【そらちグルメフォンドアフター】約束の積丹ブルーとウイスキー
自転車, 写真, ロングライド, 北海道,曇りになると分かっていたけれど、とりあえず西に向かうことにした。
引き返しても何も起こらないのは確実だったし
それならせめて走ったことがない場所を走ってみたい。

しゃこたん町を出発。ありがとう、雲丹、美味しかったです。
この看板だけでここ北海道が47都道府県の中でいかに異質なのかが伝わってくる。
3桁国道巡りが好きな人は珍しくないけれど、道道巡りとなるとそのハードルは一気に上がるはず。北海道中に張り巡らされたその多くは冬には閉ざされてしまうのだから。こうして夏の間だけ北海道に来ている私のようなツーリスト程度ではその未知なる世界の真髄は計り知れない。今の所チャレンジしようという気にもなれないけれど、アイスブルベなる酔狂なイベントがあるのだから世界は広いなあと思う。
振り返ると晴れ。だけど徐々に雲が広がって来た。さっきまでは真っ青だったのに・・・・!
で、進む先は曇天。
北海道らしい何もない道を漕ぐ。巡航速度は32km/h程度でケイデンスは95回転程度。荷物が少ないおかげでほぼほぼ空荷の状態とコンディションは変わらないおかげもあって細かいアップダウンも苦にはならない。
自転車旅において荷物の軽量化というのは永遠の課題であると思う。10年前から随分進化した。昔は、と言ってもそんなに遠くない昔のことだけれど、信じるべきは家から持参した地図だったし、暇つぶしのための音楽プレーヤーを後生大事に持っており、財布には現金が入っていて、乾電池をたくさん持ち歩いていた。今ではスマホ端末一台で全て事足りる。便利になった。
積丹岬に近づいてもやっぱり天気は変わらなかったので、せめてもと思い立ち寄ったのがこちらの温泉、「岬の湯しゃこたん」
温泉!温泉!
自転車旅には嬉しい天然温泉で、しかも露天風呂付き。その露天風呂というのが見事なオーシャンビューで目の前に広がるオホーツク海ギリギリの日本海を眺めながら湯船に浸かることができる。
湯船に浸っているとこの後のことなんてどうでも良くなって来た。
このまま岩内まで走って適当なところで一泊してもいい。
翌朝雨ならタクシーか誰かにお願いして鉄道駅まで連れてってもらおう。飛行機のチケットはさすがに変更できないか・・・・'`,、('∀`) '`,、
絶対に牛乳を飲ませるという強い意思を感じる。
風呂上がりのソフトクリーム!北海道のソフトクリームどこで食べても美味しいからずるい。
なぜか馬路村のゆずドリンクが売っていたので。馬路村って、四国です。
お風呂も入ってデザートもいただいて、なんだかお腹いっぱいモードになってしまった。
「神威岬も積丹岬もまた今度にしようか・・・・」と思いながら外に出て自転車にまたがって空を見上げると先ほどまで曇天だった空の隙間から青空が覗いているではないか!!!
なんということだろう。
天気予報では曇りのち雨。急いで雨雲レーダーをチェックすると、雨雲と雨雲の隙間時間であることが分かった。ちなみに1時間後には小雨が降るらしい。
「これは・・・・チャンス・・・・!」
大急ぎで積丹岬までの5kmを駆け抜けた。
せっかく温泉に入ったのにもう汗だくだ。
それにしても道中に出てくるこの奇岩の数々は一体全体どういうことなんだろう。空から降って来たかのように不自然にそこにある。近くに高い山もないし・・・・この写真を見返すたびに思う。あまりに堂々としていて違和感がないけれど、よくよく見ると違和感しかない。皆さん、どうだろう?
積丹岬はそれなりに高い場所にあって、私が想像していたのとはちょっと違って結構広い国立公園みたいな感じらしい。岬がニョキッと出っ張っているだけじゃなくって、洞窟があったりトレイルコースがあったりする。全部満喫したかったけれど、そんなに時間もない。今、16時。宿泊を予定している余市までは60km。あまり見知らぬ土地を暗くなってから走りたくはない。今回はライト装備もVOLT300が1本だけだ。
ああ、そうだ、宿を取っていない。と、気づく。まあそれは後回しでいいやということでとにかく見晴らしの良い高台まで駆け上がっていきそして・・・・
「これが・・・・・これが積丹ブルー・・・・・・・・・・」
思わず見惚れた。写真で見るのも言葉で聞くのも、この目の前の光景を表すにはあまりに貧弱だった。
曇り空でほぼほぼ諦めかけていたせいもあって、この時の嬉しさは言葉ではちょっと表現しにくい。
表現しにくいという表現でご容赦いただこう。
こんな景色を目のしたらもう後の時間なんてどうでもいい。暗くなってから走ってもいい。
ゆっくりと堪能しよう。しっかりと記憶に焼き付けるために。
あたりには観光客も誰もいなくなってしまった。こんな時間にここにいるプランなんてなかなか無いものね。おかげでゆっくりと独り占めができた。
しっかしまあ本当に青い。
私が好きな瀬戸内海の青とはまたちょっと違う青。岩の手前と奥で全然色が違うし、手前の浅い部分でも緑っぽいところと青っぽいところもあって見ていて飽きない。
航海の重要な道しるべとなる灯台。灯台ハントが趣味の一つでもある私としてはこの「積丹出岬灯台」はずうっと見たかった灯台の一つ。昭和40年に建てられたもので、標高134mのピーク脇に立っているおかげでその全高13mにも関わらず照射位置は高い。日本海や石狩湾、さらには暑寒別岳まで見渡すことができる。
そしてフォルムと配色が可愛い。めっちゃ好き。
こちらが遊歩道トレイルコース。
うん、めちゃくちゃロケーションが良い。グラベルバイクとかで走ったら絶対気持ち良いけれど、多分走っちゃダメだと思う。私もここまでは自転車を担いで来た。多少重いハンドバッグみたいなものだ。
まじですか。
ダートも安心GRAVELKING 26Cタイヤ。実際のところ多少のグラベルなら普通のロードにこのタイヤを履かせて突っ込んだら良いと思う。47Cのようなエアボリュームで解決するのもいいけれど、細いタイヤはそれはそれで岩の間を縫いやすかったり、取り回しの良さからテクニカルなセクションをこなしやすかったりする。そして当然、舗装路を爆走できる。
この後は余市までの60kmを文字通り爆走した。
爆走しながらグーグルマップで「宿」で検索して目についたところに電話をして今から素泊まりできるか聞いたら、多少渋られたけれど「何も用意しなくていい」と伝えるとじゃあいいですよと返答が来た。19時を少し過ぎる頃に宿に到着しチェックイン。部屋に入ると本当に何も用意していなかったらしく誰かの布団が敷きっぱなしだった。流石に面食らった私は敷きっぱなしの布団を畳んで新しい布団を用意してもらって自分で敷いた。なんだか修学旅行を思い出す。
お腹が空きまくっていたので近くにあった山岡家でラーメン。
疲れた身体に沁みる〜〜〜〜〜!
宿に帰って洗濯をしてこの日は就寝。
長く、濃く、良い一日だった。
翌朝は予報通り雨だった。非の打ち所がない雨だった。
前日に近くのホームセンターで買い込んでおいたレインコートを着てとりあえず余市駅まで移動した。気温が高いのがせめてもの救いだ。
とりあえずこの日は新千歳空港から飛行機で帰ることしか予定がない。
それならばということで、余市観光をして時間を潰すことにした。
当然何の予備知識もなかったので駅併設の売店で店員の人に観光情報を教えてもらうと「とにかくウヰスキーですね。ニッカウヰスキーの工場がありますよ」ということなので向かった。歩いて5分くらいだ。
ほほう。無料で見学できるらしい。
ちなみに私はお酒めっちゃ弱い。缶ビール1缶を飲み干せたことがないし、そもそもビールは好きじゃない。日本酒かワインであれば、多少飲める、その程度だ。
かすかにって書いてあるけれど私にとっては十分なんだよなあ・・・・
この部屋の芳醇な香り、ものすごかった。
「どうしてそんな無茶をしたの?」
「そこに試飲があったからさ・・・」
いやもう限界っす。
あまりに私のレポートが薄いので誤解を招きそうだけれど、ここ、ウヰスキー好きにはたまらないと思う。ウヰスキーの歴史から作り方、貯蔵方法、販売の歴史、歴代のレアウヰスキーの展示やここでしか試飲できない数十年もののウヰスキー、豊富なお土産と、私自身なんだかんだで結構楽しんだ。ただお酒が入るともう駄目。せめて、ということで奥さんと妻へのお土産はゲット。
駅に戻る。
することないから食べ歩き。余市駅の売店で売っていたこのアップルパイが、私が今まで食べたアップルパイの中で最も美味しいといえる。そう、林檎の名産地でもある。いやしかしほんと美味しかった。感動した。エルラプラザ、という名前のお店らしい。ぜひお試しあれ。
時間もあるし懲りずにプラプラする。
どこかの大学自転車部だろうか。雨の中ご苦労様です。
まる余ベーカリーさんでチーズラクレット!
ああ〜〜〜〜〜申し訳ない〜〜〜〜〜
後は海鮮市場を眺めたり
シュークリームを食べたり(食べてばっかり)
まあもう頃合いかな、というところで余市駅を後に。
結局雨は止まなかった。
新千歳空港までの列車は旅のことを振り返るには十分な長さだった。
新千歳空港に到着。
預け荷物で預けていた飛行機輪行用の輪行袋を回収し、手早くパッキングを済ませて預け荷物としてチェックインを済ませる。慣れてしまえば15分もかからない。身軽になったので軽く空港内観光。
ミクショップ!店内にはこれでもかってくらいのミクグッズで溢れていた。
歴代制服。ここが一番見ごたえあった。
新千歳空港、国内の空港じゃ一番レベル高いかも。飲食店の豊富さがとんでもない。北海道中の美味しいものが集ってるんだからもうオールスターゲーム。ここだけで食い倒れができると思う。
あと宿泊可能な銭湯があって、ここがめっちゃ気になった。北海道旅するならここをホテル代わりに使うのもありなじゃないかなと思えるクオリティだった。
せっかくなので最後まで・・・・・
北海道を堪能する・・・・・っ!!止まらない・・・・エンゲル係数・・・・・っ!
飛行機に乗ってしまえば大阪まであっという間だった。
そのあっという間の時間だけでは振り返るには足りない、北海道旅が終わった。
そらちグルメフォンドがすべての始まりだった。
その名に恥じない「グルメ」っぷりには本当に感動したし、何よりイベント自体の完成度やコースの素晴らしさについては言わずもがな。
お誘いいただいたけーすけさんには本当に感謝するばかり。
そして改めて北海道の魅力に気づくことができた。
こればっかりは訪れてみないと分からない。
走った人だけが体験することができる北海道の魅力を少しでも伝えることができれば幸いです。
今年も、夏が来る。平成最後の夏が来る。
終わり。
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