【静岡県熱海】コミック「綺麗にしてもらえますか。」聖地巡礼自転車旅 その1

神楽坂つむり

自転車, 写真, 機材紹介, カメラ, 聖地巡礼, 関東,
千葉県幕張メッセで開催された「サイクルモードインターナショナル2019」のトークショーの出番が終わり、自転車の展示も終わり、いろんな人との交流も終えて一息ついた頃。夕方、15時くらい。

「この後、どうしよう・・・?」

とフードコードで買ったタコスライスを食べながら考えている時に思いつきました。

「そうだ、熱海に行こう。」

目的は何を隠そう、とある作品の聖地巡礼をするためです。

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私の中で今、最も心奪われている漫画「綺麗にしてもらえますか。」
その舞台、熱海へ。

「綺麗にしてもらえますか。」がマイブーム


「綺麗にしてもらえますか。」がどんな作品かと言うと・・・・


作者であるはっとりみつるさんのツイッターに纏められています。日々の制作活動や新刊情報も呟いてらっしゃるのでフォローは絶対です!絶対ですよ!フォローしましたか?はい、それでは続きです。



Kindleでも購入することができます。もちろん紙媒体も魅力たっぷりです。私は両方買いました。みなさんは手元にちゃんとありますか?はい、ありますね。それでは続きです。


私の個人的な感想としては、まず絵が物凄く綺麗。
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絵心がないので専門的なことなんて言えませんが、まず大前提として「綺麗」です。タイトルにも綺麗が入っているのですが、細かいタイルの模様や街の細かいエキストラ、キャラの動きや息遣いまでも感じることができる美しいタッチのおかげで舞台設定がある作品の中でも特に「リアル」を感じることができる作品だと思います。これだけ絵の段階で「動き」や「空気感」が感じられるのですからアニメ化されるのも時間の問題だと私は勝手に予想しています。(アニメーションはそんなに簡単じゃないことは重々承知しているけれど希望的観測も含めて・・・)

さて、私、なんとなくどこかで見たことがあるなあと思っていたのですが、実はと言うか私が愚かなだけだったんですが、はっとりみつるさんの他の作品はなんとあの「さんかれあ」です。


いやほんとすみませんと言うか、もう超有名作品ですよね。私も当時、この絵を見て衝撃を受けました。仕草や表情、特に手の動きと目の動きの連動の仕方がもうたまりません。他にも「少女不十分」「コンチェルト」などを描かれていますが、知らないうちにどれもこれも読んでいました。それでも「綺麗にしてもらえますか。」を初めて読んだ時に同じ作者だと気づかなかったんです。タッチの使い分けが独特でセンスしか感じません。


「綺麗にしてもらえますか。」は静岡県熱海で個人経営のクリーニング店を営む主人公、金目綿花奈(きんめわかな)の日々の生活、クリーニングに関するあれこれ、季節の移ろいを描いた作品です。その中でも忘れてはならないのが共同浴場。熱海に点在する共同浴場がたくさん描かれています。クリーニング漫画でありお風呂漫画でもあると言うのが私の見方です。(そしてどちらも丁寧に描かれている)

最大の魅力はやはり金目さんの豊かな表情と仕草です。はっとりみつるさんの描かれる絵はデフォルメ要素も多いのになぜかリアルで「生きている」「動いている」ことを感じる不思議なタッチです。一言、しゃべるだけでも手の動きやポージングに工夫がなされていて、ついつい絵に引き込まれてしまいます。少し引き気味の構図がまた状況描写に一役買っていて、それゆえに背景情報なども含めてこの熱海と言う舞台とセットで魅力が倍増しているように思えます。

さて、これ以上語ると記事が前に進まないので、話を進めましょう。


千葉から熱海へ

と言うわけで熱海に行くことを決めた私は早速自転車を輪行袋に包んでまずは海浜幕張駅から京葉線で東京駅まで移動します。関東の電車網、その辺りの接続のことは詳しく理解していませんがとりあえず東京駅に行けばどこへでも行けると言う認識だったので、東京へ行く車内で熱海までの行き方を調べるとどうやら新幹線でワープできる模様。ここは迷わずお金を使って時間を節約します。同時にここで冷静になった私は泊まる宿がないことに気がつきます。急いでインターネットで宿を調べるもののどこも満室。

「そうだ・・・三連休だった・・・」
まさかの連休です。すっかり忘れていました。うーん、どうしよう。熱海に着くのが18時ごろで・・・そこから宿を探すのか・・・でっかいホテル行けばキャンセル空きとかあるかな・・・・とあれこれ思いつつも心のどこかでは「行けばなんとかなるでしょ」といういつもの楽観モードを発動させていました。
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そうこうしている内に熱海に到着しました。


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なんか駅前めっちゃ綺麗になってる!!

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完全にこの感じでした。
ちなみにこれは観光客と金目さんが会話しているシーンです。

輪行解除して自転車を組み立てて・・・・

さて、とりあえず向かうは・・・・温泉!!
実は新幹線の中で宿探しを諦めていた私は、とりあえず温泉に向かうことにしました。というのもこれは旅の経験上の話ですが、地元の共同浴場(熱海に関してはこれが温泉と同義になるのですが)に行けば地元の情報が得られることが多いです。特にローカルであればあるほど得られる情報の質は高まる傾向にあると実感しています。



熱海駅前温泉浴場

向かったのはこちら・・・・

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熱海駅前温泉浴場です!
コミック3巻で登場するこちらの浴場は、熱海駅から本当に近いので聖地巡礼一発目としてアクセスしやすいです。ちょうど汗も流したかったので一石二鳥、いや、もしここで情報を仕入れることができたら三鳥・・・・。

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ちなみにすぐ目の前の側溝からは温泉と思われる湯気が出ててさすが温泉街!と一人感動していました。旅情あふれる景色につい心躍ってしまう。

熱海駅前温泉浴場

かなりレトロな雰囲気を醸し出す銭湯です。入り口で受付の人に500円を払って入ります。ちなみにその横でこれまたレトロな自販機がありそこで石鹸とタオルのセットを100円で購入することができます。もちろんなんの用意もなかったので私も購入しました。

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この中にタオルと石鹸が入っていました。

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狭い中にも休憩室やくつろぎスペースがほんの少しだけあります。地元のおばちゃん達が話をされていました。

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奥から入り口方面。ちなみに入り口からのアングルは実は扉絵に採用されていることに後で気づきました。

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金目さんスタイル良すぎ問題。

さて、お風呂に入ると困ったことに誰もいません。情報収拾しようと思ったのに誰もいなければどうしようもない・・・・。と思っていると首尾よくおじいちゃんが2人入ってきました。どう見ても地元の人です。湯船に浸かっているとむしろ話しかけられました。

おじいちゃん「どっから来たの?」
私「大阪です」
おじ「遠いところから来たなあ」「この辺だったら〇〇に泊まるんか?(よく覚えていない)」
私「!!(まさかこんなうまく話がつながるなんて・・・・)」
私「いえ・・・実はまだ決まってなくて・・・」

と伝えるとなんとラッキーなことに地元の知り合いが民宿をやっていてそこを紹介してくれるとのこと。正直こんなに上手く事が運ぶなんて信じられませんでした。今までも似たようなことはありましたが、ここまでロイヤルストレートフラッシュだと逆にちょっと怖いですが、どう見ても悪意はない親切そうなおじいちゃんだったのでここはお言葉に甘えて紹介していただく事ができました。ありがとうおじいちゃん!!

という事で寝床を確保した私は意気揚々と夜の熱海へと繰り出します。初めて訪れる、というわけではないですが、夜の熱海は初めてです。ちなみに前回は「あまんちゅ!」の聖地巡礼のために訪れたのが2年前の話で、あの時は熱海の商店街をちょろっと見ただけであとは伊東方面がメインだったのでこの辺りはほぼスルーしていました。

今読み返してもあっさりすぎて笑う。



夜の熱海へ

熱海駅をスタートして紹介していただいたお宿のある熱海銀座方面へと向かいます。
どうやら結構入り組んだ場所にあるようで無事にたどり着けるのか・・・。
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さすがの観光地熱海もこの時間はすっかり人の気配が減っています。
写真が撮りやすくて捗るぞ!


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何より翌日は昼間この辺りに来ることになるのですが、個人的には夜の方が雰囲気があって好みです。


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不思議なお店がたくさんあって飽きません。

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フォロワーさんに「熱海は坂の町ですよ」と言われていたけど、本当にその通りでした。熱海駅はその中でもほぼてっぺんに位置するくらいの高さにあったのでこの日はほぼ下りオンリーでした。ということは明日は登るのか・・・!でもこの高低差のおかげで三次元的な景色がたくさん見られるし、町の作りは迷路みたいに入り組んでいるし、雰囲気は全然違うけれど尾道や長崎に通じるものがあるなあと感じました。
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聖地巡礼は突然に

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!!!ちょっと待ったああああああああああああああああああああああああ!!
道路をロードバイクで下りながら横目に見えたこのお店、見覚えがある!!!!

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ここはもしや・・・・

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やっぱり!金目さんの常連さんとなる干物屋さんです。名前こそ違いますが、お店構えや置いている商品から明らかにここですね、間違いありません。駅前に続き連続で聖地にヒットするとは幸先が良いです。ちなみに作中に何度も登場する干物を焼いているおばあちゃんですが、翌日訪れた時になんとモデルとなる方が実際に店頭にいらっしゃって驚きました。
どんな偶然があるか分からないものです。昼間は混雑していたのでこうして夜に来られてある意味良かったのかも・・・・。

さらに道を下っていくと大江戸温泉などがある町の中心地、さらには少し超えて熱海銀座のあたりまでやってきました。お宿はこの辺りにあるそうですが、私の目線は脳内の「綺麗にしてもらえますか。」映像とのマッチングのためにキョロキョロ定まりません。だって・・・・明らかに作品の世界なんだもの!正確な場所は分からなくてもここがそうだと分かるのはそれだけその作品が空気感や雰囲気、リアリティを感じさせているということ。

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ここなんか明らかに
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ここですね!


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扉絵に使われているこの場所とも一致していました。



干物店と金目クリーニング店との位置関係をこの時から少しずつ妄想を膨らませます。なにせ明日は絶対に金目クリーニング店には訪れたい・・・・場所の検討はなんとなく付いているのですが、何の確証もありません。こうして色んなピースを集めて推察するのが個人的には聖地巡礼の醍醐味の一つだと感じています。

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そういえば晩御飯を食べていなかった私。せっかく熱海に来たのだから・・・・
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「海の幸が食べたい」(突然の作品違い)

と言うわけですがこんな時間から美味しい海鮮ものが食べられるお店となると・・・

①海鮮居酒屋
悪くないけれど、当たり外れがありそう・・・一人で入りやすいところを探すのも大変・・・

②海鮮の美味しいスーパーを探す
悪くないけれど、もうちょっと贅沢したい・・・・

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我ながら文字の入れ方が雑

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初川さんと言うお店でお寿司をいただきました。ちょっと強面(?)の大将が握ってくださるお寿司は、はっきり言って最高に美味しかったです。ネタ自体の新鮮さはもちろんですが、仕込みと握りが一級品なのは保証します。どのネタも口に入れた瞬間に旨味がブワッと広がって舌を魅了してやみません。中でも特に中トロと鯖は絶品でした。いや、ここは大当たりだった・・・・。ごちそうさまでした。



幻の民宿

さて、お宿はすぐそこです。思ったよりも繁華街のど真ん中(ちょっと治安が不安定そうな雰囲気もちらほらあります)なのとお店構えが街に馴染みすぎてて2回ほど通り過ぎましたが無事に見つかりました。

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こちらの白馬荘さん、後からフォロワーさんに教えてもらって知ったのですが、実はもう営業されていないようです。日帰り温泉も宿泊もお断りされているようで、今回は知り合いからの紹介ということで特別に泊めさせていただけたようです。齢90歳を超える女将さんが切り盛りをされていたようですが、流石にもうお身体も大事にされるために営業も休止されているのだとか。お宿自体はご立派ですし、入らせていただけた温泉もめちゃくちゃ気持ちが良かったので存続して欲しいなと思うのはこちらの勝手でしょうね。女将さんには熱海の歴史やお宿の歴史、白馬荘という名前の由来のお話など、色々と教えていただくことができました。最悪野宿も覚悟していただけに一夜の宿をこうして与えていただけるのは本当にありがたい限りです。

現在は宿泊も日帰り入浴も受付をされていないと言うことなので、みなさまお気をつけください。

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図らずとも短時間に2連続で温泉に入ることができてラッキーでした。やや手応えのあるトロッとした泉質でお肌がすべすべになりました。

湯船に浸かりながらふと我に返って一体今私はなんでこんなところにいるんだろうと思うことも。夕方までは幕張メッセでイベントに出ていたのに・・・・。遠征中に思いつきで旅を始めるとなんだか地に足がついていないふわふわした気持ちになることがありますが、今回は特に流れに流れてこの宿に辿り着いたわけですから、もはや根無し草も良いところ・・・・。風の吹くまま吹かれるままに流れに身を任せて、熱海銀座のこの一角にある小さなけれど暖かいお宿に不思議な縁で辿り着いた。ただそれだけ。ただそれだけです。

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温泉でプルプル肌になったところで、この日は就寝。寝る前にもう一度Kindleで「綺麗にしてもらえますか。」を1巻から3巻まで読み返して明日の予習もしておくことに。熱海の今はもう営業していない温泉民宿の二階で熱海を舞台にした作品を読んでいるなんて・・・・
改めて奇妙な気持ちになりながら、気が付いた時にはパチン、オフ。

続く。


      
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