができるくらいの変化だった。
結局この日は終日、晴天に恵まれることになる。
大台ヶ原ヒルクライムは言うなれば「二段階方式」のヒルクライム。
まず最初はこの国道を使ったアプローチのためのヒルクライム。
標高760mまで33kmのアプローチ。
きっちり1時間30分かけてここをまずはクリアー。
ここからいよいよ本格的な上り区間の始まり。
距離は17km。
標高差は1,000m。
もうすでに1,000m弱登ってるけれど、不思議と一切疲れていなかった。
前日に食べた大盛りご飯のおかげだろうか。
それとも体重が落ちに落ちて54kgに差し掛かっただからかもしれない……。体脂肪率はなぜか8%くらい。おかげで登りが最近とても軽い。その分、平地がすごく遅いけれど……。
ちなみに当然だけどここまで補給もないしここからも山頂まで補給できない。
つまり十分に注意されたし、と言うこと。
特に夏場なんて水分補給さえ許されないような場所だから。
ハンガーノックになっても助けてくれる自販機もお店もない前提で「そんな装備で大丈夫か?
「大丈夫だ、問題ない」と必ず自問自答してから登ろう!と言うことです。
このときの私はと言うと「はやく良い景色が見たい!!!!」の一心でテンションマックス状態で登り始めた。もう楽しくて仕方ない。だってこれだけ晴れてるんだから、もう絶対良い景色が待ってる。体力も時間も天気もオールグリーン。後は楽しみだけ。うーん、たまんない。
徐々にペースを上げて心肺もようやくエンジンかかってきた。
大台ヶ原の魅力は・・・なんと言ってもこの景色。
ぜっけーかな!!!
ぜっけーかな!!
山の稜線沿いに道がある。
おかげでずっと右手にこの景色を見ながら走ることができる。
標高が高いだけの山ならいくらでもあるけれど、この景色を見ることができるのは、とても貴重だと思う。
この地形もプレートの地殻移動で出来上がったのだからすごい。海洋プレートがユーラシアプレートの下に潜り込む際に、海洋プレートの堆積物やチャートがユーラシアプレートの「縁」に押し上げられて隆起してできたのがここ大台ヶ原と言われているのだとか。当然隆起したのだから相対的に崖ができる。
事実、南側と西側には1,000mもの落差を抱える深い谷底が形成されて、今私が走っているのがその隆起した山岳に作られた道路であり、ガードレールの向こうは谷底だ。
名前も知らないけれど、雄大な山々が対峙している。
そう、ここの特徴を挙げるとすれば「山と対峙しながら登る」ことだと思う。
目線の高さに1,000m越えの山々が対峙してくる。この迫力はちょっと他では味わいにくい。
少なくとも関西サイクリストにとっては日帰りでアクセスできる場所の中では絶景度はトップクラスだと思う。もちろん長野や岐阜まで行けばこう言った景色もあるにはあるけれど、でもやっぱり微妙に違う。雨の量が大きく影響しているはず。生態系、食性が違うので。
ちなみにこの日のトピックスをあげるとすれば「強風」
この大台ヶ原の稜線を登っている間、ずっと恐ろしいくらいの強風が吹いていた。
幸いにも剥き出しになった稜線の反対側から風が吹いていたから、ちょうど左手の山が風除けになってくれた。だから直接風を受けることはほとんどなかったけれど、それでも山を越えてほぼ目の前を通過していく雲の速さが、まるで踏切待ちをしているときに通過する電車のように、一瞬で流れていく。
時折、猛獣の咆哮のようなものすごい「ゴオオオオ」と言う音も鳴り響いていた。
これは原理を知らない人が聞いたら確かに伝説の生き物がいると語り継いでもおかしくないかも……と思えるくらいの音だった。
これがもし稜線側から吹いていたら、割とリアルに途中で撤退していたかも。
つまり、大台ヶ原ヒルクライムをする時には理想の風向きは「北風」で「南風」の時には注意されたし、と言うこと。メモ。
さて、絶景と坂に悶えながらも、登ること1時間20分。
無事に大台ヶ原山頂駐車場に到着!!!
やったぜ!!!
寒い
登っている最中も、写真を撮るために停車した時に気付いていたけれど……
実際GARMINの気温表示も大概な数字を叩き出していたけれど……
まさか「5℃」とは。
流石に生足は寒かったし、上も夏用インナーに長袖ジャージだけだったから、輪行兼防寒用のズボンとウインドブレーカーをまずは着込んで体温保持。
そしてレストランでお待ちかねのご飯タイム!
うまー。
ありがてえ……温かいごはんがこんなにも美味しいなんて……。
感謝。
さて、腹拵えもしたところで、じゃあダウンヒルをするだけか〜〜〜と思いながら何気なく地図を眺めているとあることに気づいた。
そして思い至る。
「(……まだ時間あるし、頑張ったら太平洋、見に行けるんじゃないか……?)」
行けるんじゃないか・・・???
こう言う思考に陥ったらもう止められない。
それは自分が一番よくわかっていた。
後半へ続く。
体感気温0℃近いダウンヒルの開始だ!!!
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