【飛行機輪行】JALが提供する「SBCON」が画期的だと思った体験談
先日、モンベルが主催する「オホーツクSEA TO SUMMIT 2019」に参加するために羽田空港から女満別空港まで飛行機で移動しました。
どうしても自分の自転車を持って行きたかったので飛行機輪行をする訳ですが、何度か経験があるもののやっぱり面倒くさいというのが本音・・・。
そんな折に日本航空JALが飛行機輪行用に作ったというスペシャルな輪行箱
「SBCON」が利用できるということで興味本位で申し込んでみました。
さて、SBCON、その実態やいかに。
飛行機輪行のハードル
飛行機輪行はそんなに難しくないと個人的には思います。
過去に10回程、普通の輪行袋やソフトケースタイプの輪行袋で飛行機輪行を経験していますが、今の所大きなトラブルは無く利用できています。
単純にめちゃくちゃ便利で鉄道輪行やフェリー輪行ではできないことがたくさんあるのは事実。
鉄道網が発達していない地域への移動や、電車やフェリーでは時間がかかりすぎる地域、あるいは海外への移動となると飛行機を使わない訳には行きません。
逆に飛行機輪行さえできれば、行動範囲が一気に広がって旅の選択肢が増えるという点では、飛行機輪行は間違いなくおすすめできる移動手段の一つです。
だけど、面倒くさい。
難しくは無いけれど、面倒くさい。
難しくないと言っても、手間がかかる。
私が感じる飛行機輪行についてのハードルを羅列してみました。おそらく多くのサイクリストが同じような感想を持つのではないかと思います。
・飛行機輪行用の輪行袋を用意するのが面倒(あるいは高い)
・飛行機輪行用の輪行袋を持って自宅から空港まで移動するのが大変(物理的にも精神的にも)
・輪行中の破損リスクがこわい
・リスクヘッジのための労力が煩わしい
・分解すればするほど組立も面倒(しかも自転車は分解すればするほど防御力が下がる)
このようなハードルを越えてでもやっぱり飛行機輪行はしたい!だって便利なんだもん!
はい、わがままですね。
でもJALさんがそんなわがままに応えてくれるアイテムを用意してくれました。
飛行機輪行の救世主になるか?「SBCON」の概要
SBCONとは
Smart Bicycle Container
の略で直訳すると「スマートな自転車梱包箱」です。
説明は以上です。
と言っても過言ではないシンプルな発想で生まれた飛行機輪行専用に設計された大きな箱です。
市販されているわけでは無く、JALパック等のツアーにおいて利用することが出来るレンタルサービスです。
つまり事前にSBCONに対応したツアーパックに申し込みをしておく必要があります。
好きな航路、好きな便で利用できる訳ではないので要注意!
実は私もずっとSBCONが気になってて、でも利用できるタイミングが無かった中で今回たまたま条件が合致するプランがあったのでラッキー早速申し込んじゃおう!ということで試すことが出来ました。
(JALさん、是非SBCONが利用できる機会を増やしてください!)
「SBCON」を実際に使ってみた
まずは預け荷物チェックインカウンターに向かいます。
受付の方に「SBCONを予約していた者なんですが・・・」と伝えると
「予約されていたつむり様ですね、お待ちしておりました!」
と笑顔満点で返答されてもう最高です。
ちなみにカウンターまで自転車で横づけする訳にはいかないので、自転車は輪行袋に入れてきました。
もともと空港までは電車輪行で来たので特に問題はありません。
理想を言えば空港まで自走して、そしたら箱が用意されていて、その場で梱包するだけ、というのが荷物的にも精神的にも楽ですが、思い返せば空港まで自走で移動することがそもそも少ないのでいったん棚上げで。
と言うものの、実は復路の女満別空港ではそのような運用をしてくださいました。
女満別空港にはサイクルステーションという輪行スペースも備えられていました。
サイクリストに嬉しい設計。
つまり自転車で女満別空港まで走って、SBCONを用意して貰って、梱包して終了。
到着してから預けるまで15分もかかっていません。
女満別空港は羽田空港のように巨大なターミナルがあるわけでは無く、いわゆるよくある地方の空港で、外の道路からカウンターまですぐです。
なので自転車をいったん外に停めて置いて、カウンターでSBCONを借りて、梱包してまた預ければ良いだけでした。
地方空港のようなコンパクトな空港の方が動線が短くなるので運用はし易いかもしれません。(箱が大きいので保管場所に困りそうですが)
「SBCON」の梱包手順
1 前輪を外して
2 箱に入れる
3 終了
です。
めちゃくちゃ簡単です。
ここにSBCON最大の価値があると思います。
厳密に言うと
4 シートポストを抜く
も追加作業でありました。
通常であればそのまま入るようですが職員さんいわく
「ここまでサドルが高い人は珍しい。脚が長いんですね。」
と言われてちょっと気分が良くなりました。でもちょっと残念なところです。
私のサドル高さはBB~サドルトップで725mmです。
地面~サドルトップでは970mmです。
目測ですがあと40mmほど下げれば問題なく蓋が出来たと思います。
ここは地味に注意しなければならないポイントで、身長の高い人やフレームサイズが大きい人はもしかするとシートポストを下げるor抜く必要が出てきます。
あるいはISP(インテグラルシートポスト)=フレーム一体型シートポストユーザーは梱包が出来ないなんて事態もあり得ます。
サドルの高さは事前にチェックし問題なく梱包できるかどうか確認しておくことをおすすめします。
それ以外の手順は本当に書いた通りでした。
思わず笑顔になっちゃう輪行なんて初めてです。
一旦イメージのために完成車状態で横に自転車を置いてみました。
こうしてみると箱の全長も自転車並みにあることが分かります。
さすがロードバイクを輪行するために作られた箱なだけあって、前輪を外した状態の愛車がすっぽり収まりました。前輪はそのまますっぽりと収めるスペースが用意されていました。
クイックレバーを抜かずとも収まります。地味に嬉しいですね、クイックレバーを抜かなくて良いのは。
しかも輸送中に箱の中で動いて傷が付いたり壊れたりしないように、自転車の凹凸に合わせて箱の内部も凹凸形状です。これなら横からラガーマンがタックルして来ても大丈夫だと思える程度には安心です。
レバーやリアディレイラー、その他突起物が箱に接触する部分にはウレタン素材のクッションが設けられていて、自転車も箱も傷まないように工夫されています。
ぱねえ!
「シンデレラフィットだ!」と思わず叫んじゃいました。
隣にいた職員さんが
「なるほど・・・シンデレラフィットか・・・」
とこっそりつぶやいていたのが印象的です。
さらに箱内部にはさらにたくさんの内箱が用意されていて、ここに外したパーツやウエアをほいほい詰め込むことが出来るようになっています。
これも地味に嬉しいポイントと言うか、ちょっと感動しました。
具体的にはヘルメット部屋、シューズ部屋、ペダル部屋、シートポスト部屋、その他小物部屋と言ったように相当数のアイテムを収納することが出来るようになっています。
実は
「もしSBCONが自転車しか入れられなくて他の荷物は別で預ける(=2個口)ことになったら面倒だな・・・」
と心配していましたが杞憂に終わりました。
おかげで機内持ち込み荷物は最小限まで減らすことが出来ました。
あの様子だとバイクパッキングで使うような大型のサドルバッグやその他着替え類、シュラフやマットといっキャンプ用品も同梱することが出来そうです。
このたくさんの小部屋があることについては本当にサイクリスト目線で作られたんだなあと気付かされるポイントでした。
注意点
自転車専用の輪行箱とは言え、預け荷物規約は他の荷物と同様に適用されますので以下の点には注意しなければなりません。
・火気類やスプレー缶はNG(CO2ボンベもNG)
・空気圧は下げること
・バッテリーや電子機器は手荷物として持っておく(ライトやサイクルコンピューター類)
・シートポストを下げるように工具を準備しておく(けれど工具は機内に持ち込めないので最終的にはSBCONの中に収納しておく)
この辺りは通常の飛行機輪行と同じですね。気をつけましょう。
梱包した後は普通の預け荷物同様にチェックインカウンターにて重量測定をします。
13.0kgでした。もちろんSBCON自体の重量は除外されています。イベントで使用する登山靴や着替えを同梱したのでいつもより2kg程度重くなりました。
職員さん達に興味津々に見守られながらドナドナされていきました。
SBCONの印象、まとめ
利用できる航路が増えれば本当の救世主になると感じました。
サービス自体がものすごく良いです。
これがあるなら飛行機輪行のハードルが電車輪行よりも下がると言っても過言ではありません。
自転車が自分の手から離れるのが今まではネックでしたが、ここまで楽だと逆に自転車を管理しなくても良いと言う輪行における概念のパラダイムシフトが起こるレベルだと感じます。
だからこそ!いつでも使えるようになると最高です。
個人的にもし通常航路で好きに使えるのならば多少の別料金が掛かっても利用したいと思いました。(5千円〜1万円程度なら・・・・)
今やなんでもレンタルやシェアの時代。使う頻度の少ない飛行機輪行袋こそ、こういったサービスがあって良いのかと。
初心者はもちろん、そこそこお高い機材を使っている経験者まで、旅の可能性を広げてくれるSBCONは間違いなくおすすめできるサービスでした。
今後のさらなるサービス拡充に期待!
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