【和歌山御坊】紀伊半島の隠れた名所 日ノ御埼灯台を訪ねる自転車旅【Air】

神楽坂つむり

自転車, 写真, 機材紹介, 1day, 聖地巡礼, 近畿, 輪行,
天気が良いけど寝過ごした。

いやだって面白かったんですよ「交番女子の逆襲 ハコヅメ」が・・・。
毎巻出るたびに買っているのに何を思ったか一巻から読み直してしまって気付いたら結構な深夜で・・・
ま、仕方ない。

とりあえず朝の支度を終えてカメラと輪行袋だけ用意して新大阪駅へ。
駅に向かいながら「今日はどこへ行こうかなあ」なんて考えていた。
昨日は宇治に行ったし・・・こんなに天気が良いから海が見たいなあ・・・と思いつく。
うん。それはいい。それがいい。

となると南・・・かな!
というわけで和歌山方面へ。

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御坊駅へ

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これくらいフレキシブルにというか、たいして予定も立てないツーリングが好きだ。
なんというか自分自身にサプライズ。
決めないことによる自由さ、だからこそ訪れる何か。
気まぐれに、思いつくままに、ふらりと旅したくなる時が定期的に訪れる。

今年はイベントに立て続き出ていたからだろうか。
広島も長野もオホーツクもそらちも鹿児島も全部楽しかったけれど、
その反動でこういう何にも縛られない旅がしたくなる時がある。
時間も距離も気にしない。ただただ目の前の景色を見に行くだけの、プリミティブな行動。

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特急くろしお号、久しぶりに乗車したと思う。
確か前回は・・・大阪から串本までプチキャノンボールをした時の帰りに利用した覚えがある。
串本から新大阪ま4時間近くかかって驚いた。
距離は大したことないのにとてつもなく移動に時間がかかるのがこの紀伊半島でそれは不思議なことに電車も車も自転車も変わらない。
なにせ地図上で見るよりもずっと立体的で入り組んでいて縮図の右下に書いてある距離計が全く当てにならないくらいにはぱっと見直線の道路もくねくねしているし、うねうねしている。
特に自転車からすると紀伊半島の無限アップダウン地獄はたまらない・・・。
「高低差があるから海が見える」なんて美点はもはや詐欺と思った方が良い。
とんだマッチポンプだ!

というのが当時走ったときに抱いた感想だった。
今でも間違いなくそう思っている。


ので今回は無理をしない、走ることはおまけ。
「今までスルーしていた場所がどんなところか見てみたい」
ただこの一心で選ばれたのは御坊駅でした。
御坊駅まではおおよそ2時間弱。
まあまあ短いようででも新幹線だったら新大阪から広島まで走ってさらに輪行解除して原爆ドームにたどり着く程度の時間だからやっぱり長い。

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けれど、今回はそんな移動時間も全部含めて旅。そのつもりでKindleにはたっぷりと常に読むべき本がたくさん走っているし、ゆっくりと聴きたい音楽もある。
平日輪行旅だから車内も空いていて、突発的に乗車した割にはそれなりに電車旅の雰囲気が出てて我ながらホクホク。

大阪市内を抜け和歌山県に入りしばらく走ると海が見えた。
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ただこれだけでなんだか嬉しくなるんだから単純だ。


少しうとうとし始めたところで御坊駅に着いてしまった。
脳が眠りを求め出したところでの目的地への到着・・・これは・・・
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走る気が無くなってしまうやつだ!
のどか、天気良い、ゆっくりとしている。
ホームには私しかいなかった。


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駅前で自転車を組み立てているとお婆さんに話しかけられた。
よくあるあれだ。もはやテンプレートと化している例の会話を一通りこなして(儀式みたいなもの)少しローカルな部分へと会話が移った。どこへ行くかしっかりと決めていなかったけれど、この辺りの名所といえば「日ノ御埼」そこにある「紀伊日ノ御埼灯台」が見応えがあるけれど自転車で行くとこじゃあないよ、と言われた。
大丈夫、自転車で行くとこじゃないとこばかり行ってきた。
お礼を伝えて別れると去り際にみかんをくれた。おお・・・和歌山のお婆さんはみかんを持ち歩いているのか・・・さすがだな・・・・と一人感動。



紀伊半島最西端の地へ

さて、向かうべき場所が確定したので向かうは日ノ御埼。
紀伊半島最西端、と言うことも分かり、なんとなくテンションが上がる。
端っこってなんか惹かれちゃうんだよね・・・!岬も峠も魅力的。
御坊駅からほとんど迷うこともなく、とりあえず西へ15分ほど走るといきなりこの景色
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なんだ・・・この海の青さは・・・
瀬戸内海が大好きでほぼ住んでいるような私だけれど、ここの海の青さはまたちょっと違うことに容易に気付く。お子様カレー用の二つに分かれたお皿にそれぞれの海をよそったらその違いが分かりやすいだろう、なんて妄想しながらしばし見惚れてしまった。

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GARMIN EDGE530にキャットアイVOLT800にベル、それらをレックマウントでまとめるスタイル。

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アップダウンがあるものの、それのおかげで良い眺望。
うん、マッチポンプだ。
遠い水平線の向こうにはいくつもの大型タンカーやら客船が見えた。このサイズ感も瀬戸内海にはないものだ。


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南方面。あそこを走り続ければ本州最南端の串本町。


日ノ御埼

この場所の眺望の良さはちょっと他にはない。
和歌山を訪れるサイクリストのほとんどがここを通り過ぎる・・・と言うか知らずに過ぎるんじゃないだろうか。
和歌山市内から白浜方面へ南下するメインの道路からは結構離れているし往復するだけでもプラスで30km弱かかる。知名度的にも時間コスト的にもスルーされがちなのは何を隠そう私もだったけれど、今回訪れてここが目的地になっても良いと思うレベルで眺望が良かった。

平坦路が終わっておおよそ150m程度のヒルクライムを終えると突然ヘアピンつづら折りのゲキサカ区間が始まる。うお、まじか、と一瞬ひるむだろうけれどもうちょっとだ、一気に登りきってみて欲しい。そしてその九十九折りが終わって振り返るとこの景色。
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海!青!そら!青!

立体的な地形になっているせいで道路もそれに従ってスーパーゲキサカ仕様なんだけれど、だからこそのこの眺望。ちょっと坂を登るだけで一気に目の前が開けるいわゆるパノラマビュー。
こんなの写真が捗らないわけがない。TADA3号機のグラデーションブルーとこの景色を組み合わせない訳にはいかなかった。


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ベストブルーショット。


紀伊日ノ御埼灯台

日ノ御埼パークからほんのもう少しだけ西に進んだところに紀伊日ノ御埼灯台がある。
実を言うとここまで来たのにGARMIN EDGE530の地図を改めてチェックしないと灯台の場所が把握できなかった。
それくらい、目立った道もないし看板もない。

どうも観光地として盛り上げるつもりは一切無いみたい。本当にないのかあるけれどやり方がよくないのか・・・その真相は分からないけれど。

ちなみにこの地は何を隠そう、あの「Air」の舞台。
正確に言うと和歌山県日高郡美浜町あたりが特に出てくる機会が多いかしらね。
道中にあった「煙樹ヶ浜」なんかは一目見ただけで当時を思い出す人も多いんじゃないだろうか・・・・。54654645
と、思いつつ当時といってもあれはもう2005年の話だからもう知る人も少ないのかもしれない。
京都アニメーションが製作していた、と言っても分からない人が多いのかもしれない。
でも、きっとOPの「鳥の詩」は知っている人が多いはず。

灯台に行く道中は聖地巡礼ポイントだらけだから、Airファンは是非訪れてみて欲しい。
私も・・・・当時のことを思い出してちょっとホロリとしてしまった。
そうじゃなくても訪れる価値のあるスポットだと思う!

話を戻すとこの紀伊日ノ御埼灯台は灯台ハントを生業とする私としてはいつか訪れないといけない灯台リストに入っている灯台の一つだったから今回制覇できてかなり嬉しい。
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まず歴史的にかなり最近に建て替えがされた珍しい灯台。
地すべりによる倒壊の恐れがあった頃から2017年に当時の場所から120m移されて今の場所に至る。
灯台の数がどんどん減っている現代においてその役割、重要性故に高額な移転費用をかけてでも存続を果たしているこの灯台、素晴らしい。実用的で、美しい!
ちなみに初代は1895年、二代目は1951年に建てられたので、今建っているこの子は三代目になる。
灯台に歴史あり、だ。

ちなみに瀬戸内海が大好きな私だけれど、瀬戸内海はどこまでか?と言う疑問が湧いて一度調べた時に領海法においてはこの灯台と徳島県の蒲生田岬灯台を結ぶラインで区切られているのだそう。
領海法においては、と言うのはつまり定義する団体や法律によって「ここまでが瀬戸内海!」の定義が異なるから。海に線を引くなんて考えてみたらバカバカしいけれど、決まりを作らないと困る人たちがいるのだから仕方ない。

塔高は17mと中〜大型に分類されるものの、灯火標高は128mと岬灯台らしい高さを誇る。
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瀬戸内海と太平洋の海の青さも相まって白亜灯台としての美しさは一見の価値あり。

ちなみにこの灯台の下はちょっとした展望台になっていて眺望がものすごいのでここも一見の価値あり。
道路が狭いし駐車スペースもないから車で訪れる場合は日ノ御埼パークに車を止めてここまで歩くことをお勧めします。

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その素敵なゲストハウスは・・・

この地を訪れるのであれば気をつけるべきことが一つある。
それは補給。
コンビニもなければ個人商店もないし何なら自販機もない。いやほんと、結構ガチで油断しているとハンガーノックになりかねない。
かく言う私もハンガーノックと言うほどの距離を走ってなかったからいいものの、お腹がかなり減っていた。
と言うわけで腹ペコになりながら御坊駅方面に戻っていると気になるお店が・・・・


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ちょっと見落としそうになるけれど、アメリカ村、カナダ村的な文字が見えたらそこに見える白いスロープ。
ここを駆け上がると・・・・

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こちらのぱっと見は古民家?長屋?でも車や看板、文字は外国の雰囲気あふれるこちらのお店
「ゲストハウス& Bar ダイヤモンドヘッド」さん。
サイクルラックも置いてあって、自転車乗り歓迎の雰囲気があったので入ってみることに。
(と言うか他に選択肢がなかった)
それにしても建物が立派だ。建築技法も謎だけれど、どことなく沖縄方面の雰囲気も混ざっていて不思議な感じ。

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入り口からしてもう多国籍。一瞬「日本人でも大丈夫か!?」と逆に心配になったけれど

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大丈夫です、オーナーさんは日本人で、気さくで話しやすい方でした。
何より・・・この土地のことを本当によくご存知で、そもそも出身もここの隣町だと言うことで、それはそれは貴重なお話を伺うことができました。
これだけでここに来た価値があると言うか・・・・インターネット上の情報では知り得ないことがたくさん知ることができた。これがもうね、旅の醍醐味だし、飛び込んで入ったお店がそうだった時のお得感と言ったらない。
詳しくは是非とも現地に訪れて聞いてみて欲しいのだけれど、端的に言うとこの美浜町、三尾、日高郡界隈の土地のこと、歴史、アメリカ村、カナダ村と呼ばれるようになった経緯、人の出入りのこと。
民俗学的な観点の話、そう言ったこと。それとマリンスポーツ、とりわけSUPのことなどなど・・・。

本当はここからさらに走って白浜まで行く予定だったけれど、このダイヤモンドヘッドさんの居心地の良さと話の面白さでつい時間を潰してしまって、まあ諦めました'`,、('∀`) '`,、
未定だからこそのこの自由さを大事にしたい。

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ランチプレートをいただきました。いや、しっかり美味しい、お腹いっぱい!自転車乗りにも嬉しい今タンパク質メニュー。


そしてここ、お店の頭にゲストハウスと名前がつく通り、宿泊することができます。
これがまた良い雰囲気の・・・日本家屋ベースのゲストハウスで居心地が良さそう。
借り切りや団体利用も応相談ということで、自転車乗りの合宿にも使えるのでは・・・・と。BBQもできるようだし、これはオフ会、走行会の拠点としても最適な気がしてならない。
和歌山合宿とか面白そうじゃない???

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建築的にも結構価値のアリそうな造りで、建物オタクにもお勧めできるゲストハウス。
いやほんと近いうちに時間を見つけて宿泊ありきでプランニングしてみようと思った次第です。


お店を後にして結局また御坊駅から帰ることに。
いやまあ時間はまだあったといえばあったけれど、もうなんだか満足してしまった・・・。
満足したところで旅を切り上げる。そういう潔さというかシンプルに終わらせること、それも大切。
結局走行距離を考えるとロードバイクを持ってくる必要が全くなかったのだけれど、それは結果論。初めからそうすると決めているのとそうじゃないのとではまた見てるものも変わってくる。

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海岸線沿いを走っているときに沿岸部に大きな何かが打ち上げられているのを見つけた。
さっきのお店の人に話をしていたのだけれど、後から聞いた話によるとこれは「鯨」だったようで、私はてっきり「へ〜〜〜さすが和歌山県ともなるとクジラが打ち上げられることもあるんだなあ」くらいのノリでスルーしそうになったけれど、これは地元でも相当珍しいことらしく、警察と地元の博物館と新聞社が来てちょっとした騒ぎになった。
うん、初めて訪れた土地でいきなりそんなレアイベントの発見者になってしまうとは、何が起こるか分からないもの・・・。
鯨のその後がどうなったのかが気になる。。


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御坊駅から輪行で帰宅。
ディスクロードバイクの輪行もだいぶ慣れてきて普通のリムブレーキ車とあまり変わらない時間と手間でできるようになってきた。
ちょっと重いのがネックだけれど・・・まあ許容範囲内。


和歌山県広しと言えども、この御坊〜日ノ御埼区間は天気の良い日であれば間違いなく絶景を堪能することができるスポットなのは間違いないと言えるでしょう。
補給だけはしっかりと、そして例のお店にも立ち寄って、この少し侘しくも歴史ある土地に触れる旅をこっそりとおすすめしておきます。

終わり。




     
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