【中部ツーリング】0~1日目 濃縮された序章。花咲くいろは聖地巡礼しながらの白川郷へ【金沢~白川郷】
自転車, 写真, ロングライド, キャンプツーリング, 聖地巡礼, 中部, 輪行, オフ会, イベント, アルプス,
0日目。いよいよ出発の日。
一週間前から食い入るように天気予報を見ていた。
幸いにも天気は4日間とも晴れ!幸先良いね。
一週間前から食い入るように天気予報を見ていた。
幸いにも天気は4日間とも晴れ!幸先良いね。
なぜ0日目かというと、この日はただの移動日だったからだ。
仕事を定時にきっちり終わらせて、急いで大阪駅へ向かった。
なるべく切符売り場が近い場所まで自転車で侵入する。
大型の駅だと、どこからアプローチするかでずいぶん歩く距離が変わる。

素早く輪行袋に自転車を収納し、切符売場へ向かう。
駅のコンコースは人でごった返している。さすがお盆といったところだろうか。
混雑状況をしめす電光掲示板に目をやると、まだ〇表記だった。なんだ、意外と空いているじゃないか。
でも念のためにと、指定席切符を購入する。+500円。


大阪~北陸を繋ぐサンダーバード、なんだかんだで乗るのは5回目くらいだろうか。
私の中で旅を連想させる列車と言ったらこのサンダーバードだ。

3時間強で金沢に到着。時刻は22時。
Twitterで確認していると、あとの2人は晩御飯も食べて、すでにホテルで寛いでいるとのこと。
ぐぬぬ。
ビアンキの朔ちゃんは、木崎湖あたりを散策して、糸魚川経由で到着していたもよう。
ルイガノのキャプたんは、チャンカレを食べていたもよう。

ホテルに到着して、きゃっきゃうふふしてから、早めに就寝。
まだ、旅の序章に過ぎない。
明日からが本番だ。
本番の朝。
知らない天井だ。
時刻は6時すぎ。目覚ましがなって、あとの2人も目を覚ます。

実は私、3時くらいに目が覚めてしまった。
どうやらあまりにも気分が高まっていたようで、そのままずっと起きていた。
途中、金沢の街を散歩したりして時間をつぶしていた。
準備を済ませて、ホテルを出る。
輪行を解除している間、ホテルの人たちも表に出てきて、ずっとあれこれ話をしていた。
泊まったホテルは個人経営のホテルで、ゆるい雰囲気だ。
ホテルの人「イタリアのなんとかっていう自転車だったら50万円くらいするんでしょ?」
私「あ、はい。ピンキリですけどね。(一応私のもイタリアのなんとかにあたるのだろうか…)」
ホテルの人「今日はどこいくの?」「どんなルートで?」「何キロくらいでるの?」
テンプレート乙。
いやぁ、楽しいですね。こうして現地の人と話をするのはすごく楽しい。
近くのデイリーヤマザキで朝ごはんを済ませ、補給食を買い込む。
さて、このコンビニが白川郷に到着するまでの最後のコンビニになることを先述しておく。
今日走るところはつまりそういうところなのだ―――。

さて、いよいよ4日間に渡る旅のスタート!
ペダルを一踏み。ビンディングがパチンと小気味よく音を立てる。
片方の足を一踏み。もう片方を一踏み。
くるくるペダルを回して、まず向かうは湯涌温泉街だ。
つい先日の旅でおとずれた場所だ。
何を隠そう、ここはアニメ「花咲くいろは」の聖地!
私は満喫したけれど、2人はまだ行ったことがないというし、何度訪れてもいい場所なんだ。
しかもちょうど白川郷に抜ける道の途中にある、
ちょっと寄り道する程度の感覚で行くことができる。
市内を通り抜けて、南東に走る。
10分ほど走るだけで、高いビルはなくなり、景色がガランと変化した。
地方都市によくある現象だ。

走り出してまもなく、やはり汗が噴き出す。
もちろん、大阪や東京よりはずっと涼しいはずなんだけれど、やっぱり夏は夏。暑いものは暑い。
細かいアップダウンを繰り返しながら、ひた走る。
この2人とちゃんと走るのは初めてだったから、ペースをつかみながら。むむ、少し坂が苦手かしら。

都会的な景色は一切なくなり、長閑な田園風景が広がってきた。
1時間もしないうちに到着、湯涌温泉!


うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
来訪2回目だというのに、初回と同じようにテンションがあがるのは、やっぱり聖地のもつ魅力なんだろうな。


お決まりのアングルで写真撮影をこなす。
まだ8時過ぎということもあって、お店は開いていない。
奥に進んでみると、前回と比べて、お宿に停まっている車の台数が明らかに多い。
なるほどシーズンなんだ。
暑いあつい夏と言え、温泉地の人気は衰えることはないということ。
かくいう私たちも、今晩と翌日も、温泉の予定がある(!)
伏見神社。玉泉湖と見て回る。
改めて思うけれどコンパクトな場所だ。
徒歩でも十分まわることができる、ただ、徒歩でここまで来ることはできない。
通りの商店で「柚子乙女サイダー」を購入。
湯涌温泉に来たら必ず飲むべし柚子乙女サイダー。
ほのかな柚子の香りと微炭酸がカラカラの喉を潤してくれるであろう。
そしてラベルがこれまでと変わっていることに気付いた。

第三回ぼんぼり祭り仕様になってるうううううううううううううううう。
なこち可愛いよなこち。
今年は行かないとなぼんぼり祭り。
ひととおり満喫し、湯涌温泉を後に。
そして元のルートに戻る前に、いろは館に立ち寄った。

ここは観光協会の建物に隣接している、いわばいろはグッズの博物館。
原画やパネル、巡礼ノートが置かれていて、いろはファン交流の地ともいえる。

欲しさ。
グッズを堪能した後、巡礼ノートに筆を走らせた。
時刻は10時前。朝早く出たおかげでまだまだアドバンテージがある。
白川郷に向かう道路にのり、またまた南東へ。

さて、ここから先は山岳ステージだ。
ぐぐっと山を越えて、白川郷にいたる。
何より気を付けなければならないのが、この先は通行止め区間があるということ。
去年の白川郷ツーリングを読んで頂ければ分かると思うけど、ひどい目にあった。
五箇山に抜けるブナオ峠。ここはもう年中通行止めだ。
他の人のブログを見てみても、通行できる状態を確認できたことはない。
車・バイクはもちろんのこと、ロードバイクもロクに走ることができないけもの道。
MTB乗りがトレイル感覚で走るほど、草木や倒木に阻まれているらしい。
だから、直前にある刀利ダムから北上する道路を通って、ぐるっと迂回する必要がある。
ちなみにその前回は刀利ダムの手前で雪による通行止めをくらった。話にならないずぇ。

どんどん標高が上がる。
さて、この時から最終日まで、私が標高300mを下回る位置にいることは、ない。
もうずっと標高の高いところを走り続けることになる。中部地方を走るということは、そういうことなのだ。

刀利ダムは、初めて訪れた場所なのだけれどここがすごかった。

たけええええええええええええええ。
距離感覚が狂うのが分かる。写真では伝わらないかもしれないけれど、本当に高い。
高いと言うよりは深いといった方がいいかもしれない。
そして音の反響がはんぱなかった。ただ会話をするだけでエコーがかかるレベル。
試しに「あっ!」とさけんでみると数秒後にきれいに「あっ!」とかえってくる。
自然の山と、人口のダムが織りなす究極のやまびこスポットである。
もちろん叫んだ、私たちは叫んだ。
「里香あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

“当分の間”
ここから少し北上する。迂回するためのルートである。
やや長めのダウンヒル。
せっかく獲得した標高を消化するのは少しもったいない気もするけれどこればっかりは仕方ない。
150m程の位置エネルギーを使って、一気に下った。

久しぶりに見かけた自販機で水分を補給する。
とにかく暑い!
日影があるとまだましだけど、直射日光が容赦なく体力をうばっていく。
そして水を被る被る。
今回のツーリングで何リットルの水を消費したか計り知れない。
飲むのは基本だけど、頭から被る、アームカバーに染み込ませる、ジャージを濡らすなどなど。
夏ライドは体温を下げるだけでずいぶん走りやすくなる。


国道156号線、通称「飛越峡合掌ライン」で、あとは白川郷まで走りぬくのみ!

と、言っても先は長く、50km少しはある。うち35kmは登りといったところだろうか。
特に途中の人喰谷のあたりは、斜度がぐぐっと上がる上に、ずーっと真っ直ぐな道だから肉体的にも精神的にもかなり「くる」ところだろう。
ただこのポイントさえ超えることができればあとはずいぶん楽だと思う。
長めのトンネルを抜けると一気にダウンヒルが始まるからだ。
そして、ふたたび登るのだけれど、斜度はゆるいし、マイペースでいけばこわくないと思う。


途中にあるのが「菅沼合掌集落群」
ここも立派な合掌作りを見ることができる。

けど、なんだろう、白川郷と比べると有難味に欠けると言うか……
あくまで集落群であって町じゃないからかしら。生活感がなくって、作り物にみえてしまう。
それでももちろん見応えはある。が、ほぼスルー。とにかく白川郷だ。
いくつかトンネルを越えることになるのだけれど、このトンネルに結構助けられた。


というのも、このあたりのトンネルというのは、山が蓄えた雨などの浸透水等の影響か、ものすごく冷えている。キンキンに冷えたトンネル最高。
陽射しから逃れられるうえに、冷却されるのだから、体温が一気に下がる。これはありがたい。
交通量のおおい国道ならトンネルは恐怖でしかないけれど、ここでは交通量も知れているし、恵みの回復ポイントとなっていた。
と、言っても無理は禁物。水分補給の為に途中、道の駅大平に立ち寄る。
ここで迎えてくれたのが……

氷!
なぜこんなところに氷が………!
うん、きっとアルプスが近いし、山の上からもってきたのかしら…?
嬉しい演出である。わしづかみにして身体に塗ってみると、こりゃいいぜヒャッハー!という感じ。
私、あまりに冷たすぎて、1ブロック拝借して、フロントバッグに投入。

夏の補給といったらコレでしょ()
走りながら氷をちぎって身体に塗る。これはいいものだ………


ここから白川郷まで15km。
朔ちゃんを先頭に、一気に駆け抜ける!!

そして……
到着ううううううううううううううううううううううううう
1日目の目的地、白川郷に無事に到着。時刻は15時ごろ。
いやーあつかったあつかった。なんせ暑かったし、何がつらいって暑かった。
2回目の来訪である。
が、違和感がある。

そう、車が多い。というか渋滞している!
白川郷で渋滞とか馬鹿かと……あほかと………
さすがお盆である。集落群に行っても人がおおい。すごく多い。
まぁ仕方ないね。誰か一人だけの場所でもないものね。
しかし、ここに来た喜びは、他の観光客に負けない自信が私達にはある!
暑い中、必死に漕いできたんだ。達成感がある。
そして空腹感もある。


というわけで、腹が減っては戦はできぬ。とりあえずご飯を食べるためにお店をさがし、いい感じのところでご飯。

山菜ソバ!うまあああああああああああああああああああ
涙がでるよ。
自転車に乗ったあとのご飯ってなんでこんなに美味しいんだろう………
みんなぺろりと平らげる。まったく、幸せとはこういうことをいうのかしら。
この日はもうロクに自転車に乗る予定もなかったから、私はここで装備を変更。
サドルバッグに仕舞っていたリュックとサンダルを取り出す。
ビンディングシューズと靴下を脱いで、リュックに収納。
もうね、これだけで結構楽になるのよね。
しめつけから解放されて、一気に楽になったもの。
サンダルに履き替えて観光モード!


さあさあ世界遺産、白川郷である。
ここからは自転車じゃない、写真モードの私である。
写真を撮りながら、散策をする。
さらにいうと、ここはご存じ、「ひぐらしの鳴く頃に」の聖地である。
さらにいうと、ここはご存じ、「ひぐらしの鳴く頃に」の聖地である!
一度でも作品を観たことがある人なら、ここは訪れると、ものすごく感動するんじゃないかなーと。
なぜならここは作品で描かれている以上に、きれい。
道路や田んぼ、建物、自然、全部が他のどこの土地とも違う。オンリーワン感がぱない。
写真、撮らざるをえないでしょ!自転車を適当な場所に停めて、歩くことにした。


途中、キャプたん朔ちゃんリクエストで和田家に向かう。
ひぐらし的な解説をするとここは園崎家のモデル、なるほど、立派じゃねーの。
実は私は前回、時間の都合上、スルーしていたから初見だったのだけれど、これはこれは立派だなぁと。

合掌造りって外側からはもちろん、内側から見るとその造りに驚かされる。
金属を一切使わずに組み上げられた複雑な構造、縄の締め具合、夏を乗り切るための工夫などなど、見ているだけでも面白い。
そしてちょうどこの時、雨が降り出した。
実はさっきから雲行きがあやしかったのよね。


最初は小ぶりだったけれど、しばらく待つとものすごい豪雨が。
雨宿り目当てだろうか、すこし人が増えてきた気がする。
みんな座り込んで、雨で白くかすむ白川郷の町並みを眺めていた。やわらかい雰囲気だ。
しかし、止まないぞ。
私は自転車が気になりだしてきた。
トップチューブバッグにはコンデジが入ったままだったからだ。この大豪雨なら、すこし浸水しているかもしれない。
ということで、雨の中、繰り出す!
玄関先に立つと、家の中から見るよりずっと強烈な雨であることに気付く。すごい。
ふだんの観光スタイルなら嘆いていただろうけれど、この時はまったく問題ないと感じた。
自転車に乗った後で汗かいていたし、どうせサイクルジャージだし、濡れてもいいやって。
それに、雨の白川郷って、悪くない。
なんだかいい写真が撮れる予感がして。

自転車のあるところまでずぶ濡れになりながらたどり着く。ふええ。
なんとかカメラは無事だった。


その後は雨が止み、観光客も少しずつ減っていった。
良きかな良きかな。
時刻は16時過ぎ。
おっと、ここで私、忘れてないよ。郵便局に荷物を取りに行かないといけないよ。
旅に出る前にあらかじめ送付していたテント一式を受け取るために鳩谷郵便局へ。

無事に荷物を受け取り、この日の寝具をゲット!!
このサイズの荷物を持ち歩く訳にもいかないから、とりあえず寝床を探して……
で、いまいちいい場所がなかったから道の駅の近くの植え込みに隠しておくことに。
テントの場所はあとで考えよう。
観光再開!




りかちゃま!!
展望台のある場所まで上がってみる。
おお……


雨のせいか、白く霞んだ白川郷。とても神秘的だった。
盆地だからか山が近いからか、ガスが上空を漂って、町に蓋がされているよう。
しばらく、夕焼けが空を染めるまで、ずっと眺めていた。
来て、良かった。と、しみじみ思えた。
こんな景色、他じゃない。世界でもここだけだろう。

ドドドドドドドド

景色を堪能した後は、くだって自転車を回収。
この日は一日走って陽射しに打たれるわ、汗をかくわ、雨に打たれるわ、また汗をかくわで
正直、かなり身体がアレだった。

というわけで向かうは温泉!おんせーん!!!
立ち寄り温泉があるのだ。最高でした。本当に。
自転車と温泉の組み合わせは最強。最高。
お風呂あがり。
夜の白川郷の暗さといったら。。。
前回、民宿に泊まった時もここの温泉まで10分ほど歩いたけど、
その時はお宿の人に強力な懐中電灯を渡されたほど。
この時も例外じゃなく、懐中電灯を手にした人がちらほらと。街灯なんて数えるほどしかなかった。
その後は、そう、晩御飯だ。
とうぜん、自炊道具なんてない。
お店もない。
コンビニしかない!!
白川郷の入口、このあたりで唯一のコンビニ、デイリーで晩御飯。
なんかいいのがなかったから、みんなでカップ麺を。
外で食べるカップ麺の美味しさ。間違いない。
そして真っ暗な中、道の駅に舞い戻る。
テントが入った箱を回収して、さあどこでテントを張ろうと思っていたけれど
よくよく見たらみんなふっつーに堂々と道の駅のいろんなところでテントを張っていた。
あ、そういうところなんだ。
というわけで私たちも屋根つきの売店のすぐ前でテントを張ることに。

ここを本日のキャンプ地とするッ!!
もちろん、日本全国の道の駅がこうではない。場所によっては禁止されていたり嫌われているから注意が必要だ。
ゴミを出したり、器物を破損しては絶対いけない。次の旅人が困るからだ。
さくさくっとテントを組み立てて、寝る準備へ。
いやー、テントもってきてよかった。なんかすごくわくわくする。
そして寒い予感がした。
雨が降ったせいもあるけれど、長袖でいいくらいの気温だった。
グランドシートとアウターカバーがあったから、テント内はそれなりに暖かかったけれどね。
男三人の熱気♂もあるし。
道の駅の向かいにある祭具殿だけ最後に。
夜の祭具殿こわすぎワロタ。
みんなでテントに入って、川の字で寝る。
翌朝の寒さを想定して、ウインドブレーカーを用意して。
銀マットも用意していたから、結構、快適。
中部ツーリング一日目。
長い、長い一日が終わった。
明日は、どんな景色が待っているだろう。
続く

その2へ
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アルプス,
仕事を定時にきっちり終わらせて、急いで大阪駅へ向かった。
なるべく切符売り場が近い場所まで自転車で侵入する。
大型の駅だと、どこからアプローチするかでずいぶん歩く距離が変わる。

素早く輪行袋に自転車を収納し、切符売場へ向かう。
駅のコンコースは人でごった返している。さすがお盆といったところだろうか。
混雑状況をしめす電光掲示板に目をやると、まだ〇表記だった。なんだ、意外と空いているじゃないか。
でも念のためにと、指定席切符を購入する。+500円。


大阪~北陸を繋ぐサンダーバード、なんだかんだで乗るのは5回目くらいだろうか。
私の中で旅を連想させる列車と言ったらこのサンダーバードだ。

3時間強で金沢に到着。時刻は22時。
Twitterで確認していると、あとの2人は晩御飯も食べて、すでにホテルで寛いでいるとのこと。
ぐぬぬ。
ビアンキの朔ちゃんは、木崎湖あたりを散策して、糸魚川経由で到着していたもよう。
ルイガノのキャプたんは、チャンカレを食べていたもよう。

ホテルに到着して、きゃっきゃうふふしてから、早めに就寝。
まだ、旅の序章に過ぎない。
明日からが本番だ。
本番の朝。
知らない天井だ。
時刻は6時すぎ。目覚ましがなって、あとの2人も目を覚ます。

実は私、3時くらいに目が覚めてしまった。
どうやらあまりにも気分が高まっていたようで、そのままずっと起きていた。
途中、金沢の街を散歩したりして時間をつぶしていた。
準備を済ませて、ホテルを出る。
輪行を解除している間、ホテルの人たちも表に出てきて、ずっとあれこれ話をしていた。
泊まったホテルは個人経営のホテルで、ゆるい雰囲気だ。
ホテルの人「イタリアのなんとかっていう自転車だったら50万円くらいするんでしょ?」
私「あ、はい。ピンキリですけどね。(一応私のもイタリアのなんとかにあたるのだろうか…)」
ホテルの人「今日はどこいくの?」「どんなルートで?」「何キロくらいでるの?」
テンプレート乙。
いやぁ、楽しいですね。こうして現地の人と話をするのはすごく楽しい。
近くのデイリーヤマザキで朝ごはんを済ませ、補給食を買い込む。
さて、このコンビニが白川郷に到着するまでの最後のコンビニになることを先述しておく。
今日走るところはつまりそういうところなのだ―――。

さて、いよいよ4日間に渡る旅のスタート!
ペダルを一踏み。ビンディングがパチンと小気味よく音を立てる。
片方の足を一踏み。もう片方を一踏み。
くるくるペダルを回して、まず向かうは湯涌温泉街だ。
つい先日の旅でおとずれた場所だ。
何を隠そう、ここはアニメ「花咲くいろは」の聖地!
私は満喫したけれど、2人はまだ行ったことがないというし、何度訪れてもいい場所なんだ。
しかもちょうど白川郷に抜ける道の途中にある、
ちょっと寄り道する程度の感覚で行くことができる。
市内を通り抜けて、南東に走る。
10分ほど走るだけで、高いビルはなくなり、景色がガランと変化した。
地方都市によくある現象だ。

走り出してまもなく、やはり汗が噴き出す。
もちろん、大阪や東京よりはずっと涼しいはずなんだけれど、やっぱり夏は夏。暑いものは暑い。
細かいアップダウンを繰り返しながら、ひた走る。
この2人とちゃんと走るのは初めてだったから、ペースをつかみながら。むむ、少し坂が苦手かしら。

都会的な景色は一切なくなり、長閑な田園風景が広がってきた。
1時間もしないうちに到着、湯涌温泉!


うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
来訪2回目だというのに、初回と同じようにテンションがあがるのは、やっぱり聖地のもつ魅力なんだろうな。


お決まりのアングルで写真撮影をこなす。
まだ8時過ぎということもあって、お店は開いていない。
奥に進んでみると、前回と比べて、お宿に停まっている車の台数が明らかに多い。
なるほどシーズンなんだ。
暑いあつい夏と言え、温泉地の人気は衰えることはないということ。
かくいう私たちも、今晩と翌日も、温泉の予定がある(!)
伏見神社。玉泉湖と見て回る。
改めて思うけれどコンパクトな場所だ。
徒歩でも十分まわることができる、ただ、徒歩でここまで来ることはできない。
通りの商店で「柚子乙女サイダー」を購入。
湯涌温泉に来たら必ず飲むべし柚子乙女サイダー。
ほのかな柚子の香りと微炭酸がカラカラの喉を潤してくれるであろう。
そしてラベルがこれまでと変わっていることに気付いた。

第三回ぼんぼり祭り仕様になってるうううううううううううううううう。
なこち可愛いよなこち。
今年は行かないとなぼんぼり祭り。
ひととおり満喫し、湯涌温泉を後に。
そして元のルートに戻る前に、いろは館に立ち寄った。

ここは観光協会の建物に隣接している、いわばいろはグッズの博物館。
原画やパネル、巡礼ノートが置かれていて、いろはファン交流の地ともいえる。

欲しさ。
グッズを堪能した後、巡礼ノートに筆を走らせた。
時刻は10時前。朝早く出たおかげでまだまだアドバンテージがある。
白川郷に向かう道路にのり、またまた南東へ。

さて、ここから先は山岳ステージだ。
ぐぐっと山を越えて、白川郷にいたる。
何より気を付けなければならないのが、この先は通行止め区間があるということ。
去年の白川郷ツーリングを読んで頂ければ分かると思うけど、ひどい目にあった。
五箇山に抜けるブナオ峠。ここはもう年中通行止めだ。
他の人のブログを見てみても、通行できる状態を確認できたことはない。
車・バイクはもちろんのこと、ロードバイクもロクに走ることができないけもの道。
MTB乗りがトレイル感覚で走るほど、草木や倒木に阻まれているらしい。
だから、直前にある刀利ダムから北上する道路を通って、ぐるっと迂回する必要がある。
ちなみにその前回は刀利ダムの手前で雪による通行止めをくらった。話にならないずぇ。

どんどん標高が上がる。
さて、この時から最終日まで、私が標高300mを下回る位置にいることは、ない。
もうずっと標高の高いところを走り続けることになる。中部地方を走るということは、そういうことなのだ。

刀利ダムは、初めて訪れた場所なのだけれどここがすごかった。

たけええええええええええええええ。
距離感覚が狂うのが分かる。写真では伝わらないかもしれないけれど、本当に高い。
高いと言うよりは深いといった方がいいかもしれない。
そして音の反響がはんぱなかった。ただ会話をするだけでエコーがかかるレベル。
試しに「あっ!」とさけんでみると数秒後にきれいに「あっ!」とかえってくる。
自然の山と、人口のダムが織りなす究極のやまびこスポットである。
もちろん叫んだ、私たちは叫んだ。
「里香あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

“当分の間”
ここから少し北上する。迂回するためのルートである。
やや長めのダウンヒル。
せっかく獲得した標高を消化するのは少しもったいない気もするけれどこればっかりは仕方ない。
150m程の位置エネルギーを使って、一気に下った。

久しぶりに見かけた自販機で水分を補給する。
とにかく暑い!
日影があるとまだましだけど、直射日光が容赦なく体力をうばっていく。
そして水を被る被る。
今回のツーリングで何リットルの水を消費したか計り知れない。
飲むのは基本だけど、頭から被る、アームカバーに染み込ませる、ジャージを濡らすなどなど。
夏ライドは体温を下げるだけでずいぶん走りやすくなる。


国道156号線、通称「飛越峡合掌ライン」で、あとは白川郷まで走りぬくのみ!

と、言っても先は長く、50km少しはある。うち35kmは登りといったところだろうか。
特に途中の人喰谷のあたりは、斜度がぐぐっと上がる上に、ずーっと真っ直ぐな道だから肉体的にも精神的にもかなり「くる」ところだろう。
ただこのポイントさえ超えることができればあとはずいぶん楽だと思う。
長めのトンネルを抜けると一気にダウンヒルが始まるからだ。
そして、ふたたび登るのだけれど、斜度はゆるいし、マイペースでいけばこわくないと思う。


途中にあるのが「菅沼合掌集落群」
ここも立派な合掌作りを見ることができる。

けど、なんだろう、白川郷と比べると有難味に欠けると言うか……
あくまで集落群であって町じゃないからかしら。生活感がなくって、作り物にみえてしまう。
それでももちろん見応えはある。が、ほぼスルー。とにかく白川郷だ。
いくつかトンネルを越えることになるのだけれど、このトンネルに結構助けられた。


というのも、このあたりのトンネルというのは、山が蓄えた雨などの浸透水等の影響か、ものすごく冷えている。キンキンに冷えたトンネル最高。
陽射しから逃れられるうえに、冷却されるのだから、体温が一気に下がる。これはありがたい。
交通量のおおい国道ならトンネルは恐怖でしかないけれど、ここでは交通量も知れているし、恵みの回復ポイントとなっていた。
と、言っても無理は禁物。水分補給の為に途中、道の駅大平に立ち寄る。
ここで迎えてくれたのが……

氷!
なぜこんなところに氷が………!
うん、きっとアルプスが近いし、山の上からもってきたのかしら…?
嬉しい演出である。わしづかみにして身体に塗ってみると、こりゃいいぜヒャッハー!という感じ。
私、あまりに冷たすぎて、1ブロック拝借して、フロントバッグに投入。

夏の補給といったらコレでしょ()
走りながら氷をちぎって身体に塗る。これはいいものだ………


ここから白川郷まで15km。
朔ちゃんを先頭に、一気に駆け抜ける!!

そして……
到着ううううううううううううううううううううううううう
1日目の目的地、白川郷に無事に到着。時刻は15時ごろ。
いやーあつかったあつかった。なんせ暑かったし、何がつらいって暑かった。
2回目の来訪である。
が、違和感がある。

そう、車が多い。というか渋滞している!
白川郷で渋滞とか馬鹿かと……あほかと………
さすがお盆である。集落群に行っても人がおおい。すごく多い。
まぁ仕方ないね。誰か一人だけの場所でもないものね。
しかし、ここに来た喜びは、他の観光客に負けない自信が私達にはある!
暑い中、必死に漕いできたんだ。達成感がある。
そして空腹感もある。


というわけで、腹が減っては戦はできぬ。とりあえずご飯を食べるためにお店をさがし、いい感じのところでご飯。

山菜ソバ!うまあああああああああああああああああああ
涙がでるよ。
自転車に乗ったあとのご飯ってなんでこんなに美味しいんだろう………
みんなぺろりと平らげる。まったく、幸せとはこういうことをいうのかしら。
この日はもうロクに自転車に乗る予定もなかったから、私はここで装備を変更。
サドルバッグに仕舞っていたリュックとサンダルを取り出す。
ビンディングシューズと靴下を脱いで、リュックに収納。
もうね、これだけで結構楽になるのよね。
しめつけから解放されて、一気に楽になったもの。
サンダルに履き替えて観光モード!


さあさあ世界遺産、白川郷である。
ここからは自転車じゃない、写真モードの私である。
写真を撮りながら、散策をする。
さらにいうと、ここはご存じ、「ひぐらしの鳴く頃に」の聖地である。
さらにいうと、ここはご存じ、「ひぐらしの鳴く頃に」の聖地である!
一度でも作品を観たことがある人なら、ここは訪れると、ものすごく感動するんじゃないかなーと。
なぜならここは作品で描かれている以上に、きれい。
道路や田んぼ、建物、自然、全部が他のどこの土地とも違う。オンリーワン感がぱない。
写真、撮らざるをえないでしょ!自転車を適当な場所に停めて、歩くことにした。


途中、キャプたん朔ちゃんリクエストで和田家に向かう。
ひぐらし的な解説をするとここは園崎家のモデル、なるほど、立派じゃねーの。
実は私は前回、時間の都合上、スルーしていたから初見だったのだけれど、これはこれは立派だなぁと。

合掌造りって外側からはもちろん、内側から見るとその造りに驚かされる。
金属を一切使わずに組み上げられた複雑な構造、縄の締め具合、夏を乗り切るための工夫などなど、見ているだけでも面白い。
そしてちょうどこの時、雨が降り出した。
実はさっきから雲行きがあやしかったのよね。


最初は小ぶりだったけれど、しばらく待つとものすごい豪雨が。
雨宿り目当てだろうか、すこし人が増えてきた気がする。
みんな座り込んで、雨で白くかすむ白川郷の町並みを眺めていた。やわらかい雰囲気だ。
しかし、止まないぞ。
私は自転車が気になりだしてきた。
トップチューブバッグにはコンデジが入ったままだったからだ。この大豪雨なら、すこし浸水しているかもしれない。
ということで、雨の中、繰り出す!
玄関先に立つと、家の中から見るよりずっと強烈な雨であることに気付く。すごい。
ふだんの観光スタイルなら嘆いていただろうけれど、この時はまったく問題ないと感じた。
自転車に乗った後で汗かいていたし、どうせサイクルジャージだし、濡れてもいいやって。
それに、雨の白川郷って、悪くない。
なんだかいい写真が撮れる予感がして。

自転車のあるところまでずぶ濡れになりながらたどり着く。ふええ。
なんとかカメラは無事だった。


その後は雨が止み、観光客も少しずつ減っていった。
良きかな良きかな。
時刻は16時過ぎ。
おっと、ここで私、忘れてないよ。郵便局に荷物を取りに行かないといけないよ。
旅に出る前にあらかじめ送付していたテント一式を受け取るために鳩谷郵便局へ。

無事に荷物を受け取り、この日の寝具をゲット!!
このサイズの荷物を持ち歩く訳にもいかないから、とりあえず寝床を探して……
で、いまいちいい場所がなかったから道の駅の近くの植え込みに隠しておくことに。
テントの場所はあとで考えよう。
観光再開!




りかちゃま!!
展望台のある場所まで上がってみる。
おお……


雨のせいか、白く霞んだ白川郷。とても神秘的だった。
盆地だからか山が近いからか、ガスが上空を漂って、町に蓋がされているよう。
しばらく、夕焼けが空を染めるまで、ずっと眺めていた。
来て、良かった。と、しみじみ思えた。
こんな景色、他じゃない。世界でもここだけだろう。

ドドドドドドドド

景色を堪能した後は、くだって自転車を回収。
この日は一日走って陽射しに打たれるわ、汗をかくわ、雨に打たれるわ、また汗をかくわで
正直、かなり身体がアレだった。

というわけで向かうは温泉!おんせーん!!!
立ち寄り温泉があるのだ。最高でした。本当に。
自転車と温泉の組み合わせは最強。最高。
お風呂あがり。
夜の白川郷の暗さといったら。。。
前回、民宿に泊まった時もここの温泉まで10分ほど歩いたけど、
その時はお宿の人に強力な懐中電灯を渡されたほど。
この時も例外じゃなく、懐中電灯を手にした人がちらほらと。街灯なんて数えるほどしかなかった。
その後は、そう、晩御飯だ。
とうぜん、自炊道具なんてない。
お店もない。
コンビニしかない!!
白川郷の入口、このあたりで唯一のコンビニ、デイリーで晩御飯。
なんかいいのがなかったから、みんなでカップ麺を。
外で食べるカップ麺の美味しさ。間違いない。
そして真っ暗な中、道の駅に舞い戻る。
テントが入った箱を回収して、さあどこでテントを張ろうと思っていたけれど
よくよく見たらみんなふっつーに堂々と道の駅のいろんなところでテントを張っていた。
あ、そういうところなんだ。
というわけで私たちも屋根つきの売店のすぐ前でテントを張ることに。

ここを本日のキャンプ地とするッ!!
もちろん、日本全国の道の駅がこうではない。場所によっては禁止されていたり嫌われているから注意が必要だ。
ゴミを出したり、器物を破損しては絶対いけない。次の旅人が困るからだ。
さくさくっとテントを組み立てて、寝る準備へ。
いやー、テントもってきてよかった。なんかすごくわくわくする。
そして寒い予感がした。
雨が降ったせいもあるけれど、長袖でいいくらいの気温だった。
グランドシートとアウターカバーがあったから、テント内はそれなりに暖かかったけれどね。
男三人の熱気♂もあるし。
道の駅の向かいにある祭具殿だけ最後に。
夜の祭具殿こわすぎワロタ。
みんなでテントに入って、川の字で寝る。
翌朝の寒さを想定して、ウインドブレーカーを用意して。
銀マットも用意していたから、結構、快適。
中部ツーリング一日目。
長い、長い一日が終わった。
明日は、どんな景色が待っているだろう。
続く

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