今更説明する必要もないかもしれませんが、初見の人もいるかもしれないので宣伝がてら記しておくと、自転車工房ecoは店主の唯さんがフレームビルダーを務めるクロモリ自転車のオーダーショップです。
あえてクロモリロードと記さずにクロモリ自転車としたのは、そのジャンルの手広さ所以です。
唯さんの作品はロードバイク、シクロクロス、MTBといったジャンルに囚われない自転車ばかりであり、これは自転車製作に対するアプローチがマスプロメーカー等とは全く異なるからといってもいいと思います。
唯さんの作る自転車は「乗る人の本音に合った自転車」なのです。
そこが魅力であり、オーダーフレームの醍醐味でもある。
新しくなった工房の中で唯さんは語っています。
「田舎暮らしはずっと憧れててねえ、都会ってやっぱり窮屈で、忙しないやんねえ。こっちはやっぱり自然がいっぱいで、家の目の前がもう緑いっぱいで、時間の流れ方が全然違う。最寄りのコンビニも山越えないとダメだし、確かに不便は多いけど、やろうと思えばなんとかなるもんかなあって。意外と冬も夏も越せそうだよ(笑)」
「三田に移店して正直どうなるか不安だったけど、いざ開けてみると岡山や名古屋といった、いろんな場所からオーダーしに来てくれるようになった。オーダーしてくれる人にとって、場所は関係ないのかなあって思った。でもわざわざこんなところまで来てくれるなんて有難いねえ。」
「実際に会って話をすると、その人の乗り方だったり考え方、求めるものが見えてくる。それこそ気づいたら何時間も雑談してるなんてことがよくある。なんでもない会話のように見えるけれど、実はその端々にヒントがあって、それをフレーム作りに活かすことができるんだよ。硬くしたり柔らかくしたり、部分部分で特徴を変えたり、わがまま言い放題だからみんなわがまま言ってくる(笑)でもそこが面白いし、工夫しがいがある。ほら例えば・・・(過去のオーダー例を紹介。この過去の例のストックがものすごいのです)。今まで作った100本以上のフレーム全部覚えてるもんねえ。一つとして同じものがなくって、でも全部が全部、ちゃんと特徴があって。出来上がったフレームを楽しそうに乗ってくれているのをみると嬉しいなあって思う。」
「こっちに移店してから環境は良くなったかなあ。前は自転車屋の片隅で作ってたから、完全に集中できなかった。空気入れのお客さんが来たらそれにも対応しないとダメだから、火をつけるっていうのもなかなかね。ここもお客さんが来たらがっつり話するけれど、それ以外の時間は朝から晩までずっと集中してフレーム作りに専念できる。自宅兼だから夜中でもできるしね。ただ工房に移る時は行って来ますって言ってる(笑) 前の店の常連さんもサイクリングがてら来てくれるし、メリハリが付いたかなあ。ただせっかく移店したんだから、吹田で作ってた以上のものは作りたい。三田でクオリティを高めていきたい。」
「集中できる分、(製作する)スピードも上がってるかなあ。今では最短で月に4〜5本は作れるように目指してるよ。今はバックオーダー含めたら8ヶ月待ちとかになってるけど、なるべく早く作ってあげたいっていうのはあるからね。ここ2年でオーダーもらう数が一気に増えていて、有難い話。もっと増えても大丈夫なように、もっと環境を整えて、ただクオリティは下げずに続けていきたい。」
私が唯さんのところで1台のみならず2台もオーダーしたのはひとえに唯さんのモノづくりに対する姿勢に共感したから。
そして人柄の良さと。
聞き上手というところと。
めちゃくちゃ気さくな方 でほんわかしているけれど、実は職人気質なところも兼ね揃えているところとか
そういう全部が「ああ、任せてみよう」と思わせてくれるのです。
私のクロモリオーダーロードバイクに対して思うことは他の記事を読んでいただきたい。これでもかってくらい書き殴っているので。
でもそれってどこでもいいわけじゃなくって、やっぱり頼むからには自分と相性が良いところ、ここだ!と思えるところで実現したい。
三田に移転してからのエコーは古民家を改装したものであるからか
その自然の中のロケーションのおかげなのか
居心地の良さがものすごい。
オーダーしに来る人はもちろんだけれど、
大阪から片道50kmというサイクリングに程よい距離感から単純にライドしに来る人や、
ご飯を食べに来る人、
猫に会いに来る人、
なんとなくふらっと立ち寄る人がいたりと、
憩いの場として少しずつ人が増えていっている模様。
TADA車をオーダーして以来、気がついたら私の周りの多くの人たちもTADA車オーナーになっていった。
自分が広げたとかそういうことを言うつもりはない。
ただきっかけを作っただけ。
本当に良い人、良い場所、良いものがあるからこうして広まって行く。
先日のライドもそんな感じ。気づいたらたくさんの人がきた。
クロモリオーダーバイクについて少しでも興味がある人は是非、訪れてみることをお勧めします。
きっと自転車の楽しみ方が一気に広がります。
最後に唯さんの言葉を。
「結局、自転車が好きって言うのが根っこにあるんかなあ。で、それを自分で作れるってことが贅沢じゃないんだけど贅沢。せっかくこうして環境が整ったから、色んな人の自転車を最高の一台に仕上げるお手伝いがしたい。」
自転車工房エコー(eco)
兵庫県三田市小野216-2
営業時間 金曜〜月曜 11:00〜17:00
ちなみに古民家なだけあって季節を感じながら過ごすことができるのもいいところ。
これは去年の年末。こたつでぬくぬくしながら外の自然を眺めたり猫と遊んだり本を読んだり。
ちなみにこれは私の202号機に乗る唯さんです。とても楽しそう。(Photo by きむちりさん(@kimuchinconental)
ちなみに私はこの日珍しくレーパンジャージ姿でした。(Photo by きむちりさん(@kimuchinconental)
工房の中に入って自分だけのフレームが出来上がって行く様子を間近で見ることができるのも嬉しい。
また四季を感じに、唯さんへ会いに、エコーへ行こう。