【山口満喫旅】絶景続きの長い長い一日【川尻岬〜元乃隅稲成神社〜萩】

キャンプツーリング中の寝落ちほど贅沢なものはない。

空腹で目が覚めた。晩御飯を食べることなく寝落ちしてしまっていたようだ。すっかり暗くなってしまった中、照明の明かりを頼りにスタッフバックの中に仕舞ってあったインスタントカレーとお米を取り出し・・・

取り出し・・・


・・・・

お、お米がない! (´;ω;`)
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なんということでしょう。
「今夜はカレーよ!」と意気込んで自宅で一式用意していたはずなのに、どうやらお米を入れ忘れて来たようだった。お米のないカレーなんて・・・お米のないカレーなんて・・・・!(うまい言い回しが思いつかない)

ないものはない。お米を手に入れるにも少なくともこの半島にはこんな時間に空いているお店なんてあるはずもなく、おそらく最寄りの商店といえば20km以上先にある長門の街まで行かないとないだろう。お米のためにその距離を往復するのは本末転倒なのは流石に分かる。ないものはないということだけれど、今この空腹をなんとかしないと!ぐっすり眠ることすらままならなさそうだった私は手持ちの食材をかき集めた。

・カロリーメイト
・明日の朝ごはん用のパン


が見つかった。


うん、どうするのこれ?


とはいえあるものでなんとかするしかない。
とりあえずカレーを温めて封を開ける。香ばしい香りに幸せを感じるけれど、この子が降り注ぐはずだったお米のことを思うと少し悲しくなる。試しにカロリーメイトをつけて食べてみたけれど、カロリーメイトをカレーにつけた味しかしなかった。なんというか、うん、カロリーメイトをカレーにつけた味としか表現しようがない。気になる人はカロリーメイトをカレーにつけて食べて見て欲しい。きっと私の言いたいことが伝わるはずだ。

気を取り直してパンとカレーの組み合わせでいただくことにした。
うん、なんとも素晴らしい味。
カロリーメイトとの比較なものだから余計に美味しく感じてしまう。カロリーメイトすげえ!
これで翌朝のご飯がなくなってしまった訳だけれど、明日のことは明日考えよう。今のこの自分が大切なんだ!と言い聞かせる。


暗くなったし辺りの様子を見てこようと思いテントから出ることにする。外気温は流石に下がり来ているようで、天気予報上の最低気温を余裕で下回っているような感じ。着込めるだけの服を全部着込んでテントのファスナーを開いて靴を履き外に身体をより出した。空を見上げて固まった。

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ものすごい星空


肉眼で星団が星座が、はっきりと見える。
リアルに口を開けたまま見惚れてしまった。
思ったよりも寒くなかったので、近くに備え付けられていた木製の椅子に腰掛けてしばし目の前に広がる星空を堪能する。
IMG_1764 2-2  こんな景色を独り占めできるなんてなんて贅沢。海に突き出した岬に位置するこのキャンプ場は少し丘っぽい形状になっており、そのまま丘を下っていくといきなりの断崖絶壁となる。眼下には海が広がり、夜の漁に勤しむ漁船の灯りがちらほらと。イカ釣り漁の船だろうか。その先には暗いながらも星明かりのおかげかうっすらと水平線と空の境界線が観察できた。


たっぷりこの光景を目に焼き付けてからテントに戻った。さすがに身体が冷えて来たので、フレームバッグに忍ばせていた使い捨てカイロを開けて寝袋に放り込む。こうすることで寝袋内で熱が循環してぬくぬくで過ごすことができる。寒い季節のテント泊では必ずこうしている。シュラフのグレードを上げるよりもよっぽど手軽で効果がある。目を閉じるとすぐに眠りに落ちた。


夜の間に風は止まり、穏やかな時間が過ごしていたと思う。
その証拠に翌朝、空が明るくなり始めるまでひたすら熟睡することができた。いつもならテント泊だと夜中に起きることが結構あるのだけれど。
ご来光を眺めつつ、お湯を沸かしてインスタントココアを飲む。本当ならここでパンを食べられたはずなのだけれど昨夜の米騒動の影響でココアのみ。むぐう・・・・仕方ない。

さてここで今回の装備を簡単に改めて紹介します。
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テント…montbell U.L ドームシェルター
シュラフ…NANGA UDD BAG 280DX
マット…montbell U.L エアマット120

を基本装備としてプラスISUKAのエアピロー、インナーシュラフを追加。これで0度程度までなら耐えることができる。
キャンプツーリングにおける装備の選定は登山やオートキャンプのそれよりもはるかに難しいと思う。経験値を上げるしかない。


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手早くパッキングを済ませて6時半頃にスタート。本州最北西端から始まる長い一日が始まった。
走り始めて10分もしないうちにこの日も暑くなることが分かった。7時の段階で半パンに長袖腕まくりグローブなしでも十分なくらい。まだ3月下旬だというのに。


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半島を海沿いにひたすら走る。棚田と海と山しかないこの景色はどことなく能登半島の「のと里山街道」を彷彿とさせるけれど、海の穏やかさや棚田の勾配、長さなどが違う。似ている景色はたくさんあれど同じ景色なんてあり得ない。
ここの景色の一番の特徴は落差。地図上では海沿いを行くくねくね道なんだけれど、その道と海の間にこれでもかってくらい海に向かって棚田が広がている。標高でいうと50mくらいだろうか。たった50mだけれど、周りに高いものがないから結構な落差に感じる。


お腹が空いていた私は首尾よくデイリーヤマザキを見つけるも、まあ田舎あるあるで開店時間は9時。
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ダメもとで「近くに食べ物売ってる所ないですか?」と聞いてみると、長門の街まで行けばあるということでやっぱりか・・・・と落胆していると思い出したように教えてくれた。
「野菜の直売所ならあるかもなあ・・・・」
なるほど。たまに見る無人販売所だ。運が良ければそこで何かしらの腹の足しになる野菜が手に入るかもしれない。北海道を旅していた時なんかは何度かお世話になったことがある。挨拶をして再びスタート。

ちなみにこの後、野菜の直売所はあれどキャベツ、ジャガイモ、椎茸と、そのまま食べるにはいささか抵抗のあるものばかりが並んでいたので諦めざるを得なかった。


途中、「東後畑の棚田はこちら」という看板が立っていた。2kmと書いていたからすぐと思いきや2kmずっと登らされたのは誤算だったけれど、まあ素晴らしい景色だったよね!ツライ!


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文句なしに絶景だったので機会があればぜひ訪れて見ては。


そしてお次は個人的本日のメインイベントになりそうな予感がしている元乃隅稲成神社へ。ここからまっすぐに下れたらいいのに棚田があるものだから結局登って来た道を折り返してぐるっと回って無事到着、元乃隅稲成神社。調べてみると割と歴史が浅くこのように鳥居が並んだのはここ30年くらいの話だとか。「稲荷」ではなく「稲成」という字を書くのは何故なんだろうか。これは結局分からなかった。

ちょうど去年くらいだろうか。「海に向かって続く鳥居がある」と小耳に挟んで以来、ずうっと見たかった光景をようやく見ることができた。

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なんともまあ神秘的な景色で!

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平日の早朝ということで観光客も皆無で、ただ一人、海の音を聞きながら123本ある鳥居を歩いてくぐってるとなんとも言えない神妙な気持ちになってしまった。神社仏閣は好きだけれどここまで自然との距離感が近いところもなかなかない。伊勢神宮とか伏見稲荷大社とか出雲大社とか、いろんなところを見て回って来たけれど、他とは違う何かがここにはある。

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一言で言うと荒涼としてる。そうだ、下北半島の恐山に行った時にも似たような感覚に陥った。暖かみや落ち着きを感じるというよりは少し落ち着かないそわそわとした気分になる。神社の中に自然があるのではなく、自然の片隅にギリギリ踏ん張って神社がある感じ。そんな感じ。


いい加減お腹が空いて来たので神社を後にして先に進むことに。
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本来であればここから千畳敷に登るつもりだったのにこの時の私はエネルギー切れで結局断念してしまった。本心では行きたいくせに「もうたくさん良い景色を見た」「ここを登っても似たような景色が広がってるだろう」と言い訳を作って千畳敷までのヒルクライムをパスした。多分この時の判断は間違ってなかったと思う。無理して登っていれば間違いなくハンガーノックになっていて景色を楽しむどころではなかったはず。「旅はまた来たいと思えるくらいがちょうどいい」といつものように自分に言い聞かせて、そのまま長門の街へ下ることにした。全部、米騒動のせいだ。


同じような理由で青海島をパスした。千畳敷とセットでまた来ようと心に誓う。


さて、ここから萩までの道は、ここ数年で走った道の中でも間違いなく最上位にランクインするくらい個人的にお気に入りの道となった。「県道萩三隅線64号線」そう「県道萩三隅線64号線」だ。一生忘れないと思う。すでに再訪したい。それくらい良い道だった。
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我ながらよく見つけたと思う。こういうときは誰も褒めてくれないのだから自分で褒めるようにしている。昔の自分だったら普通に地図を眺めていたらまず通らないと思う。最近の私は国道を走ることは少なく、自分が走ったことがない、誰も走ったことがない、普通は通らないような道を選びたがる節がある。きっとグラベルロードで遊びすぎたせいだ'`,、('∀`) '`,、
なので地図で調べてなるべく細い道、怪しい道を選ぶことにしている。ナビじゃまず案内してくれないような道。

自転車旅、ツーリングを好きになってこうしてせっかく色んなところを巡っているのだから、自分で見つけたオリジナリティのある道を走りたい、画一的なことをしたくない。そういう思いが最近芽生えて来た。その方が楽しいこともわかって来た。
そう、そういう選択をすると予想外の収穫を得られることが多い、と言う経験則。良い道とは観光案内やまとめサイトに乗って載っているようにただ単に良い景色が広がる道というだけじゃなく・・・・うまく言えないけれどいろんな要素が絡み合っていると思う。もっとローカルな目線で旅をして行きたいと思う。


兎にも角にも思いもよらぬところで至福の時を過ごすことができた。ああ、ほんと、今こうして記事を書いているけれど、早くも再訪したい。

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ちなみに山陰本線沿いの道で線路と何度も交錯する。なので踏切を何度も何度も超える。これだけでもポイント高い。
田舎のローカル線の踏切ってなんとも言えない魅力があると思うのは私だけだろうか。

カルチャーショックだったのがこの路線、本当に本数が少ないらしく1時間近くこの道に寄り添って走っていたのに一度も踏切の音がしなかったし、当然電車を見ることもなかった。聞くところによるとこの路線、2〜3時間に1本しか走らないらしい。にも関わらずそれなりに人気があるというのはこの景色の中を走るのだから当然だと思う。私も機会があれば一度乗って見たいと思った。


気がつくと萩の街まで10kmを切っていた。


続く。


   
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