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【滋賀県湖西】台風一過の山奥へ その2【グラベル、林道ツーリング】

目が覚めてテントから出ると空がすでに明るくなり始めていた。
時刻は7時。なんと10時間も寝ていたことになる。

旅をしていると見につくスキルの一つに「どこでも寝られる」というのがある。
いや、私の場合は小さいころからそうだったと父親に聞いたことがある。
暖かい布団と慣れた枕で寝られる機会なんてそうそうないのが自転車旅の常だ。
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また同じテント泊でもその時々で睡眠環境は大きく変わる。

一番酷かったのが北海道を旅しているときのことだった。
星空が見えているから晴れだろうと高をくくってフライシートもタープもなしでテントを張ったところ夜中に大豪雨に見舞われた。「なんだあ!?」と思って目が覚めたときにはすでにテント内が浸水しマットや枕はおろか着替えや食料までもが水浸しになっていたことがある。

また8月に能登半島でテント泊をしたときはあまりの暑さに一向に寝ることが出来ず、たまらず入口を開けると大量の蚊が侵入してきて一晩中テント内でバトルロワイヤルをしたこともある。

そんな環境でも寝なければならない。
身体の回復には睡眠が不可欠で、特に自転車やマラソン、登山といった長時間にわたるアクティビティにおいては特に。
旅をするために、美味しいものを食べる為に、遠くへ行くために、その手段として自転車を選んだけれど、身体も一手段として考えるとそのメンテナンスの大切さが分かる。

自然の中で寝る以上、自然に左右されるのは当然の話だ。
だからこそ自然をよく観察し情報を集め寄り添いつつも抗わないといけない。
そういった意味ではこの日は驚くほど平和だったと言える。ありがたやありがたや。

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朝ごはんを済ませたのち、素早くパッキングを済ませて準備を終える。
やはり荷物が少ないと行動が素早くなる。
ツーリングにおける荷物の取捨選択というのは奥が深い。これについては別のところで書こうと思う。


さて、今日は山を越えて下って街に戻って帰るだけの一日。
文章にするとたった一行だ。
その実は大変濃厚だったと先に書いておく。

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太陽が山の稜線より高くなり日差しが森の中に差し込むと一気に世界が色づいていく。
この季節だけ見られる景色。

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補給食に久しぶりに薄皮つぶあんぱん。
思えばお金のない学生の頃はよくお世話になっていた。
私は補給食というのはそうはいってもちゃんとしたご飯でありたいといつも思っている。
シリアルバーとかは効率が良いのだけれど味気なくって。
せっかく自転車旅をしているのだから、その土地のものを食べたり、ゆかりのあるものを食べたり。
食事も大切な思い出の一つにしたいと思う。
が、山の中ではそうもいってられない。
効率性大事。


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太陽の光の差し方でおおよその方角が分かる。
義務教育で一番好きだった授業は地理と地学。
これらの授業で得た知識は今でもちゃんと役立っている。


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もうこれくらいの倒木では驚かなくなってしまった。
とはいうものの流石に何本も連続して現れるとちょっと参ってくる。
「これくらい隙間が空いてるなら乗ったまま行けるじゃないか?」というような倒木があったので、自転車から降りずに速度を落としてペダルを水平にし頭を下げて突っ込んでみたもののザックが引っかかってしまってそのままバランスを崩して転倒してしまった。
幸いダメージはなかったけれど、なるほどザックも障害物になりうるのだという知見を得た。
(いやそもそもそういうところに突っ込まなければいいのだけれど、そこはお察しいただきたい)


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100%の癒し。

当然、昨日からずうっと圏外だ。
思うに現代人は圏外を恐れすぎていると思う。
最初からないものとして考えると特に支障がないことに気づく。
ニュースもSNSも帰ってから見ればいい。
天気予報なんかは週間予報を見ていれば大体オッケー。
いやもちろん電波は入ったほうがいいに決まってる。リアルタイムな投稿は説得力がある。
ただなくてもいいということだ。
電波の奴隷にはなりたくないものだ。

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皆子山をパシングして下界へ至る前にお昼ご飯。
このまま下山できたけれど、食糧を残していても仕方がない。

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アルコールバーナーでお湯を沸かしている間にザックを枕にしてしばらく目を瞑る。
川の音と風の音、虫と鳥の声、そして頭上に広がる大気の音・・・。
そんなものに包まれてうとうとしているうちに気づいたら1時間ほど眠ってしまっていた。

当然、お湯は冷めていた。


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温め直して即席鯖の蒲焼乗せご飯。
缶詰とお米さえあればできるともあって私の中ではレギュラーメニューの一つ。
アウトドア飯といえば調理器具と食材の発達でバリエーションが非常に増えたのが嬉しい。
実際に私がよく作るのは
・丼物
・パスタ
・アヒージョ
・リゾット
・おでん
・煮込みうどん
・カレー
といったところだろうか。
まあやろうと思えば家庭料理のほとんどは山でも作ることができる。
ソロだとそこまで凝ったものを作ろうという気が起きないけれど'`,、('∀`) '`,、

ご飯を食べた後は20km程度のダウンヒルをこなせば完了。
順調に行けば1時間程度で終わるはずだった。

間違いに気づいたのはその1時間が経過した頃だっただろうか。
どうも事前に調べていたような地形に辿り着けていない。
本来であれば川を横目に林道を下りていくはずが、いつの間にか川がなくなっている。
確かに道が下っているが、どうもその幅が細すぎる。
これでは車どころか買い物カートも通れないくらいじゃないだろうか。

「どこかで間違った・・・・か」

ここまでヒントを与えられればさすがに気付く。
幸いにもまだ1時間下っただけだ。
瞬時に判断して来た道を登り返す。

道迷いとは不思議なもので気づいた時には深みにはまっていることがほとんどだ。
いや、気づかないからこそ道に迷うのであって、だからこそリカバリーに労力を費やす。
軽度のものだったらいいけれど、気付くのが遅すぎたりあるいは夜が迫っている、補給食が残り少ないといった条件下であれば死活問題だ。
どうやらこの時の私は本筋とほぼ同じ幅の獣道に入ってしまっていたようで、こんなの誰でも間違えるじゃないかと思いつつ、だからと言って獣に文句を言うわけにもいかない。
コンパスなりGPSで確認しなかった私のミスだ。

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トータル5時間ほど、登ったり下ったり担いだり川を越えたりして無事に人里に戻ってくることができた。
思えば今回は人に会うことがなかった。台風の影響を危惧して皆んな控えているのだろうか。
人もいない。圏外で。何かがあっても助けを呼ぶことができない。
そういう環境で遊んでいるということについて久しぶりにちょっとした危機感を取り戻すことができた。

旅は自由だ。
自由というのはつまり自分の選択に責任を負うということに他ならない。
そこで得られるものも失うものも自らの選択によってもたらされたものだ。
だからこそ誰にも気兼ねするものではないし、誰のせいにすることもできない。
湧き上がって来た自分の意思、動機、選択の正当性を自己評価し、それらを実行に移すか否か脳内会議で判決を下して、自分に対してGOサインを出す。
旅はこの一連の流れを全て自分でこなすゆえに自由であり、その結果も自分に降りかかる。
良いことも悪いことも。
そしてその結果がどうであれ、何かしら得られるものが必ずある。
そこに価値があると私は思う。
今回の旅についてもこうして記事にして公開し誰かの目について何かしら思うところを与えられたかもしれないけれど、申し訳ないが最も楽しんだのは私に他ならない。
今や製品だけじゃなく観光地や見られる景色の写真、旅そのものにまで星の数やいいねの数が重視されすぎなような気がしてならないけれど、正直そんなものはどうでもいい。
行けばわかる。その判断をする段階から旅は始まっている。
「玄関を飛び出した者勝ち」
後は思い切り自分の旅を謳歌すれば良いのだ。
そんな他愛もない思考をしながら帰路に着いた。

終わり。


    
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