【有田川町】 和歌山のラルプデュエズと謎の島 自転車旅【あらぎ島〜千葉山ヒルクライム】

神楽坂つむり

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絶景の高野山を堪能した後、極めてローカルなダウンヒルルートに突っ込んだ私。
後で調べてみると和歌山県道19号と言うことで、そんなん知らんがなと言う感じですが
どんどん突き進んでいきます。

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ただひたすら、自然が深くなっていく。
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大自然オブ大自然
この道、グーグルマップ上で見ていた時から決して道幅が広くお店があるような道ではないだろうなあとは予想していましたが、思っていた以上の自然の深さでした。思わず笑顔になってしまう程度に。空がほとんど見えないくらいにたくさんの木々が多い茂げる森の中を抜ける一本道。その木々のわずかな隙間からは時折白っぽい太陽の光が差し込んできて、ちゃんと晴れていることを時々は思い出させてくれます。木漏れ日、と言うと良い響きかもしれませんが、ただでさえ落ち葉が無数に落ちている路面に木漏れ日の光と陰が無数に折り重なるおかげでもう路面状況はさっぱり分からないですが、ここは集中して目で読み取ります。心はリラックスしているけれど、五感は鋭く。この不思議な感覚が病みつきになるのです。

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気がついたらずうっと下に見えていた川が徐々に同じ高さくらいにはなって来たところで、随分と降って来たことが分かりました。龍神スカイライン上にいた時は標高1,080m地点と看板に書いてあったけれど、今手元のGARMINの標高表示は400mだったから600mほど降って来たことに。長いまっすぐな下りではなく、常に次のカーブが見えているようなセクションだったせいか、あまりスピードは出ず、おかげで随分長い時間降っていたからてっきりそろそろ100mくらいにはなっていると思ったけれど、まだまだ山の中ということ。位置エネルギーがまだあるということは、この先まだ楽ができるということ。

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ただ事前に想定したよりはペースが上がりません。当然、こんなにクネクネの下りだと、本来想定していた「ダウンヒルだから速い」が通用しなくなります。例えば距離10km、標高800mの峠超えだと登りこそ50分くらいかかりますが、下りは半分以下、15分と仮定。ですが降りが今回のような道だと倍以上、想定よりも時間がかかることも珍しくありません。それに・・・今回は景色が良かったせいで写真撮影が止まらない・・・・!


和歌山の山奥は古来より修験者が修行のために訪れるような場所がたくさん存在していて、今でもその名残は残っています。私の祖父も色川の辺りでそういったことをしていて私も幼い頃はよく連れて行かれていました。結局祖父は山奥の仮家でその寿命を全うしたのですが・・・・。だから和歌山はただ単に難易度だけを見ると国内でも有数の上級者向けコースだらけですが、私にとってはどこか懐かしく、特別感のある場所なのです。実際ここで見られる景色は唯一無二だと思います。


円弧上棚田 あらぎ島(蘭島)

長い長い山道もようやく終わり国道480号線に出る頃には実はハンガーノック寸前でした。
思えば高野山をスタートして以来、自動販売機にすら出会っていません。用意していた補給食も龍神スカイラインの思ったよりも険しいアップダウンで消耗したエネルギーを回復するためにとっくに食べつくしていました。

首尾よく現れたのは「道の駅あらぎの里」
これはラッキー!と言うことで早速立ち寄ってご飯をいただきます。そう、ご飯をいただける道の駅で良かったー!とまず思いました。場所によってはレストランはやってなくて売店だけ、ってところも多いので。

さらにラッキーだったのは、レストラン入り口の屋台で売られていた「地鶏の炭焼き焼き鳥」一本120円程度で販売されていました。種類も多くネギマ、レバー、ぼんじり、たまひも、肝、もも等等。あまりに美味しいから何本か適当に買って食べてみるとこれがまあ美味しいのなんの!いやほんとに美味しいんですよ。私、結構焼き鳥が好きで大阪の焼き鳥やには結構詳しいんですが、下手な焼き鳥推しの居酒屋よりも美味しかったです。屋台のおっちゃんに話を聞くとそれもそのはず、有田川地元の新鮮な地鶏を使っているそうで、しかもそれを屋台で炭焼きです。美味しくないわけがありません。

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ちなみにレストランでいただいたご飯も美味しかったです。や、自転車旅で何か食べると何でもかんでも美味しく感じてしまうので評価基準としては適していないシチュエーションかもしれませんが、そんなの関係なくこれも美味しかった!!ごちそうさまでした。

さて、私、気になっていたことがある。

「なんで、道の駅、あらぎ“島”なんだ・・・・????」と。
瀬戸内海ならまだしもここは和歌山の山中。島が浮かぶには海が遠すぎる・・・・。
けれど道の駅の中の案内文を見て分かりました。


なるほど・・・・

そんな場所が・・・・・

と言うことで道の駅の裏の道を登ること3分程度で到着。

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有田川町清水地内、有田川沿岸にある。川がΩ字に曲がりくねった、典型的な穿入メアンダー地形の内側が舌状の台地となり、大小の水田54枚が階段状の扇形に形成されている。全体の面積は約 24,182 m2(7,315坪)。
対岸から見下ろす景観は清水町(当時)の観光案内パンフレットの表紙を飾るなど、旧町を代表する景観・観光地となっている。日本の農村の中でも有数な景観として認められ、「第4回美しい日本のむら景観コンテスト」農林水産大臣賞を受賞[1]している。
歴史[ソースを編集]
江戸時代の初期・1655年(明暦元年)に地元の庄屋・笠松左太夫の資金提供と指導のもと、地元の農民により約 3 km 南にある湯子川を水源とする灌漑水路(上湯用水)工事が開始され、平行して水田の開墾が行われた。
1996年(平成8年)に関係農家・行政関係者により「あらぎ島景観保存会」が設立され、同年に当時の清水町単独事業により軽貨物車が乗り入れ可能な通路が整備されるなど、景観保全や耕作・維持の負担軽減などの対策が行われている。2011年現在休耕田はなく、すべての水田が地権者により継続的に耕作されている。
2013年(平成25年)10月に「蘭島及び三田・清水の農山村景観」の名称で国の重要文化的景観に選定された [5]。(出展 WIKIPEDIAより)

なるほど〜〜〜〜と、こんな場所があるなんて知りませんでした。
いや、それにしてもすごい景観。全国を旅していると結構いろんな棚田を見ることがありますが、ここまで綺麗に円弧上なものは見たことがありません。良いもの、見られた!!

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夕暮れの裏千葉山ヒルクライム

さて、予想外の面白スポットを見られて満足した後は再スタート。次なる目的地である千葉山へと向かいます。距離はそこそこ。480号線、有田川沿いをひたすら走るだけの簡単なツーリング。

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有田川沿いも景色がダイナミックで変化に富んでいて、道路は平凡だったけれど景色のおかげで全然飽きることなく走ることができました。特に印象的だったのが吊り橋の多さで、途中から数えることをやめた程度には吊り橋が多かったので吊り橋好きにはたまらないと思います。

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さて、千葉山、フォロワーさんから教えてもらった山で「とにかく景色が良いから登ってみて!」と言われていたので楽しみにしていたけれど結論から言うとどうやら登り口を間違えていた模様。曰くあのコンタドール選手が「一般のサイクリストにはオススメしないよ」と話していた裏口ルートを登ってしまっていました。
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いや、おかしいとは思ったんですよ。

斜度20%が続くなんて。

一瞬、嵩山を思い出したけれど「嵩山に比べるとまあ楽だな・・・・」と思ってしまったので嵩山だけは2度と登りたくない()

【周防大島】瀬戸内海に浮かぶ超級山岳 嵩山(だけさん)ヒルクライムレポート

結局、標高差600mくらいを一気に登らされました。登り始めの時刻はすでに15時を回っていたので、この季節のヒルクライムとしては結構遅めです。帰りのことは考えていなかったと言うか、正確に言うと「適当な駅から輪行して帰ろう」と決めていたので、太陽が沈み始めていても気持ち的には余裕がありました。

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辛い登り区間を終えて風車が見える頃にはほぼ頂上近く。
公園のような入り口を入ってさらに登り続けるとどうやらゴール地点と思われる風車の真下に出ました。実はここでようやく「あれ、これ裏口ルートじゃね?」と気付きます。千葉山を象徴するような景観が一切に現れなかったので・・・。まあこっちはこっちで楽しかったので良しとします。

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割と近い位置には海が見えました。数時間前まではあんな山奥にいたのに気がつけばこんなところにいるんだから自転車ってすごい。


さて、ダウンヒルは正規ルートで。
なのでこっちでようやく見られました。
「和歌山のラルプデュエズ」と呼ばれているらしいです。
もう一度書きましょう。「和歌山のラルプデュエズ」です。

ちょっとまあ眉唾かな、と思っていたので実際見てみるとまあこれが良い!
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乗鞍や美ヶ原、十勝岳など良い景色の峠はたくさんありますが、ここが他と違うのは街の近さと山、川、そして遠くに見える海のバランス。ただ自然が豊かと言う訳ではなく、人の生活と自然の距離感を感じることができる景色が好き。個人的にはラルプデュエズとは思わなくってちゃんとオリジナル、千葉山と堂々と名乗って良い景観だと感じました。






時刻は16時と言うことで、夕暮れ。夏ならまだまだ明るいけれど、今は11月も下旬。おかげでずうっと夕日を眺めながらのダウンヒルでした。
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もうすっかり暗くなってしまったので当初の予定である海南駅までは行かずに、箕島駅という駅から輪行で帰宅。

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車窓から真っ暗な太平洋を眺めながら思えば随分と濃厚な1日だったなあと振り返る。大阪市内、街中から一気に高野山まで移動して龍神スカイラインを走ってから森の中をダウンヒルして・・・・人里から大自然まで、シームレスに繋がりつつも変りゆく様子を肌で感じるツーリングとなりました。

和歌山、奥深い。

自然が豊かなのはもちろんですが「人と自然の関わり」が目に見えてかつそれがとんでもなく美しいと言う点が、素晴らしいと思うのです。

また訪れよう。

終わり。




         

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