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鹿児島〜大阪1,000kmキャノンボール@自転車【本州編 限界を越えた日】

神楽坂つむり

キャノンボール, 自転車, ロングライド, 機材紹介, ノウハウ, 近畿, 山陽, 九州,
知らない天井だ(22時間ぶり2度目)
一瞬自分がどこにいるのか分からなかった。
なんでこんなところにいるのか、そしてこの身体の感じは……

そうだ、今は九州だ。
大阪に向かっている。
場所は、そう、関門トンネル手前30kmくらいのネットカフェだ。
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身体が起きるより先に脳が回転を始める。
昨日(?)のことを思い出し、これからのことを考えた。
2時間くらい寝れたのか・・・。

今日も1日頑張ろう!(白目)

・・・

(460km地点 残り540km)
洗面所で顔を洗い、ドリンクコーナーでココアを淹れて飲んだ。
この時間のネットカフェは独特な雰囲気がある。なんだろう。
静かだけど、空調やら、静か目名音楽が入り混じって、頭のなかでごうんごうん。
ブースに戻って昨日買っていたサンドイッチを食べる。うまうま。

簡単なストレッチをして身体の調子を確かめる。うん、大丈夫だ。
疲労感は残っているけど、身体の痛みはない。走れる。

着替えを済ませる。夜明け前のこの時間が一番寒いはずだ。
ここで初めて薄手のウインドブレーカーを着こんだ。
ずっと着ていたウインタージャージだけでもいけるかも、、と思ったけれど、こんなところで失敗したら、しんでまう。
備えあれば憂いなし。

充電していたiPhoneとモバイルバッテリーを確認する。
ほぼ100%まで戻っていた。やったねたえちゃん!

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2013年1月20日 am5:30

会計を済ませて、外に出る。まだ真っ暗だ。
街はしんと静まりかえって、国道を走るトラックの音だけが耳に入る。

寒すぎワロタ

気温はマイナス3℃といったところだろうか。
急遽追加でインナーグローブと、ヘッドウォーマーをサドルバッグから取り出して、装備した。
準備完了!
止まっているから寒いのだ。TwitterのTL監視もそこそこに、サドルにまたがった。
さあ、一漕ぎ。この休憩後の一漕ぎは緊張する。
ここで思いがけず、どこか身体が悲鳴を上げていることに、気づくこともあるのだ。

幸い、脚はくるくるっと回った。フォームもきっといつも通りだ。
なんとなく、この時に完走できるかも、と思った。あと半分ちょっとだ。ペースを乱さなければ…

門司港まで30kmといったところ。
ノンストップで駆け抜けるよ!

漕いでいると身体はちゃんと暖まってくれる。よかよか。
信号待ちの間にインナーグローブとヘッドウォーマーを外して、ポケットにつっこむ。
このあたりは、過去に2度、走ったことがある。知っているだけでだいぶ気が楽だ。

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門司の手前あたりで、前方の空が明るくなり、日が昇り始めた。
まぶしっ。

ナイトラン経験者なら分かるだろうか。
いや、ふだん徹夜した時もそうかな。
この日が昇り始める前後というのは、眠気がものっそい強くなる。

単純に人が起きていられる時間の問題なのか。
それとも、夜を越えた安心感や達成感によって気が抜けるからだろうか。
夜間走行は暗闇の段差とかに集中していて、その必要がなくなるから、集中が切れて眠くなるのかも。
周りが明るくなって、目から入る情報量が一気に増えて、疲れた脳に負担がかかるからなのか。

とまあ、あれこれ考えていたけれど、今回はしっかり寝たからね!2時間とは言え。
そう、今回のキャノンボールで得た一つの教訓は
「睡眠は3時~5時に取るのが効果的」
だということ。
※個人差があります。

そして、ついに国道3号線走破!!うひょー初走破だよ初走破。

「ままー小躍りをしている変な人が」
「しっ、見ちゃいけません!」

ここで、国道標識というか、鹿児島にもあった“国道起点”の碑を探し回ったけど、見つけられなかったまん…
もしかしてないのかしら?
10分くらいくるくる回ってたw

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そしてここから国道2号線スタート!
2013年1月20日 am7:00 走行距離460km (残り540km)

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    . . ::: ::: :: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :まだ半分もいってない………だと………::::: :::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄ ̄ ̄

ここはお楽しみ関門トンネルがあるのだ。
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関門トンネルは九州と本州を結ぶ海底トンネルで、人道と車道に完全に分離している。
自転車は人道しか通られないよ!
注意すべきはやはり通行可能時間。6時から22時のみとなっている。

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こうして見ると海峡、狭いw
こんなところでその昔、四国艦隊砲撃事件が……

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国道を逸れて、住宅街を抜けて、トンネル入り口に到着―っと。
ここから自転車と一緒にエレベーターで海底トンネル入り口まで下る。
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無駄にテンションあがる私。

通行料金は下関側で支払うとのこと。ふむふむ。

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写真で気付いたけど、ここにも国道2号線の標識がww


所要時間は歩いておおよそ15分。
自転車は押して歩かないと、ダメ。
ちなみに乗ったまま通ると、監視カメラごしに、マイクで怒られるらしいw

こんな時間だけれど、人はそこそこいるようで、どうやらみんなジョギングしているようだ。
なるほど、確かに寒くないし、車も通らないし、シャトルラン気分でペースを乱さず走られる。
この人数だからできるんだろうけどねえ。人が増えたらパンクすると思うw

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恒例の本州―九州の狭間なう!!

写真を撮っているとおばちゃん2人組に話しかけられた。

「どこから来たのー?」
「大阪です。」
「あらー!すごいねえ。今日はどこに行くの?」
「大阪です。」
「えっ。」

なにこれデジャブ。
そして別れ際に何故かパインアメを2つ握らされる。
嬉しい。

トンネルを渡り切って、下関!本州きましたわー!

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ああ、やっと本州だよ。山口だよ。

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私は山口県が好きだ。
過去に山陰ツーリングをした時には、その豊かな自然に心を奪われた。

こちら

しかし、だ。
私は覚えている。前回の大阪→九州走った時に、アップダウンに苦しめられたことを。

とにかくアップダウンが多い。
峠らしい峠はない。ものすごい斜度の坂もない。
ただ、登ったり下ったりするだけなのだ。

それがしんどいのだ……!

ともあれ行くしかない。
と、その前に、少し下関の街に寄り道した。
特に何がしたいというわけでもなかったけれど、一度見てみたかったんだ。
まあまあ特に何もなかった。けど、その何もない感、良かった。穏やかで平和で、時間がゆっくり流れていたと思う。

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ここからはひたすら走る走る走る。
小月、厚狭、宇部市、新山口と地名が目まぐるしく変わっていく。
新山口、山陰ツーリングの時に降りた新幹線の駅だ。懐かしい。

ここで540km。ふむ。ようやく通常のキャノンボールが終了したところ。
まだまだ!
身体の調子は良かったから、コンビニで手早くご飯を済ませる。カルボナーラうまうま。

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再スタートして防府、周南……とこのあたりはよく覚えていない。
とにかく坂が来ればダンシングをし、下りで脚を休めての繰り返しだったと思う。

ちなみに私、あえて名乗るならクライマーだ。
特段速いという訳ではないけれど、坂は好き。
ダンシングでリズムよく登っていく時の高揚感がたまらない。
ど平坦より、少し山がある方が、疲れにくかったりする。
しんどい辛いと言いながら、なんだかんだ「悪くないな」とか思ってしまう。
ハハッ

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生ポンデリングうまうま

結局岩国まで駆け抜けた。630km地点。
さてさて、ここで久しぶりの観光ターイム。
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岩国と言えば、いろいろあって、とにかくいろいろあるんだけれど、今回のお目当ては

「錦帯橋」

知り合いからとにかくきれいだよーと、聞いていて、ぜひこの目にしてみたいと思っていたんだ。
その橋がこちら

なるほど美しいじゃねーの…!

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何とも言えない形状をしてらっしゃる。龍の骨みたいな。
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というか、これどう見ても渡りにくいよね……でもだからこそ美しいんだよね。
住吉大社の赤い橋を思い出した。

夕方前と言うこともあって気温は高く、日曜日らしく観光客で溢れていた。
橋を渡る人もいれば、河原に下りて、橋を眺めながらお弁当を食べている人なんかもいる。
川遊びはさすがに無理な季節でも、石で水面切を競っている子供たちがいる。

うーん、周りはぐるっと山に囲まれているし、なかなかに良い場所じゃないか。

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れんこんコロッケなるものをいただくなど。

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お姉さんセクシーすぎワロタ

ここで景色を眺めつつもTwitterをチェックチェック。
実はこの先の宮島あたりで、広島のフォロワーが迎撃するかもしれない、と言っていたのだ。
連絡は取れないけれど、念のために通過予定時間を知らせておく。
気になる自転車に乗ってるし、ぜひお会いしたいところ。

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こういうのを楽しみにしているからこそモチベーションを維持できるのかもしれない。
やっぱり美味しいところがないとロングライドは面白くない!

そして、実はこの日はちょうど広島で駅伝が行われる日だったそうで、通る予定だった国道2号線が通行止めになるよ!
と、大阪から鹿児島へ向かう新幹線の中でフォロワーに教えてもらっていた。
それを聞いた時はやべえ!と思った。もしかすると時間帯がどんぴしゃかもしれない、と。
結局規制解除後にこうして向かうことになったんだけどね。
あと数時間早かったら足止めを喰らっていたかもしれない。

予定時刻通りに通過できるように、やや脚を休めながら、ここから広島方面へ。
そう、ようやく広島の看板が見えてきた。
長い、長いよ山口県!!

しばらく走ると、進路は北へ。
おうふ、すごい逆風だ。
しかし、ちょうど良い具合に交通量が多くなり始めた。
逆風の時は、交通量が多いと、追い越す車によって風が相殺されて幾分走るのが楽になる。
幹線道路はそういった意味で風を味方につけやすいというメリットがある。

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途中、急に身体の動きが悪くなったのですかさず10分休憩。
少し飛ばし過ぎた模様。ハンガーノックになる前に、おにぎり2個とチョコレート、ようかんをお腹に詰め込む。
まだ足りない感がするけど、まあ良い。広島市内を抜けた頃に食べれば良い良い。
今はとにかく宮島口まで、約束の地まで。

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このあたりは何度か通ったことがあるけど、結局宮島一度も行ったことが無いと言うw
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今回も宮島行きのフェリーを指をくわえて眺めていた。
ああ、もみじまんじゅう、鹿、鳥居。
いつか寄ってみたい……ような、別にいいような。

まだ相手さんは到着していない模様。待ち合わせの交差点でストレッチをしながら、待つこと5分、遠くからローディが近づいてくるのが見えた。

くずんさん(@kuzunn )と合流なー! さやかちゃんペロペロ http://t.co/ulRCOVCf
posted at 15:54:18

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さやかちゃん!
なんとまあ完成度の高い痛自転車だこと。
同じFELTの上に、同じアーガイルカラー。これはテンション上がる。
二人並べて写真撮影タイムw

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さやかちゃんぺろぺろぺろぺろ!

知り合ってまだ一週間くらいだけれど、あれこれ話をして、盛り上がる

その後は広島に向かって先導してくれることに!
うーん助かる助かる。バイパスもあるしね。

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後ろをちょろちょろ付いて行って、バイパスも楽々回避できた。
何故か広島のプロショップのメンバーとも合流して、謎のトレイン完成。もちろん、交通量も多く、信号があるから、速くなるわけでもないけれど。
なんか嬉しいね。もう600kmという距離を走ったというのに、何故かそれを感じない。これは…いける。
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狭い道路を抜けて、国道2号線が大きく右に曲がる交差点でお別れすることに。
結局15km弱一緒に走ってくれただろうか。ありがとう、くずんさん!

そしてここから再び一人旅。
まだだ、まだ先は長い。気も抜けないし、そろそろちゃんと補給もしなければ。

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とりあえず明るいうちに広島の市街地は抜けようと思った。
東へさらに漕ぎ続ける。
広島ドームの近くを通り過ぎ路面電車を眺めながら幹線道路を走っているとなんと

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えっ、自転車通行禁止?

うーん、よくわからんちん。どうみても禁止するような道路でもないし、だからといって歩道がしっかり自転車道を別れている訳でもないし。
仕方なく歩道を、車道側徐行で走ることに。
なんで車道駄目なんだろう。結局最後まで分からず。
どういうことなの広島県知事さん!

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市街地を抜けるあたりで日が沈み始めた。
早めにライトを点灯し、安全対策をとる。

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ここからは、ふー、ある意味最後の山岳ステージだ。
東広島、西条、竹原、三原と、尾道に抜けるまでは大きな山と小さな山がある。
素面状態ならなんてことのない山なのだけれど、さすがにこの脚には響いてくる。

しゃんと登る前にコンビニで補給食を買い込む。
おにぎり×3つ、ウィダー×2つ、ブラックサンダー3つ、アクエリアスビタミン500ml購入
ついでにファミチキを頬張る。うまうま!
どうやら胃は問題ないようだ。これは本当に自分の身体に感謝するばかり。

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さらに牡蠣天津ラーメン!これはかなり美味しかった。

ロングライドもといキャノンボールで胃がやられるのは致命的だ。
走り続けるのには補給を続けなければならないのに、長時間の運動と消化不全で、胃が固形物を受け付けなくなることがある。
そうなるともうリタイアした方が良いと思う。
無理して続けて、途中でハンガーノックにでもなったら、きっと動けなくなる。
補給というのは、生命線なのだ。

ちなみに私のコンビニメニューはこんな感じですしおすし。
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幸い今回は最後まで胃の調子が弱ることはなかった。
油物どんとこい!

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西条のバイパスを回避したらいよいよ本格的な山岳コース。
といっても、斜度はそんなにきつくない。
うんたんうんたんのリズムで登っていく。すっかり暗くなった地面でも、ライトがあれば大丈夫。

鹿児島を出発してから2度目の夜が来た。

昨日よりどうも寒い気がする。これはあれか、放射冷却というやつだろうか。
この日は日中は気持ちの良い青空が広がっていた。
雲がない分、地熱が大気に逃げてしまうのだ。仕方ない。

2日目ということもあって、早めにウインドブレーカーを着込んだ。
少し暑いけれど、体温低下は避けたい。なるべく高い体温を保つのも大事なことのひとつ。

そういえば、この辺りは前回も真夜中に通過したっけ……w
ちゃんと明るい時間に走ったことないかもしれない!
ぐぬぬ、きっと晴れてたら良い景色が広がっているに違いない……
こんな時間に走ってるあたしって、ほんとバカ

いつもより1割減くらいのスピードで山をクリアー。
下りは思いっきり脚を休めた。ストレッチをしながらダウンヒルをこなす。寒い寒い!

そうこうしている内に再び海が見えた。
何 も 見 え な い
真っ黒じゃねーか!( 'д'⊂彡☆))Д´) パーン
せっかくの瀬戸内海が………

気付いたら尾道にいた。なにこれ全然感動しない。

鹿児島を出発してから36時間経過。走行距離700km突破ぁぁぁぉ……
posted at 21:18:15

せっかくの尾道なのにいいいいいいいいいいいいいいい
絶対にまたあたたかくなったら来るんだと誓いを立てた。
尾道はいいところだ…坂と、海と、文学の町。あと猫も。
尾道みたいな雰囲気の町は全国にたくさんあるけれど、尾道はやっぱりオリジナリティある。
かーみーちゅー

真っ暗な海を眺めながら、10分程休憩。
ベンチに横になって少し目を瞑ると、頭がじんじんした。
血が偏ってるかな……もう、36時間経過してるものな。2時間しか寝ていないし…
と、言ってこんなところで寝ている訳にもいかない。
仮眠(?)もそこそこに再スタート。こういう時は下手に休憩するとだれてしまう傾向がある。

東尾道、松永、笠岡と走り抜ける。この辺りは地味に交通量が多いから要注意。
トラックこわいお(´'A'`)
でも風が有り難いお!(^ω^)

広島を過ぎたあたりから追い風が吹き始めていた。これは狙い通りだった。
この季節だものね、高確率で西風が吹く。

さて、ここで再びTwitterチェック!
岡山クラスタが迎撃してくれると風の噂に聞いていた。
岡山到着予定時刻を1時と設定していた。

ここで、悩む。
岡山以東は本当によく知った道だ。迷うこともないだろう。
だから、一気に走り抜けたいところでもあるけれど、果たして今のままこのペースが持つだろうか…と。

客観的に見て明らかに睡眠時間が足りていないマン!

体力は大丈夫。筋肉もまだ痛くない。
お尻、肩、腰も大丈夫。
ただ少し眠い。

地図で調べてみると倉敷を過ぎたあたりにネットカフェがあることが判明。
そこで仮眠を取ることに決める。
2度目にして最後の睡眠だ。

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途中に派手なスーパーを横切る。
ここは………一瞬で過去の記憶が蘇る。
私が自転車に乗るようになってから初めての連泊だった瀬戸内海ツーリングの時に立ち寄ったスーパーだ。
あの頃私はハンガーノックというものを知らず、同様に補給の重要性を理解しておらず、お腹が減ったら食べたらいいやーくらいを考えてたら見事にハンガーノックに陥った。
脚は回らず、身体がふらふら。眠い訳でもないのに、何が起こったのかと驚いたものだ。
その時に、このスーパーに立ち寄って、本能的に甘い菓子パンを買って、むさぼった。
食べてすぐに身体が元通りになって、ご飯の大切さを思い知った。
ご飯大事。

そしてネットカフェに到着。
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くー、だいぶ身体はボロってきた感。
受付を済ませて、フラット席へ。

あ、ちなみに今までの自転車旅のおかげで全国のネットカフェの会員カードを持っている私。ふふ。

約束の時間的に1時間ちょっとは寝ることが出来る。
今回は着替えもせずに、ほぼそのままの格好で眠ることにした。
ビンディングシューズを解除できるだけでもだいぶ違う。足の開放感に思わず溜め息が出る。

ブランケットに包まり就寝。
おっと、iPhoneの充電は忘れずに。
あと、200kmくらい。

そしてむくり。
ふええ1時間ちょっと眠ることができた。ぐg、まだ少し眠い。
そりゃそーか。いやいや、ここまで来たら眠気なぞ些細な問題だ。
脚が動くか、身体が動くかどうかが重要で、そこは幸い大丈夫だった。よしよし。

ただ、少し右足首に違和感があった。
なんだろうこれ。
くるぶしの裏というか、かかとの直上あたりというか。
スジかな、細い骨かな。とにかくその辺に違和感がある。


なんだろう。


  ネットカフェで仮眠だん。ふおおおおお身体重たいww
  posted at 00:32:58

とにかく、再出発だ。岡山市内の待ち合わせ場所まで、10kmといったところだ。
20分強で着く距離。

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走り始めは少し寒い。
強制ダンシング体温上昇術を使って、身体を暖める。
そうして、約束のコンビニが見えると、それっぽい人が!

いやっほう!
エリートさん( @nowoll ) と合流なー! http://t.co/IEzvqIs2
posted at 01:16:03
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はじめましてはじめまして。岡山クラスタとこうして絡むのは初めてなんじゃないだろうか。いやー嬉しい歓迎にテンション上がりっ放しの私。
苺大福をいただいて、これまた嬉しい限り。
カロリーをビタミンを補給できる万能アイテム!

あれやこれや話をして短い時間ながら交流を。何より楽しい時間。
そしてそしてなんと!前を引いてくれるとのこと。

これは有り難い。ちょっと脚がね。
そう、さっき感じていた脚の違和感が、痛みになろうとしていた。
きっとアキレス腱的なスジだろうか。なんか骨っぽい気がしないでもないけれど、引き脚と踏み脚の、イチバン力を使う瞬間にピリッとした痛みがあった。走れないことは無いけれど。

走り出すと、おおう
エリートさん、がっつり前を引く体勢。
きっちり30km/hで先行しだす。これは乗っかるしかない。

で、3分程走っていると、交差点でやたらと明るいライトのロードバイクが歩道にいた。
ヘルメットにまでライトをつけている。ガチレーサーか。
しかし何故こんな時間に?
という、疑問と同時に、「あ、これ絶対Twitter」とも思った。
こんな時間に、このタイミングで、ローディが待っているなんて、あやしい。におうぜ……!

いわおさん!
@iwao8800

どうやらTwitterを見ながら、時間を合わせて迎撃しに来てくれたらしい。
ああ、なんて幸せなんでしょう。
エリートさんとも初対面らしく、3人が3人とも初顔合わせというw
にも関わらず、ここから10km近く、3人でトレインを組んで走ることになった。
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私は基本最後尾で、前の2人が先頭交代をしながら、33km/h程で巡航。

私は、初めて「1,000km、50時間切り」が、手に届く範囲に降りて来たと感じた。

後ろについて体力を温存しながら、距離貯金をすれば、いけるかもしれない。
この2人の背中に助けられて、私は大阪まで行くんだ。
また決意が固まった。

だいぶ引いてもらったところでいわおさんとお別れ。握手を交わして、再会を願う。

エリートさん、まだ引いてくれるとのこと。
私、甘える。

ペースは落ちること無く、30km/h巡航。
エリートさん、ペダリングがめっちょ綺麗でびっくりした。
フォームも安定していて、後ろについてこれだけ安心できる人は初めてかもしれない。
後ろに付きながら何かこみ上げてくるものがあった。
客観的に見ると、本当に発射台みたいだった。レースでよく言われるアシストの別呼称。
失礼な言い方かもしれないけれど。
単純に嬉しい。初めて会ったのに、こうして一緒に走ることができる。
気がつけば岡山市を抜け、瀬戸内市を抜け、備前を抜けて伊部まで引いてくれた。
r250の入り口まで引いてくれた。
本当に有り難い。

このアシストを無駄にする訳にはいかない。完走するだけじゃなく、人に誇れる記録を立てたいと思った。
なんだか色々言いたかったけど、挨拶をして、交差点の信号が青になるタイミングで別れた。
気がつけば30kmも移動していた。

ここから先のr250は、国道2号線の回避ルートとして、姫路〜岡山間ルートの王道だ。
海岸線沿いを走る道は風光明媚で、赤穂浪士で有名な観光地、赤穂があったり、牡蠣が美味しい日生があったり。

するはずなのだが、もうね、真っ暗だよ!

本当に暗い。右手は海、左手は山(推測)
街灯なし。月明かりのみ。星が綺麗。
この夜が明ければもうライトはいらないんだ。装備しているライトを惜しげも無く、フル稼働させた。
明るい明るい!車並みのライトの本領発揮である。

 最後の補給休憩なう。
 posted at 04:56:57

さあ、脚を休められてた分を使うぜー!
と思っていたけれど、予想外に右足首のスジがやられているようだ。
やっぱりこれはアキレス腱とかなんだろうか。こんなの初めてだ。
でももう200km切ってる。だましだましで走ればなんとかなると思い、ダンシングとシッティングを、分単位で入れ替えながら、25km/h程で進んで行く。

途中にいくつか小高い登りがあり、地味に応えるようになってきた。
何故か笑った。
くはっ、限界が近いのか…と。
でもまだ身体は動く。なら、いける。
真っ暗な道路を、車とすれ違うこともなく、1人と1台で進む。
タイヤが地面と擦れる音、チェーンの音、風きり音しか聞こえない。
自分の息づかいがやたらと五月蝿く感じる。
意図的に大きく息を吸って、ゆっくり吐いて深呼吸。眠気はもう無視できるレベルだ。

そしてついに岡山県もクリアー!
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暗いってレベルじゃねーぞ!( 'д'⊂彡☆))Д´) パーン

このr250の兵庫ー岡山県境が大好きな私。
長い緩い坂を登って、息が少し上がりかけた頃に頂上に到達し、見上げれば県境を示す看板がーーー
そして一気に下る。
このいかにも県境ってシチュエーションが、ああ、走って来たんだな…と実感する。

下って、川沿いに出る。
明るければ見通しの良いであろう川沿いの道を北上する。

相生の手前で事実上、最後の峠、高取峠が迎えた。
標高は200m前後。
なんてことのない、ただの丘みたいなもの。
の、はずが、1級山岳に思えた。

思わぬトラブル、ものすごい逆風。
山おろしだろうか、頂上からすんごい風が吹くよ!
ひいひい言いながら、登り始める。10km/hしか出てねえ!
しかも右足首は絶望的に痛くなって来た。ああ、いたい。歯を食いしばる。
こういう時は急いでも変わらない。ゆっくり確実に進む。

いのししこわい。
いのしし並走してた。
明らかに木々の間を抜ける獣のかさかさって音がして、目をこらすといのししが並走してた。
田舎あるある。

真っ暗な峠を登る。登る。登る。
ここが今回のライドで実質一番辛かったかもしれない。
肉体的にかなり追い込まれていた。
けれど、もうここまで来たんだ。
鹿児島から。もう兵庫。次は大阪。
そう思うと、脚を止めるわけにはいかない。
そしてサイクルコンピューターの時計を見る。
止まらない限り、50時間切りが達成できる。一瞬、計算間違いかと思った。こんなペースでよくここまで来たものだと我ながら感心と呆れ。

峠をクリアした後は一気に下る。
クリートを両方外してストレッチをしながら下る。
右足首は骨かとも思った。疲労骨折でもしているような奥の方からの痛み……!!

相生を越えたら再び平地区間で、しばらく国道2号線を走り、途中で網干方面に南下して、r250を使って明石まで東進する。

少し空が明るくなって来た。
あれから2度目の朝だ。
気温が最も低い時間帯だけど、幸い寒くはなかった。身体は熱を帯びている。

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姫路を越えて、明石が近づくと、実質もうウイニングランみたいなものだ。
60km程度だ。今までの道のりからすると、本当に短く感じる。けれど長い。

950km突破ぁぁぁぁぁぁぁ…… あと50km(右足首死亡)
posted at 07:27:20

いよいよ残り50km。月曜日の朝だ。通勤ラッシュと被るけれど、このあたりは可愛いもの。
ふだん大阪市内走っているからね!

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明石海峡大橋をバッグに。

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あの船、沈んでね……?

さてさて、ここでまたTwitterの自転車クラスタが迎撃してくれた。
こっから先はひたすら平地だから嬉しい限り!

(@sktproject )と合流!このまま神戸まで http://t.co/hwZ508ah
posted at 07:58:20
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過去に一度、淡路島一周で一緒に走ったことがある。
彼も大阪に行く用事があったからということで、ついでに前を走ってくれるということ。

スリップストリームに付くことはあまりなくとも、誰かと走っているというだけでペースアップに繋がる。
へたれているところを見せたくないという思いからか、単にかっこつけたいだけなのか。
朝日が眩しくって、例にも漏れず少し眠気が。
まだだ…!ゴールするまで集中だ!

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三宮までは30km/h程で走り抜ける。
ここから大阪までは、飛ばそうと思っても飛ばせない。信号がそれなりに多いからだ。
楽、かと思ったらそうでもなく、ストップアンドゴーが地味に辛い。
どうやら右足首は死んでしまったようだ……
いっそ感覚がなくなればいいのに、痛い(´'A'`)

と、言ってもここまで来て休憩するとか、ペースを落とすとか、そんな発想はなかった。
すすめ!すすむのだ。

サイクルコンピューターの数字をちょくちょく確認する。
胸が高まってキタ。
徐々にその数字が、目指していたところまで達しようとしている。
兵庫県西宮を少し過ぎたあたり。
今まで、ありえなかった数字が表示されていた。

【速報】1000km走破ぁぁぁぁぁ!タイムは48時間42分!
posted at 09:42:41

ついに1,000km、その目標を突破した。
信じられない、48時間42分。
思わず笑った。何やってんだ自分。ほんと、バカだよ。

両手を上げてガッツポーズ………のようなものでもなく、普通の信号待ちで確認して、ふっ、と笑った程度だった。
達成感というよりは、「やっと……か…!」という感じだった。
こんなに長時間、走り「続けた」のは初めてだったせいか、一種の悟りのような物が開かれていたような気がするw

もう目標は達成した!
けれど、もちろんまだ終わらない。国道2号線走破というおまけもデザートにいただく。

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最後は同行してくれた彼に我が儘をいって、前を走らせてもらった。
ゴールは、自分で、この長かった道のりに終止符を打つ!!

梅田新道、到着…!国道3号線に続けて国道2号線、走破ぁぁぁぁ……… 49時間53分 http://t.co/jllePFZh
posted at 10:54:02
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ゴールした後は、しばらくその場を動くことができなかった。

都会の往来を眺めながら、近くの壁にもたれて座り込んだ。
いや、倒れ込んだ。
お昼前のビジネス街だ。
見慣れた景色ではあるけれど、いつもと違って見えた。

言葉にできない感情が込み上げて、胸が熱くなった。
もうこんなこと、2度としてたまるか。
そう思いつつ、笑った。
今日だけは自分を誉めてやろう。
ついに、やっと、鹿児島から帰ってきた。
1人、ガッツポーズ。

2013年1月21日 AM10:53 大阪-梅田新道-国道2号線始点

@sktprojectさんにお礼を言う。
明石から60kmも同行してくれた。最後まで集中できたのも、彼のおかげだ。
「よくやった!」という言葉を最後に、ささっと去って行った。ありがとう。

彼が帰った後もまだしばらく動く気がしなかった。
ぼーっとしていた。
見上げた空はビル群に切り取られて変な形をしていた。

iPhoneでふと地図を眺める。
我ながら何をやってんだか……と笑った。
鹿児島、遠すぎるよ。本当に長かった。
こうして文章にまとめている以上のことが実際はたくさんたくさんあった。
これだけ濃密な3日間は、今まであっただろうか。

Twitterを見ると、リプライが100件以上あった。
ものすごい数の「おつかれさま!」に、ちょっと目頭が熱くなった。
「よくやった!」という言葉もいただいた。
そうか…………自分はよくやったんだ、と実感が湧いて、また少し泣きそうになった。

見た目はボロボロだったかもしれない。
グローブはほつれ、シューズカバーには出発時には無かった穴が開いていた。
髪の毛はボサボサだ。くちびるも乾いている。

……帰ろう。家に帰るまでがキャノンボール!!

自宅までの20km程をたらたらと走る。
身体の状態を確かめるように。
右足首はやっぱり絶望的だ。緊張の糸が切れたのか、25km/h程度しか出すことが出来ない。
でも、ランナーズハイみたいなものだろうか、いや、きっとそれ以上の何かに包まれていた。
気持ちはすごい良かった。最高だ。

忘れないように途中でラーメン屋によった。
最後までカロリー大事。

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家に帰ってからはお風呂、仮眠、リプ返し、仮眠、お風呂、ご飯などなど。

こうして今回のキャノンボールは終了した。

事の発端はなんてことないつぶやきだったけれど、こうして実行して、完走できて本当に良かった。
しかも予想以上のタイム。
正直、2度とこんなペースで走られる気がしないw

自転車は、自分の身の丈にあった乗り物だとつくづく思う。
エンジンの付いた乗り物とは比べ物にならないくらい、加える力に対して正直に反応してくれる。
漕げば進む。ペダルに力を込めれば、前へ進む。
その単純さに、ある種の、宗教的と言っても良い程の、魅力があるのかもしれない。
自分の力だけで、自分でも信じられないような、遠いところまで運んでくれる。

限界はあるけどね…!
でも、それまで限界と思っていた領域も、いつの間にか突破している。
私も自転車を始めた頃は、50kmで脚がピクピクして翌日はロクに動けなかった。
何が駄目なんだろう、と考えて、その原因を見つけて、克服して、もっと遠くまで行けるようになる。

そして遠くまで行けた時の感動というか、達成感というか、うまく言葉でまとめられないその何かが好きだ。
様々な景色、色んな土地の雰囲気や風土、食べ物、自然、全部ありのままに感じさせれくれる。
色んな場所に行けたら、それだけで嬉しいなって。

もうしばらくこんなチャレンジはしないと思う
本来はゆっくりその土地を楽しみながら走るのが好きなんだ私は!w

あたたかくなったら、まったりツーリングしよう。
地図を開いて、面白そうな場所を探して。



さて

次はどこへ行こう。



 終わり



   
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Comments 3

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高橋
はじめまして

いつも楽しく拝見させて頂いています。
自分も2号線は自転車、バイクと走破していて、風景の写真を見て、自分も走っていたなと楽しみながら読むことができました󾌰

神楽坂つむり
Re: はじめまして

> いつも楽しく拝見させて頂いています。
> 自分も2号線は自転車、バイクと走破していて、風景の写真を見て、自分も走っていたなと楽しみながら読むことができました󾌰

はじめまして。

同じ道を走られたことがあるのですねー。
なんというか、繋がりのない人とも、同じ景色、同じ道路を共有してきたのだと思うと、感慨深いものがあります。
旅の醍醐味のひとつですね。

  • 2013/04/20 (Sat) 19:32
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黒糖
はじめまして

はじめまして。いつもブログを拝見させていただいております
僕は中部圏の人間なので九州とは疎遠ですが、つむりさんの記事を読み僕もいつかはこんな大きなことに挑んでみたいと思いました
これからも陰ながら応援させていただきます

  • 2016/09/06 (Tue) 01:28
  • REPLY