【大阪〜福井】ちょっと自転車で若狭湾 三方五湖までツーリングしたとある夏の一日
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「そういえば三方五湖、車では行ったけれど自転車でちゃんと走ってないなー」
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と気づいたので、翌朝、早起きして行ってきました。
眠い目をこすりながら大阪の自宅を出発して、まずは京都へ。
山を越えて滋賀県へ。
しばらく走れば、もうほらすぐそこに福井県。
大阪から福井は、近い!(?
まあ近いとか遠いとかは絶対的な指標ではないから置いといて、現実的に行ける距離かと聞かれると
「大阪から福井は自転車で行ける」
と言うのが私の答えになる。
具体的な数字で裏付けるために当日のストラバ走行データをご覧いただきたい。
距離にして140km。
いかがだろうか。
一般的には「自転車で走る距離じゃねえ!」もうおっしゃる通り。
けど自転車乗り的には「まあ行けない距離ではないな・・・」
一部の自転車乗り的には「ちょうどいい」「往復してもいい」とかなるから本当人間の多様性には驚かされる。
大阪から敦賀方面へ抜ける方法は結構いろいろあるけれど、私はいつもその日の気分や季節、時間帯などを考慮して最適なものを選んでいる。
詳細は抜きにして、大まかに敦賀までの自転車旅、となると以下のいずれかになる。
1 大阪→京都市内→大原→鯖街道→敦賀
2 大阪→京都山科→大津→琵琶湖→敦賀
今回は敦賀ではなく目的地が三方五湖。少し西寄りだったから、滋賀県の西側、鯖街道を走るパターン1を選んだ。こう言う感じで道を知っていると、どこそこへ行きたい!となった場合のソリューションが何パターンも生まれて組み合わせによってそれこそ何十通りにもなるから楽しい。走る前に考えることもあれば、走りながら考えることもある。
今回の装備。いつも通り。
6時ごろに目が覚めて、15分後にはサドルにまたがっていた。
まず向かうは京都。実はこの時はまだパターン1か2か決めていなかった。
淀川を北上してターニングポイントであるさくら出会い館に着くまでに考えようと思っていた。
けれどおおよそ1時間20分。件の場所についてもまだ決めかねていた。
(「この時間だとまだ通勤ラッシュではない・・・?いや、山科はいつも車多いし・・・」)
(「京都市内を抜けると言ってもうまいこと川を使えばスムーズに抜けられる・・・?」)
(「山を越える鯖街道か湖を眺める琵琶湖か・・・」)
道端のベンチでコーヒーをすすりながら、5分ほど考えて結局パターン1にした。
鯖街道ルートだ。
国道367号線。通称「鯖街道」
その名の通り、日本海で獲れた鯖(サバ)を京都の錦市場へ運ぶために使われていた歴史ある主要道路。比良山脈を挟んで琵琶湖と並走するように伸びていて南北の移動に便利な道。私は昔からこの道が大好きだった。
理由はいくつかある。
・琵琶湖沿いに比べて交通量が少ない
・道路が綺麗
・信号ほぼゼロ
・左手に美しい安曇川
・左右が山で挟まれている
・南から北は一度大きな峠を越えてしまえば下り基調
景色、交通量、路面状況、高低差的と言った各要素で二重丸!
ちなみに安曇川はそのまま琵琶湖に流れ着く川であり、つまりそのまま瀬田川、宇治川と経由して淀川から大阪湾まで流れ着く。歴史的、文化的目線だけでなく、そう言う自然の循環を感じることができるのも、この鯖街道の魅力だと思う。
欠点があるとすれば補給ができる場所が少ないことと、エスケープできないこと。
一度突入したら走り抜けるしかない。
あと南下する場合はじわじわと登り続けるからこれも結構辛い。
前後のアプローチを無視したとして、保坂交差点〜途中口交差点で距離にすると35km程度。
最高に気持ちが良い35kmであることをお約束しよう。
ちなみにストラバのルートを見ていただいたら分かるけれど、今回も和歌山へ行く時と同じように、川という川を駆使しながら北上したから、実のところほとんど快適にサイクリングを楽しむことができた。
「川を制するものはサイクリングを制する」
と言う言葉があるように、私が勝手に今作ったのだけれど、特に大阪発のライドは川沿いが便利。
今回登場した川は下記の通り。
淀川(約30km)
桂川(約5km)
鴨川(約7km)
高野川(約15km)
百井川〜安曇川(約20km)
こうしてみると前半のおおよそ80kmはほとんど川沿いであることに気付いた。
なんてことだ。やっぱり川を制するものはサイクリングを制するんだと思えてきた。
京都市内を抜けて鯖街道へ向かうことに決めた私は鴨川沿いを北上していた。
鴨がいるのは当然なんだけれど、驚いたのが高野川に変わる頃に、河川敷の下に鹿が3頭いた。
言ってもここ、出町柳から3km程度、まだまだ住宅街というか普通に街なんだけれど・・・・。
「でもそういえば京都ってこんな街だったな・・・」と言うことを思い出した。
自然が近い。極めて近い。
町にいても風向きが変われば山の匂いがやってくる。そんな町。
大原方面の看板が見えた頃から、いよいよ町から山へと本格的に舞台が変わっていく。
その道中にも野生の鹿がいた。気付いたら私と並走していたその立派な鹿は、私たちが下れば恐る恐る片足ずつ出すしかないような急斜面を涼しい顔で駆け抜けていった。躍動感に感動。
一番辛い場所はもう分かっている。
花折峠。
ひたすら登る登る・・・。自宅を早く出たからまだマシなはずだけれど、それでも暑い。
ジャージのジッパーを開けてなるべくたくさん風を浴びようとするものの、浴びる風がそこまで冷たくない。少し南風が吹いているせいか。この季節だから仕方ないけれど、でもおかげで追い風なのだから文句は言えない。風で一喜一憂する。いつもそうだ。辛いライドは風が敵で、楽しいライドは風が味方の時だった。
けれどおかげでトンネルを越えて下り基調になってからは快走快走!
しかも狙い通り、それまでの霞空から一転して青空が一気に広がった。
トンネルを抜けている間に世界が一変したかのような状況に、テンションが上がらない訳ない。
下り基調で、晴天で、追い風で、マリオの無敵状態の音楽が頭の中で鳴り響いていた。足を止めてもするすると進み続ける。ロードバイクの運動性能に改めて感動しつつ、北上を続けた。
県境は場所によるけれど地理的な境界で引かれていることが多い。
それは川だったり、海だったり、峠だったりするのだけれど、つまり何かしらの自然科学的な境界線であると言うこと。だからそれまでの状態がガラッと変わってしまう、なんてことも珍しくなく、自然環境に大きく左右される自転車旅においてはこの県境を越える瞬間というのは、ある種の期待と不安が入り混じる。
何も起こらないことの方が多いけれど、今回はあっさりと風向きが変わってしまった。
それまでの南風が嘘のように、強烈な北風となって襲ってきた。
日本海が近いからだろうか。気圧配置が変わったんだろうか。ただ少なくとも山を越えて福井県に入った途端の出来事だった。きっと海風か。海面気温が上昇し切ったのだろうか。ここは米原や長浜にかけてよく風が通る場所でもあるからだろうか。そんな理由ばかりをいちいち探してしまう程度には、「ああくそうなんだこの風は!」と思いながら進む。
(ちなみのこの後はずっとこんな感じで、体力がじりじりと削られて最終的には敦賀よりもっと手前の駅から輪行で帰ることになる。)
道中、道の駅「若狭熊川宿」でたまらず小休憩。
なんだろう、進まない。いつも以上に。もしかすると最近体重を減らしてしまったせいかもしれない。実感として体重を減らしすぎると平坦や向かい風に弱くなる節がある。55kgは減らしすぎたかもしれない。
ソフトクリームを食べて回復を試みる。・・・・日陰で頬張る。美味しい。冷えていて、甘くって、疲労回復にいい。それにしても、こうして日陰から日向を見ていると夏なんだなあって実感する。日陰と日向の境界に手を伸ばしたくなる。ジリジリ・・・。
ちなみのこの熊川宿、その名の通り昔は宿場町だったというだけあって、古い街並みが今でも残っている。雰囲気あって、なかなか絵になるけれど、どこか閑散としているというか、寂しい感じがするのがなぜかと思ったけれど、よくよくみるとあまり観光地化されていない。他の地だと観光客向けのお店がずらりと並んでいたりするのだけれど、お店っぽいお店が見当たらない。これはつまり普通の住宅地ということなんだろうか。ただただひっそりと存在しているだけのこの宿場町に、侘しさを感じざるを得なかった。
季節は夏だけれど、よくよく自然に目をやると、やっぱりまだ先なんだなーと思う。
その証拠に田園風景の見え方がまだ新緑の季節からほんの少し経った頃。6月特有の水の張り具合だった。ツーリングをすることが多い私にとってこの田園風景のあり方というのは今が何月かを示してくれる分かりやすい指標の一つだった。過去の写真を見返しても、ふと写っている田んぼの具合からそれが何月のことだったかと思い出すことが結構あったりする。
それにしても福井の空は、広い。ただひたすら広い。
現代人に必要なものは便利な乗換案内表示でもなければ信号と渋滞の列ではない。ただただ広がる空だと思う。
三方五湖にようやく到着したのはちょうどお昼過ぎ。
自宅を出て6時間。120km。いい旅だった・・・(もうすっかり満足して、というより向かい風ですっかり体力と気力を削られた)
さて、三方五湖。何はともあれ三方五湖!
地理的にとても面白い場所。そもそも名前からワクワクするよね。三方五湖。
その名の通り湖が5つあって、それぞれが湖底で繋がっている。さらにその一部は日本海とつながっている。この奇妙な湖は、昔、隆起したこの土地のかつての山間部。つまり今こうして走っている場所は山の頂上付近だったということ。
そして実際に走ってみて分かったのだけれど、この三方五湖外周路、サイクリングロードいうかそこそこ舗装された農道というか・・・道の狭さが軽トラック1台分程度で、ちょこちょことカーブを繰り返しアップダウンを繰り返しまるでジムカーナのようなパンプトラックのような・・・。なかなか新鮮で斬新で今までにないタイプの道で面白かった。気をつけるべきは湖に対してガードレールがないから落湖があり得ることと、本当ごくたまに農業用の軽トラックがやってくること。道幅いっぱいだから下車しないといけない場所もあったし、飛ばし過ぎは要注意ねー。
三方五湖の湖岸道路、気持ち良い。
— 神楽坂つむり (@tsumuri_f5) July 2, 2020
(油断したら湖に落ちそうでスリルもある) pic.twitter.com/KFP6VzazPI
でもこの景色は湖岸道路っぽくなくて面白い。わざわざ大阪から走ってきた甲斐があったというもの!何より地理的に面白いこの場所を実際に自分の足で走ることに意味があった。
帰りはサクッと輪行で帰りたかったから、最寄駅である気山駅から帰ることにした。
敦賀駅からはいつもならサンダーバードで帰るところだけれど、なんだか遅れている様子だったから、特急しらさぎ号で米原までワープして、米原駅からは新幹線で新大阪駅まで帰ることにした。
社会人になって変わったことといえばこうして特急や新幹線を使うことに何の抵抗も無くなったことだろうか。学生時代だったら間違いなく新快速で帰ってる。
16時前には帰ることができた。
自宅を出発して10時間。
今回も良い旅路だった。
結論:大阪から日本海は案外近い!
夏場の日焼け止めにアームカバーいらずのインナーがあったから導入してみた。もっと早く買うべきだった。