【三重県】裏パールロードを往く。名もなき景色を経て安乗埼灯台へ。【伊勢〜賢島】
伊勢, TADA車, クロモリ, 聖地巡礼, 輪行, ロングライド, 写真, 自転車, 1day,最後にこんな景色が待っているのだから、自転車旅はやめられない。

ひょんなことから始まった輪行旅。
終わってみれば満足度としてはこれ以上ないくらいの旅。
朝寝坊から始まった今回の旅だけれど、伊勢河崎をゆっくりと巡ることができてすっかりほくほく気分の私。その気分のままに、旅を続ける。正直なところ、そのまま伊勢市内を観光して帰っても良いくらいの満足度だったのだけれど、せっかく天気も良いし、時間もあったから、ゆっくりと南へ進路を取ることにしました。
目指すは賢島。近鉄の終着駅があるところ。伊勢からまっすぐ走れば40kmくらい。半島の先、というわけではないけれど、最果て感が少しだけ感じることができる場所。独特の雰囲気があるところへ。いざ。

夫婦岩を通過する。チラッと立ち寄ってみたけれど、相変わらずの美しい景勝地。この日は風が強くていつもの和やかな感じではなかった。荒れた海。風が強くて、自転車で走るにはちょっと辛い、、
伊勢から賢島まではパールロードと呼ばれる快走路を走る。
過去に何度か走ったことがあるけれどとにかく景色が良い。
距離としては30 km ちょっとだけれど、その間ほぼすべて全区間において海沿いを走る。左手には常に海。多島海、そして水平線。海沿いを走る気持ち良さを、そっくりそのまま表現したような道がパールロード。
けれどいつもと同じ道を走っていては面白くないので、今回は裏パールロードを走ることにしました。「裏」パールロードとは私が勝手に言っているだけで通称でも何でもない。県道で言うと750号線のことで、このブログ記事の最後にアップロードしているストラバのデータを見てもらえればわかるけれど、ちょうどパールロードと並行するように、厳密には蛇行しながらだけれど、行き先は同じ。
この県道750号線の上から見る景色がわたしの好みにドンピシャだった。
漁村風景もどこか伊勢らしいそれ。
パールロードとの重複区間。走っていれば必ず通るのがこの「麻生の浦大橋」。構造に注目してもらえば、地味に魅力的な橋であることがわかって貰えると思う。とにかくフォルムが美しい。セクシイ。
牡蠣の名産地でもあるこの界隈。
至る所に牡蠣小屋を見ることができます。
どこか懐かしさを感じる漁村風景が広がります
生きていく上での目の前の情報量、これぐらいで良い。
とまあこんなふうにひたすらのどかな景色が続きます。こういう景色の中を走っていると、ロードバイクに乗ってるけれど、正直速度とか距離とかどうでもいいことのように思えてくる。波の音、海の香り、ゆっくりと移ろいでゆく景色の変化をただただ楽しむだけで、心が満たされてゆく感覚。たまりません。
ちなみに今回の旅からまた望遠ズームレンズを携行することにしました。
最近まではずっとCANON EF24-105mm F4Lを愛用している私。カメラレンズって不思議なもので・・・たまに浮気したくなる。実は自転車よりも歴が長いのだけれど、こう見えて一通りのレンズを使ってきた。広角レンズは10mm側から、望遠側は500mmまで・・・。絶対的な画角があるわけじゃない。場所やシチュエーションによるから。けれど携行するレンズの画角によって旅の視線が変わるのは間違いない!と思うのです。今回は完全に望遠視線を持ちながらの旅でした。
こういう景色が好きすぎる2020年下半期ノミネート写真。
実際にこの景色に出会った時は心が震えた。言ってしまえばなんてことない景色だけど、自転車旅の中で印象に残る景色というのは、得てしてこういう所だ。有名観光地じゃない、ガイドブックにも載っていない、けれど旅のハイライトと言ってもいい景色が、日本中にたくさんがある。それに偶然出会えた時の喜びといったら筆舌に難しいものがあります。
この地区は海に迫り出したような道が多くて、立体感があって、奥行きがあって、海を下というよりは目の前のスクリーンに写しながら走るような・・・そんな道。都会の喧騒?もうそんなのすっかり忘れてしまった。ここには余計なものが何もない。
瀬戸内海ブルーのTADA車と鳥羽湾ブルーの共演。
ちなみに使用しているレンズはタムロンの28-300mm
タムロンレンズの汎用性の高さが好き。サードパーティメーカーという意味ではよくシグマと比較されるけれど、個人的にはタムロンの柔らかい描写が好き。シグマはパリッと。タムロンはフワッと。XR Di VC搭載で自転車旅中の雑になりがちな撮影下においてもうまく助けてくれる。補正してくれる。助かる〜〜〜。
さて、しばらくこんな風に超絶ローカルな道をひた走る。路面状況はよくないけれど、走れないことはない。ちなみに車は結局一台も通らなかった。犬の散歩をしているお婆さんが一人いただけ。なんだか寂しくなるけれど、独り占めしているような気分に。
と、後から気付いたのだけれど、ここ、自転車道と繋がっていたようで・・・。
聞いたこともないような磯部大王自転車道というサイクリングロードだったようで。大王崎の手前くらいまで伸びているっぽい。全然知らなかった。これは便利かも。決っして快走路ではないけれどね・・・。
こんなんなので。
時刻は16時。この季節の16時ともなるともうこんな空。思い出した。そういえばもうすぐ11月だもんなあ。日本に四季があって良かったと、思う。こんなふうに変化を楽しむことができるというのは贅沢なことだと。
最後に向かうのは安乗崎。
こうしてみると結構辺鄙な場所。半島の先っちょ。今まで何度かスルーしたことがある。というか、普通に旅していたら立ち寄ることはまずない、、と思う。何せ特に何もないのだから。あるのは灯台だけ。
地図ではそれだけだった。
だから私は灯台「だけ」に期待して行ったのだけれど、この辺りの情景が思った以上に良い雰囲気で、たまんなかった。
時刻も手伝ってくれた。港町、その先、灯台の道へのアプローチが美しかった。
溺れ谷。的矢湾。
写真で伝えるのは絶対無理だろうな、と思いながら撮影。この時の空気感が、鳥肌立つくらい、良かった。秋の夕暮れ特有の少し寂しさを帯びた光と気温と空気と、静かな、だけれどものすごく深くて広さを感じさせる海。浸食された岩壁。人工物はほんの少し。自然の美しさと力強さをひしひしと感じるこの瞬間が今回の旅のハイライト・・・かもしれません。
さて、楽しみしていたのがこちらの安乗埼灯台。かつては木造、今はコンクリート造り。灯台ハンターとしてはかつての木造を見たいのは山々だったけれど、こうして形を変えながらも今もその役割を果たしているその健気さがたまんない。全国で16しかない「登れる灯台」としても知られている。いや、一般的には知られていないかもしれない。これも灯台ハンターとしては外せない灯台の一つ、なので。
そういえばこれでいわゆる「志摩三崎」を制覇したことになった!この伊勢志摩海行きは豊富な海産物が取れる良港が多い一方で、岩壁、岩礁が多くて昔から座礁する船が多かった。つまり「海の難所」として船舶関係者の間では有名な場所で、それがこの安乗崎と、あとの二箇所は大王崎と鎧崎。
それぞれブログ記事にしているので良かったらどうぞ
鎧崎灯台を含む記事
大王崎を含む記事
【三重県】ちょっと自転車で伊勢志摩ツーリング〜大王崎を目指して〜夕焼けに照らされる安乗崎灯台。この時間に来て良かったと思える瞬間でした。
ちなみの安乗崎は灯台なしにしても、気持ちの良い場所。
海に向かって開けた草原のような広いスペースが広がっていて、開放感がものすごい。海もきれいに見える。串本潮岬や尻屋崎を彷彿とさせるロケーション。
時間も夕暮れ。グラデーションの美しさに目を奪われてしまいました。
言葉もいらない。ただただこの時間を堪能し尽くしました。
堪能している間に帰りの電車まで残り50分と気付いて賢島駅まで愚直ダッシュを決めることに。
距離としては15km。間に合う。大丈夫。大体のペースはわかる。
賢島駅に到着。
帰りの近鉄特急が夕暮れの中に佇む姿。格好良い・・・・。
実は今回の旅、現地に降り立っていたのはわずか6時間。
12時に伊勢に到着してこうして18時過ぎには賢島から撤退を決めている。
けれどわずかな時間だけれど、こんなに満足度の高い旅ができる。そういうことを久しぶりに再認識した良い1日でした。
次はどこへ行こうか。
終わり。