【夏の四国九州旅】ちょっと自転車でUFOライン瓶ヶ森林道を悶え苦しみながら登ってきた【東予港〜UFOライン〜八幡浜】

神楽坂つむり

四国, TADA車, 自転車, 写真, ロングライド, 輪行,
知らない天井だ。

よく寝た。
いつもの朝・・・いや・・・いつもと明らかに違う。

揺れている。周期的に。寝ているとよく分かった。
思い出す。ここは海の上。船の中。大阪から愛媛へ向かうオレンジフェリーの中。
部屋の窓からは海と港と青空が見えた。血圧が上がるのを感じた。

いざ!

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船旅の様子はこちらをご覧ください。

今回の装備紹介。
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TADA no.276  オーダークロモリフレーム
SRAM eTAP AXS専用フレーム 油圧ディスクブレーキ仕様
ENVE×CHRISKING HUB +Panaracer RaceD EVO4 28C
アピデュラフレームバッグ+オルトリーブサドルバッグL
夏場の山岳ツーリングということでツール缶を廃止して、2ボトル体制に。
ライトはキャットアイVOLT800、テールライトはMOON。
サイコンはGARMIN EDGE530。

荷物内訳
フレームバッグ→三脚、補給食、財布、iPhone、マスク類、電子機器
サドルバッグ→輪行袋、着替え一式


今日のルートはざっくり説明すると

愛媛県東予港
ヒルクライム開始
瓶ヶ森UFOライン
(ここで次の行き先を決める。結果としては次の案が採用された)
八幡浜
フェリー
九州入り(大分県別府市)

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つまりこの日の夜には私は別府の街で温泉に浸かることになるのだけれど、この時は想像もしていなかった。昨日の夜は大阪にいたはずなのに。


長い長い1日が始まる。



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いきなりヒルクライム開始。

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もう船から降りるときに分かっていた。登るべき山々が、まるで行く手を立ち塞ぐように聳え立っている。四国山脈のお出ましに思わずテンションが上がる。少しの期待と不安。どんな景色が待っているのだろうか、という期待。一体どれだけ険しい道が待っているのかの不安。ちょうど五分五分くらいだったけれど、時間的余裕を見て少し不安は軽減されたかも。

朝の空気が気持ち良い。天気が良いことはもう間違いない!
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今回はオレンジフェリーを利用したおかげで6時半にはスタートできた。他の交通機関じゃなかなかこうはいかない。自転車旅において最も有効なスケジュール策は「スタートを早めること」速く走ることには限界がある。車みたいに簡単にはいかないし、速く走った分の代償が自分に降りかかる。

四国山脈の走り方は心得ていると思う。それは過去に何度かやらかしたことがあるからそう言える。
3回訪れた四国カルストでは毎回苦しめられたので!四国の山を走る時の主な対策すべき点は

「補給」
「体力」
「時間配分」

の3点。これらを普段ツーリングする時の3倍は気をつけないと、大変なことになる。どれか一つでもショートしてしまうと、これが結構辛い。
ので、今回は十分な余裕を持って挑むことにした。具体的には補給食の量と、ペース配分。

もはや四国ツーリングではお約束の「最初で最後のコンビニ」でがっつりと補給食を買い込む。多少余ってもOKの気持ちで。しっかりとその場でも食べて飲む。準備を整えていざスタート!

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夏の空気に溢れていた。

けれど都会のそれとは全然違う。
山、川、田園風景。それらが織りなす夏の景色はビル群では表現できない音と匂いを孕んでいた。
虫の声も風の音も土の匂いも全部気持ち良い。
最初っからおおよそ3%の登りで、途中で5%になったり8%になったり。これが大体3時間くらいは続いた。何も知らないでこのコースプロフィールだともう吐きそうだけれど、知っていたから大丈夫。どんな道でも知っていれば調整する余地がある。大丈夫。ゆっくり行こう。


四国山脈を走るときには補給の少なさがネックだけれど、ただ水源は豊富で湧き水もたくさんあるから、水分補給という意味ではそれなりにチャンスがある。
今回も要所要所で自然の水をいただくことで事なきを得る場面がたくさんあった。
それがもうとにかく冷たくて気持ち良い!

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真夏だったけれど、そもそも時間帯と山岳地帯ということもあって、ほぼ日陰を走ることができたのも大きいと思う。9時にUFOラインの入り口に取り付くまでに7割以上は日陰を走っていたと思う。これが炎天下だと思うとゾッとする。

標高が上がれば上がるほど植生も変わっていく。
交通量は限りなくゼロになり、路面状況も芳しくない状況が続く。
落石でひん曲げられたガードレールがその道の過酷さを物語っていたけれど、四輪と違って必要な道幅が狭い自転車にとっては、意外となんてことなかったり。

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決して心拍数を上げることなく、淡々と登り続ける。

無理してもどうせ30分も変わらない。童話の「ウサギと亀」を思い出しながら、ちょっとだけ速い亀を意識して淡々と登り続ける。

とは言ってもずっと負荷がかかり続ける登りが延々と続く・・・。
何度も何度もカーブを抜けてもその先にはまた次の登りカーブがあって・・・
そしてそれが終わることはないことも分かっていた。

若干の苦笑いを交えつつ、ただひたすらに登り続けているうちに
ようやくUFOラインの入り口に取り付いた。


東予港をスタートしてから2時間半が経過していた。距離だけ見ると33kmだったけれど、とにかく複雑な上りの連続だった。空荷のロードバイクで日帰りとかならあと40分は早かったと思うけれど、今回は無理は禁物。

bindamori-19.jpgおかげでUFOラインの入り口に着いた時でも、東予港にいた時と身体の調子は大差ない。むしろ温まってコンディションは良くなっていたくらい。


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いよいよ瓶ヶ森林道のスタート。
スタート地点のこのペイントが盛り上がる!

(ここまですでに結構登ってきたけれど・・・・まだ登るっぽいな・・・・)


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瓶ヶ森林道の入り口(東側)で標高は1,112mだけれど、ここからさらに500m程度は登って1,667mまで登る。
500m登るというのは高低差の話であって、獲得標高で言うと750m程度だったと思う。つまりまだまだ登るし、今日1日という意味ではまだ半分くらいしか登っていない現状。だから余裕があって当然というかそれが必要条件みたいなものだった。

まあそんなデータを頭の隙間に置きながらも、精神状態はとにかく嬉しい、楽しい。
面白い。景色の変化とここまで登ってきた達成感とここからが本番という期待感で胸がいっぱいだった。


bindamori-23.jpg最初はありふれた道路が続くだけだったけれど、30分ほど悶え苦しみながら登り続けて(ここが一番しんどかった)ひらけた景色を見た瞬間に全てが吹っ飛んだ。


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素晴らしい天気。
素晴らしいロケーション。
これ以上ないくらいのシチュエーションにテンションが上がらないわけがない!

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町道だったのね!

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「天空の道」の異名を持つこの瓶ヶ森UFOライン。その名に恥じない道であることは間違い無く言えると思う。山の稜線沿いに通された一本の道路。よくこんなところに道路を造ったなあと感心せざるを得ないような深い深い山の奥にこうして自転車で来られるなんて有難い限り。もちろん簡単ではないのだけれど・・・。


ちなみにここにチャレンジするなら初心者にはおすすめできない。理由は単純でとにかく登りが厳しいから。少なくとも獲得標高3,000mと聞いて「まあ行けるかな」と思える人じゃないと、結構苦しい。瓶が森の入り口まで車で来てそこから走るというのもありだから、フル自走以外の手段を取ることをお勧めしたい。それでも結構登るから決して楽じゃないけれど、それゆえの達成感とご褒美があることは約束できる。ただもちろん自販機や売店は「一切ない」つもりで準備をした方が良い。厳密には西側入口から降ったところにある石鎚山登山口のあたりには売店や自販機もあるけれど、UFOラインからはそれなりに距離があるし、いつも営業している保証はどこにもない。最近はGoogle マップで営業中と出ていても、実際は臨時休業だったり営業時間外であることも珍しくないから、情報の過信はこう言った環境下では危険。なので準備が大切。


ハイライトと思われた区間が終わってからも素晴らしい景色の連続でなかなか前に進まない!

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嬉しい悲鳴だけれど、この後の行程を考えると、どこかで切り上げないと。

(いや本当に景色が良くてたまらなかった!)

特にプラン候補であった「九州行き」を考えると、八幡浜には17時には到着しないとフェリーに間に合わない。

ここからの距離はおおよそ100km。持ち時間は5時間半。結構ギリギリかも、とこの時に気付く。

ただ走るだけなら良いけれど、この暑さだから休憩も挟むしまだお昼ご飯も食べていない。

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雲の高さまで人力で上がることができる乗り物。それが自転車。

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現状把握しつつ、しっかりと目の前の景色を楽しみつつ、堪能し切ったところで西方面へとダウンヒルを開始した。

単純に考えると標高1,600mから海抜0mまで降るだけなのだけれど、当然そう簡単にはいかないのが四国の山で、降りながらもいくつもの山を越えないといけない。

結局ここからまだ獲得標高として1,000m弱あることを考えると稼げるところは稼がないと・・・!!

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途中、先述した売店でコーヒーとお餅をいただく。あえてのホットコーヒーを頼むのは夏場はついつい冷たいものばかりを飲んでしまって胃が弱りがちだから。

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8月なのに・・・!?

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ダウンヒル中に西日本最高峰、石鎚山が見えた。と、同時にこの地域に雲が広がっていることも分かった。

やっぱり山岳ツーリングは午前中、空気が澄んでいる時間、雲が少ない時間帯に走るのが良い。


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途中、ちょうど良い場所に道の駅があったから最後の休憩をすることに。
おごも ふるさとの駅。


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がっつりとお昼ご飯をいただくことにした。川魚の代表格、鮎の塩焼きを、焼き立てで食べられるということで、もうこれ以上ないってくらいのご褒美だった。山菜天ぷら盛り合わせもいただいて、四国の食材を堪能。

体力も回復。
これで33km/h巡航も問題なし。

 と思いきやさすが8月。次は暑さが襲ってきた。
標高は下がるにつれてどんどん気温が上がっていて最終的には37度近く。
補給所も休憩所も少ない・・・体温が上がりすぎると危険・・・・

ということで・・・

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川に飛び込みました。

「どうせすぐ乾くでしょ!」ってことでもう全身浸かる勢いで川に浸ったらこれがもう効果的面。
一気にクールダウンできた!

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続いて遠慮なく水分投入。
自販機しかない区間ならもう多少割高でも惜しまない。数百円ケチって熱中症になったらそれこそ収支的に大赤字になっちゃう。日帰り退院しても数万円は覚悟しないといけないし、何より旅をするのにそんな事態に陥ることは、旅人として絶対避けないといけない。ちゃんと自己完結しないと。


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一番きつかったのが100km地点くらいから始まった峠超えで、事前に確認していたつもりが思ったよりもハードな400m超えのヒルクライムで一気に体力を奪われた。
貯金があった分を全部使った感じ。
幸いにもマイナスにはならなかったけれど、余裕がこれでなくなってしまった。

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やっぱり四国の山は一筋縄では越えさせてくれない'`,、('∀`) '`,、

その後のことあるごとにヒルクライムの連続。
そのうちに標高200mくらいはただの丘に思えてきたから四国怖い。

「ああ、また200m上がるのか・・・まあ仕方ないか・・・」

みたいなのが何度も続いた。


そんなこんながありながら、八幡浜まで一息で辿り着ける距離、30km地点で余裕で間に合うことを確認した私は旅のリズムを取り戻るためにもここから急遽輪行することにした。
内子という町。
全然知らない。
けれど調べるとここから八幡浜まで特急列車でワープできるようだった。

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正直30kmで残り時間2時間あったから走っていける距離と時間だったけれど、全く知らない路線を見るとつい乗ってみたくなる。

乗り鉄というわけじゃないけれど、でも列車に乗るのは好き。

そうそう来ることがない土地だし、自転車だけで終わるのも勿体ないなあ・・・というのと、暑さもピークに近い時間帯だったからアイシングした方がいいかな、という支店もあったので。
こういう時は迷わずにぱぱっと輪行しちゃう私。旅の手段、選択肢はたくさんある。


それに地方の列車に乗ると、その土地に住む人たちの日常に少し触れることができて面白いというのもある。どんな人が乗っているか観察したり、列車内での過ごし方を見たり、車内アナウンスに耳を傾けたり、車窓からの景色を眺めたり・・・。そんななんてことないことでも、旅をしている時には、刺激的だったりする。良い時間を過ごすことができた。

しばしの列車旅を楽しんだ後は降り立ったのが八幡浜駅。
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少し余裕もあったからフェリー乗り場に隣接された道の駅的な施設で色々と物色をすることに。

さて、四国も終わりが近づいてきて、九州が目の前に!

(そういえば宿が決まっていないな?)

続く。


   
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