1回目は本当に酷かった。
そもそも天候が雨っていう時点でお察し。
高松から80kmのアプローチ(二回の山越え)の段階で心半分折れる。
グラベルに至るものの当然路面状況は最悪で足をついたらそのままズブズブと地面にめり込む始末。
気温は0度がいいところで、標高が上がるにつれて風も吹く。
ウエアは防水機能の限界を超えてついには身体を容赦なく冷やしてくる。
ガタガタ震えながら残りわずかの補給食を食いつないで山小屋に転がり込んだ。
翌朝にはバッチリ風邪をひいて、けれど場所は徳島の山の中。
脱出を試みるものの当然鉄道なんかあるわけもなく自走で高知まで必死にペダルを踏む・・・・。
とまあこうして書いているだけでも身体が震えるようなトラウマを抱いていたのでリベンジに至ったわけなのです。
結果は大満足。
最高のグラベルを心ゆくまで満喫することができたのです。
そして前回と違って心に余裕があったためかいろんな知見を得ることもできた。
人間余裕がないと視野狭窄に陥るものだ。
◾️ルート作成について
さて、まずは剣山スーパー林道の全貌を見ていこうと思う。
全体のマップについては「とくしま林道ナビ」というサイトで見ることができる。
まあこんなサイトがある時点で徳島は林道天国ということがわかると思う。
その上で私なりに「
自転車向き」に全貌を解説すると、以下のようになる。
(というのも先のサイトのマップがバイク向きな要素が多いからだ)
剣山スーパー林道の起点は「上勝町」という町の役場付近になる。
ここから西に向かって終点の「高の瀬峡」までが87.7km。
ただしここで注意しなければならないのが、全部が全部未舗装路ではないということ。
起点から旭丸峠までは道は細いし路面状況は良くないけれど、実質舗装路。
なので純粋に未舗装路だけを楽しみたいのであれば、起点から旭丸峠までは無視してもいい。
例えば後述するけれど車でトランポして走るのであれば、中間地点の「岳人の森」や「川成峠」をベースにするのが賢いと思う。
私は「岳人の森」を起点として走るのが良いと個人的には思う。
つまり岳人の森に車を置いて、そこから走りに行くというプラン。
もちろん一番右端の上勝町から走破するのもありだろう。
けれどその場合はスタート地点までのアプローチが随分ハードになると思う。
徳島駅から自走するかあるいは上勝町に車を置いて走破してからまた帰ってくるか・・・。
どちらもなかなかにエクストリームライドになりそうな気はする。
ちなみに地図上でドクロマークで記した剣山トンネルはここ数年はずっと通行止め。
つまり2017年現在、全線走破は物理的に不可能ということ。
通行止めにはレベルがあって「自己責任であれば通ってもよし」「工事のタイミングによっては通ってよし」などグレーなことが多々あるけれど、少なくともこの剣山トンネル以降については「絶対に通らないでください」とのこと(然るべき場所に確認済み)
なので決してゲートを越えて進まないようにしていただきたい。
というのが現実的だと思う。
車に
自転車を積んで任意の場所に駐車をしてそこから
自転車で走り出す。
ある程度のところまで行ったら折り返すないしは周遊して車の場所に戻ってくる。
というのもそもそもこの一帯が町から遠いということ。
最寄りの大きい町は徳島。その次に高松。その次に高知だ。
そこから自走で走ってきて剣山スーパー林道を走ってからまた自走で帰るないし次の町に移動する、というのは結構骨が折れる。
まあ前回私は高松をスタートし剣山スーパー林道を走って高知に抜けたので出来ないとは言わない。
ただ結構体力面できついのは間違いない。
それにグラベルを走るのだから当然それなりのMTBやらグラベルロードで行くことになると思う。
つまり舗装路はそこまで快適に走れない。
ロードバイクで100kmは走れてもグラベルロードないしMTBで100kmとなると話は変わってくる。
60kmのダートのために150km近い舗装路を走るというのはなかなかにマゾっ気のある話だ。
◾️補給について
私は今回「四季美谷温泉」でご飯を食べる前提でプランを立てた。
剣山スーパー林道は補給所が全くないと思われがちだけれど、実際のところは林道上に2箇所、付近にさらに2箇所の合計4箇所の補給所がある。
それは西から「岳人の森」「ファガスの森」「奥槍戸山の家」そして「四季美谷温泉」だ。
そのうち「ファガスの森」「奥槍戸山の家」が林道上にある山小屋施設で
「岳人の森」は県道253号線上の山小屋、
「四季美谷温泉」は県道295号線上の温泉施設だ。
この4つの施設をうまく活用することができれば走破するにあたっての懸念事項である補給問題をスマートに解決することができるはず。
私は今回「四季美谷温泉」でご飯を食べる前提でプランを立てた。
残念ながら「ファガスの森」は営業時間前に通過してしまったし、「奥槍戸山の家」は定休日だった。
それぞれ曜日ごと季節ごとに営業時間が異なるから必ず確認してほしい。
臨時休業などもあるから電話で確認するくらいの慎重さがあって然るべきだと思う。
「開いていると思ったら閉まっていた。」
これが街中なら笑って終わるけれど、山の中なら命に関わることだってあり得るのだから。
もちろんいくら頼れる施設があると言っても、補給食と水はそれなりの量を抱える必要がある。
グラベル、ガレ場を60km走るというのは、舗装路に換算すると180km走るくらいの疲労度があると思っていたほうが良い。
いや、言い過ぎか、と思ったけれどことこの剣山スーパー林道に関してはその通りだと思ってほしい。
なぜならここはアップダウンが激しい。
◾️獲得標高に注意
ざっくり言うと60km走って2,000mは登る。
これがオンロードだったらある程度走れるサイクリストだったら問題ないと判断してしまうかもしれない。
実際は60km全部未舗装路だ。
上りも下りも未舗装路。
とてもじゃないけれどペースアップは望めない、と思って構えてちょうどいいくらいだと思う。
実際に1回目に私が「ファガスの森」までの6kmの登りに要した時間は「1時間」
自分で言うのもなんだけれどそれなりに走れるつもりではある。
が、実際にガレ場で登り勾配8%ともなれば時速は4〜8km/h程度に落ち込む。
たった1km進むのに10分もかかるなんて、普段じゃありえない。
それくらいにガレ場の登りというのは厄介な存在だ。
また下りにおいてもそこまで速度は稼ぐことができない。
また体力の回復も同様だ。
むしろ下りは極めて高い集中力が要求されるので、休んだ気がしないかもしれない。
実際に剣山スーパー林道で「落ちた」人たちのほとんどが下りセクションでの出来事らしい。
オーバースピードか、あるいは握力がなくなってしまったのか、コース選択ミスか・・・・。
「失敗する余地があるなら、必ず失敗する」というあまりに有名な法則を紹介するまでもなくこの道は我々に牙を向けてくる。
なのでペース配分については悲観的になるくらいでちょうどいいと思う。
時間が余ったら余ったで温泉に入ったり山小屋の人と話をして有意義に過ごせばいいだけの話だ。
・パンク
これは誰にでも起こりうるもので対策をしなければ確実に詰む。
ゲームオーバー。
前者は十分すぎるくらいの用意を。
例えば水場なんかはあまり期待ができないので、2リットルは欲しいところ。
実際に今回私がチャレンジしたのは11月だったけれど、水は1.5リットルに加えてウィダーインゼリー2個、カップヌードル1個、そして最後に「四季美谷温泉」での食事で水分を賄った。
これが夏場だったら2倍量の水が必要になるわけで、運搬するだけでちょっと骨が折れそうである。
ハイドレーションシステムやボトル増設は必須になってくると思う。
後者はテクニックと慎重さ、そして信頼できる機材選びによって封じ込めることができるはず。
幸いにも私はパンクの神様には出会わなかった。
けれど心構えとしては「パンクしなければラッキー」くらいの気持ちで臨んだ。
もちろんチューブは4本持参していった。
道中であったサイクリストは予備のタイヤまで持っていたけれど、確かに考えてみればおかしい話ではない。
サイドカットの発生率は街中の数十倍なのだから。
◾️機材について
あくまで私の個人的な考えだけれど剣山スーパー林道はそうは言ってもハードではない。
難易度とは相対的なものとして考えると、例えば本州のMTB乗りが行くような林道やガレ場を考えると剣山スーパー林道はフラットコース、イージーと言っても良い。
その証拠に「全線車が通行できる」
その程度なのだ。
実際に工事関係車両に何度か追い抜かされたけれど、ゆっくりではあるが確実に走れていた。
道幅こそ狭いけれどスタックしたり崖から落ちるようなことはないようだった。
車種はハイエースだったりプロボックスだったり。
車が走っているおかげで轍はできているし、踏み固められている。
普段から真のオフロードをガンガン走っている人からしたら、ちょっとやんちゃな河原くらいに感じるのではないだろうか。
故に、機材についてはグラベルロート程度でも良いと考える。
タイヤ幅でいうと28Cだと下りが不安
35Cあればこなせる
40C以上あれば余裕を持って楽しめる
HE規格の2.0インチ以上なら無双できる
フルサスペンションMTBはオーバースペック
と、感じた。
もちろん楽しみ方次第ではある。下りでガンガン楽しみたいならハードテールMTBなんか最高だと思う。
そしてどんな機材を選ぼうが共通した注意点としては
「固定の甘いものは全部ぶっ飛ぶと思え」
私はRaphaのグローブを紛失しました。
振動も8時間ともなるととんでもないです。ネジ、ボルト、増し締め必須です。
こうして整理していると剣山スーパー林道の難易度を高めているのはその路面状況ではなく立地条件や取り巻く環境にこそあると感じる。
例えば家の横から始まっているとかであれば散歩感覚で突入できると思う。
現実はそうではなく
・徳島の「山奥」にあり
・「標高1,000m越え」で
・「補給所が少なく」
・「エスケープルートがない」
故に準備が必要なのだ、ということで備忘録としておきたい。
さて、リベンジに成功した第二回剣山スーパー林道ツーリングはまた次の記事で。
続く。
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