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天空の絶景道【四国カルスト〜中津明神山】

神楽坂つむり

自転車, 写真, ロングライド, キャンプツーリング, バイクパッキング, 登山, 四国,
風が止んでいた。

あれだけ一晩中唸っていた音はどこへ行ったんだろうか。

シュラフから身をよじりだし、着替えて、テントのファスナーを開けて外に出た。


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昨日と同じ場所とは思えなかった。

ああ、なんという優しい朝だろうか。
空気は冷たいけれど、これから暖かくなって行く予感を感じさせるものだった。
視界いっぱいに広がる草原は朝露を反射させている。
もちろん、誰もいない。
この広大な土地を見渡しても。
こういう時間を得られるから、キャンプツーリングはやめられない。
ビジネスホテルや民宿に泊まるだけじゃあ得られない世界がある。
そういうことを、気づかせてくれる。



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サンダルに履き替えて、あたりを歩いて散策してみる。
草原の端まで行くと下は崖になっていて、眼下には四国の雄大な山々が連なっていた。
今いる場所の高さに気づかされる。
その場に座り込んで、しばらくその景色をただただ見つめた。

さて、朝ごはんを食べようと、テントに戻って昨日買っていたはずのカップスープを探したのに全然見つからなかった。
これはあれか、昨夜の必死の上りの最中に落としたとしか思えない。
落ちたことにも気づかないなんて、相当集中力を欠いていたんだろうか。
やれやれ。

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というわけでアルファ米です。
水だと60分、お湯だと15分、入れておくだけで、お米が出来上がる。
文明の利器。
これが意外と食べ応えがあって、なんとかどこか食料を調達できるところまではお腹を持たすことができそうだった。

と、いうかもしこれがなかったらやばかったです。
四国を走るときはもしもの時のための非常食を備えておく。
過去の経験から得た教訓の一つです。

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左側に見えている炊事場があったからある程度、風を凌ぐ事ができていた。
それでもテントが吹っ飛ぶくらいの強風だった。
おかげで夜中に何度か起こされて、ちょっと寝不足。
時間は日にち単位でたっぷりあったからこのままここで一日過ごしても別に構わないけれど、あまりにもする事がなさそうだったので出発準備。


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「撤収は設営よりも速やかに」
「パッキングは丁寧に」
というのが私のポリシーです。

右下からテント、マット、グラウンドシート、着替え、輪行袋、ライト・バッテリー・財布類
右上から自炊道具、テントポール、シュラフ、三脚、カメラ、靴、Kindle、サコッシュ


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そして撤収中にテント横に落ちていた立派な鳥の羽。
雉、だろうか。
こんなところにいるのだろうか。
しかも夜中に来た・・・・?不思議だ。
幸運の象徴らしいけれど、自転車ツーリングにおいては幸運というのは天気くらいのものだ。
その他の全ては自己責任。
自分で選んだものだけで構成されているのが自転車ツーリング、だからこそ自由だし、だからこそ簡単にいかないこともある。それだから面白いのです。


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夜中ひたすら信じられない勢いで回っていた。
というのも音が聞こえていたから。
回っている音というか、空気を切り裂くような「ブウウンブウウウン」、それが衝撃となって届く感じで、正直、怖かった。


さて、四国カルスト。
日本三大カルストの一つで、もっとも標高が高い、1,500mに位置している。
四国の山々を背景にして、侵食作用により露わになった石灰岩が草原に点在する様は・・・

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ああああああああ!!ああ!ああああ〜〜〜〜


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グランツールに、ヨーロッパの絶景に負けないような景色がそこには広がっていた。
いや、この目で見た景色を他と比べること自体間違っているだろうか。
そんな景色を独り占めできる贅沢といったらない。
時刻はまだ8時。

うーん、嬉しい。
ゆっくり堪能できます。


普通に四国カルストまで登って来たらどこからアクセスしようが帰りを気にしないといけない時間にしか到着できないようになっています。
それくらいアクセスが悪い。
補給もないし、坂はきついし、距離は長いし。
でもそのぶん、見られる景色は格別です。
一泊すればもっと満足度が上がること間違いなし。


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文字通りの牧歌的風景を堪能できる。
ヨーロッパなどに憧れるのもいいけれど、日本の景色にも目を向けてみませんか。

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道脇にも石灰岩の塊がゴロゴロと。
さて、これらは一体どのようにして形作られて、この場所にあるようになったのだろうか。
と、考える。
そういう疑問が、旅をしているとたくさん湧いてくる。
帰ってから調べられるように、クラウドメモ帳に一言でもいいので書き記すようにしています。

「石灰岩 生い立ち」

 

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たっぷり堪能した!


国道439号線まで下ってそこからさらに南下して足摺岬へ向かう、というのが昨日まで考えていたプランだけれど

「ちょっと待ったああああああああああああああ」

と心の中のつむりが叫んだ。
実はずっと頭の隅で引っかかっている事があった。
それはあのガスに包まれた中津明神山だ。

2時間半かけて登ったのに、真っ白な世界しか見えなかった。
期待して登っただけに失望と因縁の山になってしまう。

このまま帰ってしまえば。


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気付いた時にはハンドルを切っていた。
リベンジだ。
もう一回登ってやろう。
次のチャンスがいつあるかわからない。
ここはそう簡単に来れる場所ではない。
体力は、うん、大丈夫、今の自分ならもう一度登れるはず。


一旦南下して国道439号線を経由して再び登り口へアプローチすることに。
この過程がただなかなかに曲者で、強烈なダウンヒル&ヘアピンカーブの連続。
一体何度曲がったか、数えていても忘れてしまうくらいだった。

こういう時、カーボンリムだと注意が必要、というのは重々承知。
今まで何度もレーゼロカーボンでこういう下りをこなして来たけれど、問題ないのだから、信頼できる。
もちろんケアは必要です。
カーボンリムを使っている人なら知っていて当然だけれど、ブレーキはかけっぱなしにしない。
減速したいときは思い切り握り込んで減速。そして素早くレバーを離す。
これの繰り返し。
決して握りっぱなしはいけない。

1時間ほど走ってようやく登り口に戻ってきた。
この時点でもうキャンプ装備はいらないと判断し、最寄りの郵便局でダンボールを買って、その場で自宅に郵パックで返送した。
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これだけでも大きな違い。

そして郵便局の人に「この辺りでご飯が食べられる場所はないですか?」と聞くと
「ちょっと上がった渓谷に食堂がありますよ」
ということで、そこでお昼ご飯をいただくことに。

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店内は地元の農家の人たちと思わしきおじちゃんらがたむろしていて、よく聞き取れない言葉で話をしていた。
やれイノシシがどうだの、今年は雨が少ないだの。
そして話をしながら当たり前のようにタバコをプカプカ吸っていて、ああ都会とは違うんだなあと実感した。
分煙などという概念はない。


さて、昨日と同じように2時間ほどかけて登り続けた。
同じ山を登るなんて、そうそうないことだけれど、決めたのだから行くしかない。
心なしか昨日よりもしんどいのは精神的な問題だろうか。
まあ数字的にみてもキッツイ山!なのは間違いなくって、15〜20%くらいの急斜面がkm単位で続いちゃったりする。'`,、('∀`) '`,、


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頂上が見えた時には勝利を確信した。(ここからまた15%くらいの坂が続く鬼畜)



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まあこれだけの景色なら四国カルストを見た後だと正直見劣りしちゃうなあ・・・・というところだけれど、違う、そうじゃない、ここ中津明神山の本当の魅力は。


これ。



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天空のオフロード。



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素晴らしいかな!



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深い山を越えて標高1,500mまで上がった者だけが見られるこの景色。
ずうっと先まで砂利道が続いているこの様は、全国津々浦々巡ってきたけれど、そうそう見られるものではない!
ロケーションに心踊らずにはいられない。
2日現在で獲得標高が5,000mにも到達しようとしているのに、不思議と身体はフレッシュな感じ。
なんとも単純だ。
ガスに覆われていた昨日はクソったれな気分だったのに。


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25Cのロードバイクだとちょっと厳しいかもしれないけれど、オアフ島のkaena point trailと比べると楽だなあというのが第一印象。
(比較対象が間違っているかもしれない。)
(真面目に書くと、ロードバイクで行くところじゃないとは思いましたまる)
(でも楽しい!)

(↓kaena point trailを同じ25Cタイヤで走った時の様子)
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4kmほど走ったところで行き止まりだったので折り返し。
この間、誰ともすれ違わずに、独り占め。ふひひ。
ただ帰りしなにセロー含めたオフロードバイク集団に出会ったので、オフ車乗りには人気の場所なのかもしれない。
MTBで登ってくるのは・・・・ちょっときついかなあと思います。
E-BIKEの普及が待たれる。


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佐川の町まで走って、ここからまた次の目的地へ。

それはまた別のお話。
 



     
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Comments 1

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karlhyde

はじめまして
いつも楽しく拝見しています
つむりさすごいですね
うらやましい
僕は膝を故障し(恐らく半月版)しばらくロードバイクはおやすみです
復帰してもヒルクライムは制限がありそうです
自宅も近いのでみかけたらご挨拶いたします
それでは

  • 2017/05/26 (Fri) 17:25
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