【鹿児島ツーリング】2日目〜もののけの森 屋久島〜【白谷雲水峡、太鼓岩】
自転車, 九州, 写真, ロングライド, アウトドア, 聖地巡礼, 登山,
前回
むくり。
知らない天井だ。
目をこすりながらベッドから降りてカーテンを開けると、居酒屋や民宿が立ち並ぶアーケードの隙間から海が見えた。
そうだ、ここは鹿児島県、指宿。
昨日知り合ったおっちゃんの家に泊めてもらったんだった。
ツーリング2日目の朝。

むくり。
知らない天井だ。
目をこすりながらベッドから降りてカーテンを開けると、居酒屋や民宿が立ち並ぶアーケードの隙間から海が見えた。
そうだ、ここは鹿児島県、指宿。
昨日知り合ったおっちゃんの家に泊めてもらったんだった。
ツーリング2日目の朝。

1階に降りるとおっちゃんがすでに起きていて、朝ごはんを食べ終わっていたようだった。
一瞬、ものすごい寝過ごしてしまったのかと焦って時計をみたけれど、時刻はまだ7時。
ずいぶん早いんですね、と話すと、昨晩と変わらず気持ちの良い大声で、いつもこれくらいだと言う。
感心している内に、そのまま朝ごはんを御呼ばれすることに。
ありがたいことこの上ない。
しっかりとご馳走様をして、この日の準備をしてから、お別れを告げる。
旅をしていると、何回でもお別れをするのだけれど、今回はちょっと名残惜しい。
玄関先まで見送って下さって、最後は握手をしてお別れ。
ありがとう、指宿のおっちゃん。
(ブログ、見て下さっていれば幸いです。ありがとうございました。)
天気はあいにくの雨。今は止んでいるけれど、地面は濡れているし、午後からは雨予報。
こうなってはなかなかモチベーションも上がらないけれど、残された選択肢があった。
日本で最も雨が降る場所。
とある小説では「一ケ月に35日雨が降る」と謳われる古代の島。
そう、屋久島が近い。
そんなに雨が多い場所なら、雨が降っても諦めがつくというか、憂うこともないだろう!ということで、屋久島へ渡ることに。
屋久島へ行く方法は飛行機とフェリー、高速船がある。
飛行機は今回はパス。大阪から直接行くなら鹿児島空港経由で屋久島空港へ行くのがメジャーかしら。
フェリーはあいにく鹿児島港からしか出ていない。
時間も合わなかったしね。
そして残ったのは高速船「トッピー&ロケット」
乗船時間は最も短い2時間。
途中、種子島による場合はプラス30分くらいだったかしらね。
首尾よくおっちゃんの家から指宿港のフェリーターミナルまでわずか15分だった。
ありがてえ。
フェリー乗り場に着いて、船のチケットを購入。
フェリーとは違って客船にあたるため、自転車は輪行袋に入れないと乗せられないのが注意点かしらね。
だからキャンプツーリングする人なんかは鹿児島港からのフェリーを利用するのがおすすめ。

自転車は手荷物料金で1000円。まあそんなものだろう。
乗船券と併せて8千円くらい。一般的な感覚からすると高いけれど、屋久島に行けると思えば、十分安い。


乗船時間までしばらく散策。
と、この時間を利用して、コンビニまで走って1日分の補給食をたっぷり買い込んだ。
屋久島の宮之浦港にコンビニないことは下調べで分かっていた。

フェリーが到着したので乗船。
ちなみに全席指定席で、チケット予約の際には一階と二階を選ぶことができる。
良くわかっていないけれど、とりあえず高い方がいいだろうということで二階を選択。
座席に座って、しばらくすると出港。
海を眺めながらの2時間旅。
意外と空が明るいことに気付く。
天気が崩れるのは午後からなのかしらね。

途中、左手に本土最南端の佐多岬が見えた。
2日後ないし3日後に訪れる候補にあがっている岬だ。
噂通り、灯台がものすごい場所に建っているのが分かる。
またしばらくすると種子島も見えた。
それだけでなんとなくわくわくしてしまうのはきっと種子島宇宙開発センターがあるからだろうな。
ロマンしかねえ!
すこしうとうとして目を覚ますと、屋久島が近づいてきた。

別名“洋上アルプス”と呼ばれる屋久島は、外周道路は海抜0m、最高峰は標高2,000mにも及ぶ。それほど広くない島なのに、その標高差ゆえ、北海道から沖縄の気候が全て詰まっている特異な島だ。
その特殊性が故に、日本で最も雨が降り、独自の生態系が生まれ、森が深くなり、人の手が及ばない原生林が形成された。

わくわくせざるを得ない。
海の上から眺めただけで、少し身震いがした。

下船して輪行解除し、走行開始。
と、言っても、この日は自転車ではなく、登山がメインの日だ。
せっかく屋久島に来たんだから、登らなきゃ損!歩かなきゃ損!
むしろ登山を始めて以来、ずっとずっと登ってみたかった場所だし、今回のツーリングのハイライトと言っても過言ではない。
そうはいっても、登山グッズなんてもってないんじゃあ・・・・・と思うそこのあなた、
あるいは、同じように屋久島に登りたいと思っているそこのあなたに朗報。
屋久島では登山グッズのレンタルがある!!
私がお世話になったのはこちらのナカガワスポーツさん。

ここで登山靴、ゴアテックスレインウエア上下、ザックをお借りした。
事前予約をしておけば安心だけれど、なくても借りられるっぽい。
他にも大型ザックやストック、ライト、ゲーター、ハット、さらにはテントやシュラフも借りることができる。
言ってしまえば手ぶらで来ても登山ができる。これはものすごい便利だ。
しかもリーズナブルで、私が借りた装備で二泊三日3,500円なのだから驚き。いやーうちの近くに欲しいぞw
店員さんとも楽しく会話しながら、サイズ合わせだとかルート相談をすることができた。
今回選んだ白谷雲水峡まで自転車で行くと言ったらものすごい驚かれた。
どうやら普通はレンタカーかバス、タクシーで行くところっぽい。
まあ、確かにかなり登るらしいし、山奥だし・・・・でもバスのダイヤが合わないし、帰りの時間も未定なのだから、自転車でいいでしょう(適当)
ありがたいことに要らない装備を置いておいてもらえることに。
サドルバッグを外して丸ごと預ける。軽量化に成功。これで登りやすくなる。
というわけで、装備を揃えたところで、いざ白谷雲水峡へ!!
しばらく町を走ってから、島の中心部へ向かう道路に入ると、しばらくしてすぐに登りが始まる。
おおよそ標高650mまでのヒルクライムだ。


路面は若干濡れているものの、幸い雨は降っていない。
気持ちの良い気温の中、どんどん高度を上げていく。

登山靴や補給食を仕舞ったザックを背負いながらだけれど、全然気にならない。アドレナリン出てるかも。
山奥に入っていくにつれて、森が深くなっていくのが分かる。
霧が立ち込め、幻想的な雰囲気になってきた。

途中、猿にも遭遇。
振り返ると眼下に町と港と海が見えた。結構上がったきたなあ・・・・。
登ってみて思ったけれど、確かに自転車で来るところじゃない。
少なくとも、これから登山をするつもりなら、車で行くべきかも。
私は自転車も登山も脚には自信があったからこうしているだけであって、初心者の人に同じ行程、つまり同日中にフェリー、自転車、登山は正直おすすめじゃない。
(前泊して朝からバスかレンタカーでワープしてから登山するの普通)
変に焦って落車したり道迷いしたり捻挫したら元も子もないからね!
気持ちに余裕をもった上で望むべきだと思う。

そうこうしているうちに、もっと深い森に入り、景色が変わった。
鬱蒼としてきたなあ・・・。

登り初めからおおよそ35分で白谷雲水峡に到着。
12km、標高差650mを35分。なかなか良いペースだ。これで登山の時間を予定どおりたっぷり取ることができそうだ。

自転車を置いて、ウエアを着替えて登山装備に変身!
雨は降っていなかったから、靴を履きかえただけだけれどね。
ジャケットは自転車に乗っているときのまま、マムートのウインドシェル。
インナーはモンベルのメリノウール。
上はこの2枚のみ。冷静に考えたらこの季節のこの標高でたった2枚の薄着でいけるなんて、やっぱり南国なんだなあって思う。
小屋で協力金を支払ってから、クライムオン!
いよいよ念願の屋久島登山の開始である。
この日の目的地は標高1.050mの場所にある太鼓岩という大きな岩。ネットで調べているとそこからの展望が素晴らしいとのこと。
その展望を楽しみにしつつ、足を踏み出した。
時刻は12時。

最初は整備された道を往く。
すこし歩いただけで、やっぱり他の場所とは違う雰囲気を感じる。
なんだろう、そう、苔がものすごい多い。ちょっとした木々にもびっしり苔がついていたりする。
なるほど雨が多いんだなあと実感。

途中、大きな岩が連なる岩場を抜ける。
ここで岩の表面が濡れていることに気が付かず、足を滑らしてしまった。
ひやりとしたものの、落ちる動作に動きを合わせて、着地に成功。あぶないあぶない、慣れない靴だし、慎重に。
どんどん森が深くなっていくのを五感で感じる。
歩いていて思う、よくぞこんなところまで道を整備したなあと。
おそらく獣道を開拓したんだろうけれど、ここまで上がって来るだけでも大変だというのに。
足元は思ったよりも悪くない。
かといってスニーカーとかじゃあちょっと歩きにくいかしらね。
10分も歩けば登山靴も馴染んできて、いい感じ。





それにしても、それにしても本当に苔が立派だ。
木々や岩、根っこ、いろんなところに苔が宿っている。
緑要素ぱねえ!

途中、沢を渡るポイントが。
岩を渡るんだけれど、雨の影響か、増水していて、靴ひとつぶんくらいしかない。
ちょうどソロの男性がいて、ふたりで少し苦笑い。
慎重に行けば問題なkったけれどね!もっと増水していたら下手したら脚を濡らさないといけないかもしれない。


この沢を渡ってからが、またすごくって、周りの木々のサイズがどんどん大きくなっていくの。
なんというか・・・・ふつうの場所なら御神木になりそうなレベルの杉がそこらへんに生えてる。
RPGでいうと中~大ボスが通常マップでパーティ組んで出てくる感じ。
すごく・・・・おおきいです・・・・・。
それにくわえて少し霧がかかってきたものだから、もうめちゃくちゃ幻想的な雰囲気になった。
なるほど、ここ屋久島においては雨というのは決して“悪い天気”じゃないんだなあと思った。
晴れは晴れで味があるんだろうけれど、きっとここは雨の方が雰囲気が良い。
天気が良い悪いというのは、現象を指したものではなく、観測者の感じ方を表したものに過ぎない。

くぐり杉とかいうアトラクティブな杉もあったり。

屋久島といえば縄文杉が有名だけれど、それ以外にも無数の巨木がある。
名前がついているものも結構あった。



たまーに立ち止ると、こわいくらいに静か。
けれど空気は張りつめていて、なんというか、ものすごく大きな存在に包まれてる感じがした。
心地良い。





時折、行動食を食べながら、写真をばしばし。
決してゴミは落とさないように。
はっきりいってここ屋久島でポイ捨てしようとかまず思わない。
やれと言われてもやれない。
畏れ多すぎる!!

なんという存在感・・・・
景色を満喫しながら歩いているうちに、最後の分岐点であるところの辻峠に着いた。


ここから本日の目的地である太鼓岩まで10分くらい。
一応、縄文杉ルートにも通じているけれど、そちらは完全に一泊二日コースかな。
ちょっとした広場があって、ちらほら休憩している人がいた。
年末だけあって、人が少ない。それがいい。
(シーズンは結構人混みらしい。)

こっから太鼓岩までは結構な急坂。
燕岳の登山口とおんなじくらい。一気に50~100mくらい上がったんじゃないかしら。

鬱蒼とした木々を抜けると・・・・・

ぜっけーかな!ぜっけーかな!
びっくりした。まさか、いきなりこんな景色が飛び込んでくるとは。
下調べゼロだったかな、太鼓岩っててっきり太鼓みたいな岩がどーんってあるだけと思ってた。
まさかこんな見晴らし岩だったとは・・・・。

私的山のポーズ
白谷雲水峡から1時間15分くらいで到着した。
目安時間の三分の二くらいかしら。
感動に浸っていると、近くにいた男女二人組に声をかけられる。
男の人「すごいですよね。」
私「はい・・・想像以上です。」
男の人「のみませんか?(ウイスキーを差し出しながら)」
私「!???? あっ、ありがとうございます。いただきます。(景色に乾杯してぐいっ)」
まさかお酒が飲めるとはw

沖縄から来たらしい。優しい二人組でほくほくした。
ちなみにここ、太鼓岩は、ジブリ映画「もののけ姫」の聖地でもある。
サンの育て親であるモロがアシタカに言ったかの有名な台詞、「お前にサンが救えるか」のシーンで使われた場所がここ。
宮崎駿監督はもののけ姫の資料作成の為に、この森に何度も足を運んだのだとか。
帰ったらまた見返してみようかな。今見てもきっと感動できると思う。

!?
ひとおおり感動して、戻る。


さっきの広間で帰りのエネルギーを補給。
昨日、指宿の居酒屋でいただいたおにぎり!ウマー。


帰りは足運びはさくさく、だけれど、景色に見蕩れて、鈍行。
だって、この自然だもん。急ぎ足ではもったいない。
途中、来るときはいったん素通りした、苔むすの森で写真撮影。



名前の通り、このあたりもう苔まみれである。
ここも「もののけ姫」で使われたシーン、アシタカが木々の間から初めてシシ神様を見たシーンだ。
ちょうど少し空が明るくなってきたから、映画のとおり、光がスポットライトみたいにあたらないかと10分くらい粘ったけど、さすがにうまくいかず。

運良くヤク鹿に遭遇。



白谷雲水峡まで戻ってきた時分、ちょうど雨が本降りになってきた。
たまらずゴアテックスを着込んで、宮之浦までのダウンヒルの準備をする。
自転車で来ている人は当然誰もいないというか、そもそもあんまり人がいなかった。
うん、ちょうどいい。
屋久島湾を眺めながら、土砂降りの中、650mを一気に下る。
さすがにここは安全マージン大き目に。
それにしても改めてゴアテックスの素晴らしさには感動した。
こんな雨の中下っても全然不快じゃない。
宮之浦に着いたのが15時半頃。
今日はここから5kmくらいの場所にある民宿に泊まる予定だったから、ずいぶん余裕があるということで
先にナカガワスポーツさんに向かう。
登山グッズを返却して預けていた荷物を受け取った。
「フェリーで到着してその日のうちに自転車で登って登山して帰って来る人は初めてです。」と笑われた。
まじか。
ついでに観光センターに寄って、お土産を物色。
なかなか興味深いものがたくさんあったから、いくつか買い込んで宅急便で送ってもらった。
住所を書いていると、店員さんが食いついてきた。
なんと私が住んでいる街に親戚がいて、たまに行くとのこと。まさかの上新庄トークで盛り上がるw
小雨降る中、民宿に移動。

途中、地元のスーパーっぽいところで、明日の補給食やお菓子をゲット。
旅先でその地元のスーパーに入るのが好きだ。
そこでは常識だけれど余所者にとっては珍しいものが多いから。

無事に民宿について、チェックイン。
ここの女将さんがもうとっても笑顔が素敵な人で、ああ、いい宿にあたったなあ、と直感した。
お風呂をいただいてから晩御飯!

うひょーーーー美味しそう!
いやね、実際めちゃくちゃ美味しかった。
屋久島産尽くし。

特にトビウオを食べられたのは嬉しい。
家族経営らしく、娘さん達が給仕してくれた。なごむ。
食事中も女将さんが屋久島の色んな話をしてくれて、楽しいひと時を過ごせました。ありがとうございました。
部屋に戻って、軽く明日の準備。
なんだかんだで、昨日に引き続きちゃんとしたところで寝ることができてるなあ・・・・。
ありがたやありがたや。
そのうちにまぶたが重くなったので、9時毎にはもうお布団へ。
ツーリング中は自ずと規則正しい生活になる。
ものの数分で就寝。
窓の外では雨足が強くなる音がしていた。
続く。
参考までに、白谷雲水峡コースの所要時間を含めた行程が下記のとおり。
8:40 指宿港
10:00 宮之浦港
10:30 ヒルクライム開始
11:20 白谷雲水峡
11:40 登山開始
11:50 さつき吊り橋
12:10 楠川歩道沢越え
12:20 くぐり杉
12:30 苔むす森
13:00 辻峠
13:10 太鼓岩
15:00 白谷雲水峡
15:30 屋久島観光センター
17:30 民宿到着

自転車,
九州,
写真,
ロングライド,
アウトドア,
聖地巡礼,
登山,
一瞬、ものすごい寝過ごしてしまったのかと焦って時計をみたけれど、時刻はまだ7時。
ずいぶん早いんですね、と話すと、昨晩と変わらず気持ちの良い大声で、いつもこれくらいだと言う。
感心している内に、そのまま朝ごはんを御呼ばれすることに。
ありがたいことこの上ない。
しっかりとご馳走様をして、この日の準備をしてから、お別れを告げる。
旅をしていると、何回でもお別れをするのだけれど、今回はちょっと名残惜しい。
玄関先まで見送って下さって、最後は握手をしてお別れ。
ありがとう、指宿のおっちゃん。
(ブログ、見て下さっていれば幸いです。ありがとうございました。)
天気はあいにくの雨。今は止んでいるけれど、地面は濡れているし、午後からは雨予報。
こうなってはなかなかモチベーションも上がらないけれど、残された選択肢があった。
日本で最も雨が降る場所。
とある小説では「一ケ月に35日雨が降る」と謳われる古代の島。
そう、屋久島が近い。
そんなに雨が多い場所なら、雨が降っても諦めがつくというか、憂うこともないだろう!ということで、屋久島へ渡ることに。
屋久島へ行く方法は飛行機とフェリー、高速船がある。
飛行機は今回はパス。大阪から直接行くなら鹿児島空港経由で屋久島空港へ行くのがメジャーかしら。
フェリーはあいにく鹿児島港からしか出ていない。
時間も合わなかったしね。
そして残ったのは高速船「トッピー&ロケット」
乗船時間は最も短い2時間。
途中、種子島による場合はプラス30分くらいだったかしらね。
首尾よくおっちゃんの家から指宿港のフェリーターミナルまでわずか15分だった。
ありがてえ。
フェリー乗り場に着いて、船のチケットを購入。
フェリーとは違って客船にあたるため、自転車は輪行袋に入れないと乗せられないのが注意点かしらね。
だからキャンプツーリングする人なんかは鹿児島港からのフェリーを利用するのがおすすめ。

自転車は手荷物料金で1000円。まあそんなものだろう。
乗船券と併せて8千円くらい。一般的な感覚からすると高いけれど、屋久島に行けると思えば、十分安い。


乗船時間までしばらく散策。
と、この時間を利用して、コンビニまで走って1日分の補給食をたっぷり買い込んだ。
屋久島の宮之浦港にコンビニないことは下調べで分かっていた。

フェリーが到着したので乗船。
ちなみに全席指定席で、チケット予約の際には一階と二階を選ぶことができる。
良くわかっていないけれど、とりあえず高い方がいいだろうということで二階を選択。
座席に座って、しばらくすると出港。
海を眺めながらの2時間旅。
意外と空が明るいことに気付く。
天気が崩れるのは午後からなのかしらね。

途中、左手に本土最南端の佐多岬が見えた。
2日後ないし3日後に訪れる候補にあがっている岬だ。
噂通り、灯台がものすごい場所に建っているのが分かる。
またしばらくすると種子島も見えた。
それだけでなんとなくわくわくしてしまうのはきっと種子島宇宙開発センターがあるからだろうな。
ロマンしかねえ!
すこしうとうとして目を覚ますと、屋久島が近づいてきた。

別名“洋上アルプス”と呼ばれる屋久島は、外周道路は海抜0m、最高峰は標高2,000mにも及ぶ。それほど広くない島なのに、その標高差ゆえ、北海道から沖縄の気候が全て詰まっている特異な島だ。
その特殊性が故に、日本で最も雨が降り、独自の生態系が生まれ、森が深くなり、人の手が及ばない原生林が形成された。

わくわくせざるを得ない。
海の上から眺めただけで、少し身震いがした。

下船して輪行解除し、走行開始。
と、言っても、この日は自転車ではなく、登山がメインの日だ。
せっかく屋久島に来たんだから、登らなきゃ損!歩かなきゃ損!
むしろ登山を始めて以来、ずっとずっと登ってみたかった場所だし、今回のツーリングのハイライトと言っても過言ではない。
そうはいっても、登山グッズなんてもってないんじゃあ・・・・・と思うそこのあなた、
あるいは、同じように屋久島に登りたいと思っているそこのあなたに朗報。
屋久島では登山グッズのレンタルがある!!
私がお世話になったのはこちらのナカガワスポーツさん。

ここで登山靴、ゴアテックスレインウエア上下、ザックをお借りした。
事前予約をしておけば安心だけれど、なくても借りられるっぽい。
他にも大型ザックやストック、ライト、ゲーター、ハット、さらにはテントやシュラフも借りることができる。
言ってしまえば手ぶらで来ても登山ができる。これはものすごい便利だ。
しかもリーズナブルで、私が借りた装備で二泊三日3,500円なのだから驚き。いやーうちの近くに欲しいぞw
店員さんとも楽しく会話しながら、サイズ合わせだとかルート相談をすることができた。
今回選んだ白谷雲水峡まで自転車で行くと言ったらものすごい驚かれた。
どうやら普通はレンタカーかバス、タクシーで行くところっぽい。
まあ、確かにかなり登るらしいし、山奥だし・・・・でもバスのダイヤが合わないし、帰りの時間も未定なのだから、自転車でいいでしょう(適当)
ありがたいことに要らない装備を置いておいてもらえることに。
サドルバッグを外して丸ごと預ける。軽量化に成功。これで登りやすくなる。
というわけで、装備を揃えたところで、いざ白谷雲水峡へ!!
しばらく町を走ってから、島の中心部へ向かう道路に入ると、しばらくしてすぐに登りが始まる。
おおよそ標高650mまでのヒルクライムだ。


路面は若干濡れているものの、幸い雨は降っていない。
気持ちの良い気温の中、どんどん高度を上げていく。

登山靴や補給食を仕舞ったザックを背負いながらだけれど、全然気にならない。アドレナリン出てるかも。
山奥に入っていくにつれて、森が深くなっていくのが分かる。
霧が立ち込め、幻想的な雰囲気になってきた。

途中、猿にも遭遇。
振り返ると眼下に町と港と海が見えた。結構上がったきたなあ・・・・。
登ってみて思ったけれど、確かに自転車で来るところじゃない。
少なくとも、これから登山をするつもりなら、車で行くべきかも。
私は自転車も登山も脚には自信があったからこうしているだけであって、初心者の人に同じ行程、つまり同日中にフェリー、自転車、登山は正直おすすめじゃない。
(前泊して朝からバスかレンタカーでワープしてから登山するの普通)
変に焦って落車したり道迷いしたり捻挫したら元も子もないからね!
気持ちに余裕をもった上で望むべきだと思う。

そうこうしているうちに、もっと深い森に入り、景色が変わった。
鬱蒼としてきたなあ・・・。

登り初めからおおよそ35分で白谷雲水峡に到着。
12km、標高差650mを35分。なかなか良いペースだ。これで登山の時間を予定どおりたっぷり取ることができそうだ。

自転車を置いて、ウエアを着替えて登山装備に変身!
雨は降っていなかったから、靴を履きかえただけだけれどね。
ジャケットは自転車に乗っているときのまま、マムートのウインドシェル。
インナーはモンベルのメリノウール。
上はこの2枚のみ。冷静に考えたらこの季節のこの標高でたった2枚の薄着でいけるなんて、やっぱり南国なんだなあって思う。
小屋で協力金を支払ってから、クライムオン!
いよいよ念願の屋久島登山の開始である。
この日の目的地は標高1.050mの場所にある太鼓岩という大きな岩。ネットで調べているとそこからの展望が素晴らしいとのこと。
その展望を楽しみにしつつ、足を踏み出した。
時刻は12時。

最初は整備された道を往く。
すこし歩いただけで、やっぱり他の場所とは違う雰囲気を感じる。
なんだろう、そう、苔がものすごい多い。ちょっとした木々にもびっしり苔がついていたりする。
なるほど雨が多いんだなあと実感。

途中、大きな岩が連なる岩場を抜ける。
ここで岩の表面が濡れていることに気が付かず、足を滑らしてしまった。
ひやりとしたものの、落ちる動作に動きを合わせて、着地に成功。あぶないあぶない、慣れない靴だし、慎重に。
どんどん森が深くなっていくのを五感で感じる。
歩いていて思う、よくぞこんなところまで道を整備したなあと。
おそらく獣道を開拓したんだろうけれど、ここまで上がって来るだけでも大変だというのに。
足元は思ったよりも悪くない。
かといってスニーカーとかじゃあちょっと歩きにくいかしらね。
10分も歩けば登山靴も馴染んできて、いい感じ。





それにしても、それにしても本当に苔が立派だ。
木々や岩、根っこ、いろんなところに苔が宿っている。
緑要素ぱねえ!

途中、沢を渡るポイントが。
岩を渡るんだけれど、雨の影響か、増水していて、靴ひとつぶんくらいしかない。
ちょうどソロの男性がいて、ふたりで少し苦笑い。
慎重に行けば問題なkったけれどね!もっと増水していたら下手したら脚を濡らさないといけないかもしれない。


この沢を渡ってからが、またすごくって、周りの木々のサイズがどんどん大きくなっていくの。
なんというか・・・・ふつうの場所なら御神木になりそうなレベルの杉がそこらへんに生えてる。
RPGでいうと中~大ボスが通常マップでパーティ組んで出てくる感じ。
すごく・・・・おおきいです・・・・・。
それにくわえて少し霧がかかってきたものだから、もうめちゃくちゃ幻想的な雰囲気になった。
なるほど、ここ屋久島においては雨というのは決して“悪い天気”じゃないんだなあと思った。
晴れは晴れで味があるんだろうけれど、きっとここは雨の方が雰囲気が良い。
天気が良い悪いというのは、現象を指したものではなく、観測者の感じ方を表したものに過ぎない。

くぐり杉とかいうアトラクティブな杉もあったり。

屋久島といえば縄文杉が有名だけれど、それ以外にも無数の巨木がある。
名前がついているものも結構あった。



たまーに立ち止ると、こわいくらいに静か。
けれど空気は張りつめていて、なんというか、ものすごく大きな存在に包まれてる感じがした。
心地良い。





時折、行動食を食べながら、写真をばしばし。
決してゴミは落とさないように。
はっきりいってここ屋久島でポイ捨てしようとかまず思わない。
やれと言われてもやれない。
畏れ多すぎる!!

なんという存在感・・・・
景色を満喫しながら歩いているうちに、最後の分岐点であるところの辻峠に着いた。


ここから本日の目的地である太鼓岩まで10分くらい。
一応、縄文杉ルートにも通じているけれど、そちらは完全に一泊二日コースかな。
ちょっとした広場があって、ちらほら休憩している人がいた。
年末だけあって、人が少ない。それがいい。
(シーズンは結構人混みらしい。)

こっから太鼓岩までは結構な急坂。
燕岳の登山口とおんなじくらい。一気に50~100mくらい上がったんじゃないかしら。

鬱蒼とした木々を抜けると・・・・・

ぜっけーかな!ぜっけーかな!
びっくりした。まさか、いきなりこんな景色が飛び込んでくるとは。
下調べゼロだったかな、太鼓岩っててっきり太鼓みたいな岩がどーんってあるだけと思ってた。
まさかこんな見晴らし岩だったとは・・・・。

私的山のポーズ
白谷雲水峡から1時間15分くらいで到着した。
目安時間の三分の二くらいかしら。
感動に浸っていると、近くにいた男女二人組に声をかけられる。
男の人「すごいですよね。」
私「はい・・・想像以上です。」
男の人「のみませんか?(ウイスキーを差し出しながら)」
私「!???? あっ、ありがとうございます。いただきます。(景色に乾杯してぐいっ)」
まさかお酒が飲めるとはw

沖縄から来たらしい。優しい二人組でほくほくした。
ちなみにここ、太鼓岩は、ジブリ映画「もののけ姫」の聖地でもある。
サンの育て親であるモロがアシタカに言ったかの有名な台詞、「お前にサンが救えるか」のシーンで使われた場所がここ。
宮崎駿監督はもののけ姫の資料作成の為に、この森に何度も足を運んだのだとか。
帰ったらまた見返してみようかな。今見てもきっと感動できると思う。

!?
ひとおおり感動して、戻る。


さっきの広間で帰りのエネルギーを補給。
昨日、指宿の居酒屋でいただいたおにぎり!ウマー。


帰りは足運びはさくさく、だけれど、景色に見蕩れて、鈍行。
だって、この自然だもん。急ぎ足ではもったいない。
途中、来るときはいったん素通りした、苔むすの森で写真撮影。



名前の通り、このあたりもう苔まみれである。
ここも「もののけ姫」で使われたシーン、アシタカが木々の間から初めてシシ神様を見たシーンだ。
ちょうど少し空が明るくなってきたから、映画のとおり、光がスポットライトみたいにあたらないかと10分くらい粘ったけど、さすがにうまくいかず。

運良くヤク鹿に遭遇。



白谷雲水峡まで戻ってきた時分、ちょうど雨が本降りになってきた。
たまらずゴアテックスを着込んで、宮之浦までのダウンヒルの準備をする。
自転車で来ている人は当然誰もいないというか、そもそもあんまり人がいなかった。
うん、ちょうどいい。
屋久島湾を眺めながら、土砂降りの中、650mを一気に下る。
さすがにここは安全マージン大き目に。
それにしても改めてゴアテックスの素晴らしさには感動した。
こんな雨の中下っても全然不快じゃない。
宮之浦に着いたのが15時半頃。
今日はここから5kmくらいの場所にある民宿に泊まる予定だったから、ずいぶん余裕があるということで
先にナカガワスポーツさんに向かう。
登山グッズを返却して預けていた荷物を受け取った。
「フェリーで到着してその日のうちに自転車で登って登山して帰って来る人は初めてです。」と笑われた。
まじか。
ついでに観光センターに寄って、お土産を物色。
なかなか興味深いものがたくさんあったから、いくつか買い込んで宅急便で送ってもらった。
住所を書いていると、店員さんが食いついてきた。
なんと私が住んでいる街に親戚がいて、たまに行くとのこと。まさかの上新庄トークで盛り上がるw
小雨降る中、民宿に移動。

途中、地元のスーパーっぽいところで、明日の補給食やお菓子をゲット。
旅先でその地元のスーパーに入るのが好きだ。
そこでは常識だけれど余所者にとっては珍しいものが多いから。

無事に民宿について、チェックイン。
ここの女将さんがもうとっても笑顔が素敵な人で、ああ、いい宿にあたったなあ、と直感した。
お風呂をいただいてから晩御飯!

うひょーーーー美味しそう!
いやね、実際めちゃくちゃ美味しかった。
屋久島産尽くし。

特にトビウオを食べられたのは嬉しい。
家族経営らしく、娘さん達が給仕してくれた。なごむ。
食事中も女将さんが屋久島の色んな話をしてくれて、楽しいひと時を過ごせました。ありがとうございました。
部屋に戻って、軽く明日の準備。
なんだかんだで、昨日に引き続きちゃんとしたところで寝ることができてるなあ・・・・。
ありがたやありがたや。
そのうちにまぶたが重くなったので、9時毎にはもうお布団へ。
ツーリング中は自ずと規則正しい生活になる。
ものの数分で就寝。
窓の外では雨足が強くなる音がしていた。
続く。
参考までに、白谷雲水峡コースの所要時間を含めた行程が下記のとおり。
8:40 指宿港
10:00 宮之浦港
10:30 ヒルクライム開始
11:20 白谷雲水峡
11:40 登山開始
11:50 さつき吊り橋
12:10 楠川歩道沢越え
12:20 くぐり杉
12:30 苔むす森
13:00 辻峠
13:10 太鼓岩
15:00 白谷雲水峡
15:30 屋久島観光センター
17:30 民宿到着
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