【鹿児島旅】大阪からフェリーで志布志港へ〜火山灰による歓迎〜
自転車, 写真, 機材紹介, ロングライド, 輪行, 九州,というか選択肢がなかった。
帰省ラッシュで新幹線はいっぱいだし、そもそも当日朝まで鹿児島行くかどうか決めてなかったったいうね!
毎度計画性があるようでないよね!
という訳で寝ぼけた声でフェリー予約センターに電話
「あのー本日分予約お願いします」
「あっ、すみません、当日予約は乗り場の電話番号でおねがいします」
「えっ、そうなんですか、すみません(あれっ?えっ?)」
なぜ予約センターで予約ができない・・・?
一応港乗り場の電話番号もあるにはあるが・・・半信半疑で電話してみる
「あのー予約したいんですけど」
「申し訳御座いません、予約は予約センターでお願いします」
「えっ」
「えっ」
たらいまわしの末、結局予約センターで無事に予約できました。
最初に出た人、しっかりしてよ!一瞬、旅オワタと思っちゃったじゃないの!
料金は自転車込みで1万6千円。たけえwwww繁忙期料金ぱねぇwww
同時に帰りの新幹線もインターネット、JR西日本e5489にて予約。
今のりにのってる九州新幹線である。
鹿児島から大阪まで乗換えなし(!)さくら566号を使えば鹿児島中央~新大阪でわずか4時間14分。
あれ・・・フェリーだと15時間かかって1万6千円。
新幹線だと4時間ちょっとで2万1500円。
繁忙期だと新幹線の方がコストパフォーマンス良いのねww
まぁ船旅は好きだから良いのだけれど。

そんなこんなでフェリー乗り場に向かう
御堂筋を南へ。
年末のせいか車がだいぶ少ない・・・と思いきややたら渋滞してたよ!やっぱここは深夜以外は常に車多い。

きたきた!こういう文字だけでもなんかわくわくしちゃう。

これから乗るフェリーさんふらわあ。すごく・・・おおきいです・・・

リカンベントだ!
きっとこれ知らない人からしたらなんでこんなので走る必要があるの!?とか思っちゃうんだろうなぁと。
実際私も最初見たときはただの変り種自転車と思った。
でも結構利点があるのよね、だからこそこうして乗ってる人がいる。
私も一度関西サイクルスポーツセンターで乗ったことがある。
まず寝そべって乗る形になるから空気抵抗がかなり少ない。自転車最大の敵である風を緩和できるのはかなり羨ましい。前傾じゃないから視界もかなり広い。
あと意外と脚に力がいれやすい。背中を固定してるからかな、ジムでも寝そべってくるくる回す器具…あんな感じ。
そして疲れにくい。ロードバイクでロングライドするとお尻が痛い、肩が痛いという人がいるけれど、なんせ寝そべってる分、そのあたりの痛みはほとんど無いようだ。
極めつけは荷物がたくさん乗せられる。これはツーリストにはかなり魅力的で、しかも重心が低いから安定する。本来ロードバイクなんかは荷物を載せるようなカタチになっていない。その点ではリカンベントの方がずっと理にかなっている。
欠点は登り坂に弱い、ロードバイクに比べると重い、後方確認がし辛いといったところだろうか。
詳しいことはリカンベント専用のサイトがいくつかあるからそれらを覗いてみると面白いかも。
私も資金に余裕が出来たらいつか買って見たいような・・・でも今のところあまり惹かれないかな。
理由はいろいろ。見た目とか。



「こちらスネーク、船内に潜入した」
さすが年末だけあって人が多かった。
今までオフシーズンの平日とかしか利用したことがなかったからちょっと新鮮。
部屋はツーリスト安定。学校の教室くらいの部屋に30人くらいかな、布団というか縦長のマットレスと枕とシーツだけが用意されているシンプルなもの。
番号がふってあって指定された場所に荷物をおく。
小学校の教室の後ろにあるロッカーのようなものが壁沿いにあって、荷物が入れられるようになっている。
私の両隣は40代くらいのおじ様で、偶然にもどちらもバイク乗りの方だった。
左隣のおじ様が私のヘルメットを見て自転車乗りだと気付いたようだ。旅の話に華が咲く。
船の低いエンジン音が身体を包んで気持ち良い。
目を瞑るとどこかの工場に迷い込んだようだ。
たまに揺れるけれど気にならない程度。
消灯時間に合わせて9時に眠りに着いた。
起きたのは朝の4時。まだ部屋は真っ暗。確か6時から明かりがつくはず。
予め買い込んだパンをもって部屋の外に出る。
自販機でコーヒーを買って、ラウンジと呼ばれるスペースで食事を済ませてから、船内に点在しているテーブルに腰を下ろし小説を読んで時間を潰すことにした。

気付くと時刻は8時すぎ。
そろそろ上陸時刻ということでデッキに出てみる。

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
陸だあああああああああああああああああああああああああああ



係留ロープをランチャーで発射するところ

三ニ-----┗( ^ω^)┛┗( ^ω^)┛┗( ^ω^)┛


そして上陸鹿児島!!
初鹿児島!
暑い!なにこれ暑い。
いやほんとびっくりした。今更ヒートテックは脱げないとして、長袖Tシャツ一枚でいけるくらい。
ウインドジャケットは即リュックへ。
予想最高気温は16℃。年末だってのにこうも暑いとは・・・
さてさて向かうは桜島。とりあえず鹿児島湾にぶちあたるまで西北西へ。

ご当地コンビニだろうか。
北海道でいうところのセイコーマート…?
旅してると割りとこういうご当地ショップに巡り合えて、せっかくだから必ず買い物をするようにしてる。
チェーン店にお金を落とすよりはなんとなく気分が良い。

やたらばくだんおにぎりを推していたので購入。
さあ出発しようと店を出るとちょうど見慣れた自転車乗りが。
フェリーで下船の順番待ちをしているときに後ろにいた自転車乗りだ。
えーっと車種はど忘れしてしまった…フロアポンプを背負っていたのは覚えている。
もともとこちらが地元なようで、大阪から帰ってきたのだという。
同年代くらいだろうか?爽やかなお兄さん、って感じ。年下でも年上でもお兄さんって呼びたくなるような雰囲気をかもし出している。
せっかくだから聞いてみた。
「このエブリワンって鹿児島限定のコンビニなんですか?」
「うーん、そうみたいですね。熊本とかにもありますよ」
「そうみたい・・・?」
「いやー僕、てっきり全国展開してると思ってたんです。それが大阪に行っていると一軒もなくて吃驚しました(笑)」
なるほど、地方あるあるといったところだろうか。
確かにこういった事例は結構ある。
you meタウンとか。
ついでに聞いてみた。
「この先…桜島行くまでに鹿屋バイパスってのがあると思うんですけど、これ迂回するいいルートってありますか?」
「あぁ・・・迂回する必要ありませんよ。自転車も通れます」
「えっバイパスなのに!?」
「バイパスっていっても大阪の普通の2車線道路みたいなものです。それをバイパスって呼んでるだけで、おばあちゃんも通ってるくらいですよ」
なんだか緩いなァ、鹿児島の雰囲気はなんだか緩い。
南国風の空気が流れているというか、お兄さんもおっとりしていて何とも落ち着く感じがする。
お礼をいって再出発。
バイパスの件も解決したしがんがん進むよ!




鹿児島まじ南国

あらしろー!ゆっきー!(違)
30kmほど走った所で異変に気がついた。
思えばこれが悲劇の始まりだったのかもしれない・・・・(いたって平和に終わりましたはい)

なんだか曇ってきた。進行方向の空がねずみ色になってきた。
そしてそれはどんどん色濃さを増していった。


火山灰だ。
距離にして約30km。まだ1時間以上かかるというのに先に向こうからやってきた。
ずっと向かい風だったわけだけれどこの風向きはまずいことに気付く。
火山灰に突っ込むコースじゃねーの/(^p^)\
ネックウォーマーを伸ばして顔を覆った。すごい、本当に火山灰が降ってきてる。
しかも結構な量だ。眼鏡にも灰が付着して、唇がすこし乾いたようにかさついてきた。
道路にも灰が溜まり、何かに触れると触れた箇所がすぐに白くなる。

予想以上だった。
私はてっきりもっと近く…桜島本島のほんの回りにしか被害はないものだと思っていた。
けれど周りに目をやると車もベンチも瓦も、薄化粧をしたかのように白く染まっている。
私の自転車も徐々に染まってきた。チェーンは大丈夫だろうか・・・
道路が湾曲していたおかげで幸いにも風下から脱出することが出来た。

うーん、すごい。
当たり前のように噴煙を上げ続けている。
これが毎日だっていうのだから、この地域に住み続けてる人の話を是非聞いてみたい。
そう思っていた矢先、自販機でジュースを買っていると、おばあちゃんに挨拶をされた。
人なつっこそうな感じでくしゃっと崩れた笑顔が素敵だった。
このチャンス逃すまいと思い切って火山灰のことについて聞いてみる。
実際にどんな影響があるのか…と。
「そうねぇ。あたしも広島に住んでたことがあるけど、あの頃みたいに洗濯物は干せないわなぁ・・・いつも部屋干し。それが当たり前なの、こっちでは。スーパー覗いて御覧なさいな、置いてるの部屋干し用の洗剤ばーかりじゃて。んで、いつも風向きをな、テレビで見るんだ。こっちでは気温なんかより風向きの方がずーっと大事。こっちが風上ならその日はマスクもせんでいい、傘も刺さんで済む。代わりにあっちの街が灰をかぶることになるんだなぁ」
と、くしゃりとした笑顔のままで語ってくれた。
「今日はずっと北風だからこの先はもう大丈夫。島をまわるなら南側気を付けな、あすこはよお降るからなぁ」
と忠告してくれた。
お礼を言って再び走り出す。
いよいよ桜島本島に入ることになる。

本島は鹿児島湾に浮かんでいる。浮かんでいるといっても陸続きなのでそのまま渡る事が出来る。
しかし元々は離島だったという。
大正3年、1914年の大噴火。それによって大量に流れ出た溶岩流は島の東、南東側に流れ込み、そこにあった海峡を塞いで陸続きにしてしまったのである。
島全体は地盤沈下を起こし1.5m低くなった。地中にあったマグマが放出された為である。
1914年・・・というとまだ100年も経っていない。
そんなに真新しい陸の上を渡っていると思うと胸が熱くなったのと同時に実際暑いと感じた。
いやむしろ熱い。
なんだろう、地熱?火山島だから?もはや冬などどこふく風。20℃くらいあるんじゃないだろうか。
汗を拭いながら島をまわる。



パイナップルうまうま。あとみかんジュースもいただいた!
南側を走っていると突然にぶい音がした。
ずうぅぅん・・・って感じの音。地に響き渡る様な。
火口付近はちょうど草木に隠れて見えなかったけれど、煙がもくもくあがっていくのが見えた。
噴煙だ!
小規模の噴火が起こったらしい、そして数分後、ぱちぱちと音がしだした。
音の数がどんどん増えてくる。降ってきたがった・・・!
しかも結構大粒というか1mm大くらい?
痛い、痛い、ちょうど下りで40km/hくらい出てたのだけれど痛い!
ちくちくする。
しかも眼鏡の隙間から入る!
目がーーー!目がーーー!

天の助けや!避難壕さんまじイケメン!
いやー吃驚した。これも日常かよ!って一人叫びたくなった。
全身火山灰まみれになってしまった。カメラは無事。自転車はいよいよチェーンが汚れてきた。

うーんこれは・・・住んでいる人には悪いけれど住むところじゃない・・・と感じてしまった。
大正3年の大噴火以降、どういった経緯で人々がこの島に戻ってきたのかが気になって仕方ない。
しかし、景色は素晴らしい。ちょっと日本離れしている感。


アメリカ西部!って感じがする。(勝手なイメージ)

道の駅で黒豚ラーメンをいただくなど。

桜島の観光名所の一つ、埋没鳥居。
大正の大噴火の灰はこの腹五社神社の高さ3mの鳥居を埋めてしまったのだとか。
大噴火も前触れが合ったようで3日前から島内の井戸は沸騰し、湾内の魚が死に絶え、断続的に地震が起こっていたのだという。
1914年1月12日、10時、東桜島の黒神鍋山が大噴火し、黒煙は上空7,000mに達した。
1日中大噴火を繰り返し、雷が轟き地面が揺れて、空が割れ、人々は大パニックになったという。
翌日には30億トンの溶岩が流れ出し、島の南東の海峡を埋めて大隈半島と陸続きにしてしまった…と。
想像しただけでもおそろしい
今こうして島内を走ってることになんだか恐怖を感じてしまった。
たった97年前のことだなんて・・・
私が生きてるうちにまた大噴火する可能性もあるのだろうか・・・?
そうするといよいよこの鳥居も埋まって・・・

当時の村の様子を想像しながら残りを走った。
23Cタイヤにまとわりつく火山灰が恨めしかった。
一周し終えた時点で15時過ぎくらいだっただろうか?
あとは鹿児島湾沿いに国分まで走るだけだ。
湾を眺めながら走るというのは気持ち良いものだ。
そして桜島が常に存在をアピールしていた。
遠くから見ると本当に美しい。

ちょっと小高い場所があったから登ってしばらくタイミングを待つ
出発前から狙っていた写真が撮れて満足でござる。



ビューティフォー・・・
その後はたらたら走って無事に国分に到着。
どこにでもある地方都市だ、京セラの大きな工場があるのが特徴だろうか。
お宿にチェックインする前にご飯買いたいなーと探しているとほかほか弁当的なところを発見。
というか看板は限りなくほっかほっか弁当だけれどよく見ると違う・・・
ぎりぎりのラインついてくるあたり逆に好感が持てたのでここにきめた。
店内に入るとなるほど、食堂みたいにテーブルもある。一組お客さんが丼ものを食べている。
カウンターにはやたらと化粧が濃いおばちゃんが一人。大阪のおばちゃんに通ずるものがあるな・・・と思いつつハンバーグから揚げ弁当を頼んだ。
受け取る際にせっかくだからちょっと話をしてみた。
「自転車で大阪から来ました。鹿児島に興味があって・・・この街にも火山灰は降るんですか?」
「降るよ!外の道路見てみなさいな、積もってるでしょー」
なるほど暗くてよく見えなかったが確かに目を凝らすと白っぽい。話が続いた
「今日は一つも降ってきてないけどね、北風だから。でも風向き変わるともうだめ、雨でもないのに傘がいる日もあるくらいさ。それについこないだは・・・北にある新燃岳も噴火したでしょう。この時なんて、新燃岳と桜島とどっちもの火山灰が降ってきてもー大変だったんよ。北に風が吹いても、南に風が吹いても火山灰が降ってくるわけ。たまったもんじゃないよねぇ」
と言って丼を食べているお客さんの方に同意を求めた。どうやら友達というか知り合いというか随分親しげである。
しばらく他愛も無い話をしてお店を出た。
なんというか鹿児島の人って結構おしゃべりな気がする。
こっちが聞く何倍ものことを話してくれるからとても助かるというか聞いてて面白い。
面白かったからこうして記事にしているってのもあったり。
そうして無事にお宿に到着。
温泉付きのお宿ということでお弁当を食べてさっそく温泉につかって明日に備えた。
自転車旅で温泉ってのが最高の贅沢だよなぁ、と最近思うようになった私はもう歳なのだろうか・・・w
年末特番を見ながらこの日はおやすみ。
明日はヒルクライム。
走行距離149km
続く
その2へ
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