【四国徳島】グラベルキャンプツーリング 雨降り林道 【剣山スーパー林道】

神楽坂つむり

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ジャンボフェリー乗り場に来るのはもう何度目だろうか。
電車で梅田に行くよりも頻度が高い気がする。
 
 
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四国への玄関口」
私にとっての三宮神戸港の位置づけだ。

 
初めてフェリーに乗った時はそのなにもかもにワクワクした。
シャンデリアもどきがぶらさがるチープな高級感あふれるロビーに、申し訳程度の観葉植物。
とてもおいしそうには見えないフード自販機に、くたびれたゲームコーナー・・・。
雑魚寝スペースはお世辞にも良い環境とは言えないけれど、屋根と壁さえあれば文句は言えない。
 
もうすっかり慣れてしまった私は船内散策をすることもなくそそくさと寝支度をして即就寝。
明日に備えよう。
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ここまでがっつり就寝装備を整えているのは私くらいだった。
睡眠は大事だから手間を惜しまない(というかどうせ必要なので持参することは苦じゃない)
 
 
 
(・・・・風が恋を運ぶ~~♪)
 
キタ。
例の歌、キターーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
うん、い つ も ど お り だ。
ジャンボフェリーの歌だ。
もう歌詞もメロディも全部覚えてしまった。
 
 
車両甲板に戻り自転車にまたがって船を出る。
いよいよ旅の始まりだ!!
このフェリーから飛び出す瞬間はいつだってテンションが上がる。
こればっかりは仕方ない。
出撃というか発進というか、そういうシーンはいくつになってもワクワクするものだ。
ましてやそれが自分ならば。
 
 
まずは腹ごなしに、うどん屋に向かった。
たとえ通過点だとしてもせっかく香川県に来たのだからそこはおさえておかないと。
いつもの定番、「さか枝」さんへ。
 
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相変わらずこんな朝早く(6時前)から営業しているのだからすごい。
普通にお客さんが入っているのに笑う。
うどんは言うまでもなく絶品でした。
かけ中にあなご天ぷらをつけて380円也。
 
 
さて、ここからはひたすら南下を続ける。
塩江、江原、川田、阿波山川とそこそこ走りやすい道が続いた。
50km程度。
 
が、
山に入ろうとしたタイミングでちょうど、ひどい雨が降ってきた。

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なかなかひどい。
思っていたよりも。


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思わず東屋っぽいところで雨宿り。


一服しようと併設自販機にお金を入れたら全く受け付けてくれなかった。
5分くらい戦って諦めた。


雨想定をしていたから装備的には問題ないんだけれど、ウエア的にはいささか問題がある!
完全防水ではなくあくまで撥水加工のウエアだったから、ここまで降られると徐々にしっとりと服が湿ってきた。
こうなると一気に体温が奪われる。

不幸中の幸いはそれが登りだったこと。
漕いでいる限り身体が冷えることはない。
外気温は4度とGARMINが教えてくれるけれど、なるべく気にしないようにする。見て見ぬふり。
雨雲レーダーを見ても好天しそうにはなかったので諦めて出発した。
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全部がしっとり濡れている。


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それにしても深い山だ。登れば登るほどに、木々は深くなり、渓谷は深くなり、何故か空は開けることなくむしろ鬱蒼さが増していく。
雨のせいで霧がかっている。
視界が狭い。近い。湿度も高い。
そんな中を黙々と駆け上がっていく。
 
そろそろか、と思っていた矢先に今回のメインディッシュであるところの「剣山スーパー林道」が現れた。

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いよいよここからサバイバルが始まるのかと思うと胸が高まった。

荷物を整理しようとバイクを降りてゴソゴソしているだけで身体が凍えそうだった。
この雨、寒波に加えて、ここは標高1,000m近い。
体感気温では氷点下くらいだったと思う。
カメラを操作する手が震える。地図を確認するのも一苦労だ。
さっさとリスタートして無理にでも身体を暖めないと、本当に動けなくなってしまいそうだった。


路面は石と岩と砂と倒木が入り混じっている。
条件はかなり悪いけれど、そういうのを楽しむためにオフロードを走っている節もあるのだから、むしろ喜ばしいことと捉える。
因果な趣味だ。
 


さて、グラベルというか完全にガレ場というか、雨のせいか地面はぬかるみかなりスリッピーな状況であることが判った。
空気圧を5.5気圧から一気に3気圧まで下げてトラクションを得ながらゆっくりと登る。


リアキャリアバッグスタイルのおかげかグリップはかなり良い。
後ろ荷重を荷物が勝手にやってくれるというのはこういうシチュエーションでは効果的だなと気づく。
悪くない。
 
たまに乗車が困難な区間が現れる。
倒木によって道が遮られていたり、ぬかるみが深すぎて小さな池みたいになっていたり。
担いだり押したりして乗り越えていく。
もはや何をやっているのか分からなくなるけれど、そのうちそういうことも考えないようになる。
ただ目の前の障害物を越え、道を進み、登っていくだけの存在となる。意志を持った機械と化す。

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当然、人工物はほとんど出てこないような深い深い森の中。


こんなところでトラブルに(例えばパンクだったり落車だったり)は絶対に遭いたくなかったので
いつもより丁寧にバイクをコントロールすることを心がけた。



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そんなことを2時間くらい続けてようやく舗装路に戻ってきた。
ここで大誤算だったのが、明らかに補給食が足りないということ。


「今このおにぎりに手をつけたら明日の分がない・・・・!!」


状況は明らかだった。


今日は「岳人の森」というところでテント泊をする予定で、下界に降りることもない。
もはや最寄りのコンビニがどこにあるかなんて調べる気も起きない秘境にいるのだから。
けれどもう我慢できない!
気づいたらおにぎりを頬張っていた。明日への不安を抱きながら・・・・。
 
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夕方にはなんとか「岳人の森」にたどり着いた。


幸いにも食堂が開いていたから、迷わず入店。山菜そばを特盛で注文。
 
その間、お店の人(というより山小屋の人)と写真を撮りに来たであろう地元のお客さんの(方言からそうだと思われる)会話を聞く。
この山域の紅葉情報や道のことを、とてもガイドブックやブログにまとめられない細やかさで、情報交換しているのが印象的だった。
 
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生き返るうううううううううううううううううううううう!
そばを平らげたて、テント泊の受付を済ませる。
ここで私はお願いをした。なりふりをかまっていられない。


「情けないことに補給食を食べつくしてしまいまして・・・・たとえば乾パンだったりお米だったり分けてもらえないですか?」



すると山小屋の人。


「今から下界に(下界という表現がふさわしいと妙に感心した)買い出しにいくけれどなんか買ってこようか?」と。


さらに「今炊飯器にお米あまってるからそれでとりあえずおにぎりは作ってあげるけん、それで凌いで。」
 
感謝・・・・圧倒的感謝っ・・・・・・!
 
そういえばこんなことが過去にもあったなあ・・・と思い出しつつ、全力でお礼を言った。
 
さらに嬉しいことにバンガローの中にあるお風呂(お風呂!!)と洗濯乾燥機(乾燥機!)も使わせてもらうことができた。

身体が濡れて冷えていた私にはもうこれ以上はない!という贅沢だった。
助かるってレベルじゃない。泣いて喜ぶ、といったら大げさかもしれないけれど、その時はそれくらい嬉しかったなあ・・・。

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これで装備をリセットすることができた。
RPGの過酷なダンジョンの最中で全回復できる泉を見つけた時の安心感に近いものがある。
 
すっかり回復したところでこの日はもう寝支度をすることに。
思ったよりも体力の消耗が激しい。
たっぷり10分かけてストレッチをしてから、寝袋に入った。
持ってきたKindleで本を読みつつ、ゆっくりと睡魔を迎え入れた。
 



走行距離118km
獲得標高2,652m



続く。



    
 

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