【サドル】セラサンマルコが誇るベストセラー「アスピデ」を使ってみての感想
機材紹介, 自転車, ロングライド, ノウハウ,自転車を楽しく快適に乗るために最も重要なパーツとは…?
・足回りを進化させてくれるホイール
・ペダリング効率に関わるペダル
・根本的な走りに影響するフレーム
いろいろあるけれど、中でもやっぱりサドルは重要。
機材オタクってわけでもないけれど、いや、どうなだろう。
いろいろ調べたり使ったり試したり好きなだけ…だけれど世間的にはそれをオタクと言うのかもしれない。
兎にも角にも、サドルメーカーとして長い歴史をもつセラサンマルコブランドも紹介していこうと思う。
〜世界的サドルメーカー セラサンマルコ〜
サドルメーカーを有名な順に並べていくと間違いなく上位に位置するのが今回紹介するセラサンマルコです。おすすめサドル特集などを見ていると常にそのラインナップが紹介されています。かくいう私も初めてサドルを買い替える時にはこのセラサンマルコのサドルを購入してロングライドや自転車旅で愛用していた時期がありました。
その創業は古くサドルメーカーとして産声を上げたのは1935年のこと。創業者のルイジ・ジラルディが28歳の時です。当時200km近く離れたミラノまで自転車で行商に行っていたルイジ氏は、より快適に走るために固いサドルにカバーを取り付けました。当時のサドルと言えば専門メーカーがなく、自転車メーカーが鉄のベースに皮を載せていただけのものです。改良したサドルが評判を呼ぶと、次は自らサドルを作成するようになり、鉄のレールとシェルを作り、そこに快適なカバーを取り付けるようになります。需要は更に増えて従業員500人を抱えるほどに会社としての規模が多くなりました。
1974年、スポーツ車専用モデルが作成されました。当時はグランツールなどのトップレースでも一般自転車と大差のない平らなサドルが使われていましたが、セラサンマルコは人間の身体の形状や動きに沿ったエルゴノミック的な考えに基づいたサドルをリリースします。台座と表面のレザーの間にパッドを入れると言う革新的なサドルです。1978年には伝説的モデルとして今でも語り継がれるコンコール・スーパー・コルサと言う市販モデルが発売されます。この頃からは世界の自転車サドル界をリードするようになり、その後もコンコール、リーガル、ロールスと言った今でも名前を聞くサドルが開発されていきます。
トム・ボーネン、マリオ・チポッリーニ、アルベルト・コンタドール…
そのサドルに跨ったトップレーサーの名前を見ているだけでも目眩がしそうになります。
常にライダー目線で最新の研究結果を取り入れてサドルを進化させるセラサンマルコは、初の市販モデルが発売されてから50年近く経った今でも、世界のサドルメーカーを牽引し、そして世界中のライダーのサイクリングを支えています。2023年現在、日本国内では弱虫ペダルサイクリングチームやマトリックスパワータグと言ったトップクラスのチームへの機材供給も実施されています。
以上、真面目な解説。
サドルの重要性
サドルの重要性は自転車に乗ったことがある人なら誰でも理解ができると思います。
※サドル沼という言葉があるくらいサドルは沼であり個人によって感じ方に大きな差がありますので参考程度に。
自転車と身体が触れる場所はたったの三ヶ所、ハンドル、ペダル、そしてサドルです。どれも大変重要なのですが、個人的に最も走りに影響するのがサドルだと感じています。これが合っていないことには、どれだけ軽くて良く進む自転車に乗っても、快適とは言えません。
合っていないことには、と表現した通り身体との相性があります。ハンドルもペダルも同様のことは言えますが、その重要度はサドルがトップクラスと言っても過言ではありません。なぜならサドルは快適かつ効率的なペダリング、そしてリラックスしたポジションや乗車姿勢の出発点となるからです。逆に言えばサドルのチョイスとセッティングが上手くいけば、その後の調整が格段に楽になります。
これはそのまま乗車フィーリングにも直結し、レースだけではなく日常の移動や週末のサイクリング、ロングライドや自転車旅の快適性にも関連して来ます。
そのためにはサドル選びがとても重要!なのですが、ここで必ず陥るのがいわゆる「サドル沼」です。先述したサドルの「相性」と言うのが悩ましいもので、つまり絶対的な指数や数値で製品を評価するのが難しい部品です。快適に走るために最も重要なパーツの一つなのに何を選んだら正解なのかは相性による、と言われると何とも悩ましく感じますが、これが事実であり、それゆえに「サドル沼」と言う言葉が生まれました。(日本国内に限らず世界中で共通認識されているワールドワイドな沼です)
老舗メーカーのソリューション
ですがそこは老舗中の老舗、セラサンマルコが答えを用意してくれています。
理想的なサドルを見つけるために考慮すべき要素である
1座骨や骨盤の形状
2足の筋肉
3柔軟性
4乗車スタイル
と言った要素の組み合わせで、最適なサドルを見つけることができるように商品がラインナップされています。
さらにセラサンマルコは全てのボディタイプに対応することができる製品群を持つだけではなく、各ライダーの身体を分析するためのツールを提供しており、専門ショップなどではそのツールを使って自分の身体を計測してもらい、専門的なアドバイスを受けながら理想のサドルを探すことができます。
これを裏付けるのが先述した世界的サドルメーカーとしての強みです。長年の研究により蓄積された膨大なデータと、世界中のライダーからのフィードバックを製品開発やサービス展開に活かしています。
アスピデシリーズ
コンコール、リーガル、ロールと言った伝説的なサドルをリリースし続けるセラサンマルコですが時代の流れと共にそのラインナップも進化してきました。そして現代にマッチして企画開発されたのが今回紹介するアスピデシリーズです。
軽量性、快適性、見た目、価格、そして座り心地。その全てを高い次元で確立しているベストセラーシリーズです。2021年には現代のニーズに応えるためにショートノーズモデルもリリースされました。
ここで記載した要素を全て満たすサドルは案外少ないものです。
アスピデシリーズは全てのライダーにフィットするために非常に多くのラインナップがあるため、選ぶ際には自転車店に足を運んでプロの意見を聞いたり、自身の判断で買うにしても良く調べることをおすすめしますが、最適解に必ず出会うことが出来る!と言っても過言ではありません(とは言えやはり相性問題があるため、絶対とは言えないのがサドル沼)。
各モデルについてはホームページを参照。
https://www.podium.co.jp/lineup_cat/c7
流行りのショートモデル
今回はアスピデシリーズの中から2製品をチョイスしました。
・ASPIDE Short Racing アスピデショート レーシング
https://www.podium.co.jp/lineup/4150
・ASPIDE Short Dynamic アスピデショート ダイナミック
https://www.podium.co.jp/lineup/4152
いずれも今流行のショートモデルです。さて、ここでショートモデルについて簡潔にまとめておきます。
ショートモデルのメリットは?
・軽量(同モデルの通常モデルと比べて10~30g程度軽くなる傾向にあります)
・前乗りがしやすい
・強度高めでペダリングをし易い(トルクをかけ易い)
・UCIルール内においてもサドルを前方にセッティングできる
・ダンシング⇆シッティングの切り替え時でもレーパンやズボンがサドル先端にひっかりにくい
ショートモデルのデメリットは?
・前乗りじゃないとポテンシャルを発揮しにくい
・ポタリングや低強度では不要かも
・見た目が物足りない(個人的な見解です)
上記がショートモデルを実際に半年ほど使ってみての感想です。(アスピデの評価ではなくショートモデルであることへの感想です。)
「どんな人におすすめなの?」と聞かれるとメリットに挙げたようなことが該当する人となります。
つまり
前乗りが必要でしっかりと強度を上げてペダリングをしたい人
向けとなります。強度を上げて六甲山をガンガンヒルクライムするときにはとても魅力を感じました。通常モデルに比べて力が入れやすく、またペダリングもスムーズになりました。
逆に…低速域でのポタリングやゆったりクルージング感覚でのロングライドには適さないとも感じました。ですので私のライフワークである「マイペースな自転車旅」では残念ながらマッチしなさそうです。
週末にそこそこの強度で100km走りぬく!とか今日はヒルクライム!と言うようなシーンでは積極的に使用したいとも思いましたので、参考になれば幸いです。
実際に使ってみての感想
・ASPIDE Short Racing アスピデショート レーシング
https://www.podium.co.jp/lineup/4150
・ASPIDE Short Dynamic アスピデショート ダイナミック
https://www.podium.co.jp/lineup/4152
いずれもショートモデルであり、通常のモデルに比べて27m短くなっています。(通常モデルは全長278mm、ショートモデルは全長250m)見た目からしてコンパクトで、長めのサドルに慣れている私にとってはとても短く新鮮に映りました。
オープンモデル
オープンとはつまりサドル中央部に穴が開いているモデルです。私は普段からずっと穴無しモデルを使っており、正直なところオープンモデルの必要性は感じていません。
オープンモデルのメリットとしてはデリケートな部分の圧迫を少なくすることができると言う点が挙げられます。私自身が身長173cmで体重が55kgと比較的軽量ライダーかつ骨盤を立ててお尻を浮かせる(ペダルに体重を乗せてサドルはお尻を乗せるだけ)ペダリングを好むために、あまりメリットを享受することはできませんでしたが、ことショートノーズモデルとなるとそのメリットを理解することができました。
前乗り、前傾姿勢になった際には、必然的にデリケートゾーンへの圧迫が増えるのですが、それが軽減されているのを感じました。前述したように強度を上げて乗車する際にショートノーズモデルのメリットを感じたのですが、その際にはノーマルモデルに比べて前乗りになっていたのですが、それでも圧迫感はほとんど感じられませんでした。ノーマルモデルなら多少なりともデリケートゾーンへの圧迫を感じるのですが、それが明らかに軽減されていました。※あくまで神楽坂つむり個人の感想です
なるほどショートモデルならではの乗り方に合わせるために、オープンモデルになっているのだな、と納得した瞬間です。
座面幅の違いにより幅139mmのナローモデルと幅155mmのワイドモデルが用意されていますが、これは体型に合わせればOKです。
レーシングorダイナミック?
今回はモデル違いを試してみました。レーシングモデルとダイナミックモデルはいずれもコストパフォーマンスが高く、買って損はないと思いましたが、微妙な違いがあります。価格は一万円ほど異なりますが、高いから良い!と言うものでもなく、合っている方を選ぶのが一番です。
レーシングモデル
・軽量なレール「Xsilite(エクシーライト)」を使用。
AiSi304ステンレス鋼の中空レール(外径 7 mm – 内径 5 mm)で 軽量性、耐久性、耐候性に優れています。
・パッドには「ビオフォーム」を使用。
ペダリング時の骨盤の動きに従う可変的な厚みを持つ低密度のフォーム。快適性、軽量性、耐久性、そして理想的なサポート力を持っています。
レーシングモデルは23,100円(税込)。重量はナローモデルで185gとなっています。
ダイナミックモデル
・耐久性の高いレール「マンガネーゼ」を使用。
ハイテク中空クロモリーレール(外径 7ミリ – 内径 4ミリ) + 外部塗装ですぐれた軽量性と耐久性があります。
・パッドには「プルフォーム」を使用。
様々な厚みがある低密度のフォームで、長距離でもクッション性を失わずペダリング中の骨盤の動きを支え、快適で理想的なサポートをしてくれます。
ダイナミックモデルは13,200円(税込)。重量はナローモデルで215gとなっています。
やはり乗車スタイルに合わせるのが一番でしょうか。
ゆったりマイペースで走りたい人にはダイナミックモデルがおすすめです。特にパッドの違いが大きく、プルフォームパッドは低反発枕のようにじんわりと沈み込んでお尻を支えてくれます。一日中乗車していてもお尻が痛くなりにくく、快適にサイクリングをすることができます。
※あくまで神楽坂つむり個人の感ry
逆に少しでも軽快にやや高強度で走る際にはレーシングモデルが最適です。決してパッドが薄いと言うわけでもなく、しっかりとロングライドにも耐えてくれますが、ダイナミックモデルに比べると沈み込み量はやや少なく、強度高めのペダリング時にこそ快適にお尻を支えてくれる印象です。またダイナミックに比べて重量も30g軽く作られているのも嬉しいポイント。自転車の中で最も高い場所に位置するサドルは、その重量によってバイクの挙動に与える影響が大きいことから、少しでも快適に軽快に乗りたい人にとっては魅力的な軽さになると思います。
さらにいずれのモデルも以下のような特徴があると感じました。参考になれば幸いです。
・低反発クッションが程良い!ほんの少しだけ沈んでから戻るような感覚で、ペダリングの邪魔をせずに、お尻を支えてくれて快適。
・深い前傾姿勢でペダリングをしても圧迫を感じずに走ることができる。
・程良いしなりがあり、ロングライドでも疲れを感じにくい。
・レース幅が7mmのラウンド形状でどんなシートポストにも装着がし易い。
※あくまで個人のry
アスピデの魅力発見
冒頭に説明した通り、セラサンマルコは世界的サドルメーカーです。実際にセラサンマルコのサドルを使ってみると、ただ単にネームバリューがあるだけではなく、膨大な時間と手間をかけて開発されていることが良く分かります。
今回紹介したのはアスピデシリーズのごく一部ではありますが、魅力は十分に感じることができました。ショートモデルのラインナップも数多く出ており、最新の需要に応えているのもさすが老舗メーカーです。
サドルには沼があります。が、今回紹介したセラサンマルコのように、ベストセラーには選ばれる理由があり、沼脱出の一助になることは間違いありません。気づけば10年以上も自転車趣味を続けている私としても、老舗の安心感ってやっぱりあるなぁ、と思っちゃいます。盲信するのは良くないけれど、客観的に見るのは大切。良いものは良いぞ、と言うことがよくわかる製品ということで紹介でした。
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