【保存版】自転車旅×灯台のススメ ツーリングで出会った灯台特集【岬】
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子供の頃から灯台が好きだった。
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あの頃はよく船で色んなところに連れて行ってもらっていた。
ある夏の日、多分夏休みだったと思う。無人島で釣りをしていた帰りだったはず。クーラーボックスに釣った魚がたくさん入っていたし、島で食べる予定だったおやつの残りを船の上で食べていた映像がかすかに思い出せる。港まであと2時間というところで突然雷雨に見舞われて視界不良に陥った。当時は今ほどGPSが優れていた訳ではなく、紙の地図とコンパスで方角や進路を確認していたような時代だ。そんなに昔のことじゃない。この時私は子供ながらに海の恐ろしさと灯台の有難さを実感した。薄暗い中、かすかに見える島の影、その端っこに灯りが見えた。地図に記された点滅パターンと照らし合わせて自分たちがどこにいるのかが正確に把握することができた。大丈夫、戻れる。あの光を見失わなければ何も問題がない。
夏休みも終わる頃、一人で電車に乗ってその灯台を見に行った。あの日海から見えた光を放つ灯台が一体どんな姿なのかを確認したくなったからだ。知らない駅を降り、寂れた町を一人で歩いた。喉が渇いたからポケットの中から100円玉を取り出して、自動販売機でジュースを買って飲んだ。暑かったからものすごく美味しく感じた。ちょうど近くに町の地図があり、神社かお寺の脇道から山道に入れば近くまで行けるようだった。結局1時間くらい歩いたと思う。最後は山道というよりはよく舗装された階段登山だった。
この時人生で初めて灯台というものを近くでじっくりと観察することができた。想像していたよりもずっと小さく細かったことに吃驚したことを覚えている。海からあれだけ光が見えたのだからもっと立派な塔が建っているものだと思っていたし、何より人が誰もいないことが意外だった。てっきり誰かが操作したり管理しているものだと思っていた。人に会った時の挨拶の言葉まで考えていたのだから拍子抜けといったところだ。
父親に借りた使い捨てカメラで写真を撮って、30分くらいその灯台を眺めた後、また来た道を戻って家に帰った。その時の写真は残念ながらどこかに失くしてしまった。
灯台に関する知識があった訳ではないけれど、この時から私は灯台が好きになった。
何が好きかと聞かれると、即答するのは難しい。
いくつか、ある。
ロケーションが好き
その役割ゆえ、大抵僻地にある。海が近い、当たり前だけど、
ただの海じゃなく、交通の要所であることが多い。
少し小高いところにあって、眺めが良い。抜けの良い景色。好き。
灯台によっては灯火層まで上がることができるけれど、その景色の良さたるや!!
そこに至るまでの道や町の雰囲気が好き
なぜか寂れていることが多い。なんともノスタルジックな雰囲気になる。
大抵、名前も知らないような小さな漁港だったり、寂れた観光地だったりする。
その雰囲気が、たまらない。
それならまだいい方で、本当に何もないというか、灯台に来る人しか来ないような場所にあったりすることもある。
建造物としての灯台が好き
その高さ、規模、建築材料や工法の違いたるや!!
橋梁好きと通じるものがあるかもしれないけれど、灯台の魅力は何と言ってもそのシェイプ。
セクシーなものからかっこいいもの、ずんぐりむっくりなものまで多種多様、千差万別、十人十色。
灯台の歴史が好き
灯台は要所に設置されている。要所とは平和な現代なら単なる「交通量の多い場所」という意味だけれど、昔はそうじゃない。「軍事的価値のある場所」ゆえに設置されている灯台もある。
「なんでこんなところに?」気になった人は調べてみると面白い歴史が垣間見れるかもしれない。
という訳でようやく本題だけど、サクッと紹介して行こう。
全部紹介するときりがないので、特にお気に入りの灯台を抜粋してみた。
各灯台の紹介の最後には、当時のツーリング記事をリンク貼り付けしているので、よりリアルな雰囲気を味わいたい人はそちらもどうぞ。
能登半島最北端に位置する灯台。
この日は夏の夏日でとんでもなく暑かった・・・・。
美しい円形石造りの灯台で、歴史的価値が高いAランク灯台。
1883年初設置という歴史を持つ。
この灯台の面白いところは何と言ってもその灯火方式で、普通はレンズ自体を回転させて光を点滅させるけど、この禄剛崎灯台はレンズは固定されていてその代わりに遮蔽板が回転することで点滅をさせている。
能登半島というでっかいアドベンチャーアイランドを散々走り回ってその一番先っちょにあるだけあって到達した時の達成感がものすごい!ので印象に残っている。
道中の景色も良く走っていて飽きない半島。
岬あるある。謎の超長距離看板。
【北海道】積丹半島 「積丹出岬灯台」
こちらも場所としてはかなりの僻地オブ僻地。
積丹岬、神威岬のついでに寄る人がほとんどなんじゃないだろうか。
灯台自体は14m程度とそれほど高くないけれど、断崖絶壁の上にあるため、海面からの高さは141mにも達する。胴抜きの赤白カラーリングが可愛い。加えて電線の伝わり方がなんとも言えない味を出していると思う。
周辺のロケーションがまた素晴らしい!ここたっぷり時間をとって寄ることをお勧めします(私はもう日没ゲームオーバー覚悟で長居した) なにせ最寄りの街まで30km程度あるのだから。
【山口県】角島 「角島灯台」
こちらも歴史的価値が高いAランク灯台。
なにせ全て御影石で造られている。なんともまあ立派な!
日本国内では5つしかない特大のレンズを採用、また日本では2基しかない無塗装灯台。
だからだろうか、表面の質感は眺めているだけで惚れ惚れする。
洋式灯台らしい佇まい。1876年初点灯。
まあ当然角島大橋を渡るのだから、そのロケーションの良さ、周辺景色の良さは間違いない。
あたりの海沿いの景観も好き。野良グラベルがあるぞ〜〜〜!
【青森県】下北半島 「尻屋崎灯台」
日本国内で一番好きな灯台。
好きな・・・というのは「ロケーション」という意味で。
もうね、下北半島自体がとにかく好き。景色の良さとかご飯の美味しさとかそういう意味では他にももっと魅力的な場所があるんだけど、私が好きな理由はここの「最果て感」
文字通りの意味。
絶対に夏には訪れたくないと思えるレベルで補給所がないから要注意だ!
ちなみにここ尻屋崎は寒立馬が放牧されている。野生の馬に出会える貴重な場所。
道路を逆走してはいけません!
【長崎県】平戸 生月島 「大バエ灯台」
生月島サンセットウエイの先の先、九州本島の最西端に位置する。
ここも断崖絶壁の上にあってその高さは100mを誇る。
奥に見える柵から身を乗り出してみると、そのスリルはなかなかのもの。高所恐怖症の人は近づくだけでも目眩がするかも知れない。
ちなみに生月島サンセットウエイは脳汁が止まらなくなるタイプのとんでも絶景ロード。
興味がある人はよく晴れた日にぜひ訪れてみることをお勧めする!
私自身、もう一度訪れたいと思っている。
ちなみにこちらもとんでもなく僻地。この写真が物語る。
【鹿児島県】枕崎駅 「???」
日本最南端の駅を模した灯台モニュメント、昔の古い枕崎の写真を眺めていると必ず写っている象徴的な存在。
ここ鹿児島県枕崎駅から北海道稚内駅まで線路が続いている。ロマンを感じずにはいられない。
という訳で印象に残っているので紹介して見た。もちろん灯台ではない。
鹿児島はお茶の産地としても相当な規模を誇るということを走って知った。
あとで調べたら静岡茶を脅かすほどの生産量らしい。すごい。
【広島県】竹原市 大久野島 「大久野島灯台」
瀬戸内海に浮かぶ通称「うさぎ島」の一角にそびえる灯台。
写真から見て分かるように、とても水平線が見えるような大海原ではないけど船からしたら難所。
なにせ狭い。
船というのは道路を走る車みたいに路側帯ギリギリまで走れるものではなくって
実際には水深の浅い所と深い所があり、下手な舵を切れば座礁もあり得る。
多島海だからこそ難所になり得る。ので、灯台が必要。
こちらは歴史的には軍事的背景のある灯台で、芸予要塞の遺構の一つ。
詳細についてはうさぎ島ツーリングの記事を参照していただきたい。
よく見たら石造り「風」のコンクリートなんだよなあ・・・・。
【鹿児島県】屋久島 「屋久島灯台」
「なにあれロケットみたい!」というのがここからあの灯台を見つけた時の第一印象でした。
さすが鹿児島や!と思ったけど、それは流石に関係ないか・・・?
入り口の分かりにくさといったらない。
近くで見るとやっぱりロケットに見える。
近くで見ると煉瓦と御影石の混合であることがわかる。
こちらも歴史的にはある意味軍事的役割。日本統治時代の台湾へのルートとして整備された南方航路上の重要な道しるべを果たした。
今でも屋久島沖は大型旅客船やタンカーが行き交っていて、屋久島灯台はその任務を果たしている。
ちなみにここもそれなりに高い場所にあって、海抜は100mくらい(目測) だとすると20海里は届くだろうか。40km弱彼方まで光を届けるのだからすごい。
こういうダンジョン感がある遺構も好き。
【宮崎県】串間町 都井岬 「都井岬灯台」
九州で唯一観覧可能な灯台。めっちゃ高い。250mくらいある。
アクセスめっちゃしんどいです。体力削られます。
そこそこ観光地化されてるから僻地感はないけれど、都井岬は尻屋崎のように「岬馬」がいるのでしっかり癒されましょう。そしたら多分大丈夫です。
大戦による空襲と台風の被害で、建設当時のまま残るのは灯塔のみ。
当時は東洋一の明るさを誇る灯台としてその任務を果たしていたのだとか。
もちろん今でも活躍中。
この日はギリギリだった。16時くらいに着いたかしらね。帰りのフェリーもあるし結構弾丸ツアーだった。
アクセスがもうね、ひたすらアップダウン。上がった〜〜〜と思ったら目前にして一気にダウンヒルさせられる絶望感を味わいにぜひ都井岬へ!
【香川県】高松市 男木島 「男木島灯台」
私が最も好きな灯台。(フォルム的な意味で)
御影石造りでとにかく渋い。完成から120年経った今でもその役割を果たしているということで、何かの賞を貰っていたはず。当時の建築に携わった人が想像もしなかった世界に私たちは生きていて、こうして眺めている。まさか「写真」に撮られて「インターネット」で紹介されるなんて想像もしなかっただろう。
ちなみに先ほど紹介した角島灯台と並ぶのがこの男木島灯台。つまり日本で2基しかない無塗装の総御影石造りだ。資料によると内部の螺旋階段も見事な造りらしい。一度でいいから見たい。
また周辺には当時有人だった頃の詰所を改装した資料館が併設されている。そこでは全国の灯台にまつわる資料を見ることができるとあって一部の灯台マニアには人気のスポットで週末ともなると1人くらい来るかもしれない。
はあ美しい・・・・。
はあ美しい・・・
はあ美しい・・・・
灯台のすぐ横から浜辺に降りられる。
なんならテントは雲できるのです。
高松港からフェリーで40分。港から歩いて30分くらい。
【三重県】伊勢志摩 「鎧崎灯台」
国崎の岬に位置する白亜の灯台。
親潮と黒潮がぶつかるここ国崎は地元の漁師からも恐れられる難所。
この地で沈没した駆逐艦「春雨」の慰霊碑も近くにある。
何と言ってもこの八角形コンクリート造り!!いいですねえアバンギャルドで!!
仲間とのライド中に無理やりお願いして連れてきました。
なんだかんだ楽しんでくれたようで嬉しい限り。
ぱっと見灯台に見えないあたりがいい。
何が難所ってここまでのアクセスなんですよね。街も街で車一台通ることができるかどうか、という感じだし、神社の中を通らないとたどり着けないし、実際迷いながら見つけた灯台。子供の頃に行った灯台とどことなく似ているのです。(見た目以外)
【石川県】能登半島 「旧福浦灯台」
はい、出ました。旧福浦灯台です。灯台好きの全国1億人の皆様お待たせしました。
ぶっちぎりで古い歴史を持ちますこの灯台。資料によると慶長13年に夜に航行する船の安全のために日野長兵衛さんが篝火を焚いたのが始まりと言われています。現在のものは1876年に日野吉三郎が建造したもの。そう、日野家が代々守ってきた灯台なのです。ロマンを感じませんか?
日本最古の木造灯台です。もうその役割を終えていつ無くなるかも分からない小さな小さな灯台です。一見の価値があるでしょう。
オイオイなんだ君は
日野家、半端ない。
うーん、恐れ多いけど中を見て見たい・・・・。
羽咋郡志賀町の町並みもなんとも言えない寂しさがあってたまりません。
はあ・・・隠居したい・・・・・。
【和歌山県】潮岬 「潮岬灯台」
ここは有名どころでしょう。
関西クラスタなら行ったことがある人も多いのでは。
なにせ本州最南端の地、潮岬。そこに位置する灯台。
と行っても紀伊半島自体は大阪の隣県にありながらなかなかどうして過酷で簡単には踏み入れることができない。さらにこの時の私は和歌山市内から60kmほどのところでクリートが故障して(しかも夜中の2時くらい)200kmを片足ペダリングで走ることになったのだから。
眺望は素晴らしく太平洋を独り占めという感じ。(船がいるやんけ!とういツッコミはなしで)
遠くから。うーん、いいですねえこの「自然と対峙」する感じ。
歴史的にも価値が高いのでAランクです。江戸条約によって造られた灯台なんですねえ・・・・。
【三重県】志摩半島 大王崎 「大王岬灯台」
締めを飾るのはこちらの大王崎灯台!
難所も難所、遠州灘と熊野灘の狭間に位置するこの灯台は、建設前から「早く作ってくれ〜〜〜〜〜」という要望が非常に多かったのだとか。
歴史的価値もさることながら私がここが好きな理由は「景観の調和」
なんというか大王崎の町とすごく合ってるんです。
白亜の灯台は空と海の蒼さとマッチする一方で、観光地としてやや先行き不安な町の情景と、その中にあって最も歴史の長い灯台はただただその行く末を見守っているように見える。のです。
東洋一、という看板が目を引くけれど、閑古鳥が鳴いていた。
灯台へのアクセス。車はちょっと厳しい。
灯台から見下ろす町が素晴らしい!!!
絵が上手な人にこの情感を表現して欲しい・・・とさえ思う。
ここはぜひノスタルジック好きな人には訪れて欲しい。きっと好きになる。
ああ・・・・美しい・・・・
というわけで灯台抜粋は以上です。他にもありますが、また溜まってきたらまとめようと思います。
いかがでしたでしょうか。灯台の魅力、少しでも伝わったでしょうか。
私は我ながらビンビンに伝わってきました。
思い返せば灯台が絡むツーリングは大抵、思い出深いものばかりで、やはり端っこというロケーションのせいだろうか、多少辛いものもある分、印象に残りやすい。
さて、また旅に出よう。
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