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【西九州自転車ツーリング】川内峠と生月島サンセットウェイ 【平戸〜生月島〜前津吉〜佐世保】

知らない街を訪れたときのワクワク感の正体は一体何なんだろう?


絶景が見られるとか、美味しいものが食べられるとか、そういうのも抜きにして、ワクワク感はそこにある。考えても分からないのなら、それはきっと本能的なものなんだろう、と思う。人は知りたがる、体験したがる、動物の中で唯一火を使う好奇心があったからこそ、ここまで文明が発達した。そういったプリミティブな衝動を自転車旅は思い出させてくれる。


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幸いにして暗くなる前に平戸の街に辿り着くことができた。唐津でのロスタイムを走りでカバーすることができたということ。



お疲れ!自分!今日はもう休むだけだ。


宿は町の中心部から2km程の山間なので、ぎりぎりまで町を散策することにする。本土では最西端に位置するこの町。最果て感はそこまでないけれど、その歴史的背景のせいか、どことなく異国間を感じられるのは気のせいだろうか。かつての宣教師達が暮らしていた町、洗礼を受けたものの迫害されてキリシタンとなった人達が暮らしていた町。平戸はそういう場所なのだと頭の端っこの方で理解できたような気がした。



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町の外灯、路地裏に敷き詰められた石畳、あるいは石造の橋、海と山が異常なほど近く、そのわずかな隙間に人々の営みが集約している。きっと路地裏の上り坂を10分も登れば町を見下ろすことができるはず。そういうコンパクトな町だった。



散策も程ほどに暗くなる前に宿に向かう。

なんだか陽が長い気がしたけれど、大阪と比べて西に500km以上離れているのだから、地球の自転を考えると日の入りに差があるのは明白。旅をしていると、そういうことを実感できる。ふと、気づかされる。
宿は小綺麗な2階建ての木造建築で、これ以上ない民宿。そう、自転車旅といったら民宿です。ホテルじゃ情緒がない。もちろんテント泊も無人駅泊をやるときもあるけれど、必要に応じて、だ。



チェックイン(チェックインという言葉がふさわしくない雰囲気がある)するときも、宿の女将さん「もうお風呂わいてますよー。上がったらご飯にしましょう」と、ゆるい雰囲気で迎え入れてくれる。旅の話もする。平戸の歴史についても語ってくれた。そういうローカルなコミュニケケイトができるのも魅力の一つ。

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お風呂もご飯も大満足だった。

部屋のテレビでこれまたローカルなチャンネルの、ローカルな場所の、ローカルの話題を眺めているうちに長崎にいる実感が急に湧いてきた。そして眠気。この日はこのまま就寝。9時くらいだったと思う。




翌朝はお腹いっぱいになるまで朝ごはんをいただいて、宿を後にした。

明るくなってから部屋から海が見えることに気づく。良いロケーションだ。平戸の朝、というとすごく限られた範囲内での通勤・通学風景があるのだろうかと思っていたけれど、そうと呼べるほどの人がそもそもあまりいなかった。ゆったりと人が移動しているだけ。時間がゆっくり流れているような感覚。



せっかくなので昨日見れなかった町の隅々まで散策してみることにする。

大通りと呼べるものは南北に1本、東西に2本だけで、あとは路地裏と呼ぶにふさわしい細い道と、あとは階段。やたらと階段が多い。行きたい場所への最短コースは間違いなく階段を使う。グーグルマップもあまりあてにならないようだったから、目の前の看板を頼りにして、名所を回る。自転車に乗る時間と担ぐ時間が同じくらいだったかもしれない。



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私は神の存在は信じないけれど、そういう雰囲気の場所で祈ったり、そういう建築物を眺めたりすることはある。嫌いじゃない。結局のところ知的好奇心を満たしたいだけだったり、その雰囲気の一部を味わったり、疑似体験的なセレモニィとして楽しんでいるといってもいい。教会を訪れるのも、神そのものよりも、人が作り出した背景だったり、建築的技法やまるで絵画を見ているような精密な建物に触れたいという理由が大半だ。その価値が、神を信じた人たちが残したものにはあると思う。



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「カスドースが美味しいよ!」

とフォロワーに教えてもらったので、その店に訪れた。三浦按針(旧名:ウィリアム・アダムス)が住まいとして使っていたという由緒ある建物に、そのお菓子はあった。カステラの柔らかい部分を糖蜜で揚げるというカロリー爆弾としか思えないお菓子らしい。このお店の人と30分くらい話をした。自転車旅の話に始まり、土地の話になり、自ずと平戸の歴史の話に落ち着いた。ここでもまた有意義な勉強をすることができた。カスドースひとつにもしっかりと歴史があって、これを聞けただけでも商品代以上の価値があったと思う。平戸に来たのなら必ず立ち寄るべきポイントのひとつ。


ちなみにこう言う地元の人と話す機会というのは、自転車旅をするなら、必ず得るようにしている。得るようにする、というのはつまり積極的にという意味。手のひらを出してたら勝手に飴が与えられるわけではない。




ゆっくりしすぎた!もう観光することもない。本日の目的地の一つである川内峠へと向かう。市内からはそう遠くない。1時間もかからない。
300mくらいをゆるゆると登っただろうか。
最初はなんてことないありふれた山間部を登っていたと思いきや、突然、視界が広がった。


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ぜっけーかな!!
果てしなく続くかのように錯覚する、広い広い空間いっぱいにすすき畑が広がっていた。
穏やかな丘陵地帯なものだから、見晴らしは最高。おまけに眼下には平戸の町と、海までくっきり見渡すことができる、空と、海と、町と、山を全部堪能することができる。そしてそれらを貫くように伸びる道。気持ち高まらざるを得ない。


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ここでカスドースをいただくというのをやってみたかったのでやってみた。

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「手がものすごくベタベタする」



平日昼間ということで人の気配もない。本当に静かだった。静かだから色んな音が聞こえた。だから厳密にいうと静かではないはず。だけれどそう感じるのだから、静かと一言にいっても色んな意味があるんだと気付かされる。
バイク乗りの一人でも来ないものかと思っているとエンジン音がして現れたのは白バイ隊員。まさかの。せっかくなので少し談笑。



「ここ気持ち良いからたまに来るんだ」



いい仕事してらっしゃる。


白バイについてダウンヒルをして(ロードバイクに有利なテクニカルな下りなのに2コーナーで離されてしまった)再び平坦からの山越え。
(どうやら今日はアップダウン地獄になりそうだ・・・・・。)心の中で覚悟を決める。


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・・・・・・・・・・・・。

・・。




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こんな景色が一日中、ずうっと現れるのだから、久しぶりに絶景疲れに陥った。

隠岐の島以来だ。

しかしこの時はまだ序章に過ぎなかった・・・・と今にして思う。この後の生月島が、間違いなくハイライト。



何度も何度も登りと下りを繰り返して生月島への唯一のアクセス手段である生月大橋までやってきた。当然のように、自転車にとっては橋も山岳みたいなものだ。海面50mはあろう大きな橋を駆け上がる。


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ちなみにこの橋、歩道はなく、車道しかないのだけれど、自転車通行不可の看板があり、下に小さな文字で「ただし降車している場合を除く」という注釈。つまり「車道を押して歩けばOK」というとんでもない橋だった。もちろん、自転車から降りずに渡りきった。こんな高い橋でかつ車が来る状況で押して歩くほうが危ないと思う。交通量はそこまで多くないから、路肩を走っている分には迷惑にもならない。



さて、生月島に上陸したからには、走るべきは西海岸!ここが今回の自転車旅のハイライトと言っても良いスポットと見据えていた。ある日、いつものようにグーグルマップを眺めていて気になったこの場所。ロケーション的には最高に気持ちよさそうであった。

気になって調べてみると出るわ出るわバイク乗りのブログ、車好きのブログ。どうやらここ、有名な自動車メーカーがこぞってCMに使いたがる道らしい。それだけでも特別であることがわかる。


そして走ってみた。

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もうやめて!絶景疲れにこの景色は辛い!


脳内分泌液がコップのふちから溢れて下までシャバシャバ状態になってしまった。

どんな乗り物で走っても気持ちが良いのは間違いないけれど、自転車こそ最高と言いたい。こんなところを自分の力だけで、好きなペースで走れるのだから。五感をフルに使って走れるのだから。


こんな感じの道が、最北端の大バエ鼻断崖(大碆鼻断崖)まで続く。

距離にして10km程度だけれど、自転車にとっては十分すぎる距離だろう。



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大バエ断崖では、六角柱状に削れた断崖を眺めることができる。とても自然物とは思えなくって、見ていてちょっと気持ち悪くなった。違和感というか、ずれてるというか・・・・。理解が一瞬追いつかない時にこう言う感覚に陥る。そういう場所だった。


灯台の下で2袋めのカスドースを食べているとバイク乗りに話しかけられた。ちなみに海岸線を走っている最中に一度抜かされたバイクだ。どこかで昼ごはんでも食べていたんだろう。私がここに到着してから5分くらいしてからやってきた。話をしていると、佐世保の人らしく、時々走りに来るのだとか。ちょうどいい、佐世保までのアクセスを聞いてみると、あまり走りやすい道はないよ、とのこと。やはり内陸部については島ほどの快走路はないと思っていたから仕方ないなあくらいに思っていると


「そういえばフェリーで行けるって聞いたことがあるなあ」


その一言がきっかけで、フェリーで佐世保まで向かうことになった。調べると前津吉と云う港から佐世保までフェリーでワープすることができるらしい。すぐさまiPhoneで調べると


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こう言うプランになりそうだった。今いるところからフェリー乗り場まで距離にして40km弱。アップダウンがあいからわず激しそうだし昼ごはんも食べたいから・・・・・


こう言う時の時間計算は過去のツーリングで得た経験がたくさんあるから、かなり正確に算出することができるのが特技の一つ。何に役立つってこう言う時にしか役立たないんだけれど、実際のところかなり重宝している。不確定要素を盛り込みつつ、2時間20分と云う答えになった。結果としては、5分程度の誤差で済んだと思う。ちなみにフェリー出発時刻も悪くない。前津吉フェリー、コバルト21の運行時刻は7:40 10:10 13:00 16:00の4本。13時半に大バエ鼻断崖にいた私は、ジャストオンタイムという予測を立てた。ので、迷わず向かうことに。



さて、通常、島であれば一周するのが普通。

だけれどバイク乗りの人にも質問をして内陸部はさほど面白くなさそうであることが分かったので、今回ばかりは来た道を戻る。生月島サンセットウェイ再び。絶景をお代わり。ごちそうさまでした。



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寂れた雰囲気を堪能したり


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ため息の出るくらいの青を眺めたり


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あ、ここの海鮮ちゃんぽんは絶品でした。生月大橋渡ってすぐの鯨見(やまみ)さんでいただく海鮮ちゃんぽん。盛り付けがまず二郎系。天地返し必須。濃厚スープ。魚介の旨味。てんこ盛り。ちなみに道の駅生月大橋は食べられるところがないのでご注意を。私も道の駅が何もなくって一瞬やばいハンガーノックの予感、と思って引き返すと頃合いよくこの店があったので助かりました。


補給もしたところで、あとは一気に前津吉まで愚直ライド。ここが一番体力面でやられた。何せアップダウンのオンパレード、しかも斜度は時折20%に迫るような。大した峠もないくせに繰り返して結果として30kmしか走っていないのに獲得標高が1,500mと云う恐ろしい数字になった。単純に標高1,500mの峠を登るのであれば大したことない。リズムで登れば1時間半で終わる。疲弊もそこまでしない。ただこれが峠と言える峠のない道で起こったのなら、話は別。単純計算で10kmあたり500mアップ。1kmで50mアップ。登りと下りしかないことが数字でわかっていただけると思う。


というわけで前津吉フェリー乗り場に着く頃にはもうお腹いっぱい状態だった。


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ちなみにここに着くまで道中には一切フェリーの案内看板はなかったので、結構不安でした。着いたところで案内もなく、このインフォメーションセンター(とても小さい)に入ってそこにいるお姉さんに話をしてやっと正解であることが分かった。ちなみにチケットもこの中で購入。片道1,650円、自転車は200円くらいだったかな。



そして旅が終わる。

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絶景を見すぎた私は、もう満足しきってしまった。まだ日数は残っていたけれど、もう佐世保から大阪まで一気に輪行で帰ることにした。これ以上は蛇足だと思ったから。満足度の一番高いところで切り上げるというのも実は大事で、だらだらと過ごすよりも、後味が良い。それだけ充実していたのだから、今回のルートは大正解だったと思う。



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佐世保港。「はるさめ」「はまな」「あしがら」などを堪能することができました。


最後は時間があったので「坂道のアポロン」の聖地巡礼をするだけして佐世保駅から特急みどりで新鳥栖まで行き、そこから新幹線で新大阪まで帰った。結局1泊2日で終わったけれど、先に書いたようにこれ以上は必要なかった。満足した。


満足する、大事なことだ。趣味において、これだけを求めていると言っても過言ではない。長崎。満ち足りるには十分すぎる魅力的な土地だった。今回のルートをヒントにして、新しい九州ツーリングルートをまた開拓できそうなので、いつかまた再訪する時があるだろうなあ・・・と思いつつ、新幹線のシートで眠りについた。


終わり。





    
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