【ディスクブレーキ】クロモリディスクロードバイクに半年乗って思うところ
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さて、私のTADA車3号機、クロモリオーダーディスクロードバイクが完成してから約半年が経ちました。いや、正確には4〜5ヶ月かな。まあ、それくらい。
遠征をしたりイベントに出たりと結構な距離、シチュエーションでこのディスクロードバイクを乗り回してきたので、ここらで改めて感じたことをまとめてみようと思う。
理想と現実、メリットとデメリット、意外だったことなどをつらつらと。
振り返り
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今回オーダーしたTADAクロモリオーダー3号機(TADA車界隈で言うとNo.276号機)のオーダースペックは下記のとおり。
・前後スルーアクスル
・フラットマウント規格
・142mmリアエンド
・スルーアクスル(12mm径)
・68mmネジ切りBB(BSA)
・シートポスト径27.2mm
・上下異径ヘッドチューブ(上34mm、下44mm)
・eTAP専用フレーム
・外装オイルライン
フレーム重量は1,850g程度です。
だいぶ乗り込んだおかげもあってシンクロ率もだいぶ高くなり、最高のクルージングバイクに仕上がりました。詳細については下記の記事に纏めていますので宜しければごらんください。
ディスク化に伴う重量増
実際問題、私が肌で感じていることです。
いきなりデメリットの話ではありますが、やはりここは避けて通ることができませんし、本記事を書く一番の理由でもあります。
まず大前提として「クロモリ=重い」と言う事実があります。
「実際は乗ってみると軽い」し「言うてそこまで大きな差はない」と早速この事実の逆を言うこともできるしその根拠もあるんだけれど、そう言った援護射撃的なことを一切抜きにした際の事実です。単純に素材としての重さと書けば分かりやすいかと思います。全長500mmのパイプがあったとしてそれがクロモリなのかカーボンなのかアルミなのかチタンなのかスカンジウムなのかステンレスなのか竹なのか・・・当然それぞれ重量は異なります。そしてクロモリは当然、重い部類に入ります。
シンプルなダイヤモンド型のフレームをシンプルに繋げるだけならばクロモリフレームでもそこそこ軽いです。
事実、私の2号機はこの仕様で7.4kg(装備品を外した状態)です。決してカーボンフレームにも劣らない重量で、それでいてクロモリならではのしなやかさ、バネ感、リズムの良さがあるのだから、もう最高です。
一方で3号機、こちらは8.6kgです。パーツアセンブルに多少の違いはあれど1.2kgの差が出ました。これは大変です。パワー系ライダーならまだしもどちらかというと軽量級の私にとっては、重量差というのが結構効いてきます。感覚として「あ、重いな」と言うのがペダルを漕いだ瞬間に分かります(だからと言って速い、遅いには影響しないのですがこれは後述)
クロモリの宿命
なぜここまで差が出るのか。それは先述した「シンプルなダイヤモンド型のフレーム」ではあるのですが「ディスク化に伴って色々と手を加えている」ところに理由があります。クロモリはカーボンほど自由度はありません。例えばSPECIALIZED VENGEやTREK MADONEのような複雑なフレーム形状を造成することは不可能です。複雑な形状は苦手なのです。理由は簡単で金属をそのような形状に加工するのが困難だからです。もちろん莫大なお金と時間、開発するための環境を整えれば可能だけれど、非現実的だしそもそもやる意味が行方不明。
けれどディスクブレーキ車を作るならば多少なりとも向き合わなければならない箇所がいくつか出てきます。例えばフラットマウント、スルーアクスルあたりが分かり易い。クロモリオーダーにおいてはビルダーさんが鉄パイプをラグで繋いで溶接して自転車の形を形成していきますが、フラットマウントやスルーアクスルといった複雑な形状をしているものは基本的にはそれを専門で作っているメーカーや工場から取り寄せたものを使用します。ブレーキ台座やアウターワイヤーの台座、各種ラグ(ヘッドチューブ、BB、ステー集合部、フォーククラウン台座)etc・・・。これらの小物類を持たせてもらったこともありますが、これが結構重い。ずっしりと来ます。1つ1つが鉄の塊ですから当然と言えば当然です。特にこういった小物類の多くは仕事の役割上、強度を出さなければならないケースがほとんどで、その重量は数十〜百グラム単位。
あれもいる、これもいるとフレームに溶接で追加して行けば行くほど重量は嵩んでいきます。これがディスククロモリロードバイクの重量が嵩みがちな原因です。分かりやすく言うとデメリットです。特にフラットマウント台座やスルーアクスルといったディスクならではの小物類は特に強度が求められる場所故に軽量化が難しい。そしてこの「ディスクならではの小物類」世にそれほどたくさん選択肢がなくめちゃくちゃニッチなクロモリビルダー業界内においてすらニッチ、ニッチ中のニッチ、故に強度と重量のトレードオフを果たしきったアイテムが少ないのが現状です。(アメリカビルダー業界ではすでにマジョリティになりつつあるおかげで選択肢が増えているそうです)
と、言うわけで重量はどうしても嵩みます。ディスクブレーキの制動力に耐えるためには、溶接の仕方も随分と工夫をしないといけません。ラグ周辺にかかる応力も変わってくるでしょう。「構造が複雑化する=重くなる」こればっかりは仕方ないと言えば仕方ないので、事実として受け止めるしかありません。
ちなみにカーボンであれば上記のような問題は解決できるので(と簡単に書くけれど、実行するのが簡単じゃなくて大変な研究開発が必要)重量増も最小限で抑えることができます。設計段階から組み込みさえすれば大抵の形状・構造に対応することができるのがカーボンの良いところ。
「じゃあもうカーボンでいいやん」ってなりますよね。うん、私もそう思います。ディスクロードバイクが欲しいこととクロモリロードバイクが欲しいことは別軸で考えたほうが今のところは良い気がします。私は今回は重量のような「分かり易いスペックを天秤にかけて傾いた方が欲しかった」訳ではありません。もしそうならクロモリオーダーバイクなんて選択はせずに大手メーカーがしっかりと研究と開発にコストをかけたフラッグシップ機を買えばいい。そうじゃなくってこういった考えに至るくらいに素材差を体験することができるオーダーバイクが楽しいと思うし、それに乗っていて感じるところがたくさんあると思ったからです。
クロモリを選ぶ理由
何度かお話ししたことがありますが、私がクロモリを選ぶ理由は「自転車が寄り添ってくれる感覚が好き」だからです。乗れば乗るほど思うのは自転車はどこまでいってもアナログな乗り物ということです。何せ動力が自分自身なものだから、車みたいにアクセル踏んだら誰でも同じように走る訳じゃない。踏み方1つで進み方が全く異なる。身体が限界を迎えた時には一切走らない。調子が良いと自分の限界を超えた走りを提供してくれる。そしてことクロモリオーダーバイクについては驚くほど寄り添ってくれる感覚がある。ペダルを漕いでいるとどのパイプがどういう役割を担っているのかを体感することができるのです。そう言うところに、私は価値を感じるからこそ、クロモリオーダーバイクが好きです。
一方でカーボンバイクの性能もよく分かっているつもりです。否定する気なんてさらさらないし、むしろ新しいFOCUSのIZALCO MAX DISK9が欲しいと思っています。だから「どっちも乗ればいい」なんて言うと無責任ですが、少なくとも先に書いたようなスペック的な部分と感覚的な部分はみんなそれぞれ信じるものがあるでしょうから、それを信じればいいと思います。
ディスクロードバイクの輪行
最後に軽くディスクロードバイクの輪行の話を。
年間50程度は輪行している私ですが、ディスクロードバイクになったことで変わった点と言えば
・パッドスペーサーを買った
・ローターカバーを買った
・スルーアクスル対応のエンド金具を買った
以上です。
つまり、リムブレーキ時代とそれ以外では何も変わっていません。使っている輪行袋も一緒ですし、輪行にかかる時間も上記対応したところでせいぜい30秒くらいでしょうか。
「ディスクブレーキの輪行ってどうしていますか?」と言う質問もよく受けるんですが、正直、何を答えていいのやら・・・と困る程度には特に何かをしている訳でもなく・・・。でもそう言えば私の輪行の仕方って結構雑だし、でも効率は良いと思っていて、その辺りは書いたことがないから、もう少し暖かくなって気が向いたらまとめてみようと思います(気候は関係ないのにそれっぽく書くことで煙に巻く作戦)
関連する記事をまとめました。宜しければご覧下さい。
終わり。
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