寒い、と思っていたけれどそれほどでもない。
昨日よりもましなのは、風がないからだろうか。
目覚めると星空は消え、朝の景色が広がっていた。
昨日は国賀海岸でのスケール感に圧倒されて、ちょっと火照ってしまったけれど
今日はどうなんだろうか。
とりあえず向かうは鬼舞展望所とかいうところ。
実は一昨日も昨日もその場所自体は見えていた。
ここ隠岐島は小さな島が密集しているところだから、色んな場所からお互いの位置が見えたり隠れたり。多島海といえば瀬戸内海や五島列島、伊勢志摩を思い浮かべる私だけれど、それぞれに良いところがあり、それぞれでやっぱり微妙に景観は異なる。ここ隠岐の島はどこよりもやっぱり自然が残っている。
鬼舞展望所まで至る道は当然ヒルクライム!
朝からアップもなしにヒルクライム!(死
空はずいぶん明るいけれど、まだ日はさしてこない。
山の稜線にぎりぎり隠れている。
そんな時間だったと思う。
けれどもうずいぶん暑い。
相変わらず車も人もいない。
雑音がしない、というのは本当に尊いな、と思ってしまうのは都会生活を送ってきたからかもしれない。
ここでは当たり前なんだろうけれど。
旅から帰ってきて、日常をおくっていると、 本当に音が多すぎると思うことがある。
特に車の音。
常に聞こえていて、もう意識しなくなっていたはずなんだけれど、
こういうところと比べると、ふと、なんと多くの車が走っていて、多くの音を吐き出しているんだろうか、と。
この静かさは、貴重なものだ。
もう道路に馬糞が落ちているのにも慣れてしまった。
自転車だから隙間を縫っていけばクリティカルな被害はない。
車とかバイクだったらひどいことになること必至
このスカイラインは標高こそそんなにないけれど山の稜線を走ることができ、なおかつ高い木々が生えていないものだから景色は申し分ない。
というか最高。
左手には西ノ島の美しい島々を、
右手にははるか彼方まで続く日本海を眺めながら、アップダウンをこなしていく。
展望台付近に近づくと、景色はまた一変。
ここから先は動物の世界だ、といわんばかりに道路はなくなり、ひたすら草原地帯が広がる。
どうせなら鬼舞展望所の一番上まで行ってやろう。
遠目に見ていたら分からなかったけれど、
ここがまたとんでもない斜度で、スキーするのにちょうどいいんじゃね?ってくらい。
朝露で湿った草原の上を、と聞くとなんだかきれいなイメージだけど
実際はうんちだらけ。やれやれ。もういいよ。
ここは牛はいない、馬の世界。
6頭の馬が気持ちよさそうに草を食べたり、じゃれあったりしている。
そんな光景を眺めているだけで、
昨日から何度も触れてきたので、そろそろ馬に対する距離感もなんとなくわかってきたわたし。
まずは興味がないふりをして、適当に写真撮影をこなす。
急な動きはしないように、「何もしませんよー」オーラで。
10分くらいしたところで、それまで距離を保っていた馬のうち、
もっとも若そうな馬が近づいてきた。
(距離を計っている・・・・!)
じっとしていると、向こうから手や身体の匂いをすんすん嗅いだり舐めたりしてきた。
確か馬って舐めて人を覚えるんだっけ・・・。
人通りペロペロされた。やれやれ。
生き物地球紀行。
仲の良さそうな二頭だった。
(^ω^)おっ(^ω^)おっ
完璧な美しさ。
・・・・・・・・・・・。
気持ちの良い朝。
このスケール感!
SPDシューズでよかった
大変良き癒しスポットでした。
そのあとは再びスカイラインを戻って分岐点を先ほどとは違う方向に進み向かうは
赤尾展望台。
こちらの展望台はまさに「最果て」といった感じ。
ここに至るまでにのみ存在する道。
位置にして北東方面を見下ろすと、昨日いた国賀海岸が一望することができた。
ということは昨日、見上げていた山が、ここというわけだ。
同じ島とは思えないこの景色の違い。
遠くから眺めても国賀海岸のスケールの大きさにはやっぱり驚かされる。
結構風が強く、日なたにいないと身体が冷えそうだったので、ここは早急に撤退。
さんざん良い景色を見ていた私としては、感動が薄かったけれど
それは多分感覚が麻痺しているだけだ。
単体で見たらここも十分、絶景のはず。
ダウンヒルをこなして町に戻り、そのまま一気に帰りのフェリー乗り場である別府港まで走った。
1時間もかかっていないと思う。
時刻は8時半。
フェリーの出航時間までまだ2時間もある・・・・ということで適当にお土産を買ったり、あたりをぶらぶらしたり、ベンチで寝たり、竿を借りて釣りをしたりして、時間をつぶし・・・・。隠岐島に来てからというものの、無為に時を過ごす喜びを久しぶりに感じた。ギチギチにスケジュールを詰める必要なんてない、その時々で自分がしたいと思う過ごし方をすればいい。
ひたすら島の景色を眺めたり、
漁師さんの仕事っぷりを見学したり(カラスがすごい
お昼寝をしたり。
フェリーに乗って本土の境港まで2時間半。
境港から米子まで自走or輪行。
米子から岡山まで在来線特急。
岡山から新大阪までは新幹線。
なんとも長い旅路だ。
こうなることは分かったいたからKindleに暇つぶし用の本はたっぷり入れてきたから問題ない。
それに旅の行きはともかく、帰りはこうしてゆっくり帰るのも悪くない。
写真を見返したり、旅のことを思い返したり、ゆっくり寝たり。
これも旅の一部のエピローグと思えば、苦じゃない。
フェリーの甲板から徐々に遠ざかっていく隠岐の島を眺めながら
ああ、なんとも不思議でダイナミックな場所だったな・・・・としみじみ思う。
「今まで行ったなかでどこが一番よかった?」という質問は良く受けるけれど、一番、というのは難しい。
色んな基準があるから。それでも、間違いなくベスト3には入ると思う。それなりに色んな場所を巡ってのベスト3だから自分の中では結構なトピックス。理由はすべて書いたつもりだけれど景色のスケール感だったり、島自体の雰囲気だったり。
「いつか行きたい」そう思っていただけに
その感慨も深いもの。
妄想で終わらすのではなく具体的にその方法をひとつずつ確かなものにしていけば必ずたどり着ける。
そう改めて認識をし、
次の旅の準備に取り掛かろう。
終わり。
- 関連記事
-